不動産投資入門者向け6つの基本情報!物件の種類や選び方を解説
資産運用方法としてサラリーマンにも人気の不動産投資ですが、興味があっても「なにをしてよいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、これから不動産投資をはじめる人に向けて「不動産投資入門」として、物件の選び方や注意点などの基本情報を解説します。
不動産投資をおこなう上で重要なポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資入門基本情報その1:不動産投資とは
不動産投資とは、所有しているなんらかの「不動産」を第三者に賃貸し。家賃収入を得る投資方法を指します。
詳しくは後述しますが、生命保険の代わりになったり、インフレ対策になったり、さまざまなメリットがあります。
ここでは不動産投資の特徴について紹介します。
不動産投資の収益の種類
不動産投資の収益は、所有する不動産を賃貸することで得る「インカムゲイン(賃料収入)」と、所有する不動産物件を売却することで得られる「キャピタルゲイン(売却益)」があります。
インカムゲインは、賃貸した不動産物件に借り手がいる限り、毎月安定した賃料を長期に渡って得ることができます。
キャピタルゲインを得るには、購入時よりも高い価格で不動産を売却しなければなりません。
そのためには不動産を取得する時点からしっかりと収益を得られるよう、資産価値が下がりにくい物件を選んだうえで出口戦略を見据えた計画を立てておくことが重要です。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資方法
不動産投資は入居者(借り手)がいる限りは長期に渡ってインカムゲインを得られる投資方法です。
また不動産価格(地価)の変動が比較的ゆるやかなことから、賃料の下落も急激に変動する可能性もきわめて低いです。
株式投資のように短期間で大きな利益を得ることはできませんが、短期間で投資資金を失うこともありません。
そのため、長期間にわたって安定した収入が得られる不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法と言われています。
不動産投資入門基本情報その2:メリット
不動産投資のメリットは、毎月安定した賃料収入を得られることですが、そのほかにも以下のようなメリットがあります。
少ない自己資金で大きな資産を取得・運用できる
不動産投資最大のメリットのひとつが、投資用不動産物件の購入資金を金融機関から融資を受けられる点です。
そのため、自己資金だけでは購入できない高額な不動産を取得でき、またレバレッジを活かした運用が可能になります。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で大きな不動産を取得し収益を得ること」を指します。
たとえば自己資金500万円で融資を受けた場合と受けない場合を比較してみましょう。
【融資を受けない場合】
利回り10%、価格500万円の物件を現金一括払いで購入した場合の年間家賃収入は50万円となります。
【融資を受けた場合】
自己資金500万円を頭金として融資を受け、利回り10%、価格2,500万円の物件を購入した場合の年間家賃収入は250万円になります。
ローン金利(例:3%)を支払った場合でも年間家賃収入は190万円となり、同じ自己資金額でありながら融資を受けなかった場合に比べて約4倍の収入になるのです。
このように、レバレッジを効かせることで、資産形成が速まるのもメリットになります。
団信に加入できるので生命保険代わりになる
前述のように、不動産投資物件を取得する場合は不動産投資ローンを利用します。
その際、金融機関によって異なりますが、必須または任意で「団体信用生命保険(団信)」に加入することが可能です。
団信とは、ローン返済中に契約者が死亡(または高度障害状態)し、ローンの返済が困難になった場合、残りのローンが弁済される保険システムです。
ローンが完済された不動産投資物件は遺族(または本人)のものになるため、そのまま不動産投資をおこなって毎月家賃収入を得ることができます。
また不動産物件を売却すれば、まとまった現金を生命保険代わりにできるのです。
団信について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!
インフレに強い
現物資産である不動産は、現金や有価証券に比べるとインフレ時であっても資産価値が下がりづらいとされています。
もちろん、現物資産だからといって資産価値が一切下がらないというわけではありませんが、前述のように地価の変動は緩やかです。
また建物の価値についても、通常は年単位でゆっくりと下落します。
そのため、インフレであっても急激に資産価値が落ちてしまう可能性が低く、現物資産である不動産投資はインフレに強いと言われているのです。
さらにインフレは物価が上昇することで起こります。
家賃も物価のひとつであるため、インフレになることで家賃も徐々に上昇する傾向にあり、不動産収入の増収につながる可能性が高くなります。
このようにインフレに強い不動産は資産価値を守る上で有効な投資方法のひとつと考えられます。
副業禁止の会社のサラリーマンでも始めやすい
副業を禁止している企業であっても、不動産投資は副業とみなされない場合が多くあります。
その理由として「従業員が、親や親族の所有する賃貸アパートなどを相続した(譲渡された)」場合や、転勤にともなって一時的に自宅を賃貸するなど、やむを得ないケースがあげられます。
このような事情で従業員が不動産投資をおこなうケースが考えられることから、「不動産投資=副業」として禁止するのがむずかしく、「不動産投資は副業あつかいにしていない」という企業が多いと考えられます。
加えて、不動産投資は運用や管理を外部に管理委託できるため、自分で賃貸物件の管理などをおこなう必要がほとんどありません。
そのため労力や時間を割かずに済むため、本業に支障が出る可能性が少ないです。
これらの理由から「不動産投資は副業にあたらない」とする企業が多いのです。
ただし、不動産投資が副業にあたらないかどうか、どの程度の規模なら問題ないかなど、最終的な判断は勤務先の会社がおこないます。
不動産投資をはじめる場合は、念のため会社側に確認しておくことをおすすめします。
不動産投資入門基本情報その3:リスク
前述のように不動産投資はミドルリスクの投資方法ですが、投資である以上リスクはあります。
しかし、あらかじめどのようなリスクがあるのか把握した上で、リスクを最小限におさえる対策をおこなうことが不動産投資を成功へと導きます。
空室・家賃滞納・家賃下落リスク
家賃がおもな収入源となる不動産投資の最大のリスクは、空室や家賃滞納、家賃下落によって収入が減少することです。
収入が減ることで月々のローン返済がむずかしくなったり、手持ち資金の持ち出しが増えたり、最悪の場合はローン滞納によって物件の差し押さえも考えられます。
そのため不動産投資では、いかに空室リスクをおさえるかが重要なポイントになります。
空室リスクを減らすためには、賃貸需要が高いエリアの好立地物件を選んだり、最新設備を導入したり、建物のメンテナンスをおこない資産価値を維持する必要があります。
また家賃滞納リスクは、入居者がいるにもかかわらず家賃をもらえないだけでなく、滞納が長期にわたると入居者の立ち退きなど、どんどん問題が大きくなり、それにともない時間やお金、手間がかかります。
対策としては家賃保障会社との契約を入居条件にするなど、あらかじめ家賃滞納の可能性をつぶしておくのも効果的な方法です。
災害リスク
不動産投資では、地震や台風といった災害で建物や設備が破損・倒壊するなどの可能性も考えられるため、災害によるリスク対策も重要です。
具体的には、必要に応じて地震保険・火災保険には必ず加入しましょう。
また物件を選ぶ際は、自治体のハザードマップなどを確認して危険が少ない土地や、その土地に合わせた災害対策をおこなっている物件を選ぶとよいでしょう。
中古物件を購入する際は、新耐震基準を満たす構造物件を選ぶことも大事です。
金利上昇リスク
前述のように不動産投資をはじめる際は、金融機関から不動産投資用ローンを利用して融資を受けることが一般的です。
その際、変動金利で融資を受けている場合は金融情勢の変化により金利が上昇し、返済額が高額になる「金利上昇リスク」が考えられます。
この金利変動リスクを避けるためには、頭金額を増やすなど物件購入時の自己資金の割合を増やし借入金の比率を下げたり、固定金利を選択するなどの対策が効果的です。
また、金利上昇に備えて手持ち資金を用意しておき、できるだけ余裕のある返済プランを立てるとよいでしょう。
不動産投資入門基本情報その4:物件の種類と特徴
不動産投資であつかわれる物件にはオフィスビルや商業施設、ホテル、倉庫、住宅などさまざまなものが存在します。
ここでは代表的な不動産投資物件の種類を紹介します。
区分マンション
一棟マンションの1室を取得し賃貸する方法です。
単身向けやファミリー向けなど、間取りや価格もさまざまな種類があるため予算にあわせて物件を選ぶことができます。
また1室から購入できるため、自己資金も少額ですむので不動産投資初心者でもはじめやすいのがメリットです。
ただし、物件を1室しか所有していない場合は賃料も少なく、空室時は家賃収入が0円なのがデメリットです。
一棟アパート・マンション
アパートやマンションを建物ごと購入して賃貸する方法です。
新築か中古(築浅・築古)か、間取りや規模(戸数)など選べる種類が豊富なので、自己資金額や目的に合わせて物件を選べます。
また土地も同時に取得するため、出口戦略の幅が広がるのもメリットです。
一方、土地と建物を取得するため、購入額は高額になりやすいのがデメリットです。
安定したキャシュフローを得るためには、空室対策や建物のメンテナンス面などしっかりとおこなう必要があります。
なお、法定耐用年数を超えるような築古物件の場合は金融機関から融資が下りない場合もあるため注意しましょう。
戸建て住宅
一戸建ての住宅を賃貸する方法です。
戸建て住宅のほとんどがファミリー向け物件であるため、単身者向け物件より家賃を高めに設定できますし、長く住んでもらえる可能性が高いなどのメリットがあります。
ただし、戸建て住宅は原状回復リフォームなどの費用が高くなりやすいのがデメリットです。
そのため、短期間で退去されないようファミリー向けに好まれる立地の物件を選ぶとよいでしょう。
小額でできる不動産投資
「現物不動産投資はむずかしそう」、「自己資金が少ない」といった場合には、「少額不動産投資」もおすすめです。
少額不動産投資とは、複数の投資家がひとつの不動産物件を対象に資金を投資して投資のプロによって運用がおこなわれる金融商品です。
少額不動産投資には、おもに以下のような種類があります。
・不動産クラウドファンディング
・REIT(リート)
・不動産小口化商品
商品によって異なりますが、少額不動産投資は一口あたり1万円から投資ができ、運用・管理は企業や事業者がおこない、利益は投資額に応じて分配され投資家に支払われます。
そのため、自己資金が少ない人でも無理なくはじめることができ、現物不動産投資にようにローンを組む必要もありません。
また複数の不動産物件に少額ずつ分散投資することも可能です。
ただし、少額不動産投資の多くは元本保証がされていないため、場合によっては元本割れのリスクがあります。
クラウドファンディングについて詳しくはこちら!>>不動産投資クラウドファンディングとは?メリットとデメリットを解説
REITについて詳しくはこちら!>>少額で不動産投資ができるREIT(リート)のメリット・デメリットを解説!
不動産小口化商品について詳しくはこちら!>>不動産小口化商品ついて詳しく解説!種類やメリットとデメリットは?
その他の不動産投資
上記の不動産投資以外にも、以下のような種類があります。
・コインランドリー
・トランクルーム
・駐車場(月極、コインパーキング)
・駐輪場
上記は、専門の業者に貸し出す場合が多く、オーナーの負担は小さいのが特徴です。
いずれも周辺の利用状況によって収益が変わるため、事前に需要などを調査することをおすすめします。
不動産投資入門基本情報その5:物件選びのポイント
不動産投資の成功の可否は、物件選びの段階で決まると言っても過言ではありません。
では、どのような視点で物件を選べば失敗しにくいのでしょうか。
ここでは物件を選ぶ際のポイントを解説します。
賃貸需要が高く資産価値の下がらない物件
空室リスクを軽減するためにも、賃貸需要が高いエリアにある好立地物件を選ぶ必要があります。
好立地物件は人気があるため入居付けも容易なことが多く、家賃収入が増えることで結果的に利益も増加します。
一般的に「好立地」と呼ばれる条件には以下のようなものがあります。
・駅から近い(徒歩10分圏内)
・近くにスーパーやコンビニなどがある
・物件周辺に公共施設がある
・再開発予定のエリア(将来的に近隣に駅ができる、繁華街になる)
・職場や学校から近い
・日当たりがよい
ただし、入居ターゲット層やエリアによって好立地の条件は変わってくるため注意が必要です。
たとえば、学生が多いエリアなら、駅から近いワンルームや1Kなどの物件の需要が高くなります。
ファミリー層が多い住宅街なら多少駅から離れていても近隣に小学校や子供向けの施設が充実していれば需要が高いですし、間取りも2LDKや3LDKなどファミリー向け物件が好まれます。
また、エリアの人口の増減や再開発の有無なども、将来的な賃貸需要を予測する上で重要なポイントです。
周辺の競合物件数も含めて、将来的な賃貸需要の有無を判断する必要があります。
なお、物件を売却する際にも立地は売却額に大きく反映されます。
物件を選ぶ際は、インカムゲインだけでなく、出口戦略で得られるキャピタルゲインも考慮した上で決めることが重要です。
自己資金額に応じた物件を選ぶ
どんなに高スペックな物件であっても、自己資金を大幅にオーバーする物件を購入する際は、あらためて収支シミュレーションをおこなうなど慎重な判断が必要です。
特に十分なキャッシュフローが得られない物件は、突発的な修繕費用の発生や空室の長期化でローンの返済が滞ることも考えられます。
資金面や収支面をしっかりと確認し、万が一の場合も資金面で余裕を持って経営できる不動産物件を探しましょう。
高利回り物件を選ぶ際の注意点
「利回り」は、不動産投資物件を選ぶ際の重要な指標のひとつで、一般的に利回りが高い物件ほど収益が多くなります。
ただし、以下のような物件は、買手がつかないため相場よりも安い価格で売りに出されているため高利回になっている場合があるため注意が必要です。
・建物の管理状態が悪い
・設備が極端に古い
・立地が悪い
これらの物件は高利回りでも、購入後の修繕や設備の交換に高額の費用がかかり、修繕や設備を入れ替えてみたら利回りが大幅に下がってしまうことも少なくありません。
物件購入前にはかならず現地に行き、物件と設備を直接確認したり修繕・メンテナンス履歴を確認したりといった調査をしっかりとおこないましょう。
そのほかにも、「再建築不可」や「違法建築」なども難あり物件や「満室が偽装」されている物件もあります。
高利回りであるからにはなんらかの理由があるため、かならずその理由を確認した上で購入しても問題はないか慎重に判断をおこないましょう。
利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較
不動産投資入門基本情報その6:はじめる前に準備しておくこと
不動産投資をはじめるにあたっての準備として、以下の2点はかならずおこなっておきましょう。
不動産投資の基礎知識を勉強する
不動産投資を成功させるためには、いかに不動産投資の知識を活かすかにかかっています。
物件の選び方や収支シミュレーションや利回りの計算、リスク対策など、不動産投資の成功に必要な知識は非常に多岐にわたります。
そのためにも、不動産投資をはじめる前には、最低限の不動産投資の基礎知識程度を身につけることをおすすめします。
不動産投資について勉強するには、以下のような方法があります。
・不動産投資セミナーや大家さんの会に参加する
・不動産投資の本を読む
・インターネットサイトや動画サイトの不動産投資情報、体験談を参考にする
・不動産投資経験者から話を聞く
・不動産会社を回って話を聞く
セミナーなどは有料・無料、テーマ別、初心者向けなど、自分の知りたい内容のものに参加するとよいでしょう。
不動産投資への理解が深まれば、それだけ失敗する確率も低くなるので、不動産投資について学ぶ機会があれば知識を吸収してください。
資金を貯める
不動産投資をはじめるためには自己資金が必要です。
前述のように不動産投資物件を購入するには不動産投資ローンを利用しますが、頭金のほか、以下のような売買契約やローン契約に必要な諸費用がかかります。
【頭金と諸費用目安】
・頭金:物件価格の10%~30%程度
・仲介手数料:物件価格の3%+6万円+消費税(不動産会社を介した場合)
・不動産取得税:固定資産税評価額×3% (令和6年3月31日まで。土地および住宅)
・印紙税:物件価格によって異なる(1,000万円超5,000万円以下の場合1万円~)
・登録免許税:土地・建物の1.5%
・司法書士への報酬:10万円~15万円程度
・清算金(固定資産税など):物件引き渡しのタイミングなどによって異なる
・融資事務手数料:借入金額の1~3%程度
・融資保証料:借入額の2%程度(一括で支払う場合)
・火災・地震のための損害保険料:建物の構造や面積によって異なる
一般的に、頭金は物件価格の10%~30%程度、諸費用は物件価格の5%~10%と言われています。(中古物件か新築物件かによって変動する)
物件によっては頭金不用のフルローンを組んだり、頭金不要で諸費用もローンに組み込むオーバーローンを組む方法もありますが、どちらも総借入額が大きくなるため、月々のローン返済額が高額だったり、金利が高いなどのリスクをともなうため、不動産投資初心者にはおすすめしません。
また、突発的な修繕や空室が長引いた場合に備えて、ある程度の手持ち資金を用意しておくことも大事です。
想定する物件の予算から、頭金+諸費用を概算し、そこに手持ち資金として+αを加えた額を目標に資金の確保を目指しましょう。
不動産投資の初期費用について詳しくはこちら!>>不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?
まとめ
これから不動産投資をはじめる人に向けた「入門」として、物件の選び方や注意点などの基本情報を解説しました。
不動産投資のメリットは、金融機関から融資を受けられるため、自己資金以上の資産を所有・運用できる点にあります。
資産形成のスピードが速いため、2件目、3件目と不動産投資物件を増やしていくことも夢ではありません。
また物件の選び方やリスク対策などをしっかりおこない、リスクを最小限におさえることも不動産投資の成功には欠かせません。
いきあたりばったりで不動産投資をはじめるのではなく、不動産投資の知識を身につけた上で、実践することをおすすめします。