サラリーマンが銀行の不動産投資ローンを利用する際の注意点を解説
サラリーマンが不動産投資に向いていると言われるのは、銀行から融資を受けやすい属性だからです。また本業が忙しくても、物件の管理を外部に委託することで、管理にかける時間や手間を省くことも可能です。
今回は、サラリーマンが不動産投資に向いていると言われる理由について解説します。また不動産投資をおこなう際の注意点を紹介します。
これからサラリーマン大家さんを目指そうとしている人は、ぜひ参考にしてください。
サラリーマンが不動産投資に向いていると言われる理由
なぜ「サラリーマンが不動産投資に向いている」と言われるのでしょうか。それには、しっかりとした理由があります。ここではその理由を解説します。
理由①サラリーマンは銀行から融資を受けやすい
サラリーマンが不動産投資に向いていると言われる最大の理由は、銀行から融資を受けやすいためです。
不動産投資をおこなうにあたって、ほとんどの人が銀行で不動産投資ローンを利用します。しかし不動産投資ローンを利用するためには、銀行の融資審査を通過しなくてはなりません。
投資用不動産のローンのおもな返済原資は家賃収入です。そのため購入対象となる不動産の収益性が非常に重要になりますが、同時にローン申込者の「個人属性」も審査の判断基準になります。
個人属性とは、金融機関が融資審査をおこなう際に「貸したお金をきちんと返済してくれるかどうか」を判断するために評価する、年収や勤務先など経済力に関連する情報のことです。
一般的に、次のような個人属性の人を「属性が高い」といい、融資審査に通りやすい傾向です。
◦安定した収入がある
◦勤続年数が長い
◦勤務先が安定している(上場企業や公務員)
◦高収入である
毎月決まった額の収入があるサラリーマンは、ローンの返済能力が高い「高属性」とみなされやすいです。優良企業に長年勤務していれば年収も高くなり、融資条件が有利になる可能性もあります。
このようにサラリーマンは融資審査の際に重視される属性が高いことから不動産投資の融資審査に通りやすく、そのため「サラリーマンが不動産投資に向いている」と言われるのです。
実際、不動産投資の融資審査を楽に通過していたサラリーマンが、会社を退職したら融資審査が厳しくなったという話もあります。
不動産投資をはじめるのであれば、サラリーマンのうちに不動産投資ローンを利用して一棟アパートや区分マンションなど収益物件を購入しておくとよいでしょう。
理由②一時的な赤字に対応しやすい
前述したように、投資用不動産のローンのおもな返済原資は家賃収入です。そのためローンの返済は家賃収入からおこなうのが基本です。
しかし空室によって家賃収入が減少したり、設備が故障して予期せぬ支出を強いられたり、キャッシュフローが悪化してしまうとローンの返済がおこなえなくなる場合もあります。
しかし毎月安定した給与を得られるサラリーマンであれば、一時的な赤字に給与をあてることもできるでしょう。
おなじ状況であっても、毎月の収入が安定しない職業の場合、手元の資金を持ち出してローン返済をおこなうことになりますが、資金がない場合はローンの返済が滞ってしまうおそれもあります。
このようにサラリーマンは、一時的な赤字を給与でカバーすることもできるため、不動産投資に向いていると言われているのです。
理由③不動産投資は副業とみなされない
昨今は、社員の副業を認める企業も増えていますが、引き続き副業はNGという会社もまだまだ多いです。
しかし不動産投資は副業とみなさない企業が多く、副業禁止の企業に勤めていても不動産投資であれば就業規則に違反することなく副収入を得ることが可能なのです。
ただし、不動産投資の規模や収益物件の種類によっては副業とみなされるケースもあるため注意しましょう。
このような場合は勤務先の就業ルールなどに従う必要があるため、まずは勤務先の就業規則を確認することをおすすめします。
関連記事:家賃収入は副業にあたらない?会社員の不動産投資で注意するポイント
h4不動産投資が副業とみなされるケース①:事業的規模である
「不動産投資は副業にあたらない」とされる一方で、運用する収益物件数によっては「事業的規模」とみなされ、副業と判断されるケースがあります。
なお事業的規模かどうかの判断は、戸建てなどの家屋がおおむね5棟以上、またはマンションやアパートの部屋数がおおむね10室以上である「5棟10室」が基準となります。
このような場合は勤務先の就業ルールなどに従う必要があるため、まずは勤務先の就業規則を確認することをおすすめします。
家賃収入が副業とみなされるケース②:不動産収入が年間500万円以上
不動産収入が高額になった場合、副業とみなされる可能性があります。副業とみなされ収入は各企業の就業規則によりますが、500万円以上が目安になります。
前述した5棟10室と同じように、不動産収入に上限があるかどうか就業規則を確認しておきましょう。
家賃収入が副業とみなされるケース③:旅館やホテルを経営している
旅館やホテル、娯楽施設などの不動産を所有・運用している場合は副業に当たる可能性が高いです。
旅館やホテル経営をおこなうサラリーマンは少ないかもしれませんが、念のため就業規則で副業にあたるかどうか確認するとよいでしょう。
理由④管理委託できるので本業に影響しない
賃貸経営をおこなうにあたって、物件管理や入居者管理は欠かすことができません。入居者のクレームは退去につながりかねませんし、空室ができれば早急に入居者募集をおこなう必要があります。
賃貸経営の管理業務は想定以上に仕事が多く、本業を持つサラリーマン大家さんには、時間的にも体力的にもむずかしいと言えるでしょう。
しかし不動産投資では、収益物件の管理全般を外部に委託できます。そのためサラリーマン大家さんは所有する賃貸物件を自主管理せずにすみ、本業に悪影響を及ぼす心配もありません。
このように管理を外部委託することで時間や手間がかからない点は、忙しいサラリーマンにもおすすめです。
不動産投資でサラリーマンが銀行から融資を受けられる年収はいくら?
不動産投資でサラリーマンが銀行から融資を受けるためには、一定額以上の年収が必要と言われています。ただし必要な年収額は銀行によってさまざまです。
なかには融資申し込みの条件に年収が1,000万円以上と記載している金融機関もありますし、年収200万円以上という金融機関もあります。
また金融機関の融資の可否は、個人属性(年収や勤務先、金属年数、資産や借入状況・返済状況など)と融資対象物件の収益性によって大きく左右されます。
さらに融資審査の基準は金融機関によって異なります。
実際、同じ条件で融資申し込みを別々の銀行にしたところA銀行からは断られたが、B銀行の審査は通過したという例もあります。
以上の点から、「銀行から融資を受けるためには最低年収〇〇万円必要!」とは言い切れません。また不動産投資の融資の可否は、個人の年収だけで決まるわけではないということです。
ただし、年収によって銀行の融資審査の難易度が異なり、利用できる銀行もほぼ絞られます。
重要なのは、収益力のある優良物件を見つけたうえで、自分の年収に見合った複数の銀行に融資申し込みをおこなうことです。
サラリーマンが年収別に利用できる銀行について、それぞれの難易度や特徴を紹介します。
メガバンク(都市銀行)
大都市に本店を構え、日本全国に支店を置き、広域で展開している銀行です。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が該当します。
今回紹介する銀行のなかで不動産投資ローンの融資審査が一番きびしいのが、このメガバンクです。融資資産が厳しいだけでなく、融資申し込み可能年収も1,000万円以上としているなど、非常に融資のハードルが高いといえます。
その一方で、ローン金利は低く、金利目安は1.0%~1.5%程度です。融資条件を満たしているのであれば、好条件で不動産投資ローンを利用できるチャンスです。
地方銀行
全国の大・中都市に本店を置き、本店所在地の都道府県内を営業基盤とする銀行です。「横浜銀行」や「千葉銀行」など、都道府県や都市・エリアの名称を使用していることも多いです。
地方銀行の営業エリアは、本店を置いた都道府県内が基本であり、融資を受けるには、所有者の住まいや物件所在地が対象エリア内であることなどが条件というケースが多いです。
金利は各地方銀行によってさまざまです。メガバンクと同等の金利の低い地方銀行もありますが、その場合は融資審査もきびしいことが予想されます。
なお融資申し込み可能年収は、700万円以上が目安となります。
信用金庫・信用組合
信用金庫や信用組合は非営利法人です。営業エリアが金融庁によって定められており、地方銀行の営業エリアよりも、さらに狭い地域を営業区域にしています。
融資を受けるには、物件の所在地や申込者の住所がその支店の管轄地域にあることが条件です。金利は地方銀行とほぼ同じですが、融資審査は地方銀行よりも緩いことがほとんどです。。
融資申し込み可能年収は年収500万円程度からですが、融資の判断基準は各信金・信組、独自でおこなわれるため、融資を受けられるチャンスも十分あるでしょう。
ノンバンク
預金業務はおこなわず、貸付業務のみをおこなう信販会社やクレジットカード会社、消費者金融系の銀行です。「クレディセゾングループ」や「ジャックス」などが該当します。
各社によって融資基準は異なりますが、ノンバンクの融資審査はゆるめです。年収が400万円以下でも融資申込が可能な場合も多く、他行で融資を断られても、融資を受けられる可能性があります。
ただし金利は、今回紹介した銀行のなかで一番高いです。月々のキャッシュフローに余裕がない場合は赤字になりやすいため、収支シミュレーションを念入りにおこなったうえで、無理のない範囲でローン返済をおこなうことが大事です。
日本政策金融公庫
政府系金融機関である日本政策金融公庫(日本公庫)は、民間金融機関では融資できない小規模事業や、女性や若年層・シニア層への融資を積極的におこなっています。また金利がメガバンク並みに低く設定されています。
民間金融機関に比べて融資期間が短いなどのデメリットはありますが、低属性の人でも好条件で融資を受けることも可能です。
関連記事:日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?
サラリーマンが銀行の不動産投資ローンを利用する際の注意点
ここではサラリーマンが銀行の不動産投資ローンを利用する際に注意すべきポイントについて解説します。
物件はかならず現地確認をおこなう
昨今は、不動産ポータルサイトなどから収益物件を探すことが増えています。
各売却物件には写真や動画が沢山アップされており、詳細な説明がされているケースも多く、実際に物件を見なくても大丈夫と思うかもしれません。
しかし物件を選ぶ際は、かならず現地確認をおこなうことをおすすめします。それに写真や動画だけでは物件周囲の環境などはわかりません。
また、画像ではきれいに見えても、画像に写っていない箇所は傷みがひどいケースも考えられます。
売買契約締結後に実際に物件を見て後悔しないためにも、物件を選ぶ際は遠方であってもかならず現地へ行き、物件及び周辺環境をこまかくチェックすることが大事です。
高利回り物件に注意する
投資用物件を検討する際、重要な指標のひとつが利回りです。できるだけ多くの収益を得るためには、少しでも利回りが高い物件を選びたいと思っている人も多いでしょう。。
しかし、利回りだけで物件を決めてしまうと思わぬ失敗につながるケースもあるため注意が必要です。
とくに相場よりも利回りが高すぎる場合は、なんらかの原因で物件価格が安く設定されている可能性が高いです。
たとえば建物や設備の傷みがひどく多額の修繕費が必要だったり、そもそも賃貸需要がないエリアだったりすることも考えられます。
ごくまれに、売主ができるだけ早く現金化したいがために価格を下げて売却するケースもありますが、基本的に高利回り物件は「高利回りの理由」を明らかにしたうえで購入するかどうか判断することをおすすめします。
まとめ
不動産投資はサラリーマンにとってメリットの多い投資方法です。本業の安定した収入から「高属性」にみなされやすく、銀行から融資を受けやすいのがメリットです。
またサラリーマンが銀行から融資を受ける際は、年収に見合った種類の銀行を選ぶことで、より融資を受けられる可能性が高まります。
なお、サラリーマンを辞めてしまうと属性が下がり、融資を受けにくくなってしまいます。転職を考えている場合は、融資審査に通りやすいサラリーマンのうちに収益物件を購入しておくことをおすすめします。