【2024年法改正】不動産投資で4万円の定額減税を受ける方法を解説!
2024年(令和6年)4月1日に施行された「令和6年度税制改正法」によって、どのような点が変更され、またそれらの変更点は不動産投資にどのように影響するのでしょうか?
今回は、「令和6年度税制改正法」によって変更された税制について、不動産投資に関連のある以下の部分について解説します。
◦定額減税:不動産所得者が受ける方法
◦相続税:相続登記の義務化について
◦減税特例措置の延長
◦タワマン節税の改正
知らずに損をしたということがないよう、しっかりと確認しておきましょう。
2024年法改正①不動産投資で定額減税を受ける方法
2024年の税金から、納税者本人と扶養親族を対象に、所得税3万円、住民税1万円の計4万円が「定額減税」として控除されることになりました。
定額減税は、近年の急激な物価の上昇に対する家計費の負担軽減を目的として、政府が打ち出した支援策のひとつです。直接、個人の可処分所得の増加につながるという理由から話題となり、注目されました。
なおこの定額減税は、住民税・所得税を納めている課税世帯の会社員や扶養に入っていないパートタイマー・アルバイトなどの給与所得者の場合、次のようなスケジュールで減税がおこなわれます。
◦所得税:2024年6月から、最初に支払われる賞与を含む給与などの源泉徴収から、定額減税額が控除される
◦住民税:2024年6月分の呪民税の徴収がされず、住民税額から1万円の特別控除を引いた残額を11ヶ月で分割し、7月から2025年(令和7年)5月までの11ヶ月間にわたって納付される
この場合、手続きなどはすべて勤務先がおこなうため、従業員が自分でなにかする必要はありません。
では、不動産投資をおこなっている個人事業主などの事業所得者が、4万円の定額減税を受けるためにはどのようにすればよいのでしょうか。
この場合は2024年分の確定申告をおこなうことで定額減税が適用されます。
例年通りであれば、2025年の確定申告は2月16日~3月15日までが申告期間です。忘れ時に確定申告をおこない、きちんと減税されているかしっかり確認しましょう。
2024年法改正②相続登記の義務化
2024年4月1日から「相続における登記の義務化」が始まりました。
本来、不動産を相続した際には「相続登記」の手続きが必要です。しかし、これまでは登記手続きをおこなわなくても罰則がありませんでした。
ところが国土交通省がおこなった『H28年度地籍調査における土地所有者等に関する調査』によると、日本全国の土地のうち約20%の土地について、不動産登記簿上で所有者がわからないという調査結果が出たのです。
参考:国土交通省『H28年度地籍調査における土地所有者等に関する調査』
このまま土地の所有者をわからないまま放置しておくことで、将来的に大きなトラブルに発展する可能性も考えられることから、所有者不明土地の解消のため、今回相続登記の義務化が施行されることになったのです。
今後は、不動産を相続したことを知った時点から3年以内に相続登記をおこなわねばなりません。正当な理由がないにもかかわらず期限内に登記をしなかった場合は、罰則として10万円以下の過料(行政上の罰金)が科せられるため注意しましょう。
なお、過去に相続した相続登記がされていない不動産についても、登記義務化の対象となります。この場合、施行日を起算点として、そこから3年以内に相続登記をおこなう必要があることを覚えておきましょう。
2024年法改正③土地に係る各税金の負担調整措置及び条例減額制度の延長
不動産市場の活性化を目的とし、各種税金の負担を軽減される特例措置の延長が決まっています。延長された負担軽減の対象となるのは次の税金です。
◦印紙税
◦固定資産税
◦不動産取得税
◦登録免許税
印紙税
印紙税は契約書や領収書などの文書を作成した場合に、印紙税法に基づきその文書に課税されます。
令和6年4月1日から令和9年3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」(契約金額が10万円を超えるもの)及び「建設工事請負契約書」(契約金額が100万円を超えるもの)については、印紙税の軽減措置が適用されます。
【印紙税の軽減措置】
引用:国税庁『「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について』
固定資産税
不動産の所有時に課せられる固定資産税も以下の軽減措置の対象になります
H4新築住宅特例
◦一戸建て3年間 固定資産税が1/2
◦マンション5年間 固定資産税が1/2
なお対象となるのは、令和8年3月31日までに新築された住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下(一戸建て以外の賃貸住宅の場合、40㎡以上)になります。
不動産取得税
不動産の所得時に発生する不動産取得税ですが、土地にかかる課税標準額及び税率については、以下のように2027年3月31日まで軽減措置が延長されました。
軽減されます。
◦宅地の課税標準が1/2
◦土地等の取得にかかる不動産取得税の税率が3%(本来は4%)
登録免許税
登録免許税は、不動産売買に伴う所有権の移転登記やローン完済時におこなう抵当権抹消の登記などに対して課される税金です。優遇措置が延長され2027年3月31日までとなりました。
◦所有権保存登記にかかる税率が0.15%(本来は0.4%)
◦所有権移転登記にかかる税率が0.3%(本来は2%)
◦抵当権抹消登記にかかる税率が0.1%(本来は0.4%)
2024年法改正④タワマン節税の改正
タワーマンション(タワマン)による節税が増加したことで、2024年1月1日以降に取得した区分所有のマンションに対する相続税評価額の計算ルールが変更となりました。
不動産投資のメリットのひとつが相続税対策につながる点です。
不動産投資が相続税対策として効果がある理由は、不動産の相続税評価額が、現金などで相続する場合に比べて低くなるためです。
同時に小規模宅地等の特例など、さまざま軽減措置の対象となっていることから、不動産の最終的な相続税評価額は時価の60%程度となります。実際、相続税対策として手持ちの現金で不動産を購入する人も少なくありません。
中でも相続税対策としてタワマンが注目された理由は、高層階の部屋よりも価格の安い低層階の部屋でも、専有部分の床面積が同じ場合の相続税評価額はほぼ同額であることがあげられます。
そのため、タワマンの高層階を購入することで相続税評価額は時価の約50%となり、高い節税効果が期待できるのです。
しかしその一方で、タワマンの相続税評価額と市場価格の大きな乖離が問題になりました。
今回のタワマンを含めた区分所有マンションに対する相続税評価額の計算ルールの変更により、今後はタワマンを購入するだけで相続税を大幅に軽減する効果は見込めないと考えられます。
相続税対策としてタワマンの購入を検討している場合は注意しましょう。
まとめ
2024年(令和6年)4月1日に施行された「令和6年度税制改正法」に関する、不動産投資への影響について解説しました。
定額減税をはじめ、税負担の軽減措置の延長などで減税をする一方で、相続登記の義務化され過料の罰則が課されるようになりました。
またタワマンで大幅な相続税の節税も効果が薄くなるようです。
不動産投資に関する税改正は頻繁におこなわれ、情報をキャッチし忘れてしまうと知らずに損をすることもめずらしくありません。
税制改正の内容をしっかりと把握することで、より充実した不動産投資につながるでしょう。