不動産投資ローンを扱う銀行の金利相場や審査難易度の目安を比較
2021/08/04

不動産投資ローンを扱う銀行の金利相場や審査難易度の目安を比較

銀行・金融機関の種類ごとに金利相場や融資審査の難易度の目安を比較金利は低いが審査は厳しい『メガバンク(都市銀行)』地方都市に特化した『地方銀行』エリア限定の『信用金庫・信用組合』貸付業務のみをおこなう『ノンバンク』100%政府出資『日本政策金融公庫(日本公庫)』銀行の不動産投資ローン審査を通過するためにできること属性を上げる自己資金額を増やす価値のある物件を購入する事業計画書を作成する金融機関と提携している不動産会社で物件を購入する複数の金融機関に打診する不動産投資ローンの「変動金利」と「固定金利」のメリット・デメリット変動金利のメリットとデメリット固定金利のメリットとデメリット銀行で不動産投資ローンを利用する際の注意点まずは物件を探す初期費用を用意する無理な借り入れはしないまとめ

不動産投資をおこなううえで、銀行の不動産投資ローンの利用は欠かせません。

できるだけ低い金利で融資を受けることができれば、月々のローン返済額をおさえることができるので収支も安定します。


しかし、銀行の種類によって不動産投資ローンの金利は大きく異なります。

また同時に、融資の審査基準も銀行の種類によっては比較的通りやすかったり、逆に非常にむずかしい場合もあります。


そこで今回は、5種類の銀行(金融機関)の金利相場や融資審査の難易度の目安を比較しました。

あわせて、不動産投資ローンの変動金利と固定金利のメリット・デメリットも紹介します。


できるだけ低い金利かつ自身の属性にあった銀行をみつけるためにも、当記事を参考にしてください。


銀行・金融機関の種類ごとに金利相場や融資審査の難易度の目安を比較


難易度 階段

不動産投資ローンを取り扱う銀行や金融機関はたくさんありますが、ここでは大きく5つにわけて、それぞれの特徴や金利相場、融資の難易度の目安を比較しました。


銀行の種類

金利(変動金利)

融資難易度

メガバンク

1%台~2%台

非常にむずかしい

地方銀行

1%台~4%台

むずかしい

信用金庫・信用組合

1%台~4%台

ややむずかしい

ノンバンク

2%台~5%台

やさしい

日本政策金融公庫

1%台~2%台

やさしい~普通


ここで紹介した金利や難易度は、個人の属性(信用度や資産状況)、物件評価によって異なるため、あくまで参考としてください。

なお、各銀行・金融機関の詳細は以下のとおりです。


金利は低いが審査は厳しい『メガバンク(都市銀行)』


メガバンクは、東京都や大阪府に本店を構え、日本全国各地・海外にも支店を持つ巨大銀行です。


現在(2021年7月)、「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」の3行が「3メガバンク」として、そこに「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」の2行を加えた合計5行がメガバンクと呼ばれています。


メガバンクの特徴は、日本全国に支店を多く展開しているため、広域で融資を受けられることです。


不動産投資ローンの金利相場(変動金利)は1~2%、今回比較した銀行・金融機関のなかで、もっとも低く設定されています。


それだけに融資審査は、非常に難易度が高くなっています。

本人の属性・所有資産はもちろん、融資対象となる不動産投資物件の評価もかなりシビアに審査されることを覚悟しておきましょう。


地方都市に特化した『地方銀行』


地方都市経済の支援や活性化を目的とするのが地方銀行です。

「千葉銀行」や「北陸銀行」といった名称に都道府県名やエリア名が含まれていることも多くみられます。


営業エリアは基本的に本店を置いた都道府県内とその周辺となるため、不動産投資ローンを受けるには、所有者の住まいや物件所在地が対象エリア内であるなど条件付きの場合が多いです。


金利相場(変動金利)は銀行によってさまざまですが、メガバンクに並ぶ低金利の銀行から4%台と高めの金利のところもあります。

金利の低いところは融資審査もきびしくなりますが、年収700万円以上が審査通過基準の目安となります。


エリア限定の『信用金庫・信用組合』


非営利法人の信用金庫や信用組合は、営業エリアが金融庁によって定められています。

その範囲は地方銀行よりも狭いため、融資を受ける場合は居住地と物件所在地がそのエリア内になくてはなりません。

また同時に、信金であれば「会員」に、信組であれば「組合員」になる必要もあります。


金利は地方銀行とおなじくらいのところが多いです。

融資の判断基準は独自でおこなわれますが、年収が低め(500万円程度)でも融資してくれるケースもあるため、属性が低めの人にはおすすめの金融機関です。


貸付業務のみをおこなう『ノンバンク』


預金業務はおこなわず、貸付業務のみをおこなう消費者金融や信販会社をノンバンクと呼びます。

大手では、「オリックス銀行」や「クレディセゾングループ」などが有名です。


各社によって融資基準は異なりますが、ほかの金融機関では融資を断られた場合でもノンバンク独自の基準をクリアしていれば融資可能なことも少なくありません。

年収400万円以下の場合でもノンバンクなら融資してくれる可能性があります。


そのかわり金利は高め、融資限度額は低めに設定されてることが多いので、物件の収支シミュレーションは念入りにおこなうことが必要です。


100%政府出資『日本政策金融公庫(日本公庫)』


政府系金融機関として財務省所管の「日本政策金融公庫(日本公庫)」は、民間金融機関では融資できない小規模事業への投資を後押ししています。

女性や若者・シニア世代には優遇措置なども用意されているため、条件が合えばより好条件で融資を受けることも可能です。


金利が低く、融資審査は事業性が優先されるため、しっかりとした事業計画書を提出して認められれば本人の属性が低くても融資の可能性は十分あります。


一方で、融資上限額がほかの金融機関に比べて低い、融資期間が短い、ある程度の自己資金が必要などの注意点もあります。


また、日本公庫の融資対象は「事業」であるため、「不動産投資」では融資を受けることができません。

そのため、「不動産賃貸事業」として融資の申し込みをしましょう。


日本政策金融公庫について詳しくはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


銀行の不動産投資ローン審査を通過するためにできること


融資相談 銀行 ビジネスマン

「銀行に不動産投資ローンを申し込んだが落とされてしまった……」という話はめずらしくありません。

融資審査を通過するには、各銀行の審査基準をクリアする必要があります。

ここでは、融資審査をクリアするための対策方法をまとめました。


属性を上げる


銀行から融資を受けるにあたって、本人の属性(勤務先の事業規模や勤続年数、年収、資産、借り入れの有無など)は非常に重要です。

属性が高くなれば、それだけ信用度が高まり、融資審査に通りやすくなります。


属性を上げる方法としては、非上場企業から上場企業への転職などが考えられますが、勤続年数も考慮されるため安易な転職はおすすめしません。


また、クレジットカードや自動車ローンなどの借り入れはマイナスにみられるため、早めに返済して借り入れ残金をなくすことも属性アップにつながりす。


自己資金額を増やす


不動産投資ローンを利用する際は、頭金を多めに入れることで借り入れ額が減少し、信用度も高まるため融資審査に通りやすくなります。


また、自己資金を持つことで不動産投資経営中の突発的な出費(修繕費用等)にも対応できます。


価値のある物件を購入する


不動産投資ローンは住宅ローンと異なり、物件評価も審査の対象となるため、できるだけ担保価値の高い物件を選ぶことで審査に通過しやすくなります。


人気のあるエリアの駅近などの好立地物件など、空室リスクが低い安定した収益が見込める物件を選ぶとよいでしょう。


事業計画書を作成する


銀行に融資申し込みをする際に提出する事業計画書を充実させるのも、審査通過のために重要です。


事業計画書は収支計画やローンの返済計画といった今後の不動産賃貸経営の具体的な内容を記載しますが、その内容が正確かつ現実的であれば、銀行側からの信用度が高まり、審査に通過する可能性が高まります。


金融機関と提携している不動産会社で物件を購入する


不動産投資物件を販売する不動産会社が提携する金融機関がある場合は、融資を受けられるか相談してみましょう。


提携する金融機関を利用することで、低金利で融資が受けられる、審査スピードが速いなどのメリットもあります。


複数の金融機関に打診する


融資の申し込みはひとつの銀行だけでなく、複数の銀行に申込むことで、融資を受けられるチャンスが広がります。


金融機関によって審査基準が異なるため、ひとつの金融機関に融資を断られても、ほかの銀行では融資可能となることは十分考えられるので、あきらめずに融資相談・申し込みおこないましょう。


不動産投資ローンの「変動金利」と「固定金利」のメリット・デメリット


電卓 サラリーマン
銀行の不動産投資ローンを受ける際には「変動金利」と「固定金利」、いずれかの金利を選択します。

ここでは、それぞれの金利についてメリットとデメリットを解説します。


変動金利のメリットとデメリット


変動金利は「短期プライムレート」の変動によって、不動産投資ローンの金利が変動します。


金利が低いとき借入をおこなえば、支払う金利が少なくてすみます。

とくに短期間の借入には有利にはたらくでしょう。

また、固定金利に比べて金利が低く設定されているのもメリットです。


一方で、金利が上昇すれば返済額も上がってしまうのがデメリットになります。


とはいえ、金利の見直しがおこなわれるのは基本的に5年ごとで、金利が上昇した場合でも1.25倍ルール(見直しで金利が上昇した場合、今までの返済額の1.25倍が上限になる)が適用されるため急激に返済額が増加するわけではありません。


しかし、長期期間にわたって金利が上昇すると固定金利よりも高くなることも考えられるため注意が必要です。


固定金利のメリットとデメリット


固定金利のメリットは、固定期間中は金利の変動が起きないため金利上昇を気にせず返済がおこなえること、またそのあいだは返済の見通しを立てやすいことです。


デメリットは、変動金利よりも金利が高く設定されているため、金利が安い期間は変動金利に比べて多くの返済額が増えてしまうことになります。

また、固定期間中に繰り上げ返済をすると違約金が発生する場合があるので注意しましょう。


銀行で不動産投資ローンを利用する際の注意点


ノート 吹き出し ポイント

一棟アパートや区分マンションといった不動産投資用物件を購入する人のほとんどは、銀行の不動産投資ローンを利用し、レバレッジを活かした投資をおこなっています。


しかし、不動産投資ローンを利用する場合は、以下のことに注意が必要です。


まずは物件を探す

不動産投資をおこなう場合、不動産投資の融資審査に通るかどうか非常に気になるところですが、融資を心配する前に、まずは物件を探しましょう。


住宅ローンと違い、不動産投資物件の融資審査は物件評価も審査の対象となるため、購入する物件によって融資審査結果が左右されますし、物件の額によっても融資額が変動します。


不動産投資をおこなう目的や目標を決めたうえで物件を探すことからはじめましょう。

購入したい物件がみつかったら、しっかりと収支シミュレーションをおこない、複数の銀行に融資相談をしてください。


不動産投資物件の探し方について詳しくはこちら!>>不動産投資用収益物件探しのポイントは?効率のよい情報収集の方法


初期費用を用意する


不動産投資物件を購入するにあたって、土地や建物代のほかに発生する手数料等の初期費用も念頭においた資金計画を立てる必要があります。

不動産投資物件購入時には、以下のような初期費用がかかります。


  • 仲介手数料(不動産会社を介して購入した場合)
  • 不動産登記にかかる費用(登録免許税や司法書士への報酬等)
  • 税金類(不動産取得税や印紙税)
  • ローン契約にかかる費用(事務手数料や保証料)
  • 保険料(火災保険料等)

なお、上記の各種費用のほかに頭金を入れる場合はその額も必要になります。

頭金に入れる額に決まりはありませんが、物件額の10~20%が一般的です。


無理な借り入れはしない


不動産投資ローンの借り入れには銀行の融資審査が必要ですが、上限額一杯の借り入れはおすすめしません。

突発的な出費などを余儀なくされた場合、自己資金が少ないと一気にキャッシュフローが悪化しローン返済が滞ってしまうおそれも考えられます。


不動産投資をおこなう際には、無理な借り入れはせず、余裕を持って返済できる物件を選ぶことが重要です。


まとめ


不動産投資ローンを扱う銀行はたくさんありますが、融資審査の基準や金利は各銀行によって大きく異なります。

一般的に金利が低いメガバンクなどは審査基準が厳しく難易度が高くなり、逆に審査基準がやさしいノンバンクは金利が高くなります。


融資審査は、個人の属性や不動産投資物件の評価によって左右されるため、審査を通過するためには属性を上げたり担保価値のある物件を選んだりといった対策が重要です。


不動産賃貸経営を成功させるためにも、しっかりと返済シミュレーションをおこなったうえで、無理のない範囲で不動産投資ローンを申し込むとよいでしょう。


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