不動産投資に必要な設備費用と交換時期の目安!コスト削減のヒントも
2023/07/07

不動産投資に必要な設備費用と交換時期の目安!コスト削減のヒントも

不動産投資における設備費用とは不動産投資における設備交換時期と費用の目安内装関連の設備の交換時期・費用の目安キッチン周辺の設備の交換時期・費用の目安浴室・洗面台・トイレ設備の交換時期・費用の目安空調・換気設備の交換時期・費用の目安そのほかの設備の交換時期・費用の目安不動産投資の大規模修繕の周期と費用の目安大規模修繕の周期と費用の目安大規模修繕費用をおさえるためには日頃のメンテナンスがポイント不動産投資に必要なランニングコスト一覧まとめ

不動産投資をはじめる際の収支シミュレーションをおこなう際は、毎月のランニングコストだけでなく、設備費用として、内装や水回り設備などの修繕費や交換費用に留意しておく必要があります。意外と忘れがちな設備費用には、どのような種類があるのでしょうか。

そこで今回は、不動産投資における設備費用の種類や交換時期・費用の目安を解説します。どんな設備をいつ交換するのか、その費用はいくらなのか、しっかり確認しておきましょう。


不動産投資における設備費用とは


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不動産投資で運用する収益物件は、経年と共に建物は老朽化し、設備も故障などが増えます。建物の老朽化や設備の故障を放置すると資産価値が下がり、入居付けがむずかしくなるため、定期的なメンテナンスや修繕、故障した設備の交換が必須となります。


また退去後の壁紙やフローリングの張り替えなどの原状回復工事も新規の入居者獲得のために必要です。


こういった建物や設備の維持にかかる費用や原状回復にかかる費用を失念していると、実際に設備が故障し交換が必要になった際に費用の捻出が困難になるケースも少なくありません。


特に一棟アパートなど、複数の部屋に同時期に設備を設置した場合は、設備の不調も同時期に集中する可能性が高く、修理・交換費用が増加するおそれがあるため注意が必要です。


まず、不動産投資の設備にはどのような種類があるのか見てみましょう。


内装関連の設備

壁紙、床材、窓、サッシ、網戸、戸、扉、間仕切り、畳、蛍光灯、シーリングライトなど


キッチン周辺の設備

システムキッチン、ガスコンロ、IHクッキングヒーター、シンク、収納棚、レンジフードなど


浴室・洗面・給湯設備

ユニットバス、ガス給湯器、電気給湯器、浴室乾燥設備、洗面化粧台、洗濯パンなど


トイレ設備

トイレ、シャワートイレ、手洗いコーナー、収納棚、タオルハンガーなど


空調・換気設備

エアコン、ストーブなど


そのほかの設備

物干しハンガー、インターホン、煙探知機、警報器など


上記の設備に不備が発生し、入居者から連絡があった場合は、できるだけ速やかな対処が必要になります。対応が遅れれば遅れるほど入居者の満足が下がってしまい、最悪の場合は退去につながることもあるため注意が必要です。


不動産投資における設備交換時期と費用の目安

コスト 家 ブロック

ここでは上記で紹介した設備のなかでも、あらかじめ交換時期や費用を把握しておきたいものについてまとめました。


一棟アパートのように複数の部屋に同時期に設備を設置したケースでは、修理や交換が集中する可能性があり、高額の費用が発生することも考えられます。

支出を分散するためにも設置時期を把握しておき、設備交換の計画などを立てておくことをおすすめします。


内装関連の設備の交換時期・費用の目安

内装関連の設備は、退去後の原状回復工事として壁紙の貼り替えなどがあげられます。

加えて和室の場合は、畳の表替えやふすまの張り替えなども必要になるでしょう。


フローリング

  • 交換時期:15〜20年
  • 費用:10,000円〜30,000円/㎡

例)6畳(9.93㎡)ワンルームのフローリングを20,000円/㎡で張り替えた場合の費用目安

9.93㎡ × 20,000円 = 198,600円


フローリングは床面積とフローリング材の単価によって費用が変わります。全面張り替えには高額な費用がかかるため、傷んだ箇所だけを補修できるキットなどを上手に活用するとよいでしょう。


壁紙

  • 交換時期:10年
  • 費用:1,000円〜1,500円/㎡

例)6畳(壁:約30㎡、天井:約10㎡)ワンルームの壁紙を1,000円/㎡で貼り替えた場合の費用目安

40㎡ × 1,000円 = 40,000円


壁紙は壁と天井の面積及び、壁紙の単価によって費用が変わります。壁の一部を単価の高いアクセントクロスなどにする場合は、もう少し費用が高くなるでしょう。

また壁紙は傷みのある箇所だけを交換することも可能なので、上手に貼り替えをおこなえばコストの削減につながります。


網戸

  • 交換時期:5〜10年
  • 費用:1,000円〜5,000円

網戸は窓のサイズによって費用が異なります。またホームセンターなどで1,000円程度の貼り替え用の網だけを購入し、オーナー自身で張り替えればコストカットが可能です。


キッチン周辺の設備の交換時期・費用の目安

キッチン周辺の設備はガスコンロを除き、長期の使用が可能ですが、見た目が古くなると入居希望者に敬遠されやすくなるため注意が必要です。汚れや傷が目立つようであれば、交換時期の目安にこだわらず、修理や交換などを検討しましょう。


キッチン

  • 交換時期:15〜20年
  • 費用:100,000円〜600,000円

ガスコンロ

  • 交換時期:10年
  • 費用:30,000円〜50,000円

換気扇

  • 交換時期:10〜15年
  • 費用:30,000円

浴室・洗面台・トイレ設備の交換時期・費用の目安

水回りの設備の交換は高額なものが多いですが、比較的長期間の利用が可能です。

ただし、清潔なイメージを損なうような汚れや傷が目立つ場合は、交換時期の目安にこだわらず修理や交換などを検討しましょう。


またシャワーヘッドやシャワーカーテン、浴室鏡なども同様です。ユニットバスを丸ごと取り換えなくても、シャワーヘッドや水栓部分を新しくするだけでも清潔感があがるため、安価なリフォームをしたい場合にもおすすめです。


ユニットバス

  • 交換時期:15〜20年
  • 費用:500,000円〜800,000円

給湯器

  • 交換時期:10年
  • 費用:50,000円〜300,000円

独立洗面台

  • 交換時期:10〜15年
  • 費用:50,000円〜100,000円

トイレ(便器本体)

  • 交換時期:10〜15年
  • 費用:50,000円〜100,000円

シャワートイレ

  • 交換時期:10〜15年
  • 費用:10,000円~30,000円

シャワートイレは入居者ニーズも高く、空室対策につながる設備のひとつです。シャワートイレの設置には、トイレ内にコンセントが必要です。コンセントがない場合や、水漏れなどの問題がある場合は工事費用が発生します。


トイレ内にコンセントがあり、そのほかの問題がなければ自分でシャワートイレを取り付けることで導入費用をおさえることが可能です。


空調・換気設備の交換時期・費用の目安

近年では熱中症対策として、エアコンを設置した賃貸物件が増えています。

内閣府の『消費者動向調査』(2022年4月8日発表)によれば、賃貸住宅でのエアコン普及率は単身世帯で77.4%、二人以上世帯で84.1%となっています。


北海道などの一部地域を除けば、賃貸物件でもエアコンはあって当たり前の設備のひとつであり、空室対策には欠かせない設備と考えられます。


エアコン

  • 交換時期:15〜20年
  • 費用:70,000円〜200,000円

なお賃貸物件にエアコンを設置する場合、初期費用をおさえたいのであればリースする方法もあります。ただし、毎月のリース料金や保守費用、保険料などのランニングコストが発生するため、長い目で見ると購入するよりも費用が高くなる可能性があるため注意が必要です。


そのほかの設備の交換時期・費用の目安

モニター付きインターホンは、防犯性の高さから設置する賃貸物件が増えています。

全国賃貸住宅新聞が毎年おこなっている『入居者に人気の設備ランキング2022』においても単身者向け物件では2位、ファミリー向け物件では3位にランクインした人気の設備です。


玄関のドアを開けることなく来客を確認できるため、トラブルの防止につながります。特に防犯に気を使う女性を入居ターゲットにする場合の空室対策として有効な設備のひとつでしょう。


モニター付きインターホン

  • 交換時期:10〜15年
  • 費用:50,000円

できるだけ費用をおさえたい場合は、配線工事が不要なワイヤレスタイプのモニター付きインターホンを購入しましょう。配線工事が不要なので、オーナー自身で取り付ければ本体の購入費用のみで施工費をカットできます。


不動産投資の大規模修繕の周期と費用の目安


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前述したように、不動産投資で運用する収益物件は経年と共に老朽化するため、そのままでは資産価値は落ちる一方です。そのような建物の劣化を防ぎ、資産価値をできるだけ長く維持するためにおこなわれるのが「大規模修繕」です。


大規模修繕をおこなうことで、建物の外観や安全性が改善されるため、入居率の向上や退去率の低下に役立ちます。また大規模修繕をおこなうことで建物の寿命を引き延ばし、収益物件としての稼働年月を上げることにもつながるのです。


大規模修繕の周期と費用の目安

大規模修繕は、築10年あたりに1回目の修繕をおこない、その後は5年周期で該当部分の修繕をおこないます。

築年数と修繕箇所、費用の目安は以下のようになります。



築5年~10年目:費用目安 約9万円/戸

  • ベランダ、階段、廊下の塗装
  • 室内設備の修理
  • 排水管の高圧洗浄

築11~15年目:費用目安 約64万円/戸

  • 屋根、外壁の塗装
  • ベランダ、階段、廊下の塗装
  • 給湯器の修理・交換
  • 排水管の高圧洗浄

築16~20年目:費用目安 約23万円/戸

  • ベランダ、階段、廊下の塗装
  • 室内設備の修理
  • 給排水管の高圧洗浄・交換
  • 外構の修繕

築21~25年目:費用目安 約98万円/戸

  • 屋根、外壁の塗装・吹き替え
  • ベランダ、階段、廊下の塗装・防水
  • 給湯器の修理・交換
  • 排水管の高圧洗浄

築26~30年目:費用目安 約23万円/戸

  • ベランダ、階段、廊下の塗装
  • 室内設備の修理
  • 給排水管の高圧洗浄・交換

参考:国土交通省『民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック


木造の一棟アパートに新築から築30年までの間に大規模修繕にかかる費用は、1戸当たり約216万円になります。10戸のアパートなら2,160万円もの費用がかかる計算になるのです。


このように大規模修繕には高額な費用が発生するため、あらかじめ大規模修繕計画を立てたうえで、大規模修繕費の積立てをおこなうのが一般的です。積立額は大規模修繕に必要な費用を算出したうえで決定しますが、目安として家賃収入の5%ほどを修繕積立金としておくとよいでしょう


大規模修繕費が足りないときは?

大規模修繕の予定の年となり、見積りをしてみたところ、想定した額を超える修繕費がかかることがわかった場合はどのように対処すればよいのでしょうか?


実は修繕費が足りないというケースはめずらしくありません。修繕費が足りない場合の対処方法にはいくつか選択肢があります。


  • リフォームローンの活用を検討する

「リフォームローン」とは、住宅の増改築や修繕などを目的としたリフォーム工事に利用できるローンです。


リフォームローンの商品は、「無担保型」か「担保型(有担保型)」を選ぶことができます。無担保型の場合、借入上限金額が500万円程度となりますが、担保型であれば1,000万円以上の借入れも可能です。

ただし借入額が多くなれば審査も厳しくなります。ただし通常の不動産投資ローンや住宅ローンよりも審査基準はゆるめとなります。


メガバンクはもちろん、地方銀行やノンバンクなど、各金融機関で取り扱っています。それぞれ金利や借入上限金額、返済期間、担保の有無、連帯保証人の有無、手数料の有無などが異なるので、自分の目的や条件に合った金融機関を選びましょう。


  • 大規模修繕を実施する時期をずらす

予定していた大規模修繕時期をずらすことで対処できます。予定していた修繕内容を見直し、一部だけを実施し、残りを翌年などに回すのもよいでしょう。

工事のサイクルが長いほど修繕積立金を多く集めることができるため、工事費用の調達が楽になります。本当に必要な工事を洗い出したうえで優先順を決め、修繕計画を立てましょう。


なお大規模修繕周期をずらした場合は、その後の修繕周期もずらすことになる場合もあるため、一度大規模修繕計画を見直す作業も必要となります。


大規模修繕費用をおさえるためには日頃のメンテナンスがポイント

設備に不具合が生じたら、すぐに修理することで、被害と費用を最小におさえることにつながります。外壁の軽微なヒビにコーキングを打ち替えたり、シロアリ予防のために薬剤を散布したりすると、大規模修繕時の修繕範囲が大きくなりにくいのです。


不動産投資に必要なランニングコスト一覧

ビジネスマン 家 円マーク

不動産投資をおこなうにあたって欠かせない設備費用ですが、そのほかにも物件建物や設備の維持・管理に必要な費用や税金などの「ランニングコスト(維持費用)」が発生します。


一般的なランニングコストは、毎月の家賃収入の20%~30%を占めるため、支出としてどのような費用があるのか、ぜひおさえておきましょう。

不動産投資におけるランニングコストには、おもに以下のような種類があります。



  • 租税公課:所得税、住民税、固定資産税、都市計画税、個人事業税など

固定資産税について詳しくはこちら!>>不動産投資の固定資産税について基本と計算方法、軽減措置を解説


  • 税理士費用:税金の処理などを税理士に依頼した場合に支払う報酬

税理士について詳しくはこちら!>>不動産投資で税理士に依頼するメリット!選び方や相場、注意点も


  • ローン返済金:不動産投資物件の購入・建築時に不動産投資ローンを利用した場合

不動産投資ローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン利用に関する基礎知識!メリットや審査内容を解説


  • 減価償却費:不動産の購入費用を耐用年数に基づいて分割した金額を毎年の確定申告時にて計上する

減価償却について詳しくはこちら!>>不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


  • 管理委託手数料・管理費:不動産管理会社に建物管理や入居者管理を委託した場合に支払う。区分マンションの場合は管理組合に管理費を支払う。

管理会社について詳しくはこちら!>>不動産投資を成功させる不動産管理会社の選び方!管理業務内容を解説


  • 損害保険料:不動産投資物件に掛ける損害保険料(火災保険や地震保険、孤独死保険など)

保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!


  • 入居者募集費用:入居者募集を不動産会社に依頼したときに発生する仲介手数料や広告費など

  • 修繕費・修繕積立金:建物や設備が破損・故障した場合にかかった修繕費や退去後の原状回復費用、メンテナンス費用など

  • 共用部の水道光熱費:エントランスなどで使用する電気代や水道料金など

  • 雑費:事務用品費、消耗品費、交通費など

雑費について詳しくはこちら!>>不動産投資の雑費計上時の注意点!高額すぎると税務調査の可能性も


まとめ

不動産投資を継続するかぎり、建物の修繕や設備の交換は避けては通れません。あらかじめ、交換時期や修繕時期、必要な費用を把握しておくことで余裕を持って資金を準備でき、スムーズな作業がおこなえるでしょう。


特に大規模修繕の費用は高額です。不動産投資をはじめる際に、しっかりと大規模修繕計画を立てたうえで、大規模修繕費の積立てをおこなうことが重要です。

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