不動産投資で悲惨な末路を回避する方法を伝授!失敗事例別対策方法
サラリーマンが副収入目的で不動産投資に注目するケースが増えています。不動産投資は株式投資やFX投資と比較するとリスクが低く、節税効果が期待でき、また管理全般を管理会社に委託できるため、サラリーマンにとってはじめやすい投資方法です。
ただし、不動産投資も「投資」である以上は当然リスクがあり、場合によっては損失につながる危険性も皆無ではありません。では、不動産投資で失敗してしまった末路はどうなってしまうのでしょうか。
そこで今回は、不動産投資で失敗した際の「末路」の事例とともに対策方法を紹介します。
不動産投資で副収入を得るはずが、気づけば貯蓄が底を尽いていた……という事態にならないためにも、失敗事例を反面教師にして、不動産投資を成功させる際の参考にしてください。
失敗事例1:ひとつの賃貸需要に依存してしまった結果……
中古の一棟アパートは、新築物件と比べて価格が安く高利回り物件として人気です。
ただし、立地選びを間違えると入居者を獲得できず、空室リスクが高まるデメリットが考えられます。特に地方や郊外の物件は、場所によっては持っているだけで毎月赤字になるような物件さえあるため注意が必要です。
投資家Aさんは、手頃な価格で利回りが高い中古の一棟アパート物件を購入しました。物件は、最寄り駅からバスで約15分の立地でしたが私立大学のキャンパスが近く、学生の賃貸需要を期待して購入を決意しました。
Aさんの期待通り、アパートは私立大学の学生入居者で満室経営がつづきました。ところが数年後、大学が都市部に移転し、キャンパスの縮小が決定します。
それにともないAさんアパートの入居者が激減し、入居率は半分にも満たなくなってしまったのです。
駅からも遠く、近隣には目ぼしい施設もなく、賃貸需要を大学生のみに依存していたAさんアパートは赤字つづきとなり売却を余儀なくされます。しかし、空室だらけのアパートが高値で売れるはずもなく、最終的に大きな売却損を出す結果になってしまったのです。
対策方法:好立地の条件を複数持つ物件を選ぶ
Aさんが失敗した要因は、賃貸需要をひとつだけに依存したことにあります。
不動産投資の成功は物件の立地に大きく左右されます。そのため、不動産投資で失敗しないためには、複数の「好立地」の条件を持つ物件を選ぶ必要があるのです。
一般的に好立地と呼ばれるのは以下のような物件です。
・住みたい街として人気がある地域
・再開発が予定されているエリア
・最寄りの駅から徒歩10分以内
・通勤快速や急行が停車する駅や複数路線利用できる駅が徒歩圏内にある
・コンビニやスーパーなどが近い
・飲食店が多い
・幼稚園や学校、銀行や郵便局、病院や役所などが周辺にある
・周辺の治安がよい・公園が多い
・危険施設や嫌悪施設が周辺にない
不動産投資をおこなう際は、上記の条件をできるだけ多く持つ物件を選びましょう。
失敗事例2:内見を省いた結果……
首都圏を中心に不動産投資をおこなっているBさんは、インターネットの不動産ポータルサイトでたまたま目にした地方都市の高利回り一棟アパート物件に興味を持ちました。
詳細を見てみると、駅は多少距離があるようですが、そもそも郊外のため車があれば問題ない立地です。車で行ける範囲には病院や商業施設もあり、物件の築年数もそれほど古くありませんし、画像でも修繕の必要性を感じません。
さっそく物件所在地にある不動産会社に問い合わせをしてみると、問い合わせや内見予定はあるがまだ売れていないとのこと。お宝物件だと信じたBさんは、首都圏から地方へ行く時間を惜しみ、内見せずにそのまま購入を決めたのでした。
売買契約締結後、はじめて物件を直接見に行ったBさんでしたが、そこではじめて物件選びに失敗したことに気付きます。
地方都市の駅から遠い物件だったため当然あると思っていた駐車場がないうえに、内装がコンクリート打ちっぱなしで住みにくい物件ということがわかりました。利回りが高かったのは入居が付かず、売却額を相場よりも安くしていたためでした。
入居者募集をしましたが、車移動がメインの地域で駐車場のない賃貸物件を選ぶ入居希望者は少なく、赤字がつづく結果になってしまったのです。
結局、購入からわずかな期間所有しただけで、購入金額よりもかなり安値で売ることになってしまい、ローンの残債だけが残ってしまったのでした。
対策方法:物件は内見をしたうえで信頼できる不動産会社から購入する
Bさんの失敗した要因は内見をしなかったことに加えて、取引実績のない不動産会社にもかかわらず、物件について詳細なヒアリングをおこなわなかったことにあります。
売買契約を締結後に契約を破棄するのは非常にむずかしいです。そのため不動産の購入前に問題がないか確認するためにも内見はかならずおこないましょう。
また信頼できる不動産会社から購入することも重要です。
内見時には、少なくとも以下のポイントをチェックしましょう。
・最寄駅からの所要時間
・物件周辺の環境
・外観やエクステリアの状態に問題はないか
・共有部(エントランスやゴミ置き場、駐車場、駐輪場など)の清掃状況や不備がないか
・室内の間取りや内装に問題はないか
上記のように立地はもちろん、間取りや住みやすさ、付帯設備などをチェックし、さらに不動産会社に物件について詳細を確認したうえで購入するしないを検討しましょう。
失敗事例3:フルローン借り入れした結果……
子供の教育資金の貯蓄ために不動産投資を検討中の公務員のCさんは、不動産会社が主催するセミナーに参加しました。
セミナー終了後の個別相談会でCさんは、公務員という肩書から有利な条件で融資を受けられるという話を聞き、提案を受けた中古区分ワンルームマンションを頭金なしで融資が受けられる「フルローン」で購入することを決めます。
その後、まだ融資が受けられるとの営業マンのすすめ通り、さらに2戸の区分ワンルームマンション物件をフルローンで購入したのです。
金融機関別融資の難易度についてはこちら!>>金融機関別不動産投資ローンの最新金利相場!金利をおさえる方法は?
フルローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
3件の区分オーナーになったCさんですが、総借入額に比べて毎月のキャッシュフローの額の少なさに驚きます。さらに固定資産税など支払うと、年間の手残りは十数万円ほどであり、目標としていた貯蓄額には遠く及びません。
もっと家賃収入を増やしたいと考えたCさんは、追加で物件を購入しますが「融資枠がいっぱいになった」と言われてしまいます。ほかの不動産会社の物件を検討するも、金利が高く、結局追加の購入を断念します。
そんなCさんに追い打ちをかけるように、3件の物件のうち2件の退去が決まり、家賃収入が減少してしまいます。次の入居者が決まるまでのあいだ経費やローン返済を手元資金から持ち出さねばならず、さらに手残りが減ってしまう結果になったのでした。
年収に比べてローン借入額が大きいことに気付いたCさんですが、売却したくても購入時を下回る額でしか売ることができず、フルローンを利用しなければよかったと後悔しているそうです。
対策方法:ローンの返済比率を考慮し、無理のない借入れをおこなう
Cさんが失敗した要因は、「有利な条件で融資が受けられる」という営業マンの言葉を鵜呑みにして毎月のローン返済額を考慮せずにフルローンを利用したことです。
一般的にサラリーマンが不動産投資で融資を受けられる上限額は、住宅ローンに比べて多く、年収の10倍程度と言われていますが個人属性や物件の資産価値によって異なります。
なかでも公務員は個人属性が高く評価されるため、フルローンなどの融資審査に通過しやすいです。
フルローンは頭金が不要なので手元に資金を残しておけるのがメリットですが、その反面、物件価格の全額を借入れるため、月々のローン返済額が大きくなる危険性があります。
どんなに高利回り物件であってもローンの返済比率が高すぎる場合は、十分なキャッシュフローを得ることができず、ローンを返済できない可能性もあります。
適切な返済比率は50%以下が目安です。返済比率が高くなればなるほど、突発的な支出や空室に対応できなくなります。そうならないためにも頭金を入れるなどして返済比率を下げることも重要です。
また返済中に返済比率を下げる際は、繰り上げ返済をおこない借入れ額を減らすのもよいでしょう。
返済比率について詳しくはこちら!>>不動産投資ローンの返済比率を下げる方法を解説!目安の比率は何%?
また区分マンションの入居率は、100%か0%のどちらかになるため、空室時は持ち出しが必須になることを考慮していなかった点も失敗の要因のひとつです。
不動産投資は、入居者がいるかぎり毎月家賃収入を得られる投資方法です。その一方で空室時には家賃が得られないため、つねに空室リスク対策や、家賃の減少に備えて手元資金を残しておくなどの対策が欠かせません。
失敗事例4:管理会社選びに失敗した結果……
物件そのものに問題がなくても、物件の管理を委託している管理会社に問題があり、不動産投資に失敗してしまうケースがあります。
中古の一棟アパートをオーナーチェンジで購入した不動産投資初心者のDさんは、不動産管理会社も以前のオーナーから引き継ぐ形で契約していました。
その後、退去者が出たため入居者募集を管理会社にお願いしましたが、いつまでたっても新しい入居者が決まりません。
不審に思ったDさんが管理会社に確認したところ、なんと大手賃貸ポータルサイトに物件情報が登録されていないことが判明したのです。
最近では、入居希望者が賃貸物件を探す際は、まず賃貸ポータルサイトなどで物件を検索して気に入った物件を内見し、気に入れば賃貸借契約を結ぶという流れが主流です。
そのため、大手ポータルサイトへの物件情報の掲載されていない場合は検索しても結果として表示されず、問い合わせや内覧が皆無となり、当然入居も決まりません。
不動産投資に疎いDさん自身、物件の管理全般を管理会社に丸投げしていたため、気づいた時点ですでに空室期間が長期になっていたとのことです。
そのほかにも管理会社の対応が原因で入居者が退去してしまう可能性も考えられます。管理会社のなかには、清掃やクレーム対応が不十分な場合もあるため注意が必要です。
対策方法:管理会社に改善要求を出し、改善されない場合は変更も視野に入れる
Dさんの例のように管理会社のミスや、場合によっては入居付けに積極的でないこともあるため、あまりにも入居が決まらない場合は管理会社に問い合わせてみるとよいでしょう。
エントランスや廊下などの共有部やごみ置き場がいつも汚れている、クレーム対応が遅いなど入居者が不満に感じる部分があれば、管理会社に連絡し、即刻改善してもらいましょう。
まず管理会社に改善を要求して様子を見て、改善されない場合は管理会社の変更も視野に入れるとよいでしょう。
また管理委託とはいえ、大家さんも定期的に問い合わせや内見件数を確認したり、空室対策方法について相談したり、管理会社と連携していくことも大切です。
不動産投資に失敗した場合の末路とは?
一般的に「不動産投資の失敗」とは、借入金のローン返済ができなくなる状態を指し、その場合は「物件を売却してローンを返済する」ことになります。
市場で物件を売却することでローンが完済できる、または多少の損切り覚悟で物件を売却できれば大きな借金を残さずに済みますが、物件を売却しても多額のローン残高がある場合は、以下の方法で対処することになります。
任意売却をする
債権者(銀行や金融機関など)の同意を得たうえで、一般市場で不動産を売却します。市場価格に近い額で売却できる可能性が高いため、その分ローンの残債が減るのがメリットです。
また、債権者の許可があれば引っ越し時期を配慮してもらえたり、引越し費用などを出してもらったりすることも可能なので今後の生活再建の見通しが立てやすくなります。
すべてが強制的におこなわれる競売に比べると、任意売却は債務者(大家さん)の自由度が高いです。そのためローンの返済がきびしくなってしまった場合は、手遅れになる前に任意売却で物件の処分を検討するとよいでしょう。
ただし、売却するための手順などは一般の不動産売買と同じ手順となるため、売却までに時間がかかります。また場合によっては買い手が付かず売却できないことも考えられます。そのあいだもローンの返済はつづくことを覚えておきましょう。
競売にかけられる
任意売却でローン返済の目処が立たない場合は、金融機関は債権回収業者に債権を売却します。債権回収業者は残債回収を目的として「競売」をおこなう場合があります。
競売とは、裁判所を通じて強制的に物件の売却がおこなわれることです。物件の売却額は入札によって決定されます。そのため市場価格よりも安くなる場合が多く、物件が売れても債務が残りやすいのがデメリットです。
また、売却代金は全額返済に充てられるため、債務者は売却代金を一切受け取れず、引っ越し費用なども自分で用意しなければなりません。不動産競売申立て費用も債務者が支払う必要があります。
なお競売情報は、裁判所の掲示板や新聞・インターネットなどを通して広く世間に公開されるため、友人や知り合いの目に留まる可能性があります。
このように競売にはデメリットが多いため、できれば任意売却が可能なうちに対処することをおすすめします。
自己破産する
競売や任意売却で物件を売却しても債務が残った場合は、給与やほかの収入から返済していくことになります。それでも返済の目処が立たない場合は自己破産の申請をおこない、裁判所が債務の支払いが不可能と判断した場合、自己破産が宣告されます。
自己破産すると信用情報機関(ブラックリスト)に登録され、今後5年~10年は借入がおこなえませんし、クレジットカードも作れません。また、一定額以上の財産(住宅や車、貴金属など)は処分して残債に充てる必要があるなどのデメリットがあります。
しかし自己破産として免責決定されれば、残債(税金などは除く)はなくなります。負債額が大きい場合は借金がリセットされることになるため大きなメリットになるでしょう。
とはいえ自己破産するデメリットは大きいため、あくまで最終手段として、できるだけ自己破産を避ける方向で対策を立てることをおすすめします。
まとめ
不動産投資で失敗した人の末路は、物件を売却したり、競売にかけられたり、最悪の場合は自己破産に陥ってしまうことになります。
今回紹介した失敗事例は、不動産投資の失敗のパターンとしてよく見るケースです。事例のようにならないためにも、不動産投資をはじめる際は、物件選びを慎重におこない、無理のない範囲で借入れをおこなうなどの対策方法を知っておくことが重要なポイントになります。