不動産投資が会社にばれる原因とばれずに済む対策方法を解説!
サラリーマンにも人気の不動産投資ですが、なんらかの理由で給与以外の収入があることを隠しておきたいと考えるサラリーマンの人は多いでしょう。
また副業禁止の企業に勤務している場合は、不動産投資が副業にあたるのではないかと心配な人もいるかもしれません。
そこで今回は、なぜ不動産投資が会社にバレるのか、バレずに済むためにはどうしたらよいのかについて解説します。
また不動産投資が副業にあたるのか、また副業禁止規定に違反した際にはどのようなペナルティを課せられる可能性があるのかについても紹介します。
不動産投資を検討中のサラリーマンの方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
会社員の不動産投資は副業にあたるのか?
そもそも法律上では、会社員が本業の勤務時間外におこなう副業は禁止されていません。
平成29年には厚生労働省より、副業や兼業を推進する「働き方改革実行計画」が発表されたことで、副業禁止を撤廃する企業も増えています。
そのため副業の禁止は法律ではなく各義業の就業規則で定められているため、副業をおこなう際は、まず勤務先の就業規則を確認しましょう。
なお服務規程で副業を禁止している企業であっても、「不動産投資は副業にあたらない」とされているケースは少なくありません。
そもそも、企業が従業員の副業を禁止している理由には、以下のような懸念があるからです。
1.副業をおこなうことで本業に支障が出るおそれがある
2.副業先が本業に関係する分野の場合、情報漏えいのおそれがある
3.副業の内容によっては勤務先企業の信用やイメージが損なわれるおそれがある
参考:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
しかし不動産投資は、賃貸管理などの業務全般を管理会社に業務委託することで大家さんの時間や労力などの負担を軽減できるため、本業への支障を最小におさえることが可能です。
加えて不動産投資をおこなうことで、本業の機密情報を漏らしたり、信用やイメージを損なったりするリスクも低いと考えられます。
また相続などでやむを得ず賃貸不動産を取得するケースもめずらしくありませんし、転勤にともなって一時的に自宅を賃貸する場合もあるでしょう。
これらの事情から、副業を禁止している企業であっても不動産投資は副業とはみなされず、容認されるケースが多いのです。
関連記事:家賃収入は副業にあたらない?会社員の不動産投資で注意するポイント
関連記事:サラリーマンが銀行の不動産投資ローンを利用する際の注意点を解説
ただし公務員に関しては、「公務員法」によって副業は原則禁止されています。不動産投資が副業にあたらないとされていても、事前に申告や許可が必要な場合もあるため、まずは担当の部署や上司に相談することをおすすめします。
関連記事:公務員が不動産投資で副収入を得る方法!メリットや注意点を解説
不動産投資が副業とみなされるケースもある
前述したように、不動産投資が副業にあたらないとする企業は多いですが、不動産投資の規模や年間の不動産所得額によっては副業として扱われるケースもあります。
まず、不動産投資物件が5棟10室を超えている場合や、家賃収入が年間500万円以上の場合、「事業的規模」とみなされ、副業として扱われるケースがあります。
(5棟10室とは、戸建てなどがおおむね5棟以上、またはアパートなどの戸数がおおむね10室以上を指します)
また不動産投資でも、旅館やホテル、娯楽施設などを運用する場合も副業とみなされる可能性があります。
ただし、これらの規定についても各企業によってルールが異なります。不動産投資をはじめる際は、かならずチェックしておきましょう。
会社員の不動産投資が会社にバレる原因と対策方法
会社に内緒で不動産投資をしていても、なぜかバレてしまう場合もあります。ここでは、不動産投資が会社にバレる原因を紹介します。
会社に税務署から連絡が来てバレる
不動産投資などで、本業以外の所得がある場合は確定申告をおこない、所得(収入から経費を差し引いた額)に応じて所得税や住民税を納める必要があります。
確定申告が必要なのにもかかわらず申告をおこなわない場合、税務署から「お尋ね」などの問い合わせなどが会社に届いて、不動産投資をおこなっている事実がバレるケースもあります。
とくに不動産投資をはじめた年は収益物件の所得などで大きなお金が動きます。そのため税務署は、物件の購入費用(資金)が贈与にあたらないかなどを調べるため、お尋ねで確認をおこなう場合があります。
税務署からの問い合わせを防ぐには、必要に応じて確定申告をおこなうことです。きちんと確定申告をおこなうことで、税務署から問い合わせなどの連絡が来るのを防げます。
不動産所得が20万円以下の場合は確定申告をおこなう必要はありませんが、住民税の申告は必要です。
なお確定申告が必要なのにもかかわらず申告をおこなわなかった場合、延滞税や追徴課税などのペナルティが課されるため注意しましょう。
住民税額からバレる
会社員が給与以外の収入があることが会社にバレるケースとして、住民税額の変動があげられます。
住民税を支払う方法には、給与から天引きされる「特別徴収」と自分で納税する「普通徴収」の2種類がありますが、会社員は給与から天引きされる「特別徴収」で納税するのが一般的です。
しかし不動産所得がある場合は、前述したように確定申告をおこなう必要があります。その際、住民税の納税方法を「特別徴収」にしてしまうと、給与所得と不動産所得の住民税が合算されて給与から天引されてしまいます。
そのため住民税が前年より増えていることで、給与以外になんらかの所得があることが会社にバレる可能性が高くなるのです。
住民税額からバレるのを防ぐには、確定申告をおこなう際に住民税の支払い方法に「普通徴収」を選びましょう。普通徴収にすることで、不動産所得分の住民税のみの納付書を自宅に郵送してもらうことが可能になります。
納付書が送られてきたら納付期限内の納税をおこないましょう。納付期限を過ぎてしまうと延滞税などが発生する可能性があるため注意が必要です。
雑談やSNSからバレる
不動産投資をおこなっていることを会社の親しい人に話したり、SNSなどに掲載したりすることで会社にバレるケースもあります。
ちょっとした雑談やお酒の席などで発言した一言が噂になったり、上司の耳に届いたりすることもあるため、不動産投資を内緒にして得おきたい場合は不用意な発言を控えましょう。
またSNSの投稿から個人を特定されるケースも増えています。匿名であっても安心はできません。身元を特定されて困るのであれば安易な投稿は避けるほうが無難です。
マイナンバーで不動産投資はバレる?
従業員は原則として勤務先の会社にマイナンバーを提出する必要がありますが、マイナンバーから給与以外の所得を得ていることがバレることはありません。
会社が従業員のマイナンバーで取得できる情報の範囲は法律でしっかりと定められているので安心です。
会社員が不動産投資をおこなう際の注意点
ここではサラリーマンが不動産投資をおこなう際の注意点を解説します。
本業に支障が出ないよう注意する
前述したように、不動産投資は管理業務全般を外部の管理会社に業務委託することが可能です。しかし管理業務を管理会社に業務委託する場合、賃料の約5%~8%/月の管理委託料が発生します。
管理委託料を節約するために自主管理を選ぶ大家さんもいますが、賃貸物件の管理業務は多岐にわたります。
賃貸物件のおもな管理業務には以下のようなものがあります。
◦建物・共用部の管理:エントランス・廊下・ゴミ置き場・建物周辺の清掃、建物や備品の修繕など
◦入居者関連の管理:入居者募集、内見案内、賃貸借契約の締結・解約・更新などの手続き、クレーム処理など
◦家賃管理:賃料の集金・督促、帳簿付けなど
とくに入居者からのクレーム処理などは迅速な対応が求められるため、本業を持つサラリーマンには負担が大きいです。
本業に支障をきたさないためにも、賃貸物件の管理業務は管理会社に業務委託することをおすすめします。
配偶者の名義で不動産投資をする際の注意点
会社員が事業規模で不動産をおこなう場合、副業規定に抵触する可能性があります。その場合は配偶者の名義で不動産投資をおこなうのも一案です。
ただし、配偶者の属性によっては希望する融資額を受けられないケースもあります。その場合は、頭金を多く入れたり、連帯保証人を立てたりする必要があります。
また妻名義で不動産投資をおこなう場合、女性への融資を支援している日本政策金融公庫を利用するのもおすすめです。
ただし、配偶者の収入によっては配偶者控除を受けられなくなる場合もあるため注意も必要です。
不動産投資で確定申告が必要なケースは?
サラリーマンが不動産投資をおこない、1年間の不動産所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
不動産所得とは、年間収入(家賃や更新料など)から年間経費(修繕費、固定資産税、減価滅却費など)を差し引いたものです。家賃収入そのものではないため注意しましょう。
たとえば、年間収入が40万円、年間経費が10万円の場合、不動産所得は30万円となるので確定申告が必要になります。
なお不動産所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要はありませんが、不動産所得がプラスだった場合は住民税の申告が必要です。サラリーマンの給与以外の所得が20万円以下の場合でも、かならず住民税の申告をおこないましょう。
不動産所得が20万円以下でも確定申告をしたほうがいいケース
先に述べたように、不動産所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。
ただし、不動産所得が赤字(マイナス)だった場合は「損益通算」で課税対象となる所得税を少なくすることができるため、確定申告をおこなうことをおすすめします。
損益通算とは、給与所得などの黒字所得と赤字の不動産所得を相殺し、合計の所得額を減らす仕組みをいいます。
関連記事:不動産投資の損益通算で節税しよう!計算例や注意ポイントを解説
会社員の場合、会社でおこなわれた年末調整にて、1年間の給与所得に課せられる所得税額が決定し、すでに納付している状態です。
関連記事:会社員で家賃収入がある人は年末調整不要?確定申告でできる節税対策
しかし不動産所得が赤字だった場合、損益通算することで給与所得と不動産所得を相殺されるため課税対象額が減少します。その結果、税金が過払いであれば差額を還付金として受け取れるのです。
とくに不動産投資をはじめた年は収益物件の購入費など軽費が高額なため、不動産所得が赤字になることも少なくありません。このような場合でも損益通算を上手に活用することで節税につなげることができるのです。
関連記事:不動産投資の確定申告で必要経費にできる費用とできない費用を解説
関連記事:不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?
確定申告をおこなわない場合は延滞税などが発生する
各手申告で正しい数字を申告しなかったり、期限内に申告をおこなわなかったりした場合、延滞税や加算税といったペナルティが課されます。また脱税とみなされた場合は刑事罰の対象となる可能性もあります。
申告・納税するまでの時間が長引けば長引くほど、課せられるペナルティも増加するため、申告漏れや申告忘れに気付いた場合は、できるだけ早く訂正や申告をおこなうことをおすすめします。
確定申告時に無申告や過少申告のペナルティには以下のような種類があります。
◦延滞税
定められた期限(通常3月15日)までに税金が納付されない場合に課されるペナルティ。最高税率は14.6%。
◦無申告加算税
定められた期限(通常 毎年2月16~3月15日)に確定申告をおこなわなかった場合に課せられるペナルティ。納付すべき税額に対して50万円までに15%、50万円を超える部分は20%。
◦過少申告加算税
確定申告で申告・納付した税額が本来納めるべき税額より少なかった場合、または還付額が多かった場合に課せられるペナルティ。新たに納める税金の10%。追加で納める税額の10%相当額、50万円を超えた部分は15%。
◦重加算税
税務調査で、申告内容を仮装・隠ぺいなど、脱税した事実が見つかった場合に課されるペナルティ。過少申告加算税に代わる重加算税は35%、無申告の場合は納付すべき税額の40%が加算される。
まとめ
サラリーマンに人気の不動産投資ですが、なかには会社にバレると困るという人も多いようです。会社にバレる原因のひとつが住民税の増額です。回避方法としては確定申告時の住民税の納付方法に「普通徴収」を選ぶとよいでしょう。
法律上、副業は禁止されていないため、副業の可否は企業ごとによって見解が異なります。ただし、不動産投資については副業とみなされないケースが多く、サラリーマンにとって副収入を得やすい投資方法です。
とはいえ、企業が定めた就業規則を破れば規約違反としてペナルティの対象となってしまうため注意が必要です。
サラリーマンの方が不動産投資をおこなう際は、まず勤務先の就業規則を確認することをおすすめします。