不動産投資の営業電話の上手な対処方法!詐欺まがいの勧誘には要注意
接点のない不動産会社からの区分マンションなどの営業電話がしつこくて閉口した、という経験を持つ人は意外と多いのではないでしょうか。こういった迷惑な営業電話に長々と付き合ってしまうと購入の意思があるとみなされ、今後も営業電話のターゲットにされかねません。
また、個人情報である電話番号が漏れていることを疑問や不安に思う人もいるでしょう。
そこで今回は不動産投資の営業電話がかかってくる原因や、上手な断り方について解説します。あわせて、営業電話によくある悪質な詐欺手法についても紹介します。
なぜ不動産会社から営業電話がかかってくるのか?
まったく接点のない不動産会社から営業電話がくると、「どうやって電話番号を入手しているのだろう?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。不動産投資にかぎらず勧誘電話の多くは「ビジネスマンデータ」から個人情報を入手しているケースが考えられます。
ビジネスマンデータとは
ビジネスマンデータとは、簡単に言うと個人情報を記載した名簿のことです。
ビジネスマンデータは、ネット上でおこなった各種申込みや資料請求、通信販売の購入履歴、アンケート調査などのほか、同窓会名簿や仕事で配った名刺などをもとに氏名や電話番号などの個人情報が集められています。
こういったビジネスマンデータを収集している会社は「名簿業者」と呼ばれ、集められたデータは職業や年収、年代、エリアごとなどにまとめられてリスト化され販売されているようです。
接点のない不動産会社から営業電話がかかってくるのは、不動産会社がこのリストを入手しているためと考えられます。
「個人情報の売買は違法なのでは?」と思うかもしれませんが、ビジネスマンデータの売買は個人情報保護法で認められています。個人情報の売買には本人の同意が必要ですが、以下の項目をアンケートやホームページに記載することで、本人の同意がなくても個人情報を提供してもよいことになっているのです。
- 第三者への提供を利用目的とすること
- 第三者に提供される個人データの項目を明示すること
- 第三者への提供の手段または方法を明示すること
- 本人の求めに応じて、当該本人が識別される個人データの第三者提供を停止すること
本人が直接、取り扱い元の名簿業者にデータの削除をお願いすればリストから個人情報を削除してもらうことも可能です。ただし、営業電話をかけてきた営業マンに個人情報の入手元となる名簿業者を尋ねても、会社名や連絡先が判明するケースはほとんどありません。
運よく名簿業者が判明できて本人情報を削除できても、すでに売られてしまった分の情報までは削除できません。また名簿業者は複数存在しているため、別ルートで入手したビジネスマンデータを所有している可能性も考えられます。
そのため名簿業者にデータを削除してもらっても、別の業者からリストを購入した不動産業者から営業電話がかかってくる可能性はなくなりません。
営業電話を避けるためには個人情報を提供しないことが一番ですが、ネット通販や資料請求などでは個人情報の入力が必須であるため、悩ましいところです。
不動産投資の営業電話を断る効果的な3つの方法
不動産投資の営業電話を断る場合、あいまいな返答をしてしまうと、その後もしつこく電話がきてしまうケースもあります。では、どのような対応をすれば営業電話がこなくなるのでしょうか。
ここでは迷惑な営業電話の断り方の効果的な方法について解説します。
1.「購入する気はないので2度とかけないでほしい」とはっきり伝える
営業電話を断る際は、「必要ない」「購入する気はない」と購入する意思がまったくないことを伝え、「2度と電話をかけないでほしい」とはっきり伝えましょう。
断るタイミングがつかめず長時間のセールストークに付き合ったり、角が立たないように「いまは時間がないので……」「いまは考えていないので……」といったあいまいな返答をしてしまうと、「購入してもらえる可能性がある」とみなされてしまうため注意が必要です。断る場合は、「不要です。もう電話をかけないでください」と毅然とした口調で告げることが大事なポイントです。
2.「違法な行為」であると伝える
はっきりと断ったにもかかわらず何度も電話をかけてきたり、勤務先や夜間に電話で長時間の営業行為をおこなったりするのは「宅地建物取引業法」で禁止と定められています。以下の禁止事項に該当する場合は、営業マンに「法律違反である」ことを伝えましょう。
- 電話の目的や、社名や氏名を言わない
- 断ったにもかかわらずしつこく電話をかけてくる
- 長時間にわたって電話を切らせてくれない
- 深夜や早朝といった迷惑な時間(国土交通省は午後9時から午前8時の間と解釈している)に電話をかける
- 脅迫めいた発言をする
- 自宅に押しかけられ強引に契約を迫まる
- 絶対に儲かるから心配ないなど断定的判断を提供する など
参考:『国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)』
3.「監督官庁」や「消費生活センター」に相談する旨を告げる
違法な行為であると告げたにもかかわらず、同じ業者から営業電話が来る場合は「これ以上電話をかけるなら、監督官庁などの機関に相談する」とはっきり言いましょう。ここまですれば、ほとんどのケースで営業電話はこなくなるはずです。消費生活センターや警察に相談すると言うのも効果的です。
なお各所に相談する際は、業者の会社名と担当者名のほか、電話がかかってきた時間帯や内容、回数などをメモして証拠として残しておきましょう。
不動産投資の営業電話は詐欺まがいの悪質なケースもある
不動産投資に興味を持つ人のなかには、営業電話の詳しい内容を聞いてみたいと考える人もいるでしょう。しかし営業電話のなかには詐欺まがいの悪質な営業も多いため注意が必要です。ここでは注意すべき営業電話のパターンについて解説します。
繰り返し電話をかけてくる
「もう(電話を)かけてこないでください」と言ったにもかかわらず、何度も電話をかけてくる不動産会社には注意しましょう。
断っているにも関わらず勧誘をつづけるのは違法行為です。それでもしつこく営業電話をかけてくる場合が詐欺の可能性もあるため、きっぱりと断わりましょう。
架空の会社名を使っている
架空の会社名を使っている場合は悪質な業者である可能性が非常に高いです。
会社名が架空かどうかは会社名・住所・電話番号を聞いたうえで、インターネットで検索してみましょう。検索結果で該当がなかったり、会社名と住所や電話番号が異なったりする場合は詐欺を疑いましょう。
直接会おうとする
営業電話でしきりに直接会おうとしてくる場合は注意が必要です。
約束した場所に行ってみると複数人の営業マンが待ち構えていたり、しつこく勧誘されたり、電話以上に断れなくなってしまいます。
営業電話で「会って話を……」と言われても、けっして約束しないようにしましょう。
メリットばかり強調してリスクには触れない
不動産投資には多くのメリットもありますが、投資である以上、デメリットやリスクも存在します。しかし不動産投資の初心者であっても、あらかじめリスクを把握しておけば失敗する可能性を減らすことは十分可能です。
とはいえ「リスクがある」と聞けば不動産投資にネガティブなイメージを持たれてしまうため、悪質な営業マンはどうにかして物件を購入させようとリスクやデメリットには触れずに不動産投資のメリットだけをアピールするケースが多くなります。
とくに次のようなセールストークを前面に押し出してくる場合は注意しましょう。
- 高利回りです
- 将来値上がりします
- 価格が下がらないので儲かります
- 頭金なしでローンが組めます
- あなただけへの特別価格です
もしも営業マンが不動産投資のメリットばかりを強調する場合は、リスクやデメリットについて尋ねてみましょう。明確な説明がされない場合は、相場よりも高値で物件を売ろうとしていたり、難ありの物件だったり、詐欺や詐欺まがいの可能性が大きいです。営業マンの説明に納得できないのであればきっぱりと購入を断りましょう。
営業電話に対処するために覚えておきたいポイント
営業電話の押しが強い場合、はっきり断れず、ずるずるセールストークが長引いた挙句に契約してしまう可能性もあるでしょう。しかし前述したように、営業電話のなかには詐欺行為を目的としたものもあるため注意が必要です。
ここでは悪質な営業電話に対処するためのポイントを解説します。
不動産投資の知識を身につける
まずは不動産投資に関連する基礎知識を身につけましょう。
セールストークの矛盾点や不自然な点、すすめられている不動産投資用物件の良し悪しを見抜くためには、ある程度の不動産投資の知識が必要です。逆に言えば、不動産投資の知識があれば悪質な営業電話に騙されなくなるのです。
不動産投資関連の書籍を読んだり不動産投資セミナーに参加したり、自分の手の届く範囲で勉強するだけでも有効な判断ができるようになります。
詐欺の手口を知っておく
不動産投資の営業電話のなかには明らかな詐欺目的の勧誘も含まれています。うっかりセールストークに乗せられて、そういった詐欺に遭ってしまうケースは驚くほど多いのです。「自分は大丈夫」と思っていても万が一の際に詐欺を回避できるよう、あらかじめ詐欺の手法を知っておくと安心です。
ここでは代表的な不動産投資詐欺の手口を紹介します。
不動産投資詐欺について詳しくはこちら!>>不動産投資の詐欺手口と対策方法!要注意なセールストークとは
マッチングアプリや婚活サイトを利用した詐欺
かつては「デート商法」と言われた詐欺手口です。最近は「婚活サイト」や「マッチングアプリ」などを利用した詐欺が増えています。
婚活サイトやマッチングアプリ経由で出会いを演出し、ターゲットと恋愛関係になったところで不動産の購入をすすめ、売買契約締結後は音信不通になるという昔ながらの詐欺の手法です。
ターゲットが買わされた不動産は相場よりも高額に設定されているケースがほとんどです。その場合、家賃設定も高くなるため空室がつづいてしまいます。売却したいと思っても売却価格は買った値段を大幅に下回ります。結果的に売却金額でローン完済ができないため、自己資金を持ち出ししてローンを完済することになるのです。
恋愛感情を利用した詐欺なので対策がむずかしいですが、2019年6月より「デート商法が不当な勧誘である」と定められ、要件に適用すれば契約を取り消せるようになりました。
参考:消費者庁『不当な契約は無効です!』
海外不動産詐欺
現地調査がむずかしく実態をつかみにくい海外の投資用不動産物件を売買する詐欺手口です。相場よりも高く販売したり、架空の不動産を販売したり、竣工が数年先の未完成物件のお金だけ持ち逃げされるケースもあります。
「日本に窓口がある」ことを謳っている不動産業者でも、急に音信不通になるケースもあるため安心はできません。海外物件は信頼できる名前の通った不動産会社から購入したり、信頼できる代理人に現地調査してもらうことをおすすめします。
サブリース詐欺
サブリース会社が物件を一括で借り上げて経営し、オーナーに決まった家賃を保証する「サブリース契約」を悪用した詐欺の手口です。
「空室があっても家賃が保証されるから安心」など、あたかも永遠に家賃が保証されるかのようなセールストークでターゲットに物件を買わせます。購入後しばらくは契約通りの家賃が支払われますが、実はサブリース契約では2年ごとなどに家賃が見直されるのが一般的です。
家賃が見直されることで家賃が引き下げられ、結果的に約束されたはずの家賃が入らなくなりローン返済が困難になるケースも少なくありません。なかにはサブリース契約を締結した数年後にサブリース会社が倒産してしまい音信不通となる事例も報告されています。
サブリース契約は、上手に活用することで空室リスク対策につながります。問題はサブリースの契約内容を理解せずに契約してしまうことです。
サブリースを利用する際は、家賃保証の見直しや免責期間などがあることを理解し納得したうえで契約することが重要です。
ただし悪質なサブリース会社は敢えてオーナーに不利な条件の説明をせずに契約を急かす場合もあります。こういった悪質な業者の手口に騙されないためにも、サブリースについてある程度の知識を身につけましょう。
万が一契約してしまった場合はクーリングオフをおこなう
「営業電話を断り切れずに不動産売買契約してしまったが、やはり契約を取り消したい……」
そんな場合はクーリングオフを検討しましょう。
不動産取引の「一定の契約」の条件を満たす場合、買主はクーリングオフの説明を受けた日から8日以内に契約を撤回する旨の書面を相手方に提出することにより、宅地建物取引業法によって契約を解除することができるのです。
不動産の売買に関するクーリングオフの対象になる条件は以下のようになります。
- 売主は宅地建物取引業者(不動産業者)で、買主は個人であること
- 売買するものが宅地または建物であること
- 契約した場所が宅地建物取引業者の事務所や関連建物以外であること(買主が自宅や勤務先など、契約場所を指定した場合は適用外)
- 不動産業者から契約解除の説明を受けてから8日以内に契約解除の旨を書面で発行・送付すること
- 物件の引渡し、および代金全額の支払がされていないこと
なお、契約締結時にクーリングオフについての説明を受けていない場合は、いつでもクーリングオフ手続きが可能です。
クーリングオフできる場合でも手間や労力がかかるため、契約を締結する前に「この不動産投資物件を購入してもよいかどうか」を今一度考慮することをおすすめします。
クーリングオフについて詳しくはこちら!>>不動産投資でクーリングオフの条件と手続き方法を解説!
まとめ
不動産投資の営業電話が来るのは、個人情報をまとめた「ビジネスマンデータ」が売買されているためです。ビジネスマンデータは、本人の要請でリストから個人情報を削除してもらうことが可能です。
ただし、すでにリストが出回ってしまった場合は今後も営業電話がかかってくる可能性があります。
とくに詐欺目的の営業電話には注意が必要です。悪質な営業電話かどうかを自身で判断できるよう、不動産投資の基礎知識を身につけましょう。