不動産投資でROIの計算式と利用方法!メリットや注意点を解説
2022/11/18

不動産投資でROIの計算式と利用方法!メリットや注意点を解説

不動産投資のROIとは?計算方法は?不動産投資で得られる収入の種類物件購入時に必要な諸費用の種類運用時にかかるランニングコストの種類ROIのメリットと注意点不動産投資のROIとCCRの違い不動産投資のROIとCCRを使ったレバレッジ効率のシミュレーション例を紹介自己資金のみで不動産を購入した場合金融機関から借入れをおこなって不動産を購入した場合高レバレッジには注意が必要不動産投資の利回りの種類表面利回り実質利回りまとめ

不動産投資をおこなううえで、利回りと並んで重要な指標のひとつが「ROI」です。ROIとは投資利益率を示す指標で費用対効果をあらわすものです。ROIが高いほど投資の効率がよくなり、キャッシュフローの確保や赤字回避をしやすくなります。

今回は、ROIの活用方法や注意点、計算方法について解説します。またROIと同様、不動産投資の指標のひとつとなる「CCR」についても説明します。


不動産投資のROIとは?計算方法は?

ROIとは「Return On Investment」の略で投資利益率を指し、不動産投資や株式投資など投資の収益性や企業の総合的な収益性における指標のひとつです。


投資利益率は投資したお金に対して年間何%回収できるかを示し、ROIの数値が高いほど物件の利益率が高いという事になります。


不動産投資におけるROIの算出は、以下の式で計算します。

【ROIの計算方法】

ROI = 年間キャッシュフロー ÷ 投資金額(物件価格+諸費用)× 100


なお、年間キャッシュフローは、年間の家賃収入から修繕費やローン返済費などのランニングコストを差し引いた金額になります。


不動産投資で得られる収入の種類

不動産投資のおもな収入源は家賃ですが、「共益費(管理費)」や「礼金」、「更新料」なども収入になります。

また、物件の敷地内に設置した自動販売機の売上や、太陽光発電システムで発電して売却した代金も収入に含まれます。


物件購入時に必要な諸費用の種類

不動産投資物件を購入する際には、手続き費用や税金などが必要です。諸費用の目安は物件価格の5%前後となり、おもに以下のものがあります。


・不動産取得税

・印紙税(税額は物件価格によって変動する)

・登記費用(登録免許税など)

・司法書士報酬(登記などを依頼した場合に発生)

・ローン等の事務手数料(金融機関から融資を受ける場合に発生)

・損害保険料(火災保険や地震保険など)

・仲介手数料(不動産会社を通して物件を購入した場合に発生)


運用時にかかるランニングコストの種類

不動産を運用する際には、さまざまなランニングコストがかかります。ランニングコストの目安は家賃収入の20~30%程度です。

一般的な不動産投資に必要なランニングコストには以下のような種類があります。


・共有部の光熱費(電気や水道料金など)

・損害保険料(火災保険や地震保険など)

・管理委託費(物件の管理を委託している場合)

・修繕費、リフォーム費

・通信費、交通費、交際費など

・減価償却費

・ローン返済費(金融機関から融資を受けた場合)

・所得税・住民税

・固定資産税・都市計画税


ROIのメリットと注意点

パソコン ROI 木製ブロック

ROIを計算することで、より現実的な収益性を知ることができるのがメリットです。

また、下記の式で使って計算することで、物件購入費を不動産収益で回収するまでの年数を算出できます。


物件購入費を不動産収益で回収するまでの年数 = 100 (%) ÷ ROI (%)


ただしROIの計算する際、以下のような「現実の不動産運用時に変動する値」は想定で計算しているため注意が必要です。


【現実の不動産運用時に変動する値の種類】

・家賃額

・空室率

・金利(変動タイプ)


実際の不動産投資で空室率が上がったり、家賃額が下がったりすれば、キャッシュフローが悪化するためROIは下がります。

逆に繰り上げ返済をおこないローン返済額を減らせたり、ランニングコストをおさえたりすることで、ROIが上がる可能性もあるのです。


このように、家賃や空室率、金利の変動でROIの値が大きく上下する特徴をしっかりと把握してから使う必要があります。


不動産投資のROIとCCRの違い

ROIと並び、不動産投資の重要な指標のひとつが「CCR」です。

CCRの正式名称は「Cash On Cash Return」で自己資金収益率の略称で、物件の購入時に支払った自己資金に対する年間のキャッシュフローの割合を指し、CCRの値が高いほど投資効率がよいことを示します。


CCRは以下の式で計算します。

【CCRの計算方法】

CCR = 年間キャッシュフロー ÷ 自己資金 × 100


ROIとの違いは、あくまで「自己資金の運用効率」を示す指標であり、自己資金と年間のキャッシュフローのみを用いて計算をおこなう点です。そのため、借入の有無や借入金額によって数値は異なります。


不動産投資のROIとCCRを使ったレバレッジ効率のシミュレーション例を紹介


不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「少ない自己資金で大きな収益を得る」ことを指します。具体的には、自己資金(頭金)+金融機関の融資(不動産投資ローン)によって自己資金の何倍もの物件を取得・運用し、利益を出すことが可能になるのです。


レバレッジ効果について詳しくはこちら!>>不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


レバレッジ効率は、下記の式を用いて計算できます。

【レバレッジ効率の計算方法】

レバレッジ効率 = 自己資金のみを利用した時のCCR(%) ÷ 借入を利用した時のCCR(%)


ここでは、下記の物件例で「自己資金のみで不動産を購入した場合」と「金融機関から借入れをおこなって不動産を購入した場合」それぞれのレバレッジ効率を計算してみます。

【物件例】

・物件購入費:5,000万円(自己資金500万円、借入金4,500万円)

・表面利回り:10%

・ローン返済額:150万円/年

・ランニングコスト:100万円/年


自己資金のみで不動産を購入した場合

ここでは金融機関からの借入をおこなわず、自己資金のみで不動産を購入した場合のROI

とCCRの値を計算します。


〇ROI

400万円(5,000万円×10%-100万円) ÷ 5,000万円 × 100 = 8%


〇CCR

400万円(5,000万円×10%-100万円) ÷ 5,000万円 × 100 = 8%


自己資金のみで物件を購入した場合、ROIとCCRの値は同じとなり、レバレッジ効果はありません。


金融機関から借入れをおこなって不動産を購入した場合

次に金融機関から借入をおこない物件を購入した場合のROIとCCRの値を計算してみましょう。


〇ROI

250万円(5,000万円×10%-100万円-150万円)÷ 5,000万円 × 100=5%


〇CCR

250万円(5,000万円×10%-100万円-150万円)÷ 500万円 × 100=50%


自己資金のみで物件の購入をおこなった場合はレバレッジが効いていなかったのに対し、借入を利用することで、50(%)÷ 8(%)= 6.25倍ものレバレッジ効率が得られることがわかりました。


高レバレッジには注意が必要

レバレッジをかけることで少額の自己資金で高利益を得ることができる反面、高すぎるレバレッジには以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。


借入れリスク

レバレッジ効果が高い場合は借入額が大きくなるため、借入リスクが高まる危険性があります。月々のローン返済額がキャッシュフローを圧迫し、突発的な支出が必要になったり、空室で収入が減ったりした場合にローン返済が困難になることもあるのです。


借入額を決める際は返済比率などを考慮したうえで、無理のない借入れを心がけましょう。


逆レバレッジ

逆レバレッジとは、その名称通り、レバレッジがマイナスに働いてしまうことを言います。逆レバレッジは以下のような際に発生する可能性が高くなるため注意が必要です。


・金利の上昇

高いレバレッジのかけている場合、月々のローン返済額も大きく、そのため金利が数%変わることで毎月の返済額は大きく上昇します。


・利回りが下がったとき

老朽化や周辺環境の変化によって空室が増えることで、利回りが下がる可能性があります。特に区分マンションは入居者がいない場合の家賃収入は0円です。

次の入居者が決まるまでのあいだ、ローン返済などの費用全額を自己資金から持ち出さねばならない状況も考えられるため注意が必要です。


レバレッジ効果について詳しくはこちら!>>不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


不動産投資の利回りの種類

不動産投資 家 文房具

不動産投資における利回りとは、物件価格に対して1年で得られる収入や利益の割合を指し、投資用不動産物件を選ぶ上で大切な指標となる数値です。

不動産投資の利回りは大きくわけて、おもに以下の2種類があります。

・表面利回り

・実質利回り

ここでは表面利回りと実質利回りについて、それぞれの意味と計算方法について説明します。


利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較


利回りの目安について詳しくはこちら!>>不動産投資の平均利回りは何%?リスクの高い物件の具体例を解説


表面利回り

インターネットやチラシの不動産情報に記載されている利回りのほとんどは、この「表面利回り」です。年間家賃収入を単純に不動産物件の購入価格で割ったものを指します。


【表面利回りの計算方法】

表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100


表面利回りの計算には不動産運用時のランニングコストは反映されていません。そのため、実際に不動産の運用をしてみると表面利回り半分程度の利回りとなることもめずらしくありません。


実際に物件の運用を想定した利回りを把握するには、次に紹介する実質利回りを算出する必要があります。


実質利回り

物件購入時の諸費用と運用時のランニングコストを反映しているため、実際の収益により近い数値を算出できるのが「実質利回り」です。


【実質利回りの計算方法】

実質利回り(%)= (年間家賃収入 - ランニングコスト)÷( 物件価格 +物件購入時の諸費用 )× 100


ただし、家賃以外のランニングコストは想定額であるため、あくまで「実際に近い数値」であることを意識しておきましょう。


まとめ

ROIは、ローンの返済額も含めた「年間キャッシュフロー」で収益率を計算した数値であり、より現実的な収益性を知ることができるのがメリットです。


ただし、空室率や金利など、実際の不動産運用時に変動する可能性のある数字については想定した値で計算していることを理解したうえで、あくまで指標として利用する必要があります。


不動産投資を成功させるためには、投資に対する物件の収益性を知ることは非常に重要です。収益性の高い物件を選ぶためにも、今回の記事で紹介したROIやCCRを上手に活用してください。

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