企業経営者が不動産投資をおこなうメリットや注意点を解説!
不動産投資を企業経営者がおこなう場合、年収や保有資産が一般の会社員と比べると大きな場合が多いです。そのため、節税対策に不動産投資を検討しているかたも多いのではないでしょうか。
企業経営者が不動産投資をおこなうことで、通常の節税効果だけでなく、所得した不動産を経営する会社のために利用することも可能です。
今回は企業経営者による不動産投資を活用した節税効果を含めたメリットについて解説します。
企業経営者が不動産投資をおこなうメリット
企業経営者が不動産投資をおこなうことで、次のようなメリットが期待できます。
本業のリスク対策につながる可能性がある
企業経営者が不動産投資をおこなって得た不動産収入によって、会社の資金面の健全化につながる可能性があります。
企業の経営状態が安定していてもビジネスや経済状況の変化によって、会社経営が傾く可能性もあるのです。
そのような場合に不動産投資によって安定した収入が得られるようになれば、金銭的なリスク回避につながり、結果的に会社経営に役立つでしょう。
所得税・住民税の節税効果が期待できる
不動産投資をおこなうことで、所得税や住民税の節税効果が期待できます。
まず不動産投資に関わる費用をもれなく経費計上することで課税所得が圧縮され、その結果として節税につながります。
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また減価償却費と損益通算を利用した節税方法は、さらに節税効果を得られます。
減価償却とは、建物や設備などの費用を法定耐用年数に応じて、一定期間に配分する会計処理のことです。
なおこの減価償却費は、実際の支出がないにもかかわらず経費計上できる費用です。
そのためキャッシュフローは黒字でも、減価償却費を計上することで帳簿の上では経費が増え、利益が減ります。
利益が減れば所得額も減少するため、結果として節税につながるのです。
また、サラリーマンなど本業の所得のある人が不動産投資をおこなっている場合、減価償却費を計上して赤字をつくり、「損益通算」することでより大きな節税効果を生み出します。
損益通算とは、給与所得などから不動産投資の赤字分を差し引く会計処理です。
給与所得は年末調整で所得税が確定し納税済みですが、確定申告で損益通算をおこなうことで「給与所得+不動産所得(赤字)」により総所得額が減ります。
すると払い過ぎた税金が還付されるため節税になるのです。
このように減価償却費と損益通算を上手に活用すれば、現金を減らすことなく、税金だけを減らすことにつながるのです。
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不動産収入を得ながら資産運用に活かせる
企業経営者を引退したあとは給与による収入がなくなる可能性があります。そのため、リタイア後に向けて計画的な資産運用をおこなう必要があります。
企業経営者として不動産投資をおこなうことで継続的に家賃収入を得られます。
また賃貸経営で家賃収入を得ながら、不動産価格が上昇したタイミングで売却できれば、キャピタルゲイン(売却益)も期待できるでしょう。
所有物件を社宅として利用できる
従業員に対して住宅手当を支給する企業も多いですが、この場合、従業員にとっては収入が増えることで課税対象額が増えてしまいます。また企業にとっても余分な出費になりかねません。
そこで、法人名義で一棟アパートなどの不動産を取得し、従業員用の社宅に利用することで福利厚生として経費に計上できます。従業員には相場よりも低い賃料で住んでもらうことで空室リスク対策にもなり、同時に節税効果を狙えます。
相続時の税金対策につながる
不動産投資をおこなうことで所得税・住民税だけでなく、相続税の節税にもつながります。
土地の評価
土地の評価額には。「路線価方式」または「倍率方式」が用いられます。そのため地価公示価格の7~8割程度に下がります。
また、その土地に建っている建物を賃貸している場合は、評価額はさらに2割程度低くなります。さらに、要件を満たすことで「小規模宅地等の特例」の適用を受けることも可能です。
建物の評価
建物の評価額の算出には「固定資産税評価額」が使われます。それによって建物の評価額は建築費用の6~7割程度になるのが一般的です。またその建物を賃貸している場合、評価額はさらに3割程度減少します。
企業経営者が不動産投資をおこなう際の注意点
企業経営者が不動産投資をはじめる場合、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
あります。失敗を避けるためにも、どのような点に注意するべきか確認しましょう。
融資を受けられない場合がある
会社の業績によっては、金融機関の融資審査を通過できない可能性があります。
経営者自身の収入は、「役員報酬」であるため、会社の業績によって金額が変動するため、場合によっては「収入が安定しない」とみなされる可能性があるのです。
また会社の業績が悪化してしまうと、さらに審査がきびしくなることも考えられます。
企業経営者の収入が安定してない場合は、不動産投資をはじめる時期をずらしたり、融資を受けられる物件に変えたり、頭金を多く入れるなどして対応するとよいでしょう。
本業の資金調達に影響する可能性がある
不動産投資は、金融機関から融資を受けることでレバレッジを効かせた投資がおこなえます。しかし、借入金額が大きすぎてしまうと、本業の資金調達に悪影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。
一般的に、収入に対して月々のローン返済額の割合が高いと、金融機関はそれ以上の融資を行わない場合があります。本業の資金調達に影響が出ないように注意しましょう。
損失には注意する
前述したように、不動産投資は赤字になっても損益通算によって節税することが可能です。ただしそれは帳簿の上で作った赤字です。
しかし、投資である以上、実際の赤字(=損失)が出る可能性は十分考えられます
損失が出ないようにするためには、あらかじめ収支シミュレーションをおこなったうえで、資金的に無理のない運用を心がけることが大切です。
損失が出た場合は、自己資金から持ち出しになります。万一に備えて、ある程度の資金を手元に残しておき、損失を最小におさえることが大事です。
最小限の影響に留められるように準備しましょう。
企業経営者が不動産投資を成功させるヒント
ここでは不動産投資を成功させるためのポイントを解説します。
物件選びが不動産投資の成否をわける
不動産投資が成功するか否かは、物件選びの段階でほぼ決まってしまいます。そのため、物件選びは非常に重要です。
収益物件を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
立地や周辺環境のよい物件
物件を選ぶ際は、まず立地に注目しましょう。駅から近い物件は遠い物件に比べて入居者に選ばれやすいです。近隣に大きな商業施設や飲食店が多いエリアの物件も人気です。
なお車社外である地方都市や郊外の物件については、駅からの距離や商業施設が離れていても物件の敷地内に駐車場があれば大きな問題にはなりません。
また、入居ターゲット層がファミリーの場合は、子供が通う学校までの距離や夜間の安全性などを重視します。したがって、駅から近いなどの利便性よりも、住環境のよさが選ばれやすくなります。
逆に近隣に嫌悪施設(風俗街など治安の悪い通り、墓地、騒音や悪臭を発生させる工場など)がある物件は入居付けがむずかしくなることも多いため注意しましょう。
建物の傷みが少ない物件
物件の建物の状態が悪いと、購入してから多額の修繕費がかかるおそれがあるため注意が必要です。
又築古物件の場合は間取りや設備などが古く、リノベーション費用が必要になることも多いです。
相場よりも価格が高い物件は避ける
不動産投資で失敗する原因のひとつが、相場以上の価格で物件を購入することです。
収益物件を購入する際は物件価格や賃料設定が妥当であるかかならず確認しましょう。
なお物件価格や家賃相場を調べる際は、不動産ポータルサイトなどで、同一エリア内で同じような条件の物件を検索すれば価格などを確認できます。
また、国土交通省が提供している『土地総合情報システム』を使って、過去の不動産取引価格情報を検索・確認してもよいでしょう。
利回りに注意する
利回りとは、投資額に対してどれくらいのリターンがあるのかを数値化したものです。
物件の収益力を計る際の重要な指標のひとつになります。
ただし、物件情報などに記載されている利回りは、単純に年間の家賃収入を不動産の購入価格で割っただけの「表面利回り」です。経費などが反映されていないため、高い数字のことも多いですが、実際の運用時の利回りの参考にはならないため、注意しましょう。
物件を比較したり、キャッシュフローを確認したりする際は、経費が反映された「実質利回り」を参考にしましょう。
関連記事:不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較
関連記事:不動産投資の利回り最低ラインを物件種類別に紹介!加味すべき点も
適切なリスク対策をおこなう
不動産投資には特有のリスクがいくつか存在しますが、それらリスクの内容を把握したうえで適切な対策をおこなうことで、損失を最小におさえることにつながります。
ここでは、不動産投資のおもなリスクと対策方法について紹介します。
空室リスク
不動産投資は入居者が支払う家賃がおもな収入源となります。そのため入居者がいない空室状態がつづくと収入が減ってしまいます。
空室をできるだけ早く埋めるために、入居付けに強い管理会社に入居者募集を委託するとよいでしょう。
とくに繁忙期に埋まらなかった物件は入居者が決まらず苦労するかもしれません。その場合は「広告料(AD)」と呼ばれるインセンティブを支払うなどして、優先的に入居付けしてくれるようお願いするとよいでしょう。
家賃滞納リスク
家賃滞納は対応が遅れればそれだけ家賃の回収がむずかしくなります。また強制退去や裁判まですすんでしまうと時間や費用もかかってしまいます。
家賃滞納防止には、入居条件として入居者に家賃保証会社と契約してもらうにがおすすめです。家賃保証会社は、契約した入居者が家賃を滞納した場合、家賃を立て替えてくれるだけでなく督促をおこなってくれるため、非常に心強い味方になるでしょう。
修繕費リスク
新築で購入した不動産物件であっても、経年とともに建物は劣化していきます。そうなると家賃の下落や空室率が上昇するため、その対策として定期的なメンテナンスや大規模修繕をおこなう必要があります。
一連の修繕費用やメンテナンス費用は、必要な時期に必要な修繕とメンテナンスがおこなえるよう、あらかじめ収支計画に組み込んでおきましょう。
とくに一棟物件の大規模修繕費用は、建物の屋根や外壁の塗装、上下水道配管の取換えなどの費用がかかるため、毎月の家賃収入から大規模修繕費用を積み立てておくことをおすすめします。
災害リスク
地震や風水害、火事などの災害を完全に防ぐことはむずかしいですが、あらかじめ物件所在地周辺のハザードマップを調べることで、災害被害の高いエリアを避けることにつながります。
また、複数の不動産物件を所有する場合は、それぞれ違うエリアに物件を所有することでリスクの分散につながります。
なお、万が一被害に遭った場合に備えて、かならず火災保険や地震保険に加入しましょう。
信頼できる管理会社を選ぶ
優秀な管理会社の損失も、不動産投資の成功には欠かせません。
物件の管理や入居付けだけでなく、不動産投資全般の相談に乗ってくれるような信頼できる管理会社(担当者)を見つけましょう。
ただし、委託した管理会社が入居付けに消極的な場合。次の入居者がなかなか決まらなかったり、建物の管理や清掃が雑だったり、入居者のクレーム対応に時間がかかってしまうと、入居者の満足度が下がり退去されてしまうおそれがありません。
そうならないためにも管理会社を選ぶ際は、「入居者に長く住んでもらえるよう管理してもらえるか」と「退去後すぐに入居付けができるか」について、十分吟味する必要があります。
管理会社を選ぶ際は、会社の雰囲気を確かめるつもりで直接訪問し、管理物件の入居率・空室率などの実績の確認などをおこなうとよいでしょう。
不動産投資の基礎知識を身につける
不動産投資をはじめるにあたって、まずは不動産投資の基礎知識を学びましょう。なにも知らずに不動産投資をはじめてしまうと、物件選びの段階でつまずいてしまう可能性もあるため注意が必要です。
不動産投資の勉強は、市販されている書籍を読んだり、インターネットで情報を集めたり、不動産投資セミナーへ参加するのもおすすめです。
自分にあった勉強方法で、少しずつ不動産投資の知識を身に付けていきましょう。
まとめ
企業経営者が不動産投資をおこなうことで、本業のリスクヘッジにつながったり、節税につながったり、所有する物件を社員寮に利用したり、サラリーマン大家さんでは得られないメリットがあります。
しかしその一方で収入が安定しない場合は融資審査に通過できない可能性や、不動産投資が本業の資金調達に悪影響を及ぼすおそれがあるなど、注意すべき点もいくつかあります。
本業の会社経営のリスクヘッジのためにも、ぜひ不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。