不動産投資の固定資産税について基本と計算方法、軽減措置を解説
2021/09/15

不動産投資の固定資産税について基本と計算方法、軽減措置を解説

不動産投資するなら知っておきたい!固定資産税の基本について固定資産税とは?                                                  固定資産税はだれが支払うの? 固定資産税の支払い時期や支払い方法は?固定資産税を延滞してしまったら?固定資産税を過払いしている可能性も    不動産投資にかかる固定資産税の計算方法について固定資産税の計算方法不動産投資を有利にする固定資産税の軽減措置について小規模住宅用地の特例措置新築住宅に係る税額の減額措置「免税点」で課税されないケースもあるまとめ

不動産投資の必要経費のひとつとして切り離すことのできない「固定資産税」。

毎年送られてくる納税通知書通りになんとなく支払っている人も多いようでが、経費としての固定資産税は大きな割合を占めています。


今回は、固定資産税の基本や計算方法について解説します。

固定資産税がどのように決められているのか、万が一支払えなくなった場合の対処方法などをまとめました。


また、固定資産税の軽減措置についても紹介するので、不動産投資物件を購入する際の参考にしてください。


不動産投資するなら知っておきたい!固定資産税の基本について

TAX 家 男性
不動産投資物件を所有し、賃貸経営などで収益を得る不動産投資では、さまざまな種類の税金を支払う必要があります。

そんな不動産投資と切っても切り離せない税金のひとつが「固定資産税」です。

ここでは、固定資産税の基本情報を詳しく解説していきます。


固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や家屋を所有しているすべての人に課税される地方税のひとつです。

マイホームはもちろん、不動産投資物件となる一棟アパートや一棟マンション、区分マンションなどに対しても、固定資産税が課税されます。


また固定資産税の支払いは、不動産投資ローンの有無に関係なく、また不動産投資の経営が赤字の場合でも納税しなくてはいけません。

物件を所有しているかぎり、固定資産税は毎年課税されることを忘れないでおきましょう。


なお、固定資産税は確定申告時に経費として計上できます。

所得税をおさえるためにも忘れずに申告しましょう。


固定資産とあわせて徴収される都市計画税

固定資産税とあわせて徴収される税金として「都市計画税」があります。


都市計画税とは、市街化区域内にある不動産を対象に課税される税金です。

税率は各自治体によってさまざまですが、税率は最大0.3%となっているため、それ以上の税率が課せられることはありません。


固定資産税はだれが支払うの?

固定資産税は、毎年1月1日に土地や建物の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に課税義務があります。

もし、所有者が亡くなった場合は、その相続人が納税義務を引き継いで納税義務者となります。


また、年の途中で不動産投資物件を売却した場合は、決済日を基準に日割り計算し、算出した額の固定資産税を買主が売主に支払うのが一般的です。


固定資産税の支払い時期や支払い方法は?

固定資産税の納付は、4月~6月あたりに各自治体が発送する納税通知書に記載された納付額と納期限に従って支払います。

固定資産税の納付は4期に分割して納付することもできますが、その際は、各納期限内に支払いましょう。


なお、固定資産税の支払いには、以下のような方法があります。


  • 自治体窓口で支払う
  • 金融機関から振り込みで支払う
  • コンビニのレジで支払う
  • スマートフォン決済アプリで支払う
  • Pay-easy(ペイジー)で支払う
  • 自治体のサイトで支払う(要クレジットカード)

以前に比べて固定資産税の支払い方法が大幅に増えています。

決済アプリやクレジットカードで固定資産税を支払うとポイント還元サービスを受けられるなどのメリットがありますが支払い上限額が決まっている場合もあるため注意が必要です。


なお、決済アプリやクレジットカード払いに対応していない自治体もあるため、あらかじめ確認をしてください。


固定資産税を延滞してしまったら?

納期限までに固定資産税を納付しなかった場合、納期限を過ぎた日から延滞税が発生します。


固定資産税は地方税なので各自治体によって延滞税率は異なりますし、延滞期間によっても税率が変わりますが、固定資産税の延滞税は、ほかの税金の延滞税に比べて高額なため、支払いが遅れれば遅れるほど延滞税も高額になるため注意が必要です。


また延滞税率は毎年変動するため、最新の税率については各自治体のホームページなどで確認しましょう。


なお滞納したまま放置すると、やがて督促状が届きますが、それでも延滞したまま放置すると財産調査や身辺調査がおこなわれ、預貯金や給料を差し押さえられてしまうことも。


それでも固定資産税を全額回収できない場合は、所有する不動産物件が差し押さえられる可能性もあるため、できるだけ早く支払うことをおすすめします。


支払いの減免制度や猶予について

災害などで土地・家屋が被害を受けた場合、その被害の大きさに応じて、固定資産税が減免される場合があります。


また、課税対象者が災害を受けたり病気になったり、経済的な理由で一時的に納税がむずかしい場合は支払いが猶予される可能性があります。


上記の理由で支払いの減免や猶予を希望する場合は、各自で役所に減免や猶予の申請をおこなわなくてはなりません。

なお、納期限をむかえる前に申請手続きが必要なケースもあるので、できるだけ早く役所に相談しましょう。


固定資産税を過払いしている可能性も

ほとんどの人は、役所から送られてくる「固定資産税納付書」に記載されたとおりの固定資産税を納付していますが、じつは納付書記載の税額がかならずしも正しいわけではありません。


総務省が2009〜2011年に「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況」の調査をおこなったところ、税額の修正をおこなったことのある市町村が調査回答のうち97%あったという調査結果が発表されています。


参考:総務省 『固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果』

上記の結果から、多くの市町村で固定資産税および都市計画税の額に間違いがあったことから、もしかすると固定資産税を過払いしている可能性も考えられます。


納付書に記載されている固定資産税額が正しいかどうか、課税明細書などをしっかりとチェックすることをおすすめします。

もし過払いが発生していたら自治体窓口に還付金申請をおこないましょう。

不動産投資にかかる固定資産税の計算方法について

TAX 電卓 お金

ここでは固定資産税の計算方法について解説します。

これから不動産投資をはじめる場合は収支シミュレーションの参考にしてください。


固定資産税の計算方法

固定資産税額を計算するには、以下の計算式を用います。


固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 1.4%


計算式は非常にシンプルですが、ここで気をつけたいのが「固定資産税評価額(課税標準額)」についてです。

固定資産税額の計算には、不動産物件の購入額ではなく、土地や建物の固定資産税評価額が基準となるため注意が必要です。


土地と建物、それぞれの固定資産税評価額については以下のように決められます。


土地の固定資産税評価額について

土地の固定資産税評価額は、国税庁が公表している「路線価」をもとに各市町村(東京23区は各区)が個別に決めています。


固定資産税評価額の目安は、路線価(×土地面積)の70%ですが、土地の場所や形状、接道の状況などによって変動する場合があります。


また、土地の固定資産税評価額は3年に一度評価替えがおこなわれ、評価額の見直しがされます。


建物の固定資産税評価額について

建物の固定資産税評価額は、再建築価格(評価の時点において新築するとした際にかかる建築費)のおよそ50%~70%になります。

新築の場合は請負工事金額のおよそ50%~60%です。


なお、建物の固定資産税評価額は規模や構造、築年数などによって額が変動します。

また建物の資産価値は経年により減少するため、毎年見直しがおこなわれます。


不動産投資を有利にする固定資産税の軽減措置について

税金 木 コイン

土地、建物それぞれに固定資産税の軽減措置が用意されています。

不動産投資をおこなううえで、非常に大きな節税効果を得ることができます。


なお、固定資産税の軽減措置等について不明な点は、税理士に相談することをおすすめします。


税理士について詳しくはこちら!>>不動産投資で税理士に依頼するメリット!選び方や相場、注意点も


小規模住宅用地の特例措置

固定資産税を軽減する措置のひとつに、以下のような「小規模住宅用地の特例措置」があります。


【小規模住宅用地の特例措置】

  • 住戸1戸につき200㎡以下の部分については、固定資産税評価額 × 1/6
  • 住戸1戸につき200㎡を超える部分については、固定資産税評価額 × 1/3 

なお一棟アパートや一棟マンションなど集合住宅の場合は、一部屋が1戸となるため、「戸数 × 200㎡」が固定資産税評価額 × 1/6の軽減対象になり、大幅に固定資産税評価額を下げることができます。


上記のように、小規模住宅用地の固定資産税軽減措置は、一棟アパートなどで不動産投資をおこなうにあたって非常に大きな節税となるのです。

 

新築住宅に係る税額の減額措置

新築住宅の場合、一定の条件を満たしていれば、新築時から3年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年間)に渡って固定資産税額を1/2に減額できる措置があります。

(居住床面積120㎡相当分について減額。120㎡を超える部分は減額されない)


減額措置の対象となる条件は以下のとおりです。


【新築住宅の税額減額措置を受けられる条件】

  • 令和4年3月31日までに新築された住宅
  • 床面積が50㎡以上280㎡以下であること

*共同住宅の場合、各居住部分に共用部分面積を按分し加えた面積


3年間(または5年間)ものあいだ固定資産税が半額になるため、場合によっては中古の築浅物件を購入するよりお得になることも考えられます。


現在(平成3年9月時点)では、令和4年3月31日までに新築された住宅が対象となっていますが、今後延長される可能性もあるため、新築の不動産投資物件の購入を検討する際は、ぜひチェックしてください。


「免税点」で課税されないケースもある

不動産投資で該当する場合は少ないですが、固定資産税評価額の合計が「免税点(土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円)」に満たない場合、固定資産税は課税されません。


ただし、同じ人が同一の市町村内に複数の不動産を所有し、合計の固定資産評価額が上記の額を超える場合は、それぞれの物件に対して課税されます。


まとめ


不動産投資をするうえで知っておきたい固定資産税の基本情報や計算方法、軽減措置について解説しました。


固定資産税は、不動産投資をつづける限り納税しなくてはない必要経費です。

途中で支払えなくなった場合は、物件を差し押さえられてしまうことも考えられます。


不動産投資物件を購入する場合は、安全かつ堅実な不動産投資をおこなうためにも、ぜひ当記事を参考にして固定資産税のおおよその額を計算したうえで収支シミュレーションをおこなってください。

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