不動産投資で効率の良い物件の増やし方は?失敗した事例も紹介
2024/06/14

不動産投資で効率の良い物件の増やし方は?失敗した事例も紹介

 不動産投資で複数の物件を運用するメリット物件を増やすほど収入と資産が増えるリスクの分散につながるローン完済後は家賃のほとんどが利益になる不動産投資で複数の物件を運用するデメリット修繕費がかさむ可能性が高まるキャッシュフローが悪化するリスクがある不動産投資で効率の良い物件の増やし方STEP1:目標を明確したうえで計画を立てるSTEP2:必要となる自己資金を貯めるSTEP3:1件目を購入するSTEP4:資金ができたら2軒目の物件を買い足すSTEP5:繰り上げ返済などを利用してローンを減らし、さらに物件を増やす失敗例から見る不動産投資で物件を増やす際のNG例無計画で複数の物件をまとめて購入して失敗した利回りの数字だけで購入してしまったまとめ

将来的に不動産投資の規模を拡大していきたいと考えている人のなかには、2軒目を失敗することなく購入できるかどうか不安と言う人も多いでしょう。

そこで今回は、不動産投資において効率の良い物件の増やし方や失敗事例について紹介します。なぜ失敗したのか原因を理解することで、より正しい不動産投資につながるでしょう。

また複数の物件を運用するメリット・デメリットも解説します。


これから不動産投資をはじめる人は、ぜひ参考にしてください。


不動産投資で複数の物件を運用するメリット

メリット カラフル 付箋


ここでは、不動産投資で所有物件を増やすことで得られるメリットについて解説します。


物件を増やすほど収入と資産が増える

当然ですが、所有する物件が増えることで賃料収入は増加します。

たとえば、賃料10万円/月の収益物件を2戸所有すれば20万円/月の収入が得られます。3戸なら30万円/月、4戸なら40万円/月と賃料収入は増えていくでしょう。


ただし、賃料収入が多くても儲かっていることにはなりません。不動産投資をおこなううえで発生するローン返済金や修繕費、固定資産税などの支出(経費)を賃料収入から支払う必要があります。

賃料収入が多くても支出が収入を上回れば赤字になってしまうため注意が必要です。


また、投資用不動産物件は資産になります。所有する物件が多くなれば、資産も多くなるのです。


ただ不動産は高額です。そのため購入する際は、金融機関から融資を受けるのが一般的です。

そのためローンの残債(負債)がある不動産は厳密には純資産ではありません。ローンが完済した時点で純資産となります。


しかし、不動産投資は金融機関から借入れをおこなって物件を購入することで「レバレッジ」を効かせた投資がおこなえるのが特徴です。不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「少ない自己資金で大きな収益を得る」ことを表します。


具体的には、自己資金(頭金として物件価格の1割~3割程度)+金融機関の融資(自己資金を除いた物件価格を不動産投資ローンでまかなう)によって、自己資金の何倍もの投資をおこない利益を得ることにつながるのです。


関連記事:不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


リスクの分散につながる

複数の物件を所有することで、さまざまなリスク分散につながります。

たとえば地震や風水害など自然災害によって所有する物件が倒壊したり、浸水したり、賃貸経営が継続できなくなってしまうと家賃収入が得られなくなってしまいます。


こういった万が一のリスクに備え、複数の物件を離れた場所に所有することで、災害時のリスク分散につながるのです。


また築年数の異なる物件を複数所有することで大規模修繕時期や老朽化によるリノベーション工事の時期がずれるため、修繕費用が短期間に集中して発生するのを防ぐことも可能です。


このように収益物件を複数所有する際に分散投資をおこなうことで、リスクを最小におさえることにつながるのです。


関連記事:不動産投資でリスク分散が必要な理由と効果的なやり方!注意点も解説


ローン完済後は家賃のほとんどが利益になる

前述したように、不動産投資用物件を購入する際は、金融機関からお金を借りるのが一般的です。

そのため、賃貸経営で得た家賃収入の大半は月々のローン返済にあてる必要があります。またローン返済金以外にも、修繕費や管理費、固定資産税の支払いにあてられるため、大きな額のキャッシュフローは期待できないケースが多いです。


しかしローンを完済してしまえば、修繕費や管理費、固定資産税を支払った残りのお金は、自分自身の収入になります。


定年時期とローン完済時期をあわせることができれば、定年退職後は家賃収入の大部分を自由に使うことができるようになるため、ゆとりある老後生活が期待できるでしょう。


不動産投資で複数の物件を運用するデメリット

デメリット 吹き出し 赤文字


不動産投資で複数の物件を所有できれば収入や資産が増えますが、その一方で注意したい点もいくつかあります。ここでは、不動産投資で複数の物件を運用するデメリットを紹介します。


修繕費がかさむ可能性が高まる

所有する物件が増えればふえただけ、建物にかかる修繕費やメンテナンス費用も増加します。たとえば、複数の物件で退去が重なってしまうと、一度に多額の原状回復費が発生するのです。


また10年~15年周期でおこなう大規模な修繕工事を複数の物件で同時におこなうことになると、多額の費用が必要になるでしょう。大修繕積立金が充分であれば問題ありませんが、積立金が不十分だった場合、キャッシュフローが一時的に減少したり、手元資金の持ち出しが必要になってしまったり、資金面で大きな負担になるケースもめずらしくありません。


さらには、複数物件を保有しているとエアコンや給湯器などの設備に関しても、メンテナンスや取り換え費用が重ねてかかる場合もあるでしょう。


こういった費用の集中を防ぐためにも物件を増やす際は前述したように、築年数の異なる物件を購入したり、別の地域の物件を購入したり、分散投資をおこなうことでさまざまな被害を最小におさえることにつながるでしょう。


キャッシュフローが悪化するリスクがある

物件を増やすことで、月々のローン返済金などが負担になり、キャッシュフローが悪化してしまうケースも考えられます。


特に所有するのが区分マンションの場合、入居者がいなければ家賃収入は0円です。しかし入居者がいなくても月々のローン返済はおこなわなくてはなりませんし、管理費や修繕積立金なども支払わなくてはなりません。


こういった場合、複数の物件のいずれかの収益や手元の資金から持ち出すのが一般的ですが、空室が増えてしまうと収入は減少し、持ち出しばかりが増えていくこともあるのです。


このように物件を増やすことで、入居者がいれば収入が増える反面、空室ができると赤字も増加するのが複数の不動産を持つデメリットのひとつとなるため注意が必要です。


不動産投資で効率の良い物件の増やし方

不動産投資 家の模型 条件


将来的に不動産投資の規模を拡大したいと考えている人の多くは、できるだけ早く物件を増やし、収益や資産を増加したいと思うかもしれません。

しかし収益物件は高額です。金融機関から受けられる融資額にも上限は存在するため、物件を増やしていくには時間がかかるのが一般的です。


しかし、不動産投資をはじめるにあたって綿密な計画を立てたうえで、節税して支出を減らしたり、繰り上げ返済を上手に利用したりすることで、効率よく物件を増やすことにつながります。

ここでは効率の良い収益物件の増やし方についてステップごとに解説します。


STEP1:目標を明確したうえで計画を立てる

不動産投資をはじめるにあたって、まずは目標を明確にしておきましょう。

目標をしっかりと定めることで、1軒目にどのような物件を購入するべきか、どの程度の自己資金が必要なのかといった計画を立てることにつながります。


なお、目標によって今後の物件の増やし方なども変わるため、できるだけ具体的な目標を設定しましょう。

もし自分だけでは目標のイメージを上手に描けない場合や、目標が現実的であるかどうか迷ったときは、不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。


STEP2:必要となる自己資金を貯める

不動産投資用の収益物件を購入する際は、物件価格の一部を頭金として自己資金から支払い、残りの額を金融機関から借入れるのが一般的です。


頭金の額に決まりはありませんが、物件価格の1割~3割程度支払われるケースが多いです。

頭金を多く入れることで借入額が少なくなるため、融資審査に通過しやすくなったり、融資条件を優遇してもらえたりする可能性が高まります。


しかし必要な自己資金は頭金の額だけでは不十分です。

収益物件を購入する際は、諸費用も必要です。諸費用は購入する物件が新築か中古かによって異なりますが、物件価格の8%~15%程度が目安です。


頭金と諸費用は物件価格によって変動するため、購入予定の物件価格に合わせて自己資金を用意しましょう。


また不動産投資開始後に、突発的に資金が必要になるケースもあるため、緊急時に対応できる程度の資金を手元に残しておくことも忘れないようにしましょう。


STEP3:1件目を購入する

自己資金の目途が立ったら、物件を探し、金融機関から融資を受けて1件目の物件を購入します。

1件目の物件を選ぶ際は、できるだけ高利回りの物件を購入しましょう。

都心の新築区分マンションなど、低利回りであっても安全な物件は不動産投資初心者にはおすすめですが、利回りが低いと2軒目の購入資金を作り出すことがむずかしくなります。


ただ、高利回り物件にはリスクもあるため注意が必要です。

失敗しないためにも、不動産投資の知識を身に着けたり、専門家のアドバイスを受けたりすることでリスクを最小におさえることも可能です。


1棟目の物件選びで失敗すると、2棟目の購入までに時間がかかったり、購入できなくなったりするおそれもあるため、物件選びは慎重におこないましょう。


STEP4:資金ができたら2軒目の物件を買い足す

2軒目の物件の購入資金を用意できるまでのあいだは、1棟目の物件から毎月の家賃をしっかりと得る必要があります。そのためも適切な空室対策をおこないましょう。


また不動産投資用物件を購入した年は経費計上できる費用が多く、赤字になることもめずらしくありません。

その場合は不動産所得の赤字は、本業の給与所得などと損益通算をおこなえるため、節税につながるチャンスでもあります。


収入は最大限、支出は最小におさえることで、月々のローン返済によって残債を減らしながらキャッシュフローの積み上げによって、2軒目購入のための自己資金を貯めていくことが大切です。


なお、自己資金が十分でないうちに焦って物件を購入してしまうと、借入金額が大きくなり、ローン返済に負担がかかるケースもあるため注意が必要です。


STEP5:繰り上げ返済などを利用してローンを減らし、さらに物件を増やす

複数の物件から得られるキャッシュフローの管理をおこない、今後の物件を購入するための資金を積み上げていきましょう。


またある程度自己資金に余裕ができたら、繰り上げ返済をおこない返済期間を短縮しましょう。繰り上げ返済をする場合は、できるだけ早い段階で実行することで利息負担の軽減効果につながります。


ローンの残債がなくなることで次の物件購入時に融資を受けられる可能性が高まり、効率良く物件を増やすチャンスが生まれます。


失敗例から見る不動産投資で物件を増やす際のNG例

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物件を増やすことで運用効率が上がり、資産形成のスピードが速まる一方で、物件を選び前違えてしまうと思わぬ失敗につながるおそれもあります。

ただ、失敗した原因を理解することで不動産投資の成功につながるケースがあるのも事実です。


ここでは間違った物件の増やし方を選んだ結果、不動産投資に失敗してしまった事例を紹介するので、ぜひ今後の参考にしてください。


無計画で複数の物件をまとめて購入して失敗した

無計画で複数の区分マンション物件をまとめて購入した結果、大規模修繕費用の一時金として高額な費用を請求されたことでキャッシュフローが悪化し、結果的に不動産投資に失敗した例です。


収益物件の建物は10年~15年を目安に、共有部分の大規模な修繕工事が必要だとされています。区分マンションの場合、共用部部の修繕費用は入居者が支払う修繕積立金でまかなわれるのが一般的です。

しかし物件によっては、当初計画したとおりに修繕積立金が集まっていないケースも少なくありません。


必要な修繕費が積立金でまかなえない場合、毎月の修繕積立金とは別に大規模修繕のタイミングなどで区分所有者から一括で一時金を追加徴収する場合があります。


今回の事例における失敗ポイントは、購入前に大規模修繕時期と修繕積立金残高の確認を怠ったことにあります。

購入者は、毎月徴収される修繕積立金は想定していましたが、一時金の徴収については念頭においておらず、結果的に高額の一時金を支払ったことでキャッシュフローが悪化し、赤字となってしまったのです。


同じ建物内の区分マンションを購入する際は、大規模修繕が最後におこなわれた時期や次におこなわれる時期を確認したうえで、大規模修繕計画とその積立金が潤沢であるかといった確認をすることが大切です。


また、同じ建物内の区分マンションを複数所有することで、専有部分の設備や備品が同時期に寿命を迎えるケースもあります。


たとえば給湯器やエアコンなどの寿命は約10年です。

築9年の区分マンションを複数戸購入すると、場合によっては同じような時期に給湯器やエアコンが寿命を迎えてしまうと、修理費や交換費用が戸数分発生することも考えられます。


同じエリアに物件を持つと地震や風水害などの自然災害の被害を一度に受けてしまう可能性があります。万一、キャッシュフローが想定以上に悪化してしまうとローンの返済が滞り、最終的に物件を差し押さえられるおそれもあるため注意が必要です。


このように複数戸を同時に購入する際は、築年数はもちろん、設備などの設置時期と寿命なども事前確認したうえで購入計画を立てましょう。


利回りの数字だけで購入してしまった

利回りの高さだけで地方都市の物件を購入したところ、必要不可欠である駐車場がなかったため入居付けがむずかしく、最終的に安値で物件を売却してしまうケースもあります。


収益物件に設置される設備にはさまざまな種類がありますが、立地にはよって必要不可欠である設備も少なくありません。

中でも自動車で移動するのが一般的な地方都市の収益物件には、1世帯に付き1台以上の駐車場が必須と言われています。


都市部とは違い、ある程度駅からはなれた立地でも駐車場さえあれば客付けは可能となります。しかし逆にいえば、地方都市の物件で駐車場がない場合は客付けにおいて非常に不利になりうるということです。


不動産投資をおこなうにあたって、物件の利回りは収益性を判断するための指標として用いられます。しかし、数字が大きいからと言ってかならずしも収益力も大きいかというとそうではありあません。


特に相場よりも明らかに安い物件の場合、当然ですが利回りは高くなります。ここで重要なのは、物件価格が周辺の価格相場よりも安い=高利回りなのはなぜか、という点です。

その理由がわかれば、物件の問題点もおのずとわかってくるでしょう。


ただ、なかには急に現金が必要になった売主が優良物件を安く売りだしている、いわゆる「お宝物件」であるケースがないとは言い切れません。


とはいえ相場よりも安すぎる物件には、なんらかの裏がある場合がほとんどです。

利回りの数字だけみて飛びついてしまうと後悔することも少なくないことを念頭に、かならず物件のスペックを隅々まで精査したうえで現地にて直接物件を調査することをおすすめします。


まとめ

不動産投資で複数の物件を所有し運用することで収入や資産が増えるのはもちろん、文さ投資につながるため、さまざまなリスクを低減させることも可能です。

その一方、所有物件が増えると収入だけでなく支出も増えるため注意が必要です。


なおこれから収益物件を増やしていくためにも、1軒目の物件選びは非常に重要です。

間違った物件を選ぶことがないよう、まずは不動産投をおこなう目標を明確したうえで、長期にわたっておこなう綿密な計画を立てることが肝心になるでしょう。

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