不動産投資で効果的な空室リスク対策方法!空室率の計算方法も解説
2024/09/09

不動産投資で効果的な空室リスク対策方法!空室率の計算方法も解説

不動産投資における空室リスクとは空室率とは?不動産投資で空室になる主な3つの原因物件周辺の人口減少周辺に競合物件が増えた空室対策を適切におこなっていない空室リスクの対策方法 原因その1:建物外観の劣化を放置している・共有部が清潔でない原因その2:家賃設定が相場よりも高い原因その3:入居募集の宣伝力や広告力が弱い原因その4:競合物件の増加原因その⑤:周辺環境が変わった効果的な空室対策のアイデア募集条件を見直す内見者への印象を良くして成約率を上げる設備を充実させるリフォームやリノベーションをおこなうサブリース契約を検討するまとめ

不動産投資をおこなううえで避けては通れないのが「空室リスク」です。安定した家賃収入を得るためにも、空室期間はできるだけ短くする必要があります。

そこで今回は、不動産投資の空室リスクについて、空室の原因とその対策方法を解説します。また効果的な空室対策のアイデアも紹介するので、ぜひ空室リスクで悩んでいる人は参考にしてください。


不動産投資における空室リスクとは

空室率 家の模型 赤い背景


「空室リスク」とは、運用中の収益物件が空室になり、家賃収入を得られなくなってしまう状態を指します。


不動産投資の主な収入源は、部屋などを第三者に貸し出して入居者から得る家賃です。そのため入居者がいない「空室」の期間が長くなると家賃収入を得られません。

不動産投資のローン返済や修繕費などの支出は家賃収入からおこないます。そのため空室で家賃収入が減ってしまうと手元の資金から持ち出すことになってしまいます。


持ち出す資金が尽きてしまうとローンの返済が滞り、最終的には物件が差し押さえられるおそれもあるため、空室が出た場合はできるだけ早く新たな入居者を探して空室を埋める必要があるのです。


賃貸経営をおこなううえで、もっとも効果的な空室対策は、購入する収益物件をしっかりと見極めることです。


不動産投資の成功の可否は、物件選定に大きく左右されます。

空室が出てもすぐに次の入居者が見つかる賃貸需要の高い収益物件を選ぶことが、最強の空室対策になるのです。


しかし、不動産投資をおこなううえで空室の発生を完全に防ぐことはむずかしいです。

そのため、想定できる範囲の空室対策をしっかりとおこない、リスクを最小に抑えることが重要なポイントになります。


物件選びの段階では、現地調査をおこない周辺環境を確認したり、ターゲットとなる入居者層を選定したり、賃料相場の確認をおこないます。

物件取得後は、周辺の競合物件との差別化をおこなったり、入居者ニーズの高い設備を導入したり、継続的なリスク対策をおこなっていくことで、長期にわたって安定した家賃収入を得ることにつながるのです。


空室率とは?

空室率とは、運用中の収益物件の部屋数に対して、空室の割合を示す数値です。賃貸物件である以上、空室率が0%になることはまずありませんが、できるだけ低い数字であることが望ましいです。


安定した賃貸経営をおこなううえで、理想的な空室率は5〜10%程度と言われています。

ただし、空室率は地域や賃貸物件の種類、構造、築年数によって異なります。

投資エリアが決まっている場合はその地域の空室率を確認し、あまりにも空室率が高い場合は別の地域の投資を検討するほうが無難な場合があることを覚えておきましょう。


空室率は自分で計算することも可能です。現況の空室率を求めることで、早急な空室リスク対策をおこなうことが可能です。

空室率は、以下の計算式で算出します。


【空室率の計算方法】

空室率(%) = 空室の戸数 ÷ 総戸数 × 100


たとえば、総戸数が10の一棟アパートで空室が4戸ある場合の空室率を求める先は以下のようになります。


4戸 ÷ 10戸 × 100 = 40%


この物件の空室率は40%となり、空室率は高いと判断できます。


なお空室率は、入居者と退去者によって変動します。空室率を確認するためには、定期的に空室率を計算し、リスクへの備えをしておくと安心です。


関連記事:不動産投資で理想の空室率は何%?計算方法や効果的な対策方法を紹介


不動産投資で空室になる主な3つの原因

空室 白い壁 フローリング

空室リスクが高くなる原因は多数ありますが、主な原因は大きくわけて3つあります。ここでは、空室になる主な原因を解説します。順にみていきましょう。


物件周辺の人口減少

空室が増える原因のひとつ目は、物件周辺の人口の減少にともなって賃貸需要が低下したことがあげられます。


日本の総人口は年々減少していますが、首都圏をはじめとした都市部の人口は増加しています。その一方で人口の減少が顕著なのが一部の地方都市及びその周辺です。


現在は賃貸需要が高いエリアであってもこのまま人口が減りつづければ、さらなる空室の増加につながると考えられます。


周辺に競合物件が増えた

空室が増える原因のふたつ目は、物件周辺に競合物件が増加したことがあげられます。

たとえば、周辺に新築の賃貸アパートやマンションが増えていたり、既存の賃貸物件がリノベーションなどによって人気が出ていたり、同等のスペックの競合物件が家賃を下げていたりするケースが考えられます。


すでに空室が増えている場合は、空室リスク対策が遅れてしまう可能性があるため注意が必要です。

遅れを取らないように、周辺の競合物件の動向などを定期的に確認しておくとよいでしょう。


空室対策を適切におこなっていない

空室になる原因の3つ目は、さまざまな理由で空室リスク対策が適切におこなわれておらず、その結果成約に至らないという理由があげられます。

空室対策をせずに放置していたり、原因とは関係のない部分に対策をほどこしたりしても空室の解消には結び付きません。


効果的な空室対策をおこなうためには空室の原因をピンポイントで捉え、原因に沿って空室対策をおこなう必要があります。

空室の原因別対策方法については、次の項で詳しく解説します。


空室リスクの対策方法

リスクヘッジ ハサミ腕 RISK


ここでは空室が発生した際、その原因と空室を改善するための対策方法について紹介します。


原因その1:建物外観の劣化を放置している・共有部が清潔でない

建物の外観やエントランスなどは、賃貸物件の顔となる部分です。たとえば建物の外壁のタイルが剥がれたままだったり、ヒビ割れが目立ったりする場合、内見者の印象が悪くなり、入居につながりにくくなってしまいます。

またエントランスや廊下、ゴミ置き場など共用部の清掃が不十分の場合も同様です。


建物は経年とともに劣化していくことは避けられませんが、こまめに修繕をおこなったり、清潔に保ったりすることで、物件の資産価値の維持につながります。

また築古であっても手入れが行き届いた清潔な状態の物件は内見者や既存の入居者に好印象を与え、新規入居者の獲得や既存入居者の退去防止に効果的です。


管理業務を不動産管理会社に業務委託している場合は、管理会社の担当者に相談してみましょう。清掃内容・頻度の見直しや建物の巡回回数を増やすなどで改善される可能性があります。

もし相談後も改善されない場合は、管理会社の変更を検討するとよいでしょう。


原因その2:家賃設定が相場よりも高い

家賃が周辺の相場よりも高い場合は入居が決まりにくく、空室になりやすいです。空室が長期間埋まらない場合は、一度周辺の競合物件の家賃や賃料相場を調べてみて、設定した家賃が相場に合っているか確認しましょう。


明らかに賃料設定が高額の場合、相場に見合った賃料にすることで入居付けが容易になるケースも少なくありません。


また敷金・礼金などにも相場があり、相場とあまりにもかけ離れていると検討物件の候補から外れやすいです。最近は敷金や礼金を無料にする「ゼロゼロ物件」も増えています。

築年数や設備が同程度など物件の条件が同等の場合、家賃が安い物件や敷金・礼金がかからない物件が選ばれやすくなります。


ただし、安易に家賃を引き下げてしまうと元の賃料に戻すのは非常にむずかしいです。そのためほかにも空室対策につながる箇所がある場合はそちらを先におこない、入居が決まれば家賃を下げる必要はありません。


家賃を引き下げるのは、賃料相場よりも明らかに高額な場合だけに留めましょう。


原因その3:入居募集の宣伝力や広告力が弱い

入居者募集を不動産管理会社に委託している場合、どのような募集活動をしているのか、 物件の問い合わせ件数や内見希望者数などを確認してみましょう。


近年の賃貸物件探しは、賃貸ポータルサイトなどを利用するのが主流です。そのためインターネットを利用した募集活動の有無は重要なポイントになります。

少なくとも大手賃貸ポータルサイト3社(SUUMO、アットホーム、LIFULL HOME'S)への掲載は必須です。


加えて不動産会社の自社ホームページへの掲載の有無、紙媒体の広告や店頭での営業活動の状況など、積極的に募集活動をおこなっているかどうか確認しましょう。


問い合わせ件数や内見申し込み件数が少ない場合は、賃貸ポータルサイトの検索結果から漏れている可能性があります。

その場合は掲載内容を見直してみましょう。物件情報に間違いはないか、画像の枚数は十分か、魅力的な画像が揃っているかなどを確認し、必要に応じて掲載内容の変更をおこないます。


また募集活動を積極的におこなっていないなど、不動産管理会社に問題があるケースも考えられます。その場合は不動産管理会社の変更を検討するとよいでしょう。


原因その4:競合物件の増加

所有物件自体に問題がなく、営業活動もおこなわれているにもかかわらず空室が埋まりにくくなった場合は、周辺に競合物件が増加したことで供給過多になっている可能性があります。


まずは周辺の競合物件の情報を集め、所有物件と比較してみましょう。

競合物件の情報を収集するには、賃貸ポータルサイトで立地(エリアと駅からの徒歩時間)、間取り、築年数、設備などの条件を設定し検索するとよいでしょう。

また近隣の不動産会社にヒアリングするのもおすすめです。


物件を比較した結果にあわせて、差別化を図りましょう。

たとえば入居者ニーズの高い設備を導入する、敷金や礼金などの無料化やフリーレント(一定期間の家賃を無料するサービス)を利用して入居にかかる初期費用を軽減させるなどの方法があります。


ここで大事なのは、入居ターゲット層のニーズに合わせた差別化をおこなうことです。ニーズとずれた設備を導入してしまうと、費用ばかりがかかって空室対策につながらない場合もあるため注意が必要です。


原因その⑤:周辺環境が変わった

周辺環境が変わったことで賃貸需要が低下し、空室が埋まりにくくなる場合もあります。

たとえば、周辺の大学や企業の移転や縮小などによって、これまでメインターゲットにしていた入居者層が減ってしまったなどのケースです。


賃貸経営の入居ターゲットをひとつだけに依存してしまうと、急に需要がなくなってしまうため注意が必要です。

収益物件を選ぶ際は、できるだけ広い範囲で入居を呼び込むことができる物件を選ぶことが肝心になります。


効果的な空室対策のアイデア

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メインの空室対策はおこなったが、今ひとつ解消につながらない……。ここでは、そんなときに効果を発揮する空室対策のアイデアを紹介します。


募集条件を見直す

賃貸物件は経年によって建物が老朽化し、それにともなって空室率が高くなるのが一般的です。なかなか入居者が決まらないときは募集条件を見直してみましょう。


◦ペット飼育可

◦楽器演奏可

◦外国人の入居

◦高齢者の入居

◦生活保護者の入居


上記のように募集条件を緩和することでターゲットとなる入居者層の範囲が広がり、入居付けにつながりやすくなります。また空室対策にかかる費用も少額で済みます。


ただし区分マンションの場合、マンション規約によってペットの飼育や楽器演奏などが禁止されている場合もあります。募集条件を見直す際は、禁止事項の有無などマンション規約をあらかじめ確認しておきましょう。


内見者への印象を良くして成約率を上げる

物件に興味を持ってくれている内見者の印象を良くすることで、成約率が上がる可能性が高まります。

内見者への印象を良くするためには、以下のような方法があります。


◦共用部や室内の清掃を徹底しておく

◦内見前に換気しておく

◦空調を使い快適な室温にしておく

◦内見用のスリッパを用意しておく

◦家具などを配置してモデルルーム化する


内見者に良い印象を持ってもらえるよう、まずはエントランスなどの共用部や内見する室内はきれいに掃除しておきましょう。室内クリーニングがされている場合でも、空室期間が長くなるとホコリやゴミが目立つようになります。

また空気がこもると臭気なども感じやすくなるため、しっかり換気しておきましょう。


スリッパを用意したり、あらかじめ室内の気温を調整したりしておくと、快適に内見してもらえます。

引越し後の暮らしをイメージできるよう、モデルルームとして室内に小物や家具を設置するのも効果的です。


さまざまな工夫を凝らすことで、内見者に「この物件に住みたい」と思ってもらえるようになるでしょう。


設備を充実させる

設備が充実している物件は、賃貸ポータルサイトの検索結果に表示されやすくなるため、それだけ内見の機会が増えます。内見の機会が増えれば成約率の上昇が期待できます。


たとえば古い設備を新しい設備と入れ替える際にグレードアップしたり、入居者ニーズの高い設備を新規導入したりします。

たとえば、既存のインターホンをテレビモニター付きインターホンに変更したり、エアコンを自動掃除機能付きのものに交換したりなどが考えられます。


また入居者ニーズの高い人気の設備を新たに導入するのも効果的です。おすすめの設備には以下のようなものがあります。


◦宅配ボックス

◦インターネット無料

◦温水洗浄便座


ただし設備の入れ替え、導入には費用がかかります。設備の入れ替え・導入をおこなう際は、かならず費用対効果を確認したうえで検討しましょう


リフォームやリノベーションをおこなう

築古物件の場合、リフォームやリノベーションをおこなうことで空室対策につながります。

たとえば、壁紙の一部をアクセントクロスに取り換えるなどの簡単なリフォーム工事や、和室を洋室にリノベーションするなど大掛かりな工事などが該当します。


ただし、リフォームやリノベーションには、高額な費用がかかるケースも多いです。リフォームやリノベーションを成功させるためには、ターゲット層を明確にしたうえで、費用対効果を考えながら実行する必要があります。


なお、できるだけ費用を抑えたい場合は複数の業者に見積もりを依頼して、料金と工事内容をよく比較検討しましょう。加えて、DIYが可能な部分は自力で対応するなどの工夫もコストカットにつながります。


サブリース契約を検討する

サブリースとは、不動産管理会社(サブリース会社)がオーナーから物件を一括して借り上げて第三者に転貸する、賃貸借契約方法のひとつです。


サブリースのメリットは、入居者の有無に関係なく毎月一定の賃料を受け取れることです。そのため物件オーナーは空室リスクを負わなくて済むため空室対策につながります。


ただしサブリースの管理委託手数料は賃料の10%~20%程度と高く、その分オーナーに支払われる賃料が少なくなるのが一般的です。

また賃料は定期的に見直しされ、その度に賃料を下げられることも少なくありません。


サブリース契約を検討する際は、賃料の見直しがどのくらいの頻度でおこなわれるのか、解約条件などを契約する前にしっかりと確認し、納得したうえで契約を結ぶことをおすすめします。



関連記事:不動産投資の空室保証メリットや注意点を解説!サブリースの違いは?


まとめ

不動産投資とは切っても切り離せないのが「空室リスク」です。

空室リスク対策としてもっとも効果的な方法は、空室になっても次の入居者がすぐに見つかるような賃貸需要の高い物件を選ぶことです。


しかし、どんなに賃貸需要の高い物件を選んだとしても、賃貸物件である以上、かならず空室期間は生まれます。物件の運用中の空室対策方法は、まず原因を把握したうえで適切な対策をおこなうことが重要なポイントになります。


家賃がおもな収入源となる不動産投資では。空室期間が長くなればなるほど賃貸経営が困難になるため、できるだけ早く空室を埋める必要があります。

ぜひ当記事を参考に、空室リスク対策をおこなってください。

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