不動産投資で融資を申し込む際の流れを解説!審査落ちの対策法の紹介
不動産投資の最大のメリットは、金融機関から融資を受けて始められることです。
しかし融資を受けるためには、融資審査に通過する必要があります。
融資審査を受けるためには、必要な書類を用意したり、面談を受けたり時間も手間もかかります。もし、融資審査に落ちた場合は諦めなければならないのでしょうか?
そこで今回は、不動産投資の融資審査の流れを解説しながら、融資を受けるメリットや審査に必要な書類について紹介します。
また融資審査に落ちた場合の対策方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資で融資を受けるメリット
不動産投資をおこなう人の多くが収益物件を購入する際は、金融機関の不動産投資ローンを利用します。不動産投資で融資を受けるメリットは、主に以下のようなものがあります。
◦少ない自己資金で不動産投資を始められる
◦レバレッジを効かせた投資がおこなえる
◦家賃収入でローンを返済できる
◦家族に資産を残せる
それぞれのメリットについて解説します。
少ない自己資金で不動産投資を始められる
収益物件は高額なため、全額を自己資産でまかなうのは非常にむずかしいです。
しかし、不動産投資ローンを利用することで少ない自己資金でもすぐに不動産投資を始めることが可能です。
なお不動産投資ローンの融資の限度額は、年収の7倍~10倍程度が目安と言われています。
ただし、融資額が大きくなると総返済額も高額になるため、返済リスクが高まります。融資を受ける際は返済趣味レーションをしっかりとおこなったうえで、無理のないローン返済を心がけましょう。
レバレッジを効かせた投資がおこなえる
融資を受けることでレバレッジを効かせた投資がおこなえます。
レバレッジは「テコの原理」のことで、小さな力で大きなものを動かす仕組みのことです。
不動産投資では、融資を受けることで自己資金だけでは購入できない高額物件を購入・運用できます。その結果、自己資金のみの場合を上回る大きな収益を効率よく得ることができるのがメリットです。
家賃収入でローンを返済できる
不動産投資ローンの月々の返済は家賃収入からおこなうのが一般的です。
そのため、給与などはそのまま生活費や貯蓄に充てられるため、日常生活に影響を与えません。
ただし空室期間が長引くなど家賃収入が減少してしまうと、ローン返済が困難になるため注意が必要です。
安定した不動産投資をおこなう際は、利回りや収益性を確認したうえで、賃貸需要が高く、資産価値の落ちにくい物件を選ぶことが重要です。
関連記事:不動産投資ローンと住宅ローンの融資を受ける順番は?違いも解説
家族に資産を残せる
不動産投資ローンを利用するにあたって、「団体信用生命保険(団信)」に加入することができます。金融機関によっては、団信加入が融資の条件となっているケースも多いです。
団信とは、ローン契約者が病気や事故で亡くなった場合にローンが完済される保険商品です。
残された家族は無借金となった収益物件を引き継ぎ、そのまま賃貸経営を継続して家賃を得ることができます。また物件を売却してまとまった現金をえることも可能です。
このように、万が一の場合に家族に資産を残すことで生活費の支えになるのです。
団信は、がん特約などを付加することもできるため、生命保険代わりに不動産投資をおこなう人もいます。
ただし健康状態によっては、団信に加入できなかったり、保険料が割高になったりする場合もあるため注意しましょう。
関連記事:不動産投資のがん団信の仕組みを解説!メリット・デメリット・注意点
不動産投資で融資を受けるまでの流れを紹介
ここでは不動産投資で融資の準備から融資の実行までの流れを解説します。
STEP1:融資申込の準備
購入したい収益物件が決まったら、不動産投資の融資を申し込む準備をおこないます。
◦融資を申し込む金融機関を決める
◦融資申し込みに必要な書類を用意する
金融機関を決める
不動産投資の融資をおこなう金融機関は多く、都市銀行をはじめ、地方銀行や信用金庫などのほか、融資業務のみをおこなうノンバンクなど幅広いです。
金融機関は自分で探すこともできますが、物件を購入する不動産会社が提携している金融機関を紹介してくれる場合もあります。一度確認してみましょう。
融資に必要な書類
金融機関で融資を受けるためには融資審査に通過する必要があります。そのため融資申し込みの際には、審査に必要な書類を持参しましょう。
融資審査は、まず事前審査がおこなわれ、その後に本審査がおこなわれます。
審査に必要な書類の中には、手元に届くまで時間がかかる書類もあるので、早めに準備をはじめるとよいでしょう。
なお、金融機関によって必要な書類が異なることもあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
融資審査に必要な主な書類には次のようなものがあります。
◦本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
◦直近3年分の源泉徴収票・確定申告書類
◦職務経歴書
◦所有している金融資産に関する資料(預金通帳など)
◦所有している不動産に関する資料(物件概要書、収益物件の場合はレントロールなど)
◦借入金の返済予定表(住宅ローン、マイカーローンなど)
◦購入希望物件の資料(物件概要書、登記簿謄本、レントロール、公図、住宅地図など)
◦事業計画書(購入希望物件の収支計画などがわかる資料)
◦プロフィールシート
◦購入希望物件の資料(レントロールや公図、建築確認済証など)
また本審査時には、次の書類も必要になります。
◦住民票の写し(申込時3ヶ月以内のもの)
◦実印の印鑑証明書(借入日3ヶ月以内のもの)
◦直近3年分の住民税課税証明書
◦直近3年分の納税証明書
◦売買契約書・重要事項説明書
◦購入希望物件の資料(建築確認済証、間取り図、平面図など)
◦工事請負契約書または見積書
◦検査済証
◦実印(現物)
◦返済用口座通帳と銀行印(現物)
関連記事:不動産投資ローンの融資審査にはプロフィールシートで自己PRを!
STEP2:融資審査を申し込む
必要な書類が揃ったら、電話や金融機関のホームページ上のフォームなどから融資相談(面談)のアポイントを取ります。
まず「事前審査(仮審査とも)」がおこなわれ、通過した場合のみ「本審査」を受けられます。
STEP3:金融機関の担当者と面談をおこなう
融資審査に必要な書類や資料を持参して金融機関を訪問し、担当者と面談をおこないます。
面談の内容は申込者の返済能力や物件の収益性が中心となるので、あらかじめ質問内容を想定しておき、明確に返答できるよう準備しておきましょう。
融資の面談で、よく聞かれる質問には以下のようなものがあります。
◦仕事内容や職歴
◦不動産投資をおこなう目的や目標
◦ほかの投資実績の有無
◦この金融機関を選んだわけ
◦リスク対策の方法
STEP4:事前審査を受ける
担当者との面談終了後、金融機関によって融資の事前審査がおこなわれます。
申し込み者の返済能力、事業性、融資対象物件の資産価値など、「貸したお金をきちんと返してもらえるかどうか」が審査されます。
審査期間は金融機関によって異なりますが、1~2週間程度が目安です。
事前審査に通過すると融資契約の手続きに移ります。
STEP5:売買契約を結ぶ・本審査を受ける
事前審査で融資可能と判断されたら、不動産売買契約の手続きをおこないます。
その際は、金利をはじめ融資額や融資期間などの融資条件の説明がされるので、布目店があればかならず確認しましょう。
その後、重要説明事項の説明を経て、問題がなければ手付金を支払ったのちに売買契約を締結します。
なお、この時点ではまだ融資は確定していません。
あらためて融資の本審査に申し込む必要があります。本審査の結果が出るまでの期間は、約1週間~1ヶ月程度かかります。
ただし、事前審査に通過していても本審査を通るとはかぎりません。
本審査に落ちてしまうと融資を受けることはできないため、万が一に備えて、売買契約を結ぶ際は、売買契約の中に「融資特約」を付けることをおすすめします。
融資特約とは、融資を受けられなかった場合にかぎり、買主が売買契約を白紙解除でき、手付金が返還される特約です。
もし融資特約を付加していないと、融資審査に落ちてしまって融資を受けられなくても手付金は売主から返還されません。
そうならないためにも、融資特約が契約書に盛り込まれているか、かならず確認しておきましょう。
STEP6:融資の実行・物件の引き渡し
無事、本審査に通過したら、不動産投資ローンの「金銭消費賃貸契約」を締結し、融資実行を受けます。
その後、物件の引き渡しがおこなわれ、融資完了となります。
なお、このタイミングで所有権移転登記や抵当権設定登記をおこなうのが一般的です。
金融機関が融資審査で重視する評価ポイントは?
金融機関の不動産投資ローンを利用する際は融資審査に通過する必要があります。その際、金融機関は融資の有無の判断をおこなう際、どのような点を重視しているのでしょうか。
金融機関は融資審査内容の詳細は公表していませんが、一般的には以下のポイントを総合的に評価したうえで判断していると言われています。
◦個人属性
◦投資対象物件の収益性
◦投資対象物件の担保価値
それぞれについて解説します。
個人属性
融資の際に金融機関がもっとも重視するのが「貸したお金がきちんと返済されるかどうか」です。そのため融資申込者の返済能力の有無について慎重に判断されます。
その際に評価対象となるのが「個人属性」です。
融資審査で評価される主な個人属性には、次のような項目があります。
勤務情報
勤務先や会社の規模、雇用形態、勤続年数、役職などから、安定した収入が期待できるかどうか判断されます。
そのため上場企業や公務員など、安定した職場に勤務している場合は、融資審査に有利にはたらくことが多いです。
年収
直近3年分の年収額を見て、安定した収入が得られているかどうかが判断されます。
基本的に高収入のほうが高く評価されます。
ただし年収が多くても、歩合制などで月々の給与などにばらつきがある場合は「安定した収入」とはみなされない場合があるため注意が必要です。
資産状況
預貯金や株などの金融資産や不動産など、資産状況も評価ポイントのひとつです。
基本的に不動産投資のローン返済は家賃収入からおこないます。しかし、なんらかの原因で想定した家賃収入が減少した場合、給与や自己資金から持ち出しが必要になるケースもすくなくありません。
そのため、万が一の持ち出しに耐えられる資産の有無が融資審査時に問われます。
借入れ状況
金融機関によっては、貸付上限額を設定している場合があります。そのため、借入れ残高によっては年収が高くても審査に通らないケースもあるため注意が必要です。
貸出し上限額の設定は金融機関によって異なりますが、年収の10倍~20倍程度が目安です。
住宅ローンやマイカーローンなどを利用していて、ローン残債が多い場合は、融資審査に不利になります。
また過去の返済状況なども評価ポイントのひとつです。延滞履歴や督促履歴がある場合も融資審査に不利になるため注意が必要です。
投資対象物件の収益性
融資を受けて購入予定物件の収益性の有無が評価されます。
先に述べたように、不動産投資ローンの返済は家賃収入からおこないます。そのため、月々のローン返済がしっかりとおこなえる家賃が得られるかどうかは、金融機関にとっての重要なポイントです。
個人属性に問題がなくても物件の収益力が低いと判断されてしまうと、返済が滞るおそれがあるとして融資審査が通らない場合があります。
物件の収益性を計るでは、次の点がチェックされます。
◦立地
◦構造
◦築年数
◦間取り
◦価格
特に収益物件の立地は賃貸需要に大きく関わります。人気エリアの駅から徒歩10分圏内などの「好立地」であれば集客力が高く、収益性にすぐれていると判断されやすいです。
投資対象物件の担保価値
投資対象となる収益物件の担保価値も、融資審査の際の評価対象となります。
ローンの返済が不可能と判断された場合、残りのローンを回収するため、金融機関はその物件を売却することになります。
そのため担保価値の高い物件は、高額で売却できると判断され、融資審査時に有利にはたらきます。
一方、担保評価が低い物件は、希望通りの融資が得られなかったり、金利を高く設定されたり、融資条件が不利になるケースもあるため注意しましょう。
不動産投資の融資審査に落ちてしまったときの対策方法
前述したように不動産投資の融資審査は、個人属性・物件の収益性・物件の担保価値によって融資の可否が判断されます。
そのため、いずれかの評価が低い場合、融資を受けられないケースもあるのです。
しかし、融資をおこなっている金融機関は無数にあり、同じ金融機関でも支店によって融資の判断基準が異なる場合もあるため、あきらめずに融資の申し込みをおこなうことが大切です。
ただし、あまりにも何度も融資を断られる場合は、融資審査を有利にする工夫が必要かもしれません。
ここでは、融資審査を有利にするための対策方法を紹介します。
自己資金(頭金)を増やす
融資対象物件の収益性や担保性に問題がない場合でも、年収が低い、収入が安定していないなど属性が低いとみなされる場合、返済能力に不安があるとされて融資審査に通過できないケースもあります。
その場合は自己資金(頭金)を増やしてみましょう。自己資金を多くいれることで借入額が減り、返済リスクが低下するため融資審査に通りやすくなる可能性は高くなるのです。
ただし自己資金を増やす際は、ほかの金融機関などからの借入は避けましょう。手元のお金が増えても返済時の金利などがかかるため、不動産投資ローンの返済と同時進行で返済するのは非常に危険です。
購入予定の収益物件を見直す
個人属性に問題がない場合は、購入予定の収益物件の収益性や担保価値に問題があるかもしれません。
前述したように、金融機関は融資審査の際に物件の収益性や担保価値を重視します。
そのため、収益性・担保価値のどちらか、または両方の評価が悪いと、十分な収益が得られない、万が一の際に売却しても貸付金を回収できないなどの懸念から、融資審査の通過がむずかしくなるのです。
この場合は、収益性が高く、担保価値の高いに別の収益物件を探しましょう。
個人属性が良好なら、融資対象の収益物件を変えることで融資審査に通過できる可能性は十分に考えられます。
関連記事:不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人
まとめ
不動産投資で融資を受ける際の流れを紹介しました。
融資審査の際には、さまざまな書類や資料が必要となります。また、融資審査は「事前審査」と「本審査」の2段階でおこなわれます。
事前審査に通過した場合でも、本審査で落ちてしまうケースもあるため、「融資特約」が売買契約書に盛り込まれているか、かならず確認しましょう。
もし融資審査に落ちた場合でも、金融機関はたくさんあります。あきらめずに融資を申し込むとよいでしょう。
ただし、融資審査に通過するためには、自己資金(頭金)を多く入れたり、別の収益物件を選びなおしたりといった対策が必要になる場合もあります。
なかなか融資審査が通らない……というときは、ぜひ検討してみてください。