土地だけの不動産投資をおこなう際のメリットやデメリットを解説!
2024/10/18

土地だけの不動産投資をおこなう際のメリットやデメリットを解説!

土地だけの不動産投資「土地投資」とは?不動産投資との違いは?土地活用との違いは?土地だけの不動産投資の種類駐車場として活用する太陽光発電その他(コインランドリー・トランクルームなど)土地だけで不動産投資をおこなうメリット用途の幅が広く選択肢が広がる不動産投資より競合が少ない修繕リスクの心配がない初期費用が少なくて済む土地だけで不動産投資をおこなうデメリットやリスク融資が下りない可能性がある減価償却費による節税ができない固定資産税の軽減措置が適用されない土地だけでもランニングコストがかかる建ぺい率や容積率に注意する土地だけの不動産投資で失敗しないポイントは?まとめ

一般的な不動産投資は、土地とアパートやマンションなどの建物を購入し、それら建物の一室を第三者に賃貸して家賃を得ます。また相続した土地については「土地活用」としてアパートを建てることもあるでしょう。

しかし、あえて土地だけを購入して不動産投資をおこなう「土地投資」と言う投資手法もあるのです。


今回は土地投資について、その仕組みや種類、メリットやデメリットについて解説します。

不動産投資を検討している人は、ぜひ参考にしてください。


土地だけの不動産投資「土地投資」とは?

更地 管理物件 看板


一般的な「不動産投資」とは、アパートやマンションなどの部屋を第三者に貸して家賃を得る投資方法を言います。

投資対象が「建物などが建っていない土地」の場合は、通常の不動産投資と区別するために「土地投資」と呼びます。


不動産投資に比べると知名度の低い土地投資ですが、通常の不動産投資や土地活用とはどのような違いがあるのでしょうか。詳しく解説します。


不動産投資との違いは?

通常の不動産投資は、区分マンションや一棟アパートなど建物の一室を居住用として賃貸することで家賃収入を得る仕組みです。ビルの一室を企業や店舗などに商業用として賃貸する場合も同様ですが、いずれの物件も土地と建物がセットになっているのが特徴です。


「土地だけを購入し運用するのは不動産投資と呼ばないか?」と考える人もいるかもしれませんが、土地だけに投資するのも民法上の定義では立派な不動産投資に含まれます。ただ、通常の不動産投資と区別するために「土地投資」と呼ばれることも多いので覚えておきましょう。


土地投資の仕組みは、所有する土地や土地の上に備えた設備を利用者に貸し付けて使用料を得ます。建物の一室を賃貸する通常の不動産投資と異なり、部屋の間取りや広さによる用途に制限されないのが特徴です。


土地活用との違いは?

土地活用とは、相続や譲渡により入手した土地をなんらかの形で運用して、利益を得る方法を言います。もともと親族などが所有していた不動産を引き継ぐため、立地などを自由に選ぶことはできないのが一般的です。


中には築古の家屋が残っていたり、段差があったり、利用しづらい立地や形状の土地であることも少なくありません。活用するためには建物の撤去や土地改良工事など高額の費用が必要になったり、立地が悪く使い道がないまま仕方なく放置していたりするケースも非常に多いのです。


一方土地投資は、投資のために土地を購入することからはじまります。そのため購入者は、土地投資の目的にあう立地や広さの土地を自由に選んで購入することが可能です。

よほど立地選びを間違わない限り、手つかずの状態で放置することはないでしょう。


土地だけの不動産投資の種類

住宅街 整地済み 更地


土地だけを投資する土地投資は、建物自体がないため、間取りや広さに制限されないため、さまざまな用途に利用することが可能です。土地投資の主な種類には以下のようなものがあります。


駐車場として活用する

駐車場として土地投資をおこなう場合、建物を建てる必要がありません。

ただし立地によって利用者数や利用時間が異なるため、利回りに大きな差が出やすいため注意が必要です。安定した収入を得るのであれば、商業地や観光地、自家用車所有が必須な住宅地など、利用者が見込める立地を選ぶことが非常に重要なポイントとなります。


駐車場の運営は、月極駐車とコインパーキングのどちらかを選ぶのが一般的ですが、初期費用を抑えたいのであれば月極駐車場がおすすめです。

土地を簡単に整地したうえで区分けをおこなうだけなので、費用がほとんどかかりません。


コインパーキングを運営する場合は、土地オーナー自身で管理をおこなう「自己管理方式」と、コインパーキングの専門会社に土地を貸し出す「一括借り上げ方式」のどちらかを選ぶのが主流です。


どちらの方法にもメリットとデメリットがあるため、両者を比較したうえで、最低なほうを選びましょう。


関連記事:不動産投資で駐車場経営を成功させるポイント!種類や形態を解説


太陽光発電

購入した土地に太陽光パネルを設置し、太陽光によって発電した電気を電力会社へ売却して利益を得ます。太陽光パネルを設置するだけなので、住居や商業施設に適さない土地でも問題ありません。場合によっては非常に安価で土地を購入できる可能性もあります。


一方で太陽光発電は天候に左右されやすいため、日当たりや台風などの影響で日照時間が短くなると発電量が減少してしまいます。また季節によっても発電量に差が出るため、安定した売上を確保するのがむずかしいです。


さらに太陽光パネルの設置には費用がかかります。またパネルが破損した場合は交換する必要があります。そのため、定期的なメンテナンスにかかる費用や修繕費用が発生するのがデメリットになります。


その他(コインランドリー・トランクルームなど)

土地投資でコインランドリーやトランクルームを経営する場合、経営者自らが必要な建物や設備を用意して自身で運営する方法と、土地所有者が専門会社に土地を貸して、専門会社がコインランドリーまたはトランクルームの設置から運営までをおこなうパターンの2種類があります。


初期費用を抑えたい場合は専門業者に土地だけ貸すのがおすすめですが、収益はそれほど大きくありません。ローリスク・ローリターンの投資と言えるでしょう。


土地だけで不動産投資をおこなうメリット

メリット ノートパソコン 文房具


土地投資をおこなうメリットは、主に次の3つがあげられます。


◦用途の幅が広く選択肢が広がる

◦不動産投資より競合が少ない

◦修繕リスクの心配がない


それぞれについて詳しく解説します。


用途の幅が広く選択肢が広がる

土地投資で必要なのは土地だけです。建物はないので、部屋の間取りや広さによって用途が限定されないのがメリットです。

また土地さえあれば、制限の範囲内であれば建物を建築することも可能です。


土地だけの状態で投資をおこなったのちに、必要に応じた建物を建てて運用するなど、活用方法が自由であることが土地投資最大の特徴と言えるでしょう。


不動産投資より競合が少ない

アパート経営やマンション投資など、通常の不動産投資用物件は参入者が多く、地域によっては競合が増えすぎて供給過多になるケースもあります。

特に人口の流出が著しい地方都市は入居者の数が限定されるため、空室リスクになりやすいため注意が必要です。


しかし土地投資は、通常の不動産投資に比べて認知度が低く参入者も少ないため、競争がはげしくないのがメリットです。


修繕リスクの心配がない

アパートや区分マンションなどを賃貸する不動産投資では、経年による建物の劣化を防ぐために、定期的なメンテナンスや大規模修繕をおこなう必要があります。特に大規模修繕は10年~15年周期でおこなわれ、高額の修繕費が発生するのが一般的です。


大規模修繕費は物件の規模によって異なりますが、一棟アパートの場合は数百万円単位の費用が必要になるケースもあるため、毎月の家賃収入から「大規模修繕積立」をおこなうことが欠かせません。

区分マンションの場合は、修繕積立金としてマンション管理組合に支払いをおこないます。


また入居者が退去した際は、次の入居を迎えるために室内のクリーニングや壁紙の張り替えなどのリフォーム費用(原状回復費用)が掛かりますし、エアコンや給湯器、水回り設備の交換費用も必要です。


しかし建物を建てない土地投資の場合、建物の経年劣化などによる修繕費用は必要ありません。修繕リスクの心配をせずに済むのは、土地投資の最大のメリットのひとつと考えられるでしょう。


関連記事:不動産投資に必要な3種類の修繕費の目安を解説!修理交換時期も紹介


初期費用が少なくて済む

一般的な不動産投資で収益物件の購入価格は、数百万円から数千万円と非常に高額です。

不動産投資用の物件を購入する際は、金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、頭金や諸費用は基本的に自己資金で賄わなくてはなりません。


収益物件の購入時に必要な初期費用は、物件価格の15%程度が最低の目安となります。たとえば2,000万円の収益物件を購入するためには、少なくとも300万円の初期費用がかかります。


しかし、土地投資で購入するのは土地だけなので、一般的な不動産投資物件を購入する際に比べて初期費用が安くて済みます。

少ない自己資金で不動産投資を始められる点も土地投資のメリットのひとつです。


関連記事:不動産投資の予算を解説!物件別初期費用と年収別借入上限額を解説


土地だけで不動産投資をおこなうデメリットやリスク

デメリット スケッチブック 色鉛筆


メリットの多い土地投資ですが、その一方で注意すべきデメリットもあります。効果的なリスク対策をおこなうためにも、あらかじめどのようなデメリットやリスクがあるのか理解しておくことが重要です。


ではどのようなデメリットやリスクがあるのかをみてみましょう。


融資が下りない可能性がある

土地投資は、一棟アパートや区分マンションなどの収益物件を購入する場合と比べて、融資審査がきびしい傾向があります。

一般的な不動産投資で不動産投資ローンを利用する場合、金融機関は、融資申込者の個人属性(年収や資産状況など)とともに、物件の収益性を審査したうえで融資の可否を判断します。


しかし土地だけを購入する土地投資の場合、その土地で具体的に何をおこなって、どのように収益を得るのかといった明確な説明がむずかしいことが多いです。

しっかりと収支計画の説明ができなければ、融資を受けられない可能性は高くなります。


土地投資で土地だけを購入する場合は、どのような方法で収入を得るのか、収益がどのくらいになるのか明確に説明できるよう、入念に計画することをおすすめします。その際は、不動産会社など専門家に相談するとよいでしょう。


減価償却費による節税ができない

不動産投資における減価償却とは、建物や設備などの固定資産の取得費用を法定耐用年数に応じて分割し、毎年減価償却費として経費計上する会計処理を言います。

減価償却費の特徴は、実際の支出がなくても経費として計上できる点です。現金を減らすことなく帳簿上の経費を増やして収益を圧縮することで、結果的に節税につながるのです。


一般的な不動産投資でアパートやマンションを購入したり、土地活用としてアパートを建築したりした場合、減価償却費が発生するため、所得税や住民税を節税することができます。


しかし、土地は減価償却の対象にならないため、土地だけを購入する土地投資の場合、減価償却費が発生しません。したがって建物を建てない土地投資は、節税対策には向かないため注意しましょう。


関連記事:不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


固定資産税の軽減措置が適用されない

建物がなにもたっていない「更地」で土地投資をおこなった場合、「住宅用地の軽減措置」に適用されません。


住宅用地の軽減措置とは、土地の上に一棟アパートや一棟マンション、戸建て住宅などの建物が建っている場合、土地にかかる固定資産税評価額が軽減され、結果的に固定資産税の節税につながる特例です。


固定資産税は、土地の評価額が高ければ高いほど納める税金も高額になります。そのため、更地で土地投資をおこなう場合は、土地の値上がりによって固定資産税は大きな負担になる可能性があるため注意しましょう。


土地だけでもランニングコストがかかる

前述したように土地投資をおこなう場合、管理すべき建物がないため修繕費などは発生しません。しかし土地だけであっても放置していると雑草が生い茂ったり、害虫が発生したり、ゴミなどの不法投棄がされたり、景観を損ねるだけでなく、周辺環境の悪化につながるケースがあるため注意が必要です。


こういった周辺環境の悪化を防ぐためにも、定期的な清掃や除草をおこなう必要があります。土地のオーナー自身でおこなうのが困難な場合は、管理会社に依頼するなどの対策をおこないましょう。

なお除草などを管理会社に依頼する場合は、別途手数料が必要になります。


アパートやマンションなどの不動産投資に比べると少ない額ですが、土地だけでもランニングコストが必要であることを覚えておきましょう。


建ぺい率や容積率に注意する

土地に建物を建てる場合、その土地に定められた建ぺい率や容積率にしたがって建物を建てる必要があります。


建ぺい率とは、その土地に建物を建てる場合、敷地の何%までを建築面積として使用できるかを定めたものです。たとえば、100㎡の土地で建ぺい率が80%と定められている場合、その土地に建てる建物の建築面積は80㎡までしか建築面積としては使用できません。


なお建ぺい率は、一般的な住宅用地では40%~60%、最小30%、最高80%となっており、エリアによって異なります。


また容積率にも注意が必要です。容積率とは、敷地面積に対してどのくらいの規模の延べ床面積の建物を建築できるかを定めたもので、その種類は、50%、60%、80%、100%、150% 200%です。


所有する土地面積が広くても、建ぺい率や容積率が低ければ、建物を建てることができない部分が多く、大きな建物を建てられなくなる可能性が高いです。


なお建ぺい率や容積率は都市計画図で確認することが可能です。土地投資用として購入した土地であっても将来的に建物の建築する予定がある場合、土地を購入する際にはかならず確認しておきましょう。


土地だけの不動産投資で失敗しないポイントは?

用途が限定されず自由に運用できる土地投資ですが、その一方で土地選びを間違ってしまうと何にも使えない「負動産」になってしまう可能性もあるため注意が必要です。


土地投資用の土地を購入する際は、将来性のある土地を選ぶことが重要なポイントです。

たとえば、数年後に最寄り駅周辺の再開発が予定されている場合は、土地価格が値上がり、売却益を狙える可能性もあるでしょう。


商業施設の活性化に伴い、土地をコインパーキングとして運用することで大きな収益が期待できることも考えられます。


逆になんらかの原因で人の動線から外れてしまうことも考えられます。

このように土地を選ぶ際は、現在の土地周辺の環境だけでなく、将来性を見きわめることで、土地投資の失敗を防ぐことにつながるでしょう。


まとめ

土地だけを運用する不動産投資である「土地投資」について、一般的な不動産投資や土地活用との違いや、メリット・デメリットについて解説しました。


土地投資は、建物のない土地だけを運用するため、用途を限定されず自由に運用することができ、また建物の修繕リスクを心配する必要もありません。

しかし土地だけであっても、定期的な除草や清掃は必要です。また将来的に建物を建てて運用を考えている場合は、購入時に建ぺい率や容積率に注意しましょう。


土地投資を成功させるためにも、しっかりとリサーチをおこない将来性のある土地を見きわめましょう。

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