不動産投資で理想の空室率は何%?計算方法や効果的な対策方法を紹介
2024/08/16

不動産投資で理想の空室率は何%?計算方法や効果的な対策方法を紹介

不動産投資における空室率とは不動産投資における理想の空室率は?空室率の計算方法不動産投資における全国の平均空室率不動産投資で空室率が高くなる原因人口が減っている建物や設備の状態が悪い周辺に競合物件が増えた家賃が相場よりも高い仲介会社へのアピール不足不動産投資で空室率を下げる方法既存の入居者の満足度を上げるAD(広告料)を利用する入居時の初期費用を見直す管理会社に相談する新しい設備の導入するまとめ

不動産投資をおこなううえで、空室率を無視することはできません。空室率が高いということは、それだけ家賃収入の減少を表します。

空室率によっては、賃貸経営が破たんしてしまうおそれもあるため、できるだけ早く空室対策をおこなう必要があるのです。


しかし、安定した不動産投資をおこなう場合、空室率はどのくらいに抑えるのが望ましいのでしょうか?


そこで今回は、不動産投資における空室率について、安全な空室率の目安や空室率が上昇する原因について解説します。

また空室率を下げるための対策方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。


不動産投資における空室率とは

アパートの模型 空室 困っている男性


空室率とは、収益物件の部屋数に対して入居者がいない部屋(空室)が占める割合を指します。「空室率が高い=空室が多い」ことを表し、空室率が低い物件は稼働率が高いことを示しています。


不動産投資の主な収入源は入居者が毎月支払う家賃です。したがって空室が増えると家賃収入が減ってしまい、不動産投資ローンの返済などに悪影響を及ぼしかねません。

そのため安定した不動産投資をおこなうにあたって、低い空室率を維持することは非常に重要となります。


不動産投資における理想の空室率は?

安定した不動産投資をおこなううえで、空室率はできるだけ低くする必要がありますが、ではどの程度の空室率であれば安心できるのでしょうか。


安定した収益性を上げるためには、空室率を5〜10%程度に抑えるのが理想と言われています。

空室率が20%~30%になると賃貸経営はやや苦しくなり、50%以上ではローンの返済が可能かどうかという、かなりきびしい状況であると考えられます。


ただし、空室率はエリアや賃貸物件の構造によって異なります。

投資したい地域が決まっている場合は、そのエリアの空室率を詳しく調査することをおすすめします。


空室率の計算方法

空室率は以下の計算方法で求めます。


空室率 =(空室数 × 空室期間)÷(全体の室数 × 365日)


たとえば、全10室の一棟アパートのうち、空室が2室あり、それぞれ120日が空室だった場合の空室率は、次のように計算します。


(空室2室 × 空室期間120日)÷(全戸数10室 × 365日)× 100 = 空室率 約6.5%


この場合の空室率は約6.5%という結果です。

上記の理想の空室率の範囲内となり、ある程度安定した賃貸経営がおこなえていると判断できそうです。


なお、空室率を計算する際は年単位で計算しましょう。

現時点の空室率を判断基準にすることもありますが、その場合、どのタイミングで計算するかによって空室率に差が出てしまいます。


また、間取りごとに家賃が異なる物件の空室率を計算する際は、賃料を反映した「賃料空室率」を計算するとよいでしょう。


賃料空室率=(年間家賃収入(満室時)-年間家賃収入)÷年間家賃収入(満室時)×100


たとえば、家賃10万円と家賃8万円の区分マンション2室を所有していた場合、家賃10万円の部屋が2ヶ月空室で、家賃8万円の部屋が3ヶ月家空室だった場合の賃料空室率は、次のように計算します。


(年間家賃収入(満室時)216万円-年間家賃収入172万円)÷年間家賃収入(満室時)216万円×100=賃料空室率 約20%


この場合の賃料空室率は約20%となります。

空室率が20%を超えると賃貸経営がやや苦しくなるため、しかるべき空室対策をおこない、空室率を下げる必要があると考えられます。


不動産投資における全国の平均空室率

空室 空っぽのクローゼット 白いフローリング


昨今の不動産投資市場の空室率は以下のようになっています。


◦区分 単身者向け:2.33%(前年比マイナス0.06ポイント)

◦区分 ファミリー向け:1.27%(前年比マイナス0.78ポイント)

◦一棟 木造:2.49%(前年比マイナス0.13ポイント)

◦一棟 非木造:2.74%(前年比マイナス0.21ポイント)


参考:IREM JAPAN・公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会・株式会社LIFULL『第11回(2023年分) 全国賃貸住宅実態調査 報告書


前年の同調査結果と比較すると、調査対象物件すべての空室率が減少していることがわかります。


ただし、空室率は都道府県や市区町村などのエリアによって大きく異なります。また物件種別によっても空室率は変動します。

一般的に空室率は都心部のほうが低い傾向が強いです。


また、昨今問題になっている空き家も、今後の不動産投資に影響を及ぼす可能性も考えられます。

総務省統計局発表の『令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

によると全国の空き家900万戸あり、空き家率は13.8%と過去最高となっています。


投資したい地域が決まっている場合は、そのエリアの空室率や空き家率、人口動態などを詳しく調査することをおすすめします。


なお空室率は、算出方法によって異なる可能性もあるため、複数の統計結果を比較すると安心です。


不動産投資で空室率が高くなる原因

考えるスーツ姿の女性 注意マーク


不動産投資をおこなううえで空室リスクは避けて通ることができません。そのため、できるだけ空室率をさげるために、空室対策をおこなう必要があります。


しかし効果的な空室対策をおこなうためには、空室率が高くなる原因に沿った対策が必須です。

ここでは空室率が高くなる主な原因について解説します。


人口が減っている

日本の総人口は年々減少傾向にあります。

総務省統計局発表の『人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)結果の要約』によると、総人口は1億2435万2千人で、前年に比べ59万5千人の減少となり、13年連続で減少しているとのことで、以降も減少傾向にあると予想されています。


人口が減ることで、住居を必要とする人も少なくなります。その結果として賃貸需要が低下し、空室率が高くなるのです。


不動産投資の成功において、物件の立地は非常に重要な要素です。

特に人口の流出が著しい地方で不動産投資をおこなう場合は注意が必要です。


建物や設備の状態が悪い

建物や設備のメンテナンスや清掃が不十分な物件は、既存入居者からの印象が悪くなってしまうため、退去につながりやすくなります。また入居希望の内見者に敬遠されやすいため、空室率が上昇する原因になります。


特に室内が閉め切られた状態のまま空室がつづくと、空気がこもったり、排水溝から汚臭が上がってきたり、ほこりや虫の死骸がたまったりすることもあります。


入居者の満足度の上昇や、内見者に魅力的な物件だと思ってもらえるよう、定期清掃やメンテナンスは欠かさずおこないましょう。


また空室は、定期的に空気の入れ替えや簡単な清掃をおこなっておくと、いつ内見者が来ても安心です。


物件の管理を不動産管理会社に業務委託している場合は、信頼できる管理会社を選ぶことで空室率を下げることにつながります。


周辺に競合物件が増えた

所有物件の周辺に競合物件が増えたことが原因で空室率が上がる場合もあります。

たとえば、新築物件が増えていたり、築古の競合物件がリフォームやリノベーションをおこなったり、最新設備を導入した場合、そちらに入居希望者が流れた可能性があります。


定期的に物件周辺を見回り、賃貸物件の建築がされていないか、競合物件の入居状況などを確認しておくとよいでしょう。


家賃が相場よりも高い

設定した家賃が周辺の相場よりも高い場合、入居者が見つからず空室期間が長くなるケースがあります。


家賃が高い方が、より多くの収益が期待できますが、相場を大幅に超えた家賃設定は却って入居希望者を遠ざけます。


特に築年数の経過した物件は、外観が古びていたり、和室の間取りだったりすると入居付けがむずかしいため家賃を下げて募集するのが一般的です。それにも関わらず、家賃が周辺の築浅物件と同程度では、入居を希望する人は少ないでしょう。


まずは周辺の家賃相場を把握し、適切な家賃で募集をすることで、空室率を抑えることにつながります。


仲介会社へのアピール不足

入居者を募集する際は、管理会社や仲介会社に依頼するケースがほとんどです。

仲介会社は、取り扱っている物件の中から入居希望者のニーズに合った物件を優先的に紹介します。


しかし物件情報や画像が不十分な場合、どのような物件なのかわからないため、仲介会社として紹介しにくいといったケースもあります。


まずは物件情報を見直し、わかりにくい部分を修正したり、アピールポイントを追加したり、抜けや間違いがないか確認しましょう。画像はできるだけ多いほうが良いので、外観・内観だけでなく、駐輪場やゴミ置き場などの画像も添付しておきましょう。


更に、新しい物件情報を仲介会社に持参し、担当者に直接アピールすることで、担当者の物件への理解を深めることで、入居希望者に物件を紹介してもらえる機会が増え、結果的に空室率の低下が期待できるのです。


不動産投資で空室率を下げる方法

青い下向き矢印 文房具 キーボード


ここでは、不動産投資で空室率を下げる代表的な方法を紹介します。

ただし、空室対策を効果的におこなうためには、空室になっている原因に合わせる必要があります。


関連記事:効果的な空室対策!家賃を下げる前に検討したい 7つの対策方法


既存の入居者の満足度を上げる

空室対策と聞くと、空室を埋める方法を考えがちですが、「既存の入居者を退去させない」のも立派な空室対策方法のひとつです。

既存の入居者の退去を防ぐためには、入居者の満足度を上げ、「住みつづけたい」と思われるような物件にする必要があります。


入居者の満足度を上げるためには、「気持ちよく安心して生活できる環境」の提供を心がけましょう。

まず日常を気持ちよく暮らすために、エントランスや廊下、駐輪場、ゴミ置き場など、共用部を清潔に保つことがあげられます。


また設備の故障や排水溝の詰まりなどのクレームには、できる限り迅速に対応することで、入居者の信頼度と満足度が高まります。


アパートやマンションの場合、騒音やマナー違反など、入居者同士のトラブルが発生する場合もあります。その場合は入居者の話をよく聞き、真摯な対応を心がけましょう。


ただし入居者同士のトラブル対応は、ときに解決に至るまでがむずかしいケースも多いです。

うまく解決できない場合は双方の入居者が退去してしまうおそれもあるため、できればトラブル対応のノウハウの豊富な管理会社に任せることをおすすめします。


AD(広告料)を利用する

入居募集を仲介会社に依頼している場合は、物件に「AD(広告料)」を付加することで物件の露出を増やすことができます。


AD(広告料)とは、成約時に物件オーナーが仲介業者に支払う謝礼の一種で、仲介手数料とは別に支払われます。


AD(広告料)付きの物件を成約させることができれば、仲介会社にAD(広告料)がし支払われるため、ほかの物件よりも積極的に入居希望者に紹介してもらえる機会が増え、その結果、空室率の低下に効果が期待できるのです。


なお、AD(広告料)の目安は家賃の1ヶ月~2ヶ月分程度です。

ただし、空室が長期化していて、どうしても入居者を見つけたいなど特別な場合は家賃の3ヶ月分をAD(広告料)とすることもあるようです。


入居時の初期費用を見直す

入居者が賃貸物件に入居する際に支払う敷金や礼金といった初期費用を安くすることで、空室率の低下に効果が期待できます。


一般的に入居時に支払う敷金や礼金は、それぞれ家賃の1ヶ月~2ヶ月程度が相場です。もし、これら初期費用の設定が相場よりも高い場合は、相場と同等にしたり、相場より少し下げたりすると入居につながりやすくなるでしょう。


また最近では、敷金や礼金を0円にした「ゼロゼロ物件」や、一定期間家賃が無料になる「フリーレント物件」なども増えています。

いずれも入居時の初期費用を大幅にカットできるため入居希望者の目に留まりやすく、入居につながる機会も増えるでしょう。


ただし、礼金の無料化やフリーレントを利用すれば、それだけ収益が減ってしまいます。

また敷金をなしにしてしまうと、退去時の原状回復費用の入居者負担分を別途請求することになるため、未払いなどのトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。


初期費用を軽減する際は、今後の不動産投資の収支に影響しないかなどをしっかりと確認したうえで、無理のない範囲で実行しましょう。


関連記事:フリーレントとは?空室対策に効果的な使い方や利用時の注意点を解説


管理会社に相談する

不動産投資をおこなうにあたって、賃貸物件の管理を不動産管理会社に業務委託している大家さんも多いでしょう。その場合は空室対策について、管理感謝の担当者に相談しましょう。


管理会社は、単に物件の管理をおこなうだけでなく、賃貸ニーズのトレンドなど、空室対策に役立つさまざまな情報を持っています。

こういった有益な情報を教えてもらうためにも、日頃から管理会社の担当者とは良好な関係を築いておくとよいでしょう。


関連記事:不動産投資を成功させる不動産管理会社の選び方!管理業務内容を解説


新しい設備の導入する

新しい設備を導入することで、入居付けにつながる場合があります。


最近の賃貸物件探しのトレンドは、賃貸ポータルサイトで入居条件を設定し物件を検索し、表示された検索結果の中から気に入った物件を内見するという流れです。

そのため設備を追加することで検索結果に表示されるようになるため、内見の機会も増える可能性が高まります。


導入する設備は、賃貸ポータルサイトの検索条件に含まれているもので、かつ入居者ニーズの高いものを選びましょう。


おすすめは、無料インターネット・Wi-Fiや宅配ボックス、TVモニター付きインターホンなどです。


また古くなった設備を最新のものに交換することで、内見者の印象が良くなります。


ただし、設備の導入は費用がかかるため、費用対効果を考慮したうえで、導入を検討しましょう。


まとめ

安定した不動産投資をおこなうためには、空室率を5%~10%程度にとどめておくと安心です。空室率が高くなればなるほど、月々のローン返済が困難になったり、赤字になったり、場合によっては賃貸経営が破たんするおそれもあるため注意が必要です。


空室率を下げる方法はいくつかあります。

空室を埋めるための募集活動はもちろんですが、既存の入居者の満足度を上げて退去を防ぐことも空室率の低下に必要なことです。


空室になるにはかならず原因があります。その原因を見きわめたうえで、適切な空室対策をおこなうことが大事です。

ぜひ当記事を参考に空室対策をおこない、空室率を抑えてください。

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