不動産投資ローンの融資審査にはプロフィールシートで自己PRを!
不動産投資の最大のメリットは、不動産投資ローンを利用して収益物件を購入できる点にあります。しかし不動産投資ローンを利用するためには、金融機関の融資審査を通過しなくてはなりません。
金融機関の融資を受ける際には、さまざまな種類の書類の提出を求められます。
「プロフィールシート」もそのひとつであり、自身の信用度や返済能力をアピールするために欠かせない重要な書類であり、上手に活用することで融資審査に有利に働く可能性もあるのです。
今回は、不動産投資の融資審査に欠かせないプロフィールシートについて、必要な記載事項、プロフィールシートと一緒に金融機関に提出する書類や資料を紹介します。
また「事業計画書」の作成についても解説しているので、これから不動産投資を始める際の参考にしてください。
不動産投資の融資審査に必要なプロフィールシートとは?
プロフィールシートとは、金融機関が不動産投資ローン申込者に関する属性などの情報が記載された書類をいいます。
金融機関は、提出されたプロフィールシートの記載内容を基に融資審査をおこない、融資の可否などを判断します。
なおプロフィールシートはローン申込者個人で作成するか、または不動産投資会社が作成するのが一般的です。
またプロフィールシートは、金融機関によって書式に違いはありますが、基本的な記載事項はほぼ共通です。
書式が自由な場合はA4用紙1~2枚でおさまるように情報をまとめて記載しましょう。
各金融機関に所定の用紙が用意されている場合もあります。その場合、金融機関の窓口で直接もらってくるほか、郵送で送ってもらうことも可能です。また金融機関の公式サイトからダウンロードすることもできます。
プロフィールシートに記載が必要な内容は、おもに以下のようになります。
◦氏名・生年月日・年齢・住所
◦職業・勤務先・雇用形態・勤続年数・年収
◦保有資産
◦他社からの借入状況 など
記載内容の詳細については、後述する『不動産投資の融資審査に使うプロフィールシートの記載内容の詳細』の項で解説します。
不動産投資の融資審査においてプロフィールシートが必要な理由
不動産投資においては、できるかぎり自分にとって有利な条件で融資を受ける必要があります。しかし取引履歴のない金融機関は、そう簡単に金を貸してくれません。
そのため金融機関に「自分は何者か?」を示し、アピールしなければなりません。そのアピールに欠かせないのがプロフィールシートになります。
金融機関は、貸したお金を返してくれる人にしか融資をしてくれません。
そこでプロフィールシートに月々安定した収入があることや信用力、返済能力があること、購入予定の収益物件について投資計画の実行可能性を記載し、自分が融資を受けるにふさわしいことをアピールすることで、より有利な条件で融資を受けられる可能性を高めるのです。
不動産投資の融資審査に使うプロフィールシートの記載内容の詳細
前述したように不動産投資で融資を受ける際は、金融機関にプロフィールシートの提出が必要です。ここでは一般的なプロフィールシートの記載内容を紹介します。
参考記事:不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人
基本的な個人情報
まず、ローン申込者の基本情報の記載が必要です。金融機関は、下記の基本情報を基に融資申し込み者の信用度や返済能力を調査・評価するため、間違いのないよう記載しましょう。
◦氏名
◦性別
◦生年月日・年齢
◦住所
◦電話番号
◦メールアドレス
◦居宅の種類(賃貸または持ち家)
家族に関する情報
配偶者の有無や扶養家族の数などを確認するために必要です。
家族に収入がある場合はローンの支払い能力の評価に関わるため、できるだけ詳しく記載しましょう。
◦家族の氏名
◦申込者から見た続柄
◦同居の有無
◦生年月日・年齢
◦勤務先(学校名)
◦年収
勤務先の情報
勤務先の情報として記載するのは、以下の項目です。
◦勤務先名・住所・業種・職種・部署・役職名・雇用形態(正社員、契約社員など)
◦勤続年数
有名企業や上場記号、公務員は信用度が高く、融資審査時の評価に有利にはたらきます。上場企業の場合は、上場先も忘れずに記載しましょう。
自営業の場合は、事業内容や設立年数を記載します。
直近3年分の年収
安定した収入の有無は、融資申込者の返済能力を評価するうえで非常に重要です。
勤務先で支払われる給与年収だけでなく、不動産収入やその他の副業の収入がある場合は、すべての収入を合算した年収の総額を直近3年分の記載をします。
その際、収入の証明として、源泉徴収票や確定申告書類なども合わせて金融機関に提出する必要があるので、提出書類に記載された正確な金額を記入しましょう。
なお会社員の場合、源泉徴収票の「支払金額」に記載された金額が「年収」にあたります。
不動産投資やその他の副業の「年収」は、年間の売上額から経費を差し引いた金額を指すのが一般的です。
参考記事:不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人
保有資産の情報
保有している金融資産や不動産がある場合は、それぞれの資産の詳細を記載しましょう。
不動産については物件の詳細情報・資料は別途用意するため、基本情報のみを記載します。
【金融資産】
◦預貯金・現金
◦外貨預金
◦株式
◦投資信託
◦債券
◦貯蓄型生命保険
◦確定拠出年金
◦退職金予定額・年金 など
【不動産】
◦物件の種類(住宅・商業施設など)
◦物件住所
◦構造・築年数
◦土地面積・延床面積
◦購入日
◦取得価格
◦現在の推定市場価格
◦賃貸状況(賃貸物件の収益や契約内容)
◦抵当権の有無・ローン残債
金利や金額などの融資条件は、融資申込者の年収だけでなく保有資産の累計評価額によっても変わります。よりよい条件で融資を受けるためにも、保有している資産を漏れなく記載しましょう。
プロフィールシート以外で不動産投資の融資審査に必要な書類
金融機関に不動産投資ローンの申し込みをおこなう際は、プロフィールシートに記載した内容を証明できる各種証明書や書類が必要です。
提出が必要な書類が手元にない場合もあるので、あらかじめどのような証明書や書類が必要なのか確認し、余裕をもって揃えておきましょう。
不動産投資で融資を受ける際に必要となる書類には以下のようなものがあります。
本人確認書類
融資の申込者本人かどうか確認するために必要です。
本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの公的身分証明書のコピーを提出します。
また住民票の写し(申込時3ヶ月以内のもの)や契約時に使用する実印の印鑑証明書(借入日3ヶ月以内のもの)も必要です。印鑑登録証明書を発行するには実印の登録が必要になるため、あらかじめ実印を用意しておきましょう。
職務経歴書・源泉徴収票・確定申告書の写し
勤務先や収入の確認用資料として、職務経歴書の提出が求められます。
また給与やそのほかの収入を証明するための書類として、3年分の源泉徴収票や確定申告書類が必要です。
そのほかにも、住民税課税証明書や納税証明書など納税を証明する書類も必要となるので、あらかじめ市区町村役場の窓口で発行してもらいましょう。
所有している不動産に関する資料
資産として不動産を所有している場合は、不動産の基本情報が記載された「物件概要書」のほか、登記簿謄本、土地測量図、保険関連書類などが必要です。
物件概要書には、以下の項目が記載されています。
◦物件の基本情報:物件種目(戸建て・アパート・店舗、新築・中古などを記載)、物件価格、権利形態、所在地 など
◦土地に関する情報:面積、地目(宅地、田、畑などを記載)、接道状況 など
◦建物に関する情報:構造、種類(共同住宅、事務所などを記載)、延床面積、建築年月、間取り・戸数、駐車場の有無 など
◦法令制限に関する情報:都市計画、用途地域、建ぺい率、容積率、その他の制限 など
◦設備に関する情報:電気、ガス、上下水道、その他の設備(インターネット回線) など
◦収入に関する情報(賃貸物件の場合):利回り、月額賃料 など
また賃貸物件の場合は上記書類に加えて、賃貸借契約書やレントロール、借入れ状況(融資を受けている金融機関名、ローン残債有無、月々のローン返済額、ローン返済の残り期間など)、納税証明書なども必要になります。
必要に応じて不動産管理会社、ローン契約を結んでいる金融機関に必要書類を発行してもらいましょう。
融資対象の収益物件に関する必要書類
融資を受ける物件に関する書類は、融資審査に大きく左右するため、できるだけ詳細な物件の情報を記載し、収益性をアピールしましょう。
購入予定の物件の詳細情報
◦物件概要書
◦登記簿謄本
◦建築許可証
◦公図
◦測量図
◦住宅地図
◦建物図面
◦建築プラン・物件パンフレットなど(新築の場合)
◦竣工予定時期(新築の場合)
◦レントロールなど(オーナーチェンジ物件の場合)
◦写真
財務関連の資料
◦物件の購入価格(建築費用)
◦想定賃料(オーナーチェンジ物件の場合は現行の賃料)
◦予想されるランニングコストの内訳と金額(修繕費、管理委託手数料、損害保険料など)
◦想定するキャッシュフローの詳細
市場分析に関する報告書
◦物件周辺の不動産市場の現状と今後の予測
◦近隣の競合物件の価格や賃貸市場の動向
物件の評価報告書
◦専門家による不動産評価報告書や不動産鑑定書
◦物件の構造的な問題点や修繕が必要な箇所に関する報告。
法的文書
◦登記簿謄本や建物の登記情報。
◦土地の使用許可や建築許可証。
物件の事業計画書
金融機関は、貸したお金が返ってくるかどうかをもっとも重視するため、ローン申込者の返済能力の有無を検討したうえで融資の判断をおこないます。
そのため融資対象の収益物件の収益性と自身に返済能力があることをアピールすることで、より有利な条件で融資を受けることにつながります。
ただし、それらを口頭で伝えるのはむずかしいです。
そこで収益物件の運用に関する計画(リスク対策など収益を増加させるための戦略、資金調達、返済計画など)をまとめた「事業計画書」を作成し、計画上の不動産投資が実行可能であり、ローン返済が可能であることを融資担当者にプレゼンしましょう。
事業計画書に決まった書式はありませんが、最低限下記の項目を記載するとよいでしょう。
物件の方向性
購入予定の収益物件について、ターゲットとする入居者層、近隣の競合物件の差別化などを明確にし、その実現性を説明します。
たとえば、「駅から近く、周辺に買い物施設や飲食店が多数ある利便性の高い立地にある物件は、単身者をターゲットにすることで高い賃貸需要が見込める」など、物件のアピールをおこないます。
周辺の家賃相場の調査結果や周辺施設(買い物施設、幼稚園、小中学校、高校、大学、病院、銀行・郵便局、公園などの有無)や周辺環境から想定した賃貸需要やターゲット層をまとめたものを資料として提出してもよいでしょう。
想定する家賃と相場
周辺の家賃相場から導き出したデータを基に家賃を設定します。
家賃設定は高すぎると入居者が見つかりにくくなるため空室リスクが高まります。反対に家賃が安すぎると月々の経費をまかないきれず、赤字になるおそれがあります。そのため家賃は、収益性を保証しながら入居付けに有利な水準に設定することが重要です。
資金計画
資金の調達方法とローンの返済計画を立てます。
融資額、借入れ期間、自己資金額の割合によって、月々の返済額が変わります。無理な返済計画を立ててしまうと貸し倒れするおそれがあるため、無理のない返済計画を立てましょう。
収支計画
物件の取得費用をはじめ、初期費用や月々のランニングコストを試算し、必要な総事業費用の見積もり額をもとめ、設定した家賃から想定賃料収入を計算し、収支シミュレーション資料を作成しましょう。
このとき、利回りや空室率、家賃下落率の数字を変えながら、複数のパターンでシミュレーションをおこないます。複数のパターンを確認することで、投資可能な条件が明確になることがあります。
特に突発的な出費があっても対応できるか確認しておきましょう。
リスク対策
不動産投資にリスクはつきものです。安定した家賃収入を目指すために、各リスクをどのように軽減するのかも事業計画に盛り込む重要なポイントです。
プロフィールシートはアップデートして使用する
作成したプロフィールシートは何度でも使用可能です。新たに物件を購入する際、一から作成せずに済むため手間が省けます。
ただ記載内容に変更があった場合は、その都度更新していく必要があるため注意しましょう。
たとえば、勤務先の所属や肩書が変わったときた、所有する物件数が増えた・減ったなど、融資審査に影響のある事項に変更があった場合は、できるだけ速やかに更新するとよいでしょう。
まとめ
不動産投資における融資審査で重要な役割を持つ「プロフィールシート」。上手に活用することで有利な条件で融資を受けられる可能性が広がります。
またプロフィールシートと一緒に金融機関に提出する「事業計画書」もあわせることで、自身の信用度や返済能力だけでなく、融資対象物件の収益性や資産価値のアピールにつながります。
作成したプロフィールシートは、アップデートしながら何度でも使用可能です。
ぜひ当記事を参考にプロフィールシートを作成して、不動産投資への第一歩を踏み出してください。