不動産投資でFIREを実現するためのポイント解説!リスク別対策方法も
「FIRE」という単語を聞いたことがあっても、早期リタイアとの違いなど、詳しくは知らないという人も多いでしょう。実際、FIREとはどういったものなのでしょうか?
今回は「FIRE」の概要やメリット・デメリットを紹介するとともに、不動産投資がFIREの実現に向いている理由を解説します。
FIREとは
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉で、経済的自立や早期リタイアを意味します。
従来の早期リタイアは、それまでの貯蓄や退職金、また遺産相続などで一生困らない財産を手にして、退職後はその資産を切り崩して生活するイメージです。
それに対してFIREは、若いうちに資産運用で生活費をある程度確保できる仕組みを作ったところで早期リタイアし、あとは運用益を生活費として資産を減らさずに生活していくライフスタイルのことです。
また「サイドFIRE」といって、FIREのように完全に仕事をリタイアするのではなく、資産運用をメインとしながら、仕事での収入も得ることで資産を減らさずに生活するという方法もあります。
FIREを実現するための資金目安の計算方法
FIREを実現させる考え方として「4%ルール」と呼ばれるものがあります。これは、年間支出の25倍の資産を作れば、資産額の4%を毎年切り崩しても、30年間は資産が尽きることなく生活できると考えられています。
この4%ルールから、FIREを実現するために必要な資金のおおよその額を算出できます。
たとえば、年間の生活費が400万円の場合、FIREを実現するために必要な資金は以下のように求められます。
400万円÷4%=1億円
年間の生活費が400万円の場合、生活費の25倍=1億円がFIREの実現に必要な資金となり、年利4%の運用益が得られれば、資産を崩さずに生活を送ることができると考えられます。
FIREのメリット
仕事のストレスが無く自由な生活を送れる
FIREを実現できれば、基本的に運用益のみで生活します。
生活を維持するために働く必要がないので、働くか・働かないか、働くならなにをするか、といった選択を自由に決めることができます。
ほかにも、時間を自由に使えるため、趣味や家族に割ける時間が増えたり、新しいことを始めたり、なんでも好きなことに時間を割くことができます。
また仕事への「通勤」がなくなるため、住む場所も自由に決められます。
そのため、ストレスのない生活が自由に送れるでしょう。
投資などお金に関する知識が身につく
FIREの実現には、お金や投資に関する知識を身につけることは必須です。家計を見直したり、節約をしたり、投資の勉強をしたり、マネーリテラシーを向上させることにつながります。
FIREのリスク
FIREが実現できれば多くのメリットを享受できます。しかし、FIREを実現するにあたって注意する点も存在します。
想定以上にお金がかかる可能性がある
FIRE達成後は、当然ながら想定外の出費が発生することもあるでしょう。たとえば、事故や病気などで入院や療養を余儀なくされるケースが考えられます。
また、社会情勢や経済の停滞、金利の変動などにより、年利が4%未満になるリスクも考えられます。
想定以上にお金がかかれば、貯蓄を切り崩したり、仕事で収入を得たりしなければならなくなります。
またお金が足りなくなることで節約を余儀なくされたり、やりたいことや欲しいものを断念したり、大きな出費が出るとFIREの継続がむずかしくなるかもしれません。
キャリアが中断される
FIREを実現させて退職してしまえば、それまで積み重ねてきたキャリアが中断してしまうでしょう。FIRE後にまた同じ職種で働きたいと思った場合、キャリアが中断しているために就職先が決まらない可能性があるため注意が必要です。
また、FIRE後になんらかの理由で就職したくなった場合、履歴書には働いていなかった期間を「無職」として記載しなければなりません。就職活動には大きなマイナスとなるでしょう。
不動産投資がFIRE実現に向いている理由
不動産投資はFIRE向きの投資方法だと言われています。ここでは、そのおもな理由について解説します。
不労所得について詳しくはこちら!>>不労所得を得るなら不動産投資がおすすめ!理由や注意ポイントを解説
レバレッジを効かせた投資ができる
レバレッジ効果とは、「てこの原理」という意味で「小さな力で大きなモノを動かす」ことで、不動産投資におけるレバレッジ効果とは「少ない自己資金で大きな収益を得る」ことを指します。
具体的には、「自己資金+金融機関の融資(不動産投資ローン)」によって、自己資金のみで運用するよりも何倍もの収益を得られる投資がおこなえます。
たとえば、「利回り5%、600万円の物件」を自己資金600万円で購入し運用した場合、得られる「年間家賃収入は30万円」です。
しかし「自己資金600万円を頭金」にして「金融機関から2,400万円を借入れて、利回り5%、3,000万円の物件」を購入すれば「年間家賃収入は150万円」となります。
このように同じ自己資金額であっても、不動産を購入する際に金融機関から融資を受けて「レバレッジを効かせた」ことで、自己資金のみで運用した場合に比べて5倍もの家賃収入を得ることができるのです。
FIREを実現するためにはできるだけ早い段階で投資をはじめ、少しずつ投資の規模を拡大していく必要があります。
不動産投資であれば、少額の自己資金で金融機関から融資を受け、レバレッジをきかせることができるため早期から始めることも可能です。
レバレッジについて詳しくはこちら!>>不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意
長期的に安定した収益を期待できる
不動産投資は、短期間で大きな利益を出すことはできませんが、長期的に安定した収益をコツコツと積み上げていく投資方法です。
株式やFXなどの投資は短期的に大きな利益を出せる可能性もありますが、その半面大きな損失を被るリスクもあります。また、インフレが起こると現金や定期預金などは価値が目減りします。
一方、不動産は世界経済や金融市場による影響を受けにくく、短期間で価値が大きく値上がりすることがない代わりに急落することもほぼありません。
そのため長期的な資金計画を立てやすく、FIREのような老後資金の形成に向いていると考えられます。
管理会社に運用を任せられるので手間がかからない
不動産投資では、収益物件の管理全般を管理会社に業務委託できます。
大家さんが自主管理することも可能ですが、クレーム処理などの即時対応が必要な場合もあるため、本業を持つサラリーマンが自主管理をおこなうのは現実的ではありません。
物件管理のプロに任せることで、クレームやトラブルに迅速に対応してもらえたり、退去連絡が入ればすぐに入居者募集の計画を立てたりと、運用がスムーズにおこなわれます。
また業務委託すれば、大家さんがおこなう日常の業務はほぼなくなるため、負担を大きく軽減できるでしょう。
不動産投資でFIREを実現するための注意ポイント
ここでは、不動産投資でFIREを実現するために注意すべきポイントを解説します。
できるだけ早く不動産投資を開始する
FIREを目指すなら、できるだけ早くから不動産投資を開始しましょう。若いうちから不動産投資をおこなうことで融資期間を長く組むことができ、不動産投資の経験が身に付きやすいというメリットもあります。
また早いうちから投資を開始することで、その分早く目標額の達成に近付けます。
空室リスクの低い物件を選ぶ
不動産投資で成功するためには、物件の立地に大きく左右されます。
不動産投資のおもな収入源は入居者が支払う家賃です。そのため空室があると家賃が入らず、ローン返済や費用の支払いができません。
そのために重要なのは賃貸需要の高い収益物件を選ぶことです。周辺環境や将来性を考慮して入居者ニーズの高いエリアを選び、ターゲット層に合わせた優良物件を選びましょう。
投資の規模を拡大していく
不動産投資でFIREを実現するためには、複数の収益物件を所有し、運用する必要があります。しかし、最初から複数の物件を購入できるほどの自己資金を用意するのは簡単ではありません。
不動産投資を拡大したい場合、1軒目の物件選びは非常に重要です。なぜなら1軒目の収支結果は2軒目の融資審査に大きく影響するからです。
1軒目の収支が黒字であれば、金融機関から投資実績として評価される可能性が高くなるため、2棟目以降の融資審査に有利にはたらきます。
そのためにも1軒目の収益物件は無理のない範囲で物件を購入し、運用に慣れて余剰資産が増えたら2軒目の不動産を購入し、その後も3軒目、4軒目と投資規模を徐々に規模を拡大していきましょう。
1軒目の物件の選び方はこちら!>>不動産投資初心者向け!1棟目物件の選び方ポイントと重要性を解説
物件はかならず現地確認をおこなう
FIREの実現には複数の収益物件を所有する必要がありますが、物件の確認はかならず物件所在地まで行き、自分の足と目で確認するようにしましょう。
実際、現地に行ってみないと気が付かないものは多いです。
あらかじめ周辺の情報を調べておき、直接歩いてみると、机上では気付かなった雰囲気などを掴むことができるでしょう。
また物件を直接見ることが経験になり、物件を見る目も養われます。
手元に資金を残しておく
不動産の運用中には、設備が故障し修繕費費用が発生したり、空室の長期化によって予定していたより家賃収入が少なくなったり、キャッシュフローがマイナスになることも少なくありません。
不動産投資のローン返済は、基本的に家賃収入から支払いますが、家賃収入で支払えない場合は手元資金から持ち出すことになります。
手元に資金がない場合はローンの返済がおこなえず、最悪の場合は物件が差し押さえられてしまうおそれがあります。そうならないためにも、ある程度の資金を手元に残しておくことをおすすめします。
不動産投資の知識を身に付ける
不動産投資をおこなうには特別な資格などは不要なので、だれでもおこなうことが可能です。しかし、不動産物件選びはもちろん、リスクを理解しコントロールするためにも不動産投資の基礎知識を身につけておくことは非常に役立ちます。
FAIRを実現するためには物件を増やしていく必要がありますが、不動産物件は金額の大きな買いものです。そのため、「思っていたのと違うから買い直したい」と思っても気軽に売買するのはむずかしいです。
物件選びを成功させたり、適切な方法でリスク対策したりするには、やはり知識が必要です。
なお不動産投資の知識について勉強するには、書籍を読んだりセミナーや大家さんの集まりなどに出席したりするとよいでしょう。
不動産投資でFIREを目指す上でのリスクと解決方法
不動産投資でFIREを実現させるまでには、さまざまなリスクがあるかもしれません。ここでは、不動産投資でFIRE達成をはばむ障害物について、解決方法とともに解決します。
金融機関の融資審査
不動産投資は、金融機関から融資(不動産投資ローン)を受けるのが一般的です。ただし融資を受けるためには、融資審査に通過する必要があります。
融資審査の基準は金融機関ごとに異なりますが、一般的に個人属性と収益物件の担保価値などが評価されます。
「個人属性」とは、金融機関へ融資を申し込む人の勤務先や年収などの経済的・社会的背景を指します。金融機関にとってもっとも重要なのは、「貸したお金の返済が滞りなくおこなわれるか」です。
そのため、きちんと職業に就いていて定期収入がある人は「高属性」とみなされ、審査に通りやすい傾向です。
一方で毎月の収入にばらつきがあったり、転職を頻繁に繰り返していたり、ローン残債が多い人は審査に通らないこともあります。
個人属性について詳しくはこちら!>>個人属性とは?不動産投資で金融機関が融資審査で見るポイントを解説
解決法
不動産投資でFIREを検討している場合は、ローン残債を増やさないようにしましょう。たとえば車やマイホームなどのローンは金額が大きいため、不動産投資ローンの前に契約するのは避けるほうが無難でしょう。
空室リスク
不動産投資をおこなううえで、空室リスクは避けて通ることはできません。
空室が埋まらず想定した家賃収入が得られない場合、FIREが遠ざかるだけでなく、賃貸経営が破たんするおそれもあるため早急に対処する必要があります。
空室が埋まらない主な理由には、以下のようなものがあります。
◦エリアに賃貸ニーズがない
◦周辺に競合物件が多すぎる
◦築古など物件のニーズが低い
◦家賃設定が高すぎる
解決法
まずは、空室の原因を突き止めたうえで、原因を解消するための対策をおこないます。原因の究明や対策方法は、管理会社などに相談することでスムーズに対処できることも多いです。
なお、空室の原因を突き止めることなく闇雲に空室対策をおこなっても、空室が解消されないばかりか、余計な出費になる可能性もあるため注意しましょう。
家賃の下落
一般的に賃貸物件の家賃は、年平均1%ずつ下落していくと言われています。そのため、せっかくFIREを達成したのに、必要なキャッシュフローを得られないケースも考えられます。。
売却するのも有効な手段ですが、家賃が下がった物件は利回りが低下しているため、希望する価格で売れにくい可能性もあります。大幅な値引きをすれば売却は可能かもしれませんがFIREの実現は遠のくでしょう。
解決法
物件購入前の時点で家賃の下落率を盛り込んだ収支シミュレーションをしておくひつようがあります。理想は10年後、20年後に家賃が下がっても、十分なキャッシュフローを生み出せる物件を購入することです。
また家賃を上げることを目的に「住宅設備の追加」、「リノベーション」、「大規模修繕工事」などをおこなうのも効果的です。
ただし、設備交換や修繕にコストをかけ過ぎると利回りが下がってしまうため、費用対効果の見極めが必要です。
まとめ
FIREとは、若いうちに資産形成をして早期退職し、その後は投資の運用益で自由な生活を確保する新しいライフスタイルです。
FIREを実現するためには、長期的に安定した収入が得られる不動産投資が向いています。
不動産投資でFIREを目指す場合は、できるだけ若いうちから不動産投資をおこなうことです。早いうちから投資を開始することで、その分早く目標額の達成に近付けるとともに、不動産投資の経験が身に付きやすいというメリットもあります。
これからFIREを目指す人は、ぜひ不動産投資を検討してください。