不動産投資とインデックス投資はどっちがよい?それぞれの特徴を解説
資産運用に興味のある人のなかには、「不動産投資とインデックス投資、自分に向いているのはどっち?」と悩んでいる人もいるかもしれません。
そこで今回は、不動産投資とインデックス投資について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
自分に合う投資方法を見つける際の参考にしてください。
インデックス投資の特徴やメリット・デメリット
インデックス投資とは、特定のインデックス(=市場の値動きを示す指数)に連動した値動きをめざす投資方法をいいます。
投資対象となるインデックスにはさまざまな種類があり、おもに投資信託(インデックスファンド)を購入して長期保有するのが一般的です。
代表的なインデックスには、以下のようなものがあります。
◦日本株式:日経平均株価(日経225)、東証株価指数(TOPIX)
◦米国株式:NYダウ(ダウ平均株価)、S&P 500指数
◦外国株式:MSCI-KOKUSAI
◦国内債券:NOMURA-BPI総合
◦外国債券:FTSE世界国債インデックス
◦国内REIT:東証REIT指数
◦外国REIT:S&P先進国REIT指数
インデックス投資のメリット
インデックス投資には以下のようなメリットがあります。
◦分散投資しやすい
◦手数料が安い
◦少額ではじめられる
◦手間がかからない
それぞれについて解説します。
分散投資しやすい
インデックス投資は分散投資をしやすいのがメリットになります。
投資では、リスクをおさえるために、ひとつの商品だけで運用するのではなく、複数の銘柄を組み合わせて分散投資をおこなうのがおすすめです。
インデックス投資は、ひとつのファンドで分散投資をおこなっているものもあるため、分散投資がおこないやすいです。
また以下のように分類別に分散投資を検討することもできるでしょう。
◦資産の種類による分散:日本株式、外国株式、日本債券、外国債券、J-REIT、外国REI 他
◦エリアによる分散:全世界、北米、ヨーロッパ地域、アジア・パシフィック地域 他
◦国別の分散:新興国、先進国。個別国(日本、中国、アメリカなど)
手数料が安い
投資信託の保有や売買をおこなう場合、購入手数料や信託報酬などの手数料が発生するため、売買するたびにコストがかかるのが一般的です。
しかしインデックス投資はほかの投資信託よりも比較的手数料が安く、また「ノーロード」といわれる販売手数料無料の商品も多いため、コストを気にせず売買ができることがメリットです。
信託報酬も全体的に安く、長期保有したとしても保有コストをおさえることができます。
少額ではじめられる
株式に投資する場合、通常は100株単位で株を購入する必要があります。
しかしインデックス投資は、証券会社によっては最低100円からインデックスファンドを購入することもできます。
また、つみたてNISAでインデックスファンドを購入することも可能です。
まずは小額からはじめて価格変動に慣れ、その後資金を追加していくという方法ができるため初心者にもおすすめです。
手間がかからない
インデックス投資は、インデックスファンドを購入して長期保有するだけなので、株式やFXのように購入予定の銘柄を調べたり、売買のタイミングを計るために頻繁に価格を見たりする必要もありません。
毎月同じ金額を積み立てる場合は一度設定すれば手間がかからないので、日中は仕事で忙しいサラリーマンにもおすすめです。
インデックス投資のデメリット・リスク
メリットの多いインデックス投資ですが、次のようなデメリットやリスクもあるため注意が必要です。
◦元本割れのリスクがある
◦大きなリターンを期待できない
◦投資経験が身に付きにくい
それぞれについて解説します。
元本割れのリスクがある
インデックス投資は、ほかの投資に比べて比較的安全といわれていますが、投資である以上リスクはあります。
インデックス投資にかぎらず、ほとんどの金融商品は元本保証がされていません。そのため市場などの状況によっては元本割れのリスクがあります。
投資をはじめる際は、こういったリスクがあることを十分理解しておくことが重要です。
大きなリターンを期待できない
インデックス投資は、ローリスク・ローリターンの投資といわれています。リスクが低い代わりに大きなリターンも期待できません。
インデックス投資は、長期的な運用で安定した利益を得るのに適した投資手法です。
そのため短期間で大きな収益を得たい人には向きません。
投資経験が身に付きにくい
前述したように、インデックス投資のメリットのひとつが、手間がかからないことです。
しかし手間がかからない一方で、投資の経験を積みにくいのがデメリットでもあります。
一般的な株式投資などでは、株式を売買するにあたって、その企業の財務状況や業績を調べたり、値動きをチェックしたりするうちに、株の知識だけでなく、経済や財務の知識も身につけることが可能です。
しかしインデックス投資は、プロのファンドマネージャーに分散投資を任せているため、投資家自身の投資経験が身につかないのです。
不動産投資の特徴やメリット・デメリット
不動産投資とは、不動産を購入し、それを第三者に貸し出して賃料を得ることを目的とした投資方法です。
賃貸する不動産の種類には以下のようなものがあります。
◦アパートやマンションなどの一棟物件
◦区分所有マンション
◦オフィスビル
◦テナント
◦駐車場
◦倉庫
◦コインランドリー 他
また不動産投資で得られる収入は2種類あります。
ひとつ目は、前述したように不動産を第三者に賃貸して得る家賃収入(インカムゲイン)です。
もうひとつは、不動産を売却して得る売却益(キャピタルゲイン)です。
家賃収入は、短期間で大きな利益を出すことはできませんが、入居者がいれば毎月一定額の家賃を長期にわたって得ることが可能です。
売却益はまとまった金額を受け取ることが可能です。ただし、キャピタルゲインを狙っておこなう不動産投資は、売却益が見込める不動産を選んだり、不動産の値動きを予測したりしなければならず、初心者には非常にハードルが高いといえるでしょう。
また購入時の金額よりも売却額が安い場合は、「売却損(キャピタルロス)」になる場合もあります。
そのため、はじめて不動産投資をおこなう人には、売却益を狙うよりも家賃収入をしっかり得られる物件を選ぶことをおすすめします。
不動産投資のメリット
不動産投資のメリットは、ほかの投資にはない特徴的なものも多いです。ここでは以下のような不動産投資のメリットについて解説します。
◦定期収入が得られる
◦レバレッジを効かせた投資がおこなえる
◦生命保険代わりになる
◦節税効果が期待できる
定期収入が得られる
不動産投資は入居者がいるかぎり、毎月家賃収入を得ることができます。ようするに安定した定期収入を得られるのです。
ただし、家賃は急激に上昇することはまずないため、インカムゲイン中心の不動産投資をおこなう場合は短期間で大きな利益を得ることはむずかしいです。
その代わり、空室リスクが少ない入居者ニーズが高い物件であれば、長期間にわたって安定した家賃収入を得られるのが、不動産投資のメリットのひとつといえるでしょう。
レバレッジを効かせた投資がおこなえる
「レバレッジ」とは「てこの原理」という意味で「小さな力で大きなモノを動かす」ことを指し、不動産投資では「少額の自己資金で大きな収益を得る」といった意味で使われます。
不動産投資では、収益物件の購入費用は金融機関から融資を受けるのが一般的です。
そのため自己資金の何倍もの投資をおこない利益を得ることができるのです。
生命保険代わりになる
不動産投資物件の購入時に不動産投資ローンを利用する場合、金融機関から「団体信用生命保険(団信)」への加入を求められることがあります。
団信とは生命保険の一種で、団信加入者が亡くなったり、高度障害などで働くことができなくなったり、万が一のことがあった場合は保険金からローン残債すべてが返済される仕組みです。
遺族は無借金で残された収益物件を相続でき、物件に入居者がいる場合は被相続人に代わって家賃収入を得ることができますし、売却してまとまった現金を得ることも可能です。
このように不動産投資をおこなうことで、生命保険代わりになるのです。
関連記事:不動産投資のがん団信の仕組みを解説!メリット・デメリット・注意点
節税効果が期待できる
不動産投資では、所得税や住民税の節税効果が期待できます。
収益物件の建物や設備などの固定資産は、定められた耐用年数に従って分割し、費用の計上を数年にかけておこないます。
これを「減価償却」といい、計上される費用は「減価償却費」と呼びます。
減価償却費は実際の出費はないにも関わらず経費計上できる費用です。そのためキャッシュフローは黒字でも、減価償却費を計上することで帳簿の上では経費が増え、利益が減ります。
すると課税対象となる所得額も減少するため、結果として節税につながるのです。
また、サラリーマンなど本業を持つ人が不動産投資をおこない、不動産所得が赤字だった場合は、給与所得と赤字の不動産所得を合算する「損益通算」がおこなえます。
損益通算をおこなうことで給与所得から不動産所得の赤字が差し引かれ、課税対象となる所得額が減少するため、結果的に節税につながるのです。
関連記事:不動産投資で節税できる仕組みや理由を税金の種類別に詳しく解説!
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管理業務を委託できるので手間がかからない
不動産投資では、賃貸物件の建物管理や入居者管理など、必要に応じて管理業務をおこなわなければなりません。しかし、すべての業務を大家さん自身でおこなうには負担が大きいです。
とくにサラリーマンなど本業を持っている大家さんは、本業の仕事と物件の管理を両立するのはむずかしいでしょう。
しかし不動産投資では、不動産管理会社に物件管理全般を業務委託することができます。そのため本業で忙しいサラリーマン大家さんでも、少ない負担で不動産投資がおこなえるのです。
なお、管理業務を委託する際は、家賃額の5%~8%程度の業務委託料が必要になります。
関連記事:不動産投資で業務委託できる管理内容を解説!メリットと注意点も
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不動産投資のデメリット・リスク
不動産投資にもデメリットやリスクがありますが、対策できるものも多いです。そのため事前に対策をおこないリスクを最小限におさえることも可能です。
不動産投資のおもなデメリットやリスクは以下のようになります。
◦空室リスク
◦災害リスク
◦流動性が低い
それぞれについて解説します。
空室リスク
不動産投資をおこなううえで、切っても切り離せないのが空室リスクです。
不動産投資では、空室で入居者がいない場合は家賃を得ることができず、収益が下がってしまいます。
そのため必要に応じて、空室対策をおこなう必要があります。
もっとも有効な空室対策は、不動産投資をはじめる前の物件選びの段階で、賃貸ニーズの高いエリアの好立地物件を見つけることです。
また長年不動産投資をおこなっていると、建物の老朽化などが原因で空室が増える傾向にあります。その場合は、最新設備を追加したり、人気の間取りにリノベーションしたり、入居者ニーズを満たすことで新規入居者を獲得しやすくなります。
ただし、設備の追加やリノベーションには費用がかかるため、費用対効果を見きわめる必要があるでしょう。
災害リスク
地震や火災、台風などの風水害によって建物に損害が生じるリスクです。
大きな災害にあってしまうと不動産投資がおこなえなくなったり、高額な修繕費が発生したり、さまざまなデメリットが想定できます。
できるだけ災害を避けられるよう、各種ハザードマップなどを活用し、なるべく被害が少ないエリアの物件を選ぶとよいでしょう。
また万が一に備えて、火災保険や地震保険に加入しておきましょう。
関連記事:不動産投資のおもな8つのリスクの対策方法をわかりやすく解説!
流動性が低い
不動産は流動性が低いのがデメリットです。
不動産を売りたくても買手が見つからず、売るに売れないということもあります。
また購入希望者が現れても、融資審査を経て売買契約締結するまで時間がかかります。
物件をできるだけ好条件で売却したい場合は、売却を前提とした物件を選びましょう。
不動産投資とインデックス投資はどっちがよい?それぞれに向いている人とは?
インデックス投資と不動産投資のどっちがよいかは、それぞれ一長一短があるため、自分の性格やニーズに合った投資方法を選ぶことが大事です。
ここでは、それぞれの投資がどのような人が向いているのか解説します。
インデックス投資に向いている人
インデックス投資に向いているのは次のような人です。
◦なるべく投資に時間や手間をかけたくない人
◦少額の資金から投資をはじめたい人
◦大きな借金を負うのに抵抗がある人
◦ローリスクでゆっくりと資産を増やしたい人
インデックス投資の魅力は、インデックスファンドを所有するだけで手間がかからず、少ない資金ではじめることが可能な点です。
またインデックス投資は時間をかけて資産を大きくする投資方法です。そのため、なるべく低いリスクで将来的に必要となる資金(自身の老後資金や子供の教育資金など)を増やしたい人におすすめの投資方法といえるでしょう。
不動産投資に向いている人
不動産投資に向いているのは次のような人です。
◦多額の借入に抵抗がない人
◦給与以外に毎月一定額の収入を得たい人
◦ある程度リスクを受け入れられる人
◦事業を拡大したい人
不動産投資の魅力は、金融機関から借入れをおこない、レバレッジを効かせた投資がおこなえる点です。しかし、高額な不動産を購入するためには、借入金の額もかなり大きくなります。
そのため大きな額の借金に抵抗がなく、また不動産投資における、ある程度のリスクを受け入れられる人が不動産投資に向いています。
また定期的に一定額の収入を増やしたい人や、今後不動産投資で事業を大きくしたいと考えている人にもおすすめです。
まとめ
不動産投資とインデックス投資について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説しました。
どちらも一長一短あるため、「こちらがよい」と言い切ることはできません。
しかし、それぞれのメリットとデメリットを比較することで自分のニーズに合う投資方法が見えてくるのではないでしょうか。
満足できる投資方法を見つけるためにも、ぜひ当記事を参考にしてください。