不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット
不動産投資ローンの借り換えをすることで月々のローン返済額が減り、キャッシュフローがよくなったり、借り入れ金総額が減ることで信用度が上がるなどのメリットがあります。
しかしその反面、ローンを借り換えることで起こるデメリットもあるため、借り換えを検討する際には注意が必要です。
今回は不動産投資でローンの借り換えについて、メリットやデメリットのほか、借り換えに最適なタイミングなど借り換えを成功させるためのチェックポイントを解説します。
不動産投資ローンの金利を下げたい人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
不動産投資ローンの借り換えで得られるメリットは?
月々のキャッシュフローが増える
借り換えによって金利が下がるため利息額が減り、月々の返済額が減少します。
それにともなってキャッシュフローを増やすことが可能になるため、不動産経営状況が悪化している場合でもプールしてある資金を使用せずに経営状態の改善も期待できるでしょう。
また、総返済額も減るため今後の不動産経営にとって大きなメリットとなります。
借り入れ中の金融機関と金利交渉のきっかけになる
不動産投資が順調にすすみ、収益の安定や事業が拡大することで、ほかの金融機関から借り換えのオファーを受けることもあります。
こういった提案を受けた場合は、借り入れ中の金融機関にその旨を伝えたうえで、融資の継続を前提に金利引き下げの交渉をおこなうことも可能です。
不動産投資が順調であれば、融資中の金融機関にとっても借り換えは阻止したい部分大きいため、借り手側にとって有利に交渉をすすめられます。
もちろん、借り換え先の金融機関が大手の場合や提案内容によっては借り換えを検討してもよいでしょう。
しかし、借り入れ中の金融機関と長く付き合いたいのであれば安易な借り換えはせず、双方が納得できるよう交渉をおこなうことで長期にわたってメリットを得られる可能性が高くなります。
新たな不動産投資物件を購入しやすくなる
新しい不動産投資物件を購入する際のローン審査では、ほかの借り入れ状況も審査の対象となります。
そのため、ローンの借り換えをおこない総借り入れ額が少なくなれば、融資審査に有利にはたらくことも考えられます。
また、借り換え先の金融機関が大手であれば、より信用度が上がり、今後の不動産経営にプラスとなるでしょう。
団体信用生命保険の見直しで保障内容の充実ができる
一般的に不動産投資ローン契約時には『団体信用生命保険(団信)』加入が融資条件になっています。
そのため、ローン借り換え時には新たな団信に加入し直す場合がほとんどです。
再度加入手続きが必要になりますが、補償範囲が拡大されていたり特約を付加できたりと補償内容を充実できるチャンスです。
団信など保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!
不動産投資ローンを借り換えることで起こるデメリットは?
ローンの借り換えには、さまざまなメリットのある一方でデメリットもあります。
内容をしっかり確認して、損のないようにしてください。
借り換えには手数料が発生する場合もある
不動産投資ローンを借り換えるにあたって、手続きに関する手数料など諸費用が発生する場合があります。
まず、ローン借り換えをすることで、現在契約中の金融機関の借り入れ金は一括返済しますが、その際、契約内容によっては『一括繰り上げ返済手数料』が発生する場合があります。
手数料額は定額だったり、残債の1%~2%だったりと金融機関によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
そのほかにも『抵当権抹消登記費用』や『融資手数料』といった費用がかかりますし、借り換えた金融機関には『抵当権設定登記費用』などの支払いが生じます。
金融機関によっては、そのほかにも費用がかかる場合もあるため、金利だけでなく諸費用がいくらかかるのかチェックが必要です。
借り入れ期間が短くなる場合もある
不動産投資ローンの借り入れ期間は、不動産物件の法定耐用年数が上限となる場合が多いです。
そのため物件の築年数次第では、ローン借り換えしたことによって、借り入れ期間が短くなる可能性があります。
金利が低くなっても、借り入れ期間が短ければ現在よりも月々の返済額が高くなることも考えられるため注意が必要です。
健康状態などによっては借り換えできない場合もある
上にも書いたように、不動産投資ローンの融資条件として団信加入が含まれている場合が多いです。
そのため、不動産投資物件所有者の健康状態によっては団信に加入できず、結果としてローン借り換えが適わないケースがあります。
またローン借り換えのためには、あらためて融資審査がおこなわれますが、現況のほかの借り入れ状況や資産状況によっては融資が受けられない可能性もあるので注意しましょう。
不動産投資ローン借り換えで適したタイミングは?
不動産投資ローンを借り換えるのであれば、できるだけ多くのメリットを得られるタイミングを狙いましょう。
ここでは、ローン借り換えに適したタイミングをまとめました。
金利が1%以上低くなるとき
ローン借り換えの目安として、現在借り入れ中のローン金利よりも1%以上金利が低くなるようであれば借り換えの検討をしてみましょう。
ただし、前述したようにローンの借り換えで考えられるデメリット(月々の返済額や手数料)によっては金利が低くなっても得にならない場合があるため、注意が必要です。
ローンの残債が1,000万円以上残っているとき
ローン残債が少ない場合、ローンの借り換えで金利が下がっても、手数料等の支払いを考えると大きな恩恵を受けられる可能性は高くありません。
少なくともローン残債が、1,000万円以上残っている状態であれば、ローン借り換えを検討するとよいでしょう。
ローン借り入れ期間の残りが10年以上あるとき
ローンを借り換えたことで金利が低くなった場合、完済までの期間が長ければ長いほど、借り換え前に比べて返済総額が少なくなります。
しかし、残りの借り入れ期間が短い場合は借り換えてもあまりメリットは大きくありません。
借り換えをするのであれば、返済完了まで10年以上ある場合が望ましいでしょう。
不動産投資でローンを借り換えるためのポイント
不動産投資ローンの借り換えをするためには、借り換え先金融機関の審査が必要となるため、誰でも借り換えが可能というわけではありません。
場合によっては借り換えを申し込んでも断られたり、また逆にローン借り換えをしないほうがよい場合もあります。
ここでは、ローンの借り換えを検討するためのチェックポイントをまとめました。
1年以内にローン返済の延滞がないこと
不動産投資の経営状態が悪化したことで借り換えを検討する場合もあるでしょう。
しかし、金融機関側としても経営不振で収益が見込めない不動産投資には融資をしてくれない場合もあります。
直近1年以内に不動産投資ローンの返済に滞りがあった場合は、特に心証が悪く、借り換えを断られる確率が高まります。
経営状況の悪化にともなう借り換えの際は、延滞する前の早い段階で借り換えの検討をすることをおすすめします。
自動車ローンやカードローンの返済をしておく
ローン審査の際には、不動産投資ローン以外の借り入れ状況もチェックされます。
そのため、自動車ローンやカードローンの返済は、できるだけ完済しておくことが望ましいです。
とくにクレジットカードは、持っているだけでも負債扱いになるため不要なカードは解約しておきましょう。
複数の金融機関に打診する
通常の融資審査と同じく、ローン借り換えの場合も、金融機関によって審査の合格条件等は大きく異なります。
そのため、複数の金融機関のローン借り換えの条件を確認したうえで、好条件の金融機関を選ぶとよいでしょう。
固定金利満了後の金利を確認する
金融機関によっては、固定金利の期間中は低金利でも、固定金利満了後の金利は高く設定されている場合もあります。
固定金利期間の金利の低さだけに惑わされないよう、満了後の金利も考慮することが重要です。
借り換えに必要な手数料や諸費用を確認する
せっかく金利が低くなっても、借り換えに必要な手数料や諸費用が高額の場合も少なくありません。
借り換えした場合としなかった場合のシミュレーションをしっかりとおこない、どちらが得であるか確認しましょう。
不動産投資ローン借り換えの流れと手続きに必要な書類
ローン借り換えまでの流れ
不動産投資ローンを借り換えることに決めたら、以下の手順に従って手続きをしましょう。
なお、審査の申し込み時に必要となる書類について、あらかじめ借り換え先の金融機関に確認しておけば手続きがスムーズにおこなえます。
- 借り換え先金融機関に融資審査の申し込みをおこなう(仮審査が必要な場合も)
- 金銭消費貸借契約を締結する
- 借り換え前の金融機関にてローンの一括返済をおこなう
- 借り換え前の金融機関の抵当権抹消登記をおこなう
- 借り換え先の金融機関の抵当権設定登記をおこなう
借り換え手続きに必要な書類
不動産投資ローンの借り換え手続きに必要な書類は以下のようになります。
なお、金融機関によって必要な書類が異なるため、あらかじめ必要書類の種類を確認しておくと安心です。
◇個人の情報
- 身分証明書(運転免許証などの公的書類)
- 収入証明(源泉徴収票および確定申告書)
- 経歴書(氏名、住所、家族構成、年収、勤務状況等)
- 資産や借り入れ状況(所有する資産、借り入れ状況をまとめたもの)
- 借り入れ返済予定表
なお法人の場合は、『決算書』や『登記事項証明書(法人謄本)』が必要になります。
◇物件情報
- 登記事項証明書(土地・建物の登記簿謄本等)
- 地図や公図、間取り図
- 物件概要書(売買契約時に提示された「重要事項説明書」など)
- レントロール(一棟アパートや一棟マンションの場合は1部屋ごと)
- 運営費用一覧(税金、光熱費等)
まとめ
不動産投資ローンを借り換えることで金利が下がり、月々のキャッシュフローが増えたり信用度があがったりといったメリットがあります。
しかしその一方、諸費用の発生やローン借り入れ期間が短くなり毎月の返済額が増える可能性など、デメリットも考えられます。
また、融資中の金融機関と長く付き合いたい場合は、金額面だけを考慮した安易な借り換えはおすすめしません。
ローンの借り換えをおこなうか否かは、メリット・デメリットのほか、ローン残債額や残り
返済期間などのタイミングを考慮したうえで判断することをおすすめします。