不動産投資におけるキャップレートを解説!相場や自分で調べる方法も
2024/07/19

不動産投資におけるキャップレートを解説!相場や自分で調べる方法も

不動産投資におけるキャップレートとは年間経費に含まれる種類キャップレートを自分で調べる方法類似物件の利回りから予想する『キャップレートマップ』でキャップレートを調べるまとめ

不動産投資では、複数の利回りがさまざまな役割を持ちますが、「キャップレート」もそのうちのひとつです。

キャップレートは「期待利回り」や「還元利回り」と呼ばれ、「物件に対して、どれくらいの利回りを期待しているか」を計る指標です。

今回はキャップレートについて、相場や自分で調べる方法などを紹介します。


不動産投資におけるキャップレートとは

円マーク パーセント ドルマーク


キャップレート(Capitalization Rate)とは、不動産投資における利回りのひとつであり、「期待利回り」や「還元利回り」と呼ばれることもあります。


キャップレートは不動産投資家が「物件に対して、どれくらいの利回りを期待しているか」を集計し算出したものです。キャップレートは、次の式で計算された値になります。


キャップレート=年間NOI÷現在の物件価値


なおキャップレートは物件の立地や築年数などによって異なりますが、居住用賃貸物件で5%~8%、事業用賃貸物件は7〜10%程度が相場になります。

ただしキャップレートは、あくまで期待利回りです。そのため実際の取引利回りとは異なるため、数字を過信しないよう注意が必要です。


またキャップレートは不動産価格を計算する際に使用します。


不動産価格 = 年間の利益(年間の家賃収入-年間の経費) ÷ キャップレート


年間経費に含まれる種類

不動産投資における年間経費には、おもに以下のような種類があります。なお、年間経費は家賃収入の20%~30%程度が目安です。


◦租税公課(所得税・住民税、固定資産税・都市計画税、個人事業税など)

◦税理士・司法書士への報酬

◦ローン返済金

◦減価償却費

◦管理委託手数料(管理会社に管理業務を委託した場合)

◦管理費(区分マンションの場合)

◦損害保険料(火災保険料や地震保険料など)

◦入居者募集費用(仲介手数料、広告宣伝費など)

◦修繕費・修繕積立金

◦共用部の水道光熱費

◦雑費(事務用品費、消耗品費、交際費、交通費、通信費など)


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キャップレートを自分で調べる方法

家の模型 青いブロック パーセント

キャップレートは、野村不動産ソリューションズ株式会社一般財団法人日本不動産研究所など、いくつかの機関から定期的に公表されています。ただし、公表されているエリアは限定的です。


キャップレートがわかれば、自分で不動産価値を計算することが可能です。しかし購入していない物件のキャップレートを自分で調べるのは基本的にむずかしいですが、調べる方法がまったくないわけではありません。

ここではキャップレートを自分で調べる方法を紹介します。


類似物件の利回りから予想する

不動産価値を知りたい収益物件に類似した物件を探し、取引事例から利回りを計算し、補正をおこなったうえでキャップレートを算出します。手順は以下のようになります。


STEP1:類似物件の取引事例を探す

国土交通省の『不動産情報ライブラリ』の『不動産価格の情報をご覧になりたい方へ』を選び、不動産価値を調べたい収益物件に類似した物件の取引価格を探します。

類似物件を選ぶ際は、できるだけ次の項目に近い物件をさがすとよいでしょう。


◦立地(エリアや最寄り駅)

◦築年数

◦駅までの距離

◦周辺環境

◦間取り 

◦賃料 など


ピッタリ同じ物件を見つけるのはむずかしいです。相違点はあとで補正できるので、とりあえず似た物件を選びましょう。


STEP2:類似物件の利回りを計算する

類似物件を見つけたら利回り計算します。


類似物件の利回り= 予想される1年間の利益 ÷ 不動産価格


なお『楽待』や『健美家』など収益物件専門の不動産ポータルサイトに掲載されている物件の中から似たような条件の収益物件を探し、記載されている利回りを参考にする方法もあります。

ただし『楽待』や『健美家』に掲載されている利回りは表面利回りです。その場合は表面利回りを2割ほど減らした利回りを目安にするとよいでしょう。


STEP3:類似物件と条件を比較してキャップレートを補正する

不動産価値を知りたい収益物件と類似物件で異なる部分を補正していきます。キャップレートの補正が完了したら、物件の価値を計算してみましょう。


キャップレートマップ』でキャップレートを調べる

引用:『キャップレートマップ(CaprateMap)


収益物件のキャップレートを知る方法のふたつめは、インターネットサイトの『キャップレートマップ』を利用することです。無料で利用できますが、ユーザー登録が必要です。


キャップレートマップ』では、GoogleMap上の標準値には利回りが表示されています。また住所や施設名で検索することも可能なので、だれでも簡単に利用することができるでしょう。

ここでは『キャップレートマップ』の使い方を紹介します。


STEP1:『キャップレートマップ』のサイトで無料の会員登録をおこなう

登録が終了したらサイトにログインします。


STEP2:調べたい地名や建物名を検索する

調べたい地名や建物名、キーワードを入力して検索します。表示された地図の中から、条件の近い類似物件を探してキャップレートを確認しましょう。


STEP3:類似物件と条件を比較してキャップレートを補正する

不動産価値を知りたい収益物件と類似物件を比較して、異なる部分を補正します。キャップレートの補正が完了したら、物件の価値を計算してみましょう。


まとめ

不動産投資におけるキャップレートの役割について解説しました。キャップレートは不動産投資家が「どれくらいの利回りを期待するか」を示す指標として使用されるだけでなく、不動産価格を算出する際に使用されます。


キャップレートはいくつかの機関から定期的に公表されています。また手間はかかりますが自分で調べることも可能です。

キャップレートを理解することで、収益物件を選ぶ際、正しい判断につながるでしょう。

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