不動産投資で別荘の有効活用方法とは?メリット・デメリットを解説
せっかく観光地やリゾートに別荘を持っていても生活環境などの変化により長期間利用していなかったり、別荘を相続してしたが使わないままだったりするケースもあるでしょう。
しかし使っていない別荘であっても不動産を所有している以上、固定資産税をはじめ、さまざまなコストが発生します。
そのため「別荘がもったいないから貸し出したいが、どうすればよいのだろう?」と考えているオーナー様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は不動産投資で別荘を活用する「別荘投資」について解説します。また別荘を貸し出すメリット・デメリット、注意点も紹介します。
不動産投資の「別荘投資」とは
別荘投資とは、オーナーが所有している別荘やセカンドハウスを第三者に貸し出して賃料や宿泊料を得る不動産投資方法のひとつです。
別荘やセカンドハウスを所有していても実際に使用するのは年間を通して多くても100日程度が一般的といわれており、なかには1年のうち利用する期間は1ヶ月程度というオーナーも少なくありません。
ようするに別荘やセカンドハウスを持っていても、稼働していない時間が大部分を占めているケースが多いのです。
しかし別荘などの不動産は使っていなくても所有していることで維持管理費や固定資産税などが発生します。
そのため「せっかくの別荘がもったいない」と感じていたり、費用が負担になり処分を検討したりする人もいるでしょう。
そこでオーナーが使用していない期間の別荘やセカンドハウスの有効活用方法として注目されているのが、「貸別荘」や「レンタルスペース」として第三者に貸し出す「別荘投資」です。
では別荘投資をおこなうことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
別荘投資をおこなうメリット
別荘投資をおこなう場合、以下のようなメリットがあります。
・収益化につながる
・無人の期間が減るので老朽化や不法侵入が防げる
・節税につながる
それぞれについて解説します。
収益化につながる
不動産である別荘は、たとえ使用していなくても所有しているだけで維持管理費や固定資産税など、さまざまなコストが発生します。
しかし、別荘をなんらかの形で第三者に貸し出せば賃料や宿泊料が得られ、収入を別荘の維持費などの支払いにあてることでコストの負担を軽減することにもつながります。
こにように別荘の未利用期間を上手に運用することで収益化も期待できるでしょう。
無人の期間が減るので老朽化や不法侵入が防げる
別荘に限らず、使用頻度が低い建物は換気不足や雨漏り、給排水管のサビなどが原因で劣化や傷みが早くなります。とくに山間部や海の近くの別荘地は都心よりも湿気が多いため注意が必要です。
また無人の期間が長くなることで不法侵入や放火などの被害も心配です。
しかし別荘を貸し出すことで建物内の空気が入れ替わり、給排水管も水が流れるので、建物の劣化がおさえられますし、人の出入りがあれば不法侵入や放火のリスクも減少します。
節税につながる
別荘を貸し出すことで、固定資産税や相続税の節税対策につながる可能性があります。
「小規模宅地の特例」を活用することで、200㎡以内の部分には固定資産税は1/6に、都市計画税は1/3に軽減することができます。
また別荘を貸し出すためにリフォーム費用や増築費用などを金融機関から借入れた場合、借入金をマイナ
ス資産として計上できるため、相続評価額がさらに減額されるメリットもあります。
別荘投資のデメリット
前述したように別荘投資をおこなうことで得られるメリットも多いですが、以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
・運営や管理に時間と手間がかかる
・好きなときに別荘を利用できない
・貸別荘が制限されている地域もある
・1日単位で別荘を貸し出す(旅館業・民泊経営)
それぞれについて解説します。
運営や管理に時間と手間がかかる
別荘を貸し出すためには、宣伝や問い合わせを含めた予約管理、利用者からのクレーム対応、利用後の清掃などが必要になります。
しかしこれらすべてをオーナー個人でおこなうには時間や手間がかかるため、管理会社などに外注するのが一般的ですが、そのためには委託費用が発生します。
また一般的な賃貸物件とは異なり、貸別荘などにする場合はレビュー管理も非常に重要です。そのため貸別荘の管理に慣れている管理会社を選ぶなど、注意が必要です。
好きなときに別荘を利用できない
別荘を貸し出す場合、オーナーであっても、あらかじめ別荘の利用日を決めて予約しておく必要があります。
たとえば、急に休みが取れたから明日から別荘を使いたいと思っても、予約が入っている場合は予約客が優先されます。
そのためオーナーであっても好きな日時に別荘を利用できないケースもあることを理解しておきましょう。
貸別荘が制限されている地域もある
所有する別荘を民泊や貸別荘として活用する場合、各自治体の条例によって営業ができる地域とできない地域が決められているため注意が必要です。
また地域によっては、別荘の貸し出しが認められるのは1ヶ月単位であり、短期宿泊がおこなえない場合もあります。
そのため別荘投資を検討する際は、まず民泊や貸別荘の営業が制限されているエリアではないか、貸し出しがおこなえる条件などを調べたり、専門家に確認したりしましょう。
また、これから貸別荘経営や民泊経営を目的に別荘の購入を検討している場合は、かならず不動産会社に確認したうえで物件を購入してください。
不動産投資で別荘を有効活用させる方法
ここでは使っていない別荘について、有効活用させる方法を紹介します。
貸別荘として活用する
「貸別荘」として第三者に貸し出すことで、賃料や宿泊料を得る方法です。ただし別荘の貸し出し期間の長さによって営業許可の取得が必要になったり、利用者との契約形態が異なったりすることもあります。
ここでは「年単位」「1ヶ月単位」「1日単位」で別荘を貸し出す際のメリットや注意点を解説します。
年単位で別荘を貸し出す
ほとんど使っていない別荘であれば、年単位で貸し出すのがおすすめです。別荘を賃貸物件として入居希望者に貸し出せば、毎月安定した家賃収入が期待できます。
また入居者が住居として利用するため、清掃などは入居者自身でおこなうのでオーナーの手間がかかりません。さらに入居者が物件を気に入れば、そのまま買い取ってくれる可能性もあります。
ただし別荘に第三者が居住することになるため、当然ですがオーナー自身は別荘を利用できなくなります。
なお、別荘であっても居住目的で賃貸する場合、立地によっては入居付けがむずかしいケースもあるため注意しましょう。
1ヶ月単位で別荘を貸し出す
1ヶ月単位で短期借家契約を結び、第三者に貸し出すこともできます。
1ヶ月単位で別荘を貸し出すメリットは、手軽に利用できるため立地によっては借り手がつきやすく、使用している別荘をそのまま貸し出すため初期費用が少ない点です。
また借手がいないときはオーナーの個人利用も可能です。
一方で、立地にもよりますが貸し出しできる時期はオンシーズンに集中するため、それ以外の期間は借り手がつきにくい点がデメリットになります。
そのため、オーナーが利用できるのは必然的にオフシーズンのみになりやすいことも覚えておきましょう。
なお貸別荘として営業するためには「旅館業許可」の取得が必要になることもあるため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
1日単位で別荘を貸し出す(旅館業・民泊経営)
民泊需要の高まりによって、別荘やセカンドハウスを1日単位で貸し出す旅館業や民泊経営も増えています。
ただし1日単位で別荘を貸すためには、旅館業許可や民泊の許可を取得する必要がありますし、条例で民泊が禁止されている地域もあるため注意が必要です。また許可取得にはさまざまな条件があり、リフォームが必要な場合もあります。
旅館業免許を取得すれば365日、民泊の場合は1年のうち180日の貸し出しができるため、大手の宿泊施設予約サイトに掲載すれば集客しやすくなるでしょう。
別荘を1日単位で貸し出すメリットは、大きな収益が期待できる点です。月単位で貸す短期借家契約に比べても、1日単位で貸し出すことで1ヵ月あたりの収益が大きくなります。
とくに知名度の高い観光地や保養地であれば旅館業経営がおすすめです。
なお旅館業許可を取得しておけば付加価値がつくため、売却時に有利にはたらく可能性もあります。
レンタルスペースとして活用する
別荘を時間単位で貸し出す「レンタルスペース」として活用する方法もあります。ビジネスの場合は、セミナー会場や会議室などに利用でき、プライベートの場合は、パーティー会場や撮影スタジオ、趣味の教室などに利用されるのが代表的な例です。
利用目的に合わせた備品の準備が必要になりますが、立地によって利用目的をある程度絞って用意するとよいでしょう。
不動産投資で別荘を活用する際の注意点
ここでは別荘を活用する際の注意点をまとめました。
収益性はあるか
別荘の建物がどんなに素晴らしくても、入居付けがしにくかったり、宿泊客を呼びにくかったりする立地やエリアでは収入を見込めません。
そのため、すでに所有している別荘を活用したい場合、まずは収益を見込めるかどうか検討しましょう。
これから別荘投資を検討している場合は、入居需要や宿泊需要が見込める立地やエリアの別荘を選ぶことが重要です。
なお収益性を調べる際は、賃貸需要やそのエリアに来訪する観光客の数、競合となる物件の家賃相場、宿泊施設の宿泊料や稼働率なども参考にしましょう。
とくに観光地はホテルや旅館、民泊の数が多いため、集客のための差別化などが必要となることも少なくありません。
「人気の観光スポットの近隣だから」などのざっくりとした理由だけでは集客できない場合もあるため注意が必要です。
別荘投資で成功するためにも、しっかりリサーチとシミュレーションをおこなったうえで物件を選びましょう。
災害リスクに備える
一般的な別荘地は自然の多い場所にあるため、都心部に比べて、台風や大雨、地震などによる土砂災害や津波などの自然災害に遭うリスクがあります。
そのため別荘を購入する際は、地域のハザードマップなどで過去の自然災害の履歴を確認し、できるだけ災害リスクの低いエリアを選びましょう。
ハザードマップとは、洪水や土砂災害、津波などの自然災害の履歴に基づき、対象となる地域で想定される災害リスクを予測した地図で、おもに以下のような種類があります。
◦洪水ハザードマップ
◦内水氾濫ハザードマップ
◦津波ハザードマップ
◦土砂災害ハザードマップ
◦地震災害ハザードマップ
それぞれのハザードマップは、各自治体のホームページや国土交通省の『ハザードマップポータルサイト』で確認できます。
ハザードマップについて詳しくはこちら!>>不動産投資でハザードマップの確認が重要!災害リスクの備え方
また万が一に備えて、火災保険や地震保険などに加入しておくことも大事です。火災保険は建物の火災被害の補償以外にも、おもに下記の被害に遭った際の補償を受けることも可能です。
◦落雷、風災、水災、雪災
◦水漏れ
◦盗難
なお地震保険は単体での加入はできません。火災保険とセットで加入する必要があるので注意しましょう。
火災保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!
収益が見込めない場合は売却の検討も
長期間使っていなかったなどの理由で老朽化した別荘を貸別荘として活用しようとした場合、リフォーム費用が高額になり、利回りが下がってしまうケースがあります。
その場合、貸別荘として貸し出すことでどの程度の収益が期待できるのか、リフォーム費用をどのくらいの期間で回収できるのかといった「費用対効果」を確認しましょう。
リフォーム費用が高額すぎる場合、もともと使っていない別荘であれば思い切って売却してしまうのもひとつの方法です。
現在でも別荘地として人気があるエリアや利便性の高い立地の場合は、売却できる可能性が高いです。
売却することで毎年の固定資産税などのコスト削減につながります。また空き家を所有するリスクがなくなるなどのメリットがあります。
建物が築古で別荘として売却できない場合、解体して更地にすることで買い手がつきやすくなるケースもあります。
まとめ
使用していない別荘を活用するには、貸別荘にしたり、レンタルスペースとして貸し出したりするなど「別荘投資」がおすすめです。
ただし貸別荘にする際は、貸し出し期間によっては、旅館業許可や民泊の許可を取得する必要があったり、条例で民泊が禁止されていたり、貸し出し期間に制限が設けられている地域もあります。
さまざまな情報を確認したうえで、別荘を有効活用する最適な方法を見つけましょう。