2023年問題や2025年問題は今後の不動産投資にどう影響するか?
「2023年問題」は、世帯数の増加の2ピークを迎えた2023年を境に、その後は減少していくことで発生する不動産投資に対する懸念点はどのようなことが考えられるのでしょうか。
「2025年問題」は、団塊の世代が後期高齢者となることで訪れる超高齢社会で生じる、さまざまな影響を指します。また同年におこなわれる大阪万博開催に伴った地価上昇の可能性に関しても懸念の声が上がっています。
今回は、2023年問題や2025年問題が不動産投資にどのように影響するのか取り上げたいと思います。
2023年問題とは?
日本の人口は2004年をピーク(12,784万人)に減少しています。人口の減少はさらにつづき、2050年には9,515万人まで減少すると予想されているのです。
引用:総務省『我が国における総人口の長期的推移』
しかし、これまでは人口が減少する一方で、世帯数は増加傾向にありました。ところがこの世帯数のピークは2023年といわれており、その後は減少していくと予想されています。
これが不動産業界でいうところの「2023年問題」です。
引用:総務省『我が国における総人口の長期的推移』
世帯数が減少することで住宅需要が減少し、需要よりも供給が上回ることで不動産価値の下落など、不動産投資にも影響が出ることが懸念されているのです。
ただし、不動産投資への影響は地域によってさまざまです。若者が多い都市部は比較的影響が少ないと予想されています。
2023年問題が不動産投資にどう影響するのか?
前述したように、2023年から世帯数は減少していくと予想されています。
では、世帯数が減ることで不動産投資にはどう影響するのでしょうか。
ここでは、世帯数が減ることで想定される事象をまとめました。
家賃下落リスク
世帯数が減少することで賃貸需要も減り、その結果、家賃下落リスクが高まると予想されます。
さらに人口の減少も続く場合はさらに需要が減り、空き家が大量に増加するでしょう。
もし不動産を所有する地域に空き家が増えれば、空室対策として賃料を下げるなど対策をおこなう必要が出てきます
賃料が下がれば不動産収入が減少する可能性もあり、そうなるとキャッシュフローの悪化し月々のローン返済への影響が懸念されます。
ローンの返済ができなければ、最悪の場合、物件を差し押さえられてしまいます。
人口や世帯数の減少は、想定した以上に不動産投資に大きな影響を与えるかもしれません。
首都圏の人口の減少は比較的緩やか
日本全体の人口及び世帯数は減少していますが、東京だけは例外です
令和4年5月1日現在の東京都の人口は、推計で14,016,946人でした。前月と比べると、総数では21,477人(0.15%)増加しています。
地方都市の人口は減り続けていますが、その地方都市から都心部へ移動する人が増えていると考えられます。
その結果、東京都心部にかぎっていえば、不動産需要が高まる可能性が考えられるでしょう。
したがって、これから不動産投資を検討している場合は、できるだけ都心部を選ぶことが重要になりそうです。
東京都内に大量の大規模オフィスビルが竣工
2023年には、大規模オフィスビルが東京都内に次々と竣工しました。それによって、都心部のオフィスビルの供給過多になり、とくに竣工したばかりのオフィスビル周辺の既存ビルについては、空室率の上昇や賃料下落が懸念されています。
しかし、既存ビルだけでなく、竣工したばかりの好立地に建つ新築の大型オフィスビルも例外ではないようです。
オフィスビルのオーナーにとっては、これらきびしい状況がしばらく続くとの見通しもあります。
2025年問題とは?
2025年問題とは、団塊の世代が後期高齢者となる問題と大阪万博開催に伴う問題です。
2025年には、約800万人いる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になります。
高齢者が増加することで、以下のような問題の発生が懸念されています。
不動産需要の低下
高齢者が増えることで住み替えや引越しをする人が減り、不動産需要が低下するのではないかといわれています。
また2033年の空き家率は30%を超えるともいわれています。多数の空き家と不動産需要の低下が相まって、新たな不動産需要が生まれにくくなると予測されています。
高齢者の増加による変化
高齢者が増えることで以下のようなことが起きやすくなります。
◦自治体の予算の減少
◦交公共施設の老朽化
◦複数の公共施設の統合
一見、大きな問題には見えないかもしれませんが、地域から学校や図書館、行政施設や公共サービスが減ってしまうと、その地域に住もうと思う人も減ってしまいます。
住む人が減るということは、その地域の不動産需要も減ってしまうのです。
こういった地域の縮小化をとどめようと、すでに積極的に施設の統合を進めている自治体も存在しますが、このような問題は少子高齢化がより顕著な地方ほど深刻です。
今後、どのようにコミュニティを作り上げていくのか注目したいと思います。
大阪万博の開催にともなう2025年問題
2025年開催が予定されている「大阪万博」ですが、開催地を中心に周辺都市部の不動産価格が上昇すると予想されています。
「不動産価格が上がれば景気がよくなるので悪くないのでは?」という考え方もありますが、万博イベント終了後、反動によって価格が暴落してしまうのではという懸念の声が上がっているのです。
ただ、2021年に開催された東京オリンピックに関しては、今のところ不動産価格は上昇傾向が続いています。
大阪万博をきっかけに不動産市場にもよい影響を与える可能性に期待する一方で、世界的なインフレなどによるさまざまなリスクも無視できません。
まとめ
不動産投資について、2023年問題や2025年問題から見える問題点を取り上げました。
人口だけでなく世帯が減少しはじめたことで、今後はさらに不動産投資業界の縮小が懸念されます。
また高齢者の増加で、空き家の増加など問題点は多いと考えられます。
これからの不動産投資は、ますます投資エリアの選定が非常に重要になることは間違いないでしょう。