不動産投資用物件の地震保険料は年末調整で地震保険料控除できる?
2024/05/27

不動産投資用物件の地震保険料は年末調整で地震保険料控除できる?

地震保険とは?特徴を解説地震保険の補償限度額と補償内容地震保険に加入するメリットとデメリット不動産投資用物件にかけた地震保険料は地震保険料控除にできる?地震保険料控除とは収益物件に掛けた地震保険料は地震保険料控除の対象外収益物件にかけた地震保険料は経費として計上できるまとめ

地震大国である日本では、いつどこで地震が起きてもおかしくありません。

そのため、所有する収益物件に地震保険をかけている大家さんも少なくないようです。

収益物件に地震保険をかけた場合、その保険料を年末調整や確定申告で地震保険料控除は可能なのでしょうか?


今回は不動産投資における地震保険について、特徴やメリット、補償範囲と内容などを解説します。


地震保険とは?特徴を解説

地震保険 歪んた黄色の家


「地震保険」とは、その名称通り地震による損害を補償する保険を指します。

地震による直接の損害はもちろん、地震によって引き起こされた津波や火災、噴火などの災害による損害も補償対象となります。


なお、地震保険は火災保険とセットで加入する保険です。地震保険単独では加入できないため注意しましょう。


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また地震はいつどこで発生するかの予測が非常に困難なうえ、大規模な地震が発生した場合、被害も甚大な規模になる可能性が高い災害です。

しかしそうなると、民間の保険会社のみでは保険金をまかなうことがむずかしくなることが予想できます。


しかし地震保険は、地震保険法に基づき、民間の保険会社がまかないきれなかった分を政府が保険金の支払いを保証してくれる仕組みであり、これが地震保険の大きな特徴のひとつなのです。


ちなみに地震保険はどこの保険会社で加入しても、最終的には政府と民間の損害保険会社が共同で補償をおこないます。そのため、どこの保険会社で加入しても、地震保険の補償内容や保険料は一律となっています。


地震保険の補償限度額と補償内容

地震保険の補償金には限度額が定められています。

地震保険は基本的に被災者の生活の安定化を目的としています。そのため地震によって被害を受けた建物などの再建を目的にしていません。よって、補償金に限度額があるのです。


なお地震保険は、地震以外では以下のケースの際に補償されます。


◦地震による火災

◦地震による噴火や津波


また補償の対象となるのは、地震が起きたときに損害を受けた「居住用建物」と「家財」です。

ただし地震保険の保険金額の支払い限度額は以下のように定められており、損害額が全額負担される訳ではないので注意しましょう。


◦保険金額は火災保険の契約金額の30%〜50%内

◦建物の保険金額:5,000万円以内

◦家財の保険金額:1,000万円以内


たとえ地震によって建物が全損したとしても、5,000万円を超える部分は補償されません。


また保険金は実際の損害額ではなく、損害の程度に応じて保険金額の5%(一部損)・30%(小半損)・60%(大半損)・100%(全壊)の割合で支払われます。(いずれも建物や家財の時価額が基準)


地震保険に加入するメリットとデメリット

メリット デメリット 黒板


地震大国日本では、いつどこで地震が起きても不思議ではありません。


とくに不動産投資用物件が地震で損害を受けた場合、被害の程度によっては賃貸経営が困難になるケースも考えられます。建物が損壊して人が生活できない場合、入居者は退去してしまうでしょう。


しかしローンの支払いや建物の修繕は引き続きおこなう必要があります。収入は減少するにもかかわらず、支出は増加するため、大家さんには大きな負担になってしまいます。

最悪の場合、ローンの返済が滞り、物件が差し押さえられてしまうおそれも考えられます。


地震保険に加入していれば、保険金をローン返済や修繕費などにあてることが可能です。損害を少しでも補えるという点において地震保険への加入は大きなメリットになるでしょう。


なお地震による損害を補償できるのは地震保険のみです。

たとえば、一般的な火災による損害は、火災保険に加入していれば補償されます。しかし地震によって起きた火災が原因で損害を受けた場合、たとえ火災保険に加入していても補償されません。この場合の補償は地震保険がおこないます。


このように地震保険の代替となる保険はありませんし、地震による損害を補償してくれる唯一の保険なのです。


そんな唯一無二の地震保険ですが、保険料が高いのがデメリットになります。

とくに昨今では値上げが顕著なため、掛け金の支払いが負担となっているケースも少なくありません。


また前述したように補償金には上限があります。そのため損害の程度によっては、保険金だけでは修復できない可能性があるのもデメリットです。


不動産投資用物件にかけた地震保険料は地震保険料控除にできる?

地震保険 模型の家 白い家


万一に備えて不動産投資用物件に地震保険をかけている大家さんも多いでしょう。このように収益物件にかけた地震保険の保険料は、年末間調整や確定申告で控除対象になるのでしょうか。


地震保険料控除とは

税制上の措置の一つで、地震保険契約の保険料を支払った場合、地震保険料控除を利用できる制度です。

この制度は、地震保険加入への促進や地震発生時の経済的な負担の軽減などを目的に生まれました。


地震保険料控除を利用するメリットは、なんといっても地震保険の保険料負担の軽減につながる点です。


収益物件に掛けた地震保険料は地震保険料控除の対象外

地震保険の保険料負担につながる地震保険料控除ですが、収益物件にかけた地震保険は地震保険料控除の対象外です。


地震保険料控除の対象となるのは、保険契約者自身や保険契約者と生計を共にする配偶者とそのほかの親族、及び所有する建物・所有する家財などです。


不動産投資用物件は、原則として第三者に貸し出しをおこないます。そのため保険契約者(=オーナー)が住んでいない収益物件は地震保険料控除の対象外となるのです。


なお所有している収益物件が賃貸併用住宅の場合、自宅部分のみが地震保険料控除の対象になります。ただし、住居に使用している面積が全体の90%以上であれば、支払った地震保険料の全額が地震保険料控除の対象になります。


収益物件にかけた地震保険料は経費として計上できる

前述したように収益物件にかけた地震保険料は地震保険料控除にはできません。

その代わり、支払った地震保険の保険料は確定申告時に経費として計上することが可能です。

忘れずに経費計上をおこないましょう。


まとめ

大きな地震が起きた場合、収益物件が損害を受けてしまうと家賃収入が減少したり、修繕費がかかったり、最悪の場合は不動産投資を継続できないことも考えられます。

そんなとき地震保険に加入していれば、損害の程度に応じて支払われる保険金が大いに役立ってくれるでしょう。


ただし収益物件にかけた地震保険の保険料は地震保険料控除の対象外となるため、年末調整や確定申告をおこなう際は注意が必要です。

その代わり、支払った収益物件にかけた地震保険料は確定申告時に経費として計上することが可能です。経費計上することで所得が圧縮でき、結果的に節税につながります。


いつ来てもおかしくない地震のリスクに備え、かならず地震保険に加入しておくことをおすすめします。

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