不動産投資初心者向け!1棟目物件の選び方ポイントと重要性を解説
不動産投資の規模を拡大するためには、最初の1棟目の物件選びが非常に重要なポイントになります。しかし、不動産投資初心者によっては「1棟目の物件の選び方がわからない」という人も多いようです。
そこで今回は、不動産投資で失敗しない1棟目物件の選び方のポイントを解説します。
アパートやマンションなどの1棟物件を検討中の方は、なぜ1棟目の物件選びが今後の不動産投資にとって重要なのか、ぜひ当記事で確認してください。
不動産投資の仕組み
不動産投資は、所有する不動産投資物件を第三者に賃貸して収入を得る投資方法を指します。具体的には、一棟マンションやアパート、区分マンション、駐車場、オフィスビルなど購入した物件の入居者から「家賃収入(インカムゲイン)」を得る、または物件を売却して「売却益(キャピタルゲイン)」を得ます。
なお、高額の不動産投資用物件を購入するにあたっては、金融機関の融資を利用するのが一般的です。それによって自己資金以上の資産価値のある物件を取得・運用できるのが不動産投資最大のメリットです。
インカムゲインとキャピタルゲインについて
インカムゲインは、入居者がいるかぎり安定した収入を得ることができますが、そのためには「空室を出さない=入居者を確保しておける」よう、適切な空室対策をおこなう必要があります。
区分マンション投資など、1部屋のみの所有ではインカムゲイン自体があまり高額ではありません。
その場合は、コストがインカムゲインを上回ってしまうことがないよう、物件を購入する際は家賃下落や修繕費の上昇を視野に入れた収支シミュレーションをおこなったうえで物件を選ぶことが重要です。
一方不動産投資のキャピタルゲインは、これまでの収益と売却時の価格が購入時の価格を上回った分が利益となります。
キャピタルゲインは、インカムゲインと比べて大きな収益が見込めますが、逆に売却価格が下がってしまった場合は売却損(キャピタルロス)となる可能性も十分考えられます。売却時には価格やタイミングを見計らうなど注意しましょう。
以上のことから、不動産投資で毎月安定したインカムゲイン得る・将来的に物件を売却して売却益を狙うため、ようするに不動産投資で成功するためには賃貸需要の高い人気エリアで利便性のよい好立地物件を選ぶ必要があります。
不動産投資の収益について詳しくはこちら!>>不動産投資の利益の種類!インカムゲインとキャピタルゲインを解説
不動産投資物件の売却について詳しくはこちら!>>不動産投資物件の売却に最適なタイミングと有利にする方法!
不動産投資の1棟目が重要な理由について
不動産投資の規模を将来的に拡大していきたいと考えている人にとって、1棟目の物件選びは非常に重要です。
なぜなら今後不動産投資を拡大していくにあたって2棟目・3棟目と物件保有数を増やしていくためには、1棟目の収益物件の投資状況が銀行など金融機関の融資審査の評価対象になるからです。
年収や自己資金など個人属性が同じような場合でも、1棟目の経営状態によっては2棟目以降の融資条件がきびしくなる可能性が高くなります。よって不動産投資の成功は1棟目の成果次第と言えるのです。
不動産投資で1棟目を選ぶ際のポイント
不動産投資の拡大に重要となる1棟目の物件を選ぶ際は、以下のポイントに留意する必要があります。
・収支がプラスになる物件を選ぶ
・自分の予算内で購入できる物件を選ぶ
・物件の条件に優先順位をつける
それぞれについて詳しく解説します。
収支がプラスになる物件を選ぶ
前述したように、不動産投資の規模を拡大して利益を増やすためには2棟目・3棟目と投資物件を増やしていく必要があります。2棟目の融資審査の際、金融機関は1棟目の投資実績を含めて評価します。
そのため、1棟目の物件は収支をプラス(黒字)にすることが重要です。
1棟目の投資が順調であれば評価が高くなり、2棟目以降の融資金額や金利、返済期間などの好条件で融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
反対に、1棟目の経営状態がよくない場合は、金融機関に「返済能力に難あり」とみなされ、希望する額の融資が受けられなかったり、金利が高くなったり、返済期間が短くなったりと融資条件がきびしくなる場合も考えられます。
収支プラスに保つには、家賃収入などから差し引かれる金額(必要経費とローン返済額)を少なくする必要があります。
そのためには、自己資金(頭金)の割合を高くして返済比率を下げておくことが重要です。
また、想定外の支出や空室率などを考慮したうえで、さまざまなパターンで収支シミュレーションをおこないましょう。
大きな収益を上げる必要はありませんが、収支をかならずプラスにすることを前提に1棟目の物件を選ぶことが重要です。
自分の予算内で購入できる物件を選ぶ
不動産投資用物件を購入する際の融資額の上限は、サラリーマンの場合、年収の10倍程度が目安と言われています。
たとえば年収500万円の人であれば5,000万円程度の融資が受けられる可能性があります。
ただし、個人属性や物件の資産性によって異なりますし、また金融機関によっても違いがあります。
しかし、年収を無視して無理な借入をおこなってしまうと月々のローン返済額が大きくなってしまい、突発的な出費や空室によって毎月の収支がマイナス(赤字)になる可能性があるため注意が必要です。
特に公務員など個人属性の高い人は、年収の10倍を超えて融資を受けられる可能性もあります。
また頭金なしで融資を受けられる「フルローン」は、レバレッジ効果が高くなりますが、借入金額が大きくなればそれだけ月々のローン返済額も大きくなり、その分収益が少なくなるので注意しましょう。
金融機関の融資について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人
フルローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
レバレッジ効果とは
レバレッジとは「テコの原理」を指しますが、不動産投資においては「小さい資金で投資効果を上げ、さらに収益性を高める」ことを指します。
たとえば、価格が1,000万円、利回り8%の物件を現金一括で購入した場合の年間家賃収入は80万円です。
しかし、自己資金1,000万円を頭金にして2,500万円を借入れ、利回り8%、3,500万円の不動産物件を購入したとします。すると同じ利回り8%であっても、この場合の年間家賃収入は280万円になります。
ローン金利(例:3%)を支払ったとしても現金一括で物件を購入した場合に比べて、約190万円も多く家賃収入を得ることができるのです。
このように投資した自己資金額が同じでも金融機関から融資を受けることで、より多くの利益を得ることができるのがレバレッジ効果です。
レバレッジ効果について詳しくはこちら!>>不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意
物件の条件に優先順位をつける、条件を緩める
前述したように、不動産投資で成功するためには賃貸需要の高い人気エリアで利便性のよい好立地物件を選ぶ必要があります。
しかし、理想とする好立地物件の条件にこだわり過ぎてしまうと、条件すべてに合致する理想の物件がなかなか現れず、いつまでたっても物件購入の機会が巡ってこないことが考えられます。
こうした事態を避けるためには条件を緩めて購入範囲の物件数を増やし、購入物件の条件に優先順位をつけるとよいでしょう。
優先順位は「これだけは、はずせない条件」を決めておき、下位にあたる条件からはずれていた場合は許容することで物件を選びやすくなります。
また物件の条件がきびしすぎて、希望通りの物件に出会えないこともあります。たとえば、最寄りの駅から徒歩5分以内の駅近物件に絞っていた場合は徒歩10分以内にしてみたり、築年数5年以内を10年以内に変更してみたりと条件を緩めてみましょう。
購入物件の条件を緩めることで選べる物件数が増え、優先順位に合う物件を選びやすくなります。
不動産投資の1棟目で失敗しないための注意点
ここでは不動産投資で一棟目の購入で失敗しないための注意点を紹介します。
不動産投資をおこなう目標を決めておく
不動産投資をおこなう目的や目標をあらかじめ決めておき、それに沿った購入計画を立てましょう。
たとえば、「老後の私的年金として、月に〇〇円得たい」や「子供の進学資金として△年後までに◇◇円を貯めたい」など、できるだけ具体的な目的と目標を定めます。それによって貯めるべき自己資金額や購入すべき物件の種類がおのずと絞られます。
ただし、1棟目の物件だけで目標を達成するのはむずかしいことが多いため、やはり2棟目・3棟目と投資規模を拡大する必要があるでしょう。
いずれにしても、きちんと目標を定めておかないと自己資金以上の物件を購入したり、想定通りの利益が出なかったり、収支がマイナスになる可能性が高まります。
収支がマイナスになるとローンの返済が滞ってしまい、最悪の場合は物件を手放す可能性もあるため注意が必要です。
利回りだけで決めない
不動産投資で物件を選ぶ際の指標となるのが「利回り」です。一般的に利回りが高い物件ほど収益が多くなりますが、単に利回りの数字だけで物件を選ぶのは非常に危険です。
まず、物件情報に掲載されている利回りは、経費を計算に反映していない「表面利回り」であることがほとんどです。そのため、実際に運用してみると表面利回りの半分程度の利回りにしかならない場合もめずらしくありません。
物件を検討する際には、物件購入時の諸費用や運用時の経費を反映して計算する「実質利回り」を参考にしましょう。
【実質利回りの計算方法】
実質利回り(%)= (年間家賃収入 - 経費)÷( 物件価格 + 諸費用 ) × 100
ただし実質利回りであっても、あくまでの「実際に近い数値」であることを留意しておく必要があります。
利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の平均利回りは何%?リスクの高い物件の具体例を解説
見せかけだけの高利回り物件に要注意
利回りは、取得した不動産投資物件の種類や築年数、所在地などの条件によって変わってきます。単純に利回りの数字の大きさだけで物件を選ぶのではなく、入居率や立地条件などもあわせて、本当に高利回り物件かどうか慎重に判断しなければなりません。
特に表面利回りが高すぎる物件は、以下のような理由で高利回りとなっている可能性が考えられるため注意が必要です。
・高額な修繕費用が発生するケース
建物の管理状態が著しく悪かったり、設備が極端に古かったり、購入してから多くの修繕費用がかかる物件である可能性があります。せっかく安く購入しても修繕費用が多くかかれば利回りは下がってしまいます。修繕してみたら相場よりも利回りが低くなる場合もあるため注意しましょう。
・融資が付きにくい物件
再建築不可物件や法定耐用年数を超えた物件の場合、金融機関の融資が付かない可能性があります。現金一括で購入する手段もありますが、売却したくても買手がつかないことも多いため注意が必要です。
・なんらかの理由で売値を安くしなければ売れない物件
周辺の相場と比較して極端に安い場合、売却価格を下げなければ売れない物件の可能性があります。事故物件だったり、入居者や周辺に問題があったり、なんらかの痂疲があるかもしれません。
複数の銀行・金融機関に融資を申し込む
融資の申し込みはひとつの銀行だけでなく、複数の銀行・金融機関に申し込むことで、融資を受けられるチャンスが広がります。
融資審査の基準は金融機関ごとに異なります。また同じ銀行でも支店によって審査基準に違いがあるため、〇〇銀行△支店に融資を断られても、別の支店では融資してもらえる可能性もあります。
たとえ融資を断られてたとしても、けっしてあきらめずに複数の金融機関に融資相談・申し込みおこないましょう。
金融機関別融資の難易度についてはこちら!>>金融機関別不動産投資ローンの最新金利相場!金利をおさえる方法は?
手元に資金を残しておく
不動産の運用中には、設備が故障し修繕費費用が発生したり、想定以上に空室期間が長引いたことで予定していたより家賃収入が少なくなったり、収支がマイナス(赤字)になることも少なくありません。しかし、その場合でもローンの返済はおこなう必要があるため、家賃収入で支払えない場合は手元資金から持ち出すことになります。
手元に資金がない場合はローンの返済がおこなえず、最悪の場合は物件が差し押さえられてしまう恐れがあります。そうならないためにも、ある程度の資金を手元に残しておくことをおすすめします。
まとめ
将来的に不動産投資を拡大したい人にとって、1棟目の収支結果は2棟目の融資審査に大きく影響します。1棟目の収支がプラス(黒字)であれば、金融機関から投資実績として評価される可能性が高くなるため、2棟目以降の融資審査に有利にはたらきます。
逆に収支がマイナス(赤字)であれば、今後の融資条件に悪影響を及ぼしかねません。
そのためには、利益は小さくても1棟目はかならず収支がプラスになる物件を選ぶことが最重要ポイントです。1棟目の運用を成功させ、2棟目・3棟目とステップアップし不動産投資の規模を拡大させましょう。