不動産投資でよくある3つの失敗パターンを紹介!対策方法も解説
2024/05/21

不動産投資でよくある3つの失敗パターンを紹介!対策方法も解説

失敗パターン①:高利回りの理由を考えずに購入して失敗する失敗した原因と対策方法失敗パターン②:フルローンで物件を購入して失敗する失敗した原因と対策方法失敗パターン③:サブリースの契約内容を理解せずに契約して失敗する失敗した原因と対策方法不動産投資で失敗しがちな人にもパターンがある不動産投資の知識が不足している長期的な計画を立てていないまとめ

不動産投資で成功するためには、「どうすれば失敗しないのか」について知ることも大切なポイントです。実は不動産投資で失敗するケースには、ある程度のパターンがあります。

そこで今回は、不動産投資でよくある失敗のパターン3つと、それぞれの対策方法を解説します。

失敗しないためにも、ぜひ失敗事例を参考にしてください。


失敗パターン①:高利回りの理由を考えずに購入して失敗する

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不動産投資初心者のOさんは、収益物件専用のポータルサイトで利回り8%超の高利回り物件を見つけました。Oさんの居住地からは離れたエリアに建つ中古の区分ワンルームマンションで、築17年と築古物件ですが駅からの距離も遠くなく立地も悪くありません。


現況は入居者ありのオーナーチェンジ物件なので、購入後はすぐに家賃を得られそうです。また同じエリアの競合物件に比べて価格も安いようです。


「だれかに買われる前に購入しよう!」と考えたOさんは、すぐに担当の不動産会社に連絡し、購入を決めます。


売買契約を締結し、無事に物件オーナーとなったOさんでしたが、すぐに失敗したことに気付きます。

ポータルサイトで見た利回りは「表面利回り」であり、必要経費など反映させた利回りは平均よりも少し低い程度なのです。


家賃収入はあるものの当初想定したキャッシュフローを得られるはずもなく、毎月のローン返済と必要な費用を捻出するのが精いっぱいでした。


しかも約4ヶ月後、入居者の退去が決まります。入居の退去後、物件の管理を委託している管理会社から「室内の内装や設備が経年劣化してしている。リフォームはどうするか?」という連絡をもらったOさん。


管理会社の担当者の話によると、退去した入居者は10年以上この物件に住んでいたそうで、壁紙やフローリング、ユニットバス、トイレ、エアコンなどの設備が経年劣化しているとのこと。


ユニットバスやトイレを交換するとなると100万円以上の費用がかかるため、壁紙とフローリングを貼り替え、エアコンを交換するのみで入居者募集をかけることにしました。

しかし入居は決まらず、Oさんの持ち出しが増えていくばかりです。


結局、それ以上のリフォームに費用をかけることをあきらめたOさんは、購入時よりも安い金額で物件を売却したのでした。


失敗した原因と対策方法

Oさんが失敗した原因は、「利回りだけ見て購入して失敗するパターン」と「修繕費を想定せずに築古物件を購入して失敗するパターン」の2点が考えられます。


不動産投資における利回りは、物件の収益性を図る指標として重要な数字です。

しかし不動産物件情報などに記載されている利回りは、諸費用(税金や減価償却費など)が反映されていない「表面利回り」です。


よりリアルな収益性を知るためには、諸費用を含めた「実質利回り」を参考にしなくてはなりませんが、それを知らずに表面利回りだけで物件を購入してしまったOさんは、まさに失敗パターン通りといえるでしょう。


また相場よりも高い利回りの物件には、なんらかの問題があるケースも少なくありません。

とくに築古物件の建物や設備は経年劣化が著しいことも多く、想定した以上の修繕費が発生することもめずらしくないのです。


そのため相場よりも安い価格でも物件を売却しようとするオーナーも多く、今回もそのパターンであると考えられます。


しかもOさんの購入した物件には約10年物あいだ継続して入居者がいたため、その間は一切クリーニングなどをしていないわけですから、退去後の修繕費用が高額になるのにも納得です。


入居者の入居年数はレントロールなどで、設備をいつ交換したかなどは修繕履歴で確認できます。Oさんが、それらの確認を怠ってしまったのも失敗の原因のひとつでしょう。


今回の失敗パターンの対策方法をまとめると以下のようになります。


◦物件購入前には実質利回りがいくらになるのか、空室率や家賃下落率などを反映させるなど、さまざまなパターンでシミュレーションをおこなう


◦築古物件は建物や設備の老朽化で想定以上の修繕費が発生する可能性もあるため、あらかじめレントロールや修繕履歴で最後にクリーニングやリフォーム、設備を設置した時期や内容を確認する


◦相場を超える高利回りになるのには、なんらかの理由があるケースが多いので、その理由を把握したうえで購入を検討する


失敗パターン②:フルローンで物件を購入して失敗する


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すでに区分マンションを1件所有し、不動産投資をおこなっている会社員のSさんは、2件目の収益物件を探していたところ、とある中古区分マンションが気に入り、さっそく不動産会社に連絡しました。


残念ながら目当ての物件は完売していましたが、ほかの物件を紹介してもらうために不動産会社のセールスマンと会うことにします。

Sさんから1件目の運用がうまくいっていると聞いたセールスマンは、Sさんの勤務先が優良企業だったこともあり、「フルローン」をすすめてきました。


フルローンとは自己資金(頭金)を出さず、物件価格全額をローンで不動産投資をおこなうことをいいます。

自己資金を手元に残すことができ、レバレッジを効かせた投資がおこなえるため、より多くの収益が期待できます。


Sさんはセールスマンのすすめに従って中古の区分マンションを2,000万円の30年のフルローンで購入しますが、毎月のローン返済額が大きく、毎月1万円程度の持ち出しが必要です。


セールスマンに相談したところ、「将来的には家賃収入がまるまる収入になる。いまは毎月1万円で将来を買っていると考えれば問題ありません」と言われてしまいます。

1件目の収益物件の運用がうまくいっていて給与収入もあるSさんは、「たしかに毎月1万円で、将来2000万円の不動産が所有できて、家賃も入るなら……」と納得しました。


ところが数カ月後、1件目の入居者が退去してしまいます。しかも次の入居者が決まる前に、2件目の入居者も退去してしまい、家賃収入が途絶えてしまったのです。

しかし、2軒分のローン返済や退去後の原状回復費用の支払いは待ってくれません。


1件目の物件に入居者が決まるまで赤字分を丸々持ち出すことになったSさんは、なかなか入居が決まらず、返済の負担が重い2件目の物件を手放すことにします。


そして査定してみたところ、自身が購入した金額は相場よりも高かったことが判明します。購入額からかなり値引きし、ようやく2件目の物件の売却に成功しましたが、売却代金だけでは一括返済できず、結局また自己資金から持ち出すことになったのでした。


失敗した原因と対策方法

Sさんが失敗した原因は、「安易にフルローンを組んで失敗するパターン」と「物件を相場よりも高値で購入して失敗するパターン」の2点が考えられます。


頭金を入れないフルローンは、そもそもの借入額が高額です。したがって月々のローン返済額も高くなります。

通常の借入れでも、空室期間中のキャッシュフローが悪化するのはよくあることです。

それが借入額の大きいフルローンであれば、想定外の出費や空室で家賃収入がなくなってしまえば、あっという間にキャッシュフローが悪化してしまいます。


幸いSさんは、これまで1件目の運用が順調だったことや手元に自己資金があったため、ローン返済が滞る事態には陥らずに済みましたが、最悪の場合は物件が差し押さえられるおそれもあるのです。


またSさんはセールスマンの言葉を疑わず、本来の価値よりも高い金額で物件を購入しています。本来であれば、物件購入前に収支シミュレーションをおこない、無理のない返済計画を立てるのが一般的です。


しかし2件目の物件では毎月1万円程度の持ち出しが発生している点からみて、家賃収入に対して物件価格が高額だったり、毎月の経費が高額だったり、持ち出しが発生するなんらかの理由が考えられます。

実際、フルローンの返済が重く、また相場よりも高い価格で物件を購入してしまったのが原因でした。


セールスマンの言う、「いまは毎月1万円で将来を買っている」という考え方は、ある意味間違いではありません。しかし、それはあくまで将来的な収益を見越して計画的な「良い赤字」の場合なので、今回のSさんには該当しません。


関連記事:不動産投資の「よい赤字」のメリットを解説!悪い赤字との違いは?


Sさんは、セールスマンの言葉を鵜呑みにせず、物件価格が適切であるかどうか調べたり、フルローンを利用しても無理なく返済できるかどうかシミュレーションしたりする必要があったのです。


今回の失敗パターンの対策方法をまとめると以下のようになります。

◦フルローンを利用しても無理なく返済ができるかどうか確認する

◦フルローン対策として、ある程度の額の資金を手元に用意しておくこと

◦物件価格が適切かどうか、周辺の競合物件の価格と比較したうえで検討する


関連記事:不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう


失敗パターン③:サブリースの契約内容を理解せずに契約して失敗する

頭を抱える人 モノクロ カーテン、手帳 見開き失敗


相続した土地を所有するKさんのもとへ、「土地活用をしませんか?」と不動産会社が訪ねてきました。

話を聞くと、所有する土地にアパートを建て、不動産会社が一括で借り上げて賃貸経営をおこなういわゆる「サブリース」の営業だったのです。


土地活用に興味のあったKさんは、「サブリースは賃料保証されているから空室があっても問題ありません」という不動産会社の言葉を信じて、全8戸の2階建てアパートを建築しました。


正直なところKさんの持つ土地は賃貸需要が高いとはいえず、空室もいくつかあるようでしたが、「家賃保証」がされているため、Kさんが受け取る毎月の家賃額に変動はありませんでした。


ところがサブリース契約を結んで2年が経ち、不動産会社から家賃の引き下げを提案されてKさんは驚きます。

そしてKさんは、「家賃保証」は永年ではなく定期的に見直しがおこなわれることが契約書に記載されているのをはじめて知ったのです。


不動産会社に抗議し契約解除を求めたKさんでしたが、契約解除には高額な違約金が発生すると知ってさらに驚きます。


結局、違約金を支払ってサブリース契約の解除をしてもアパートのローン返済はつづける必要があります。賃貸需要が低いことから、一般的な賃貸に切り替えても家賃収入は期待できないと考えたKさんは、泣く泣くサブリース契約を継続させることにしました。


しかし家賃の見直しがおこなわれるたびに家賃は下がり、すでに毎月の持ち出しが発生しています。

「こんなことならアパートを建ててサブリース契約なんて結ぶんじゃなかった」とKさんは後悔したそうです。


失敗した原因と対策方法

Kさんが失敗した原因は、「サブリース契約の内容を理解しないまま契約を締結して失敗するパターン」です。


実際、サブリース契約でトラブルになったケースは多く、そのほとんどが不動産会社側の説明不足や故意に説明しないことがおもな原因ですが、オーナー側のサブリース契約の知識不足や確認不足も原因となっています。


サブリースは、その仕組みがきちんと作用すれば空室対策として有効な手段になりますが、注意すべき点があることを知らずに契約してしまうと「聞いた話と違う」とトラブルになりやすいのも事実です。


まずサブリース契約の「家賃保証」は、最初の契約時に設定された賃料がずっとつづく訳ではありません。ほとんどの場合で賃料保証の見直し期間がもうけられています。


収益物件の建物は経年によって劣化します。それにともなって賃料が下落するのが一般的です。また空室率が高い場合は、入居付けのために家賃を下げて募集することもあります。そのためサブリースの家賃保証額も定期的に見直され、多くの場合、保証額は低くなります。


加えてサブリースの賃料保証額は、通常の家賃の満額が保証される訳ではありません。周辺の平均賃料80%~90%程度と低く設定されることが多いことを覚えておきましょう。


そして、サブリース解除には違約金が発生することも契約書には記載されています。違約金の額は契約内容によって異なりますが、目安は毎月の家賃保証額の6ヶ月程度です。

たとえば家賃保証額が40万円であれば、違約金は240万円となります。


また、家賃保証額などの交渉が決裂した場合、一方的に契約を打ち切られることもあるため注意しましょう。


今回の失敗パターンの対策方法をまとめると以下のようになります。


◦サブリースの知識を身につけ、メリットだけでなくデメリットがあることを理解する

◦契約内容をしっかりと確認し、納得したうえで契約を結ぶ

◦そもそもアパート経営が成り立つのかどうかを確認する


関連記事:不動産投資のサブリース契約にメリットはある!契約前にリスクを把握


不動産投資で失敗しがちな人にもパターンがある



不動産投資で失敗しがちな人にも、以下のようなパターンが見られます。


◦不動産投資の知識が不足している

◦長期的な計画を立てていない


不動産投資の知識が不足している

不動産会社のなかには、詐欺まがいの手口で物件を売りつけようとする不誠実な人もいる場合があります。不動産投資の知識が不足していると、不動産会社のセールストークを鵜呑みにしてしまいがちです。


そういった手口に引っ掛からないためには、不動産投資の知識を身につけておくことが有効な手段になります。

それほど深い知識は必要ありませんが、物件の選び方や利回りなどの基礎知識を知っておくだけでも十分自衛につながるでしょう。


不動産投資の勉強方法は、書籍を読んだり、インターネットサイトを利用したり、セミナーへの出席や不動産投資経験者に聞いたり、さまざまな手段があります。

自分に向いている勉強方法を見つけ、ぜひ不動産投資の知識を身につけましょう。


長期的な計画を立てていない

不動産投資のなかでも家賃収入を目的とした賃貸経営は、10年、20年と長期にわたっておこなう投資手法です。そのため不動産投資をはじめるにあたって、長期的に計画を立てる必要があります。


その際は収入のことだけを考えるのではなく、管理費用や税金など支出についてもシミュレーションをおこない、無理なく賃貸経営がおこなえるかどうか確認しておかなくてはなりません。

また突発的な出費に備えたり、10年周期でおこなわれる大規模修繕費を積み立てたり、資金面での計画も必要です。


不動産投資で失敗してしまう原因のひとつには、こういった長期計画をうまく立てられていないことが考えられます。


たとえば大規模修繕計画を忘れていると修繕費用を捻出できず工事がおこなえません。大規模修繕ができないと建物が傷み、物件の価値が下落します。

建物や設備に不備があると、入居付けに影響が出てしまい空室が多くなります。その結果ローン返済が滞って物件が差し押さえられ、最終的に失敗につながるのです。


そうならないためには、できるだけ細かい計画を立て、不動産投資をおこなう必要があります。


まとめ

不動産投資でよくある失敗のパターンを3種類とそれぞれの対策方法を紹介しました。不動産投資は大きなお金が絡むため、失敗すると大きなダメージにつながります。


しかし不動産投資の知識を身につけたうえで、長期的な計画を立て、堅実な運用をおこなうことで失敗するリスクを最小限におさえることも可能です。

今回紹介した失敗パターンを反面教師にして、ぜひ不動産投資を成功させてください。

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