【不動産投資】家賃保証のメリットは空室対策!リスクの回避方法は?
「家賃保証」とは、不動産会社(サブリース会社)がオーナーの所有する賃貸物件を丸ごと借り上げる「サブリース契約」などで、オーナーに賃料の支払いを保証するシステムを指します。
この家賃保証を上手に活用すれば、「空室対策」や「家賃滞納対策」につながるため、不動産投資に大きなメリットが生まれるのです。
とはいえ、家賃保証にはデメリットやリスクもあります。
しかし、契約内容の確認と賃貸物件の立地などから、家賃保証を受ける・受けないの判断は可能となります。
今回は家賃保証について、契約締結前に知っておきたいポイントをまとめました。
これから不動産投資をはじめる人はもちろん、空室リスクに悩んでいる人のヒントにもなるので、ぜひ参考にしてください。
サブリースについて詳しくはこちら!>>不動産投資のサブリース契約にメリットはある!契約前にリスクを把握
家賃保証とその仕組み
「家賃保証」とは、不動産会社(サブリース会社)がオーナーから不動産賃貸物件を一括で借り上げ、一般の人に又貸しすることで、オーナーへ一定額の賃料が支払われる賃貸契約方法。
「サブリース契約」または「一括借り上げ契約」とも呼ばれますが、仕組みはどちらも同様です。
不動産会社(サブリース会社)は、オーナーから一括借り上げした賃貸物件の賃料から契約で取り決められた手数料を差し引き、残りの賃料がオーナーに支払われます。
なお、オーナーに支払われる賃料は、物件に空室があってもなくても金額は変わりません。
極端な話、全室が空室でもオーナーには決められた賃料が支払われます。
これが「家賃保証」の仕組みです。
「家賃保証」と「空室保証」の違いは?
家賃保証とよく混同されるのが「空室保証」です。
空室保証は、サブリース契約や一括契約などは関係ありません。
空室保証は、オーナーが保証会社に毎月保証料を支払い、空室状態がつづくことで一定の家賃が補償される、「いざというときの保険」的存在。
空室期間に一定額の収入が得られるため、キャッシュフローの悪化をおさえる効果があります。
ただし、補償される家賃は全額でないことが多いため契約時には注意が必要です。
また空室保証を受けるには、満室であっても保証料を毎月支払わなくてはなりません。
空室が出ないかぎり「払い損」となってしまう場合もあるため、入居状況や空室率をよく検討したうえで申込むとよいでしょう。
家賃保証のメリットは?
ここでは、家賃保証のメリットをまとめました。
メリット1:空室リスクを気にせずにすむ
不動産投資にはいくつかリスクがありますが、その上位にあがる「空室リスク」。
その対策方法として家賃保証のあるサブリースは、非常に有効な手段。
不動産会社(サブリース会社)に物件を一括で賃貸することで、物件に空室があっても毎月受け取れる賃料額が変わらないので安定した収入を見込めます。
メリット2:家賃滞納リスクを気にせずにすむ
「家賃滞納リスク」も不動産投資では大きなリスクのひとつ。
しかし家賃滞納があっても、やはり家賃保証がされているため、毎月オーナーが受け取れる賃料には影響ありません。
また、家賃滞納者があった際の督促・手続きについても、賃貸物件を一括借り上げした不動産会社(サブリース会社)が対応するため、オーナーには一切の負担がかからないので安心です。
家賃滞納は空室より怖い
物件に空室がある場合、賃料が入ってこないというデメリットはありますが、入居者が見つかれば、すぐさま賃料を得ることができます。
ところが、家賃滞納の場合は賃料が入らないだけでなく、家賃滞納者から部屋を明け渡してもらわない限り、次の入居者を入れることは不可能です。
1ヶ月程度の滞納であれば、口頭で家賃支払いの請求をおこなうなど様子をみることになります。
3ヶ月程度未払いがつづいた場合は、家賃滞納者へ内容証明にて未払い家賃の支払いを求めますが、それでも支払いがないときは、契約を解除し明渡し請求を求めることになります。
それでも退去してもらえない場合は裁判をおこない、最終的には強制執行することで、ようやく明け渡しがおこなわれて次の入居者募集が可能となるのです。
この間は当然ですが家賃は未払いのままですし、手続きや裁判費用、弁護士に依頼した場合はその費用が発生します。
費用総額は、どの時点で家賃滞納者が退去するかによって変わってきますが、最終段階である強制執行までいった場合、費用総額は100万円前後必要となるでしょう。
なお、オーナーが勝手に室内に立ち入り入居者の私物を処分するなどの行為は、たとえ契約書に記載されていても法的に禁止されているため注意しましょう。(自力救済禁止の原則)
以上のように、家賃滞納者への対応は時間と労力、そしてお金がかかるのです。
家賃滞納リスクを防ぐためには、「家賃保証会社」との契約を入居条件としたり、入居審査を厳しくしたりするのが有効的な手段となります。
特に家賃保証会社は、入居者が家賃保証料を家賃保証会社に支払うことで、入居者がなんらかの理由で家賃を支払えなくなった場合、家賃保証会社が入居者に代わってオーナーに家賃を支払ってくれるシステムです。
家賃滞納リスク対策として非常に効果のある方法のひとつなので、導入を検討するとよいでしょう。
メリット3:管理業務全般を委託できる
サブリース契約では、入居者募集や入退去管理、建物管理、修繕といった賃貸経営に必要な管理業務全般は物件を一括借り上げした不動産会社(サブリース会社)でおこないます。
そのため、オーナーは管理業務にノータッチなので手間が省けます。
家賃保証にはデメリットやリスクも!
デメリット1:家賃額が見直される
家賃保証では、しばしば「○○年間家賃保証」を謳っていることがありますが、これは「最初の契約で定めた家賃額が○○年間に渡って保証される」という意味ではないため要注意。
契約書には、「△年ごとに家賃額を見直す」という記載があり、経年劣化などが原因で家賃の引き下げがおこなわれるのが一般的です。
家賃下落は通常の賃貸経営でも起こりうることですが、サブリースの場合は家賃設定をサブリース会社がおこなうため、その家賃額に不服があってもオーナーの意見は通らないことが多いです。
相場よりも安い家賃を設定された場合、オーナーが受け取る家賃額も減ってしまうため、注意しましょう。
デメリット2:手数料支払いが発生する
サブリース契約でオーナーに支払われる賃料は、オーナーが入居者と直接賃貸借契約を結んだ場合よりも少なくなるのが一般的です。
まずサブリース契約では、入居者はサブリース会社と賃貸借契約を結ぶため、入居者が支払う敷金や礼金を受取るのもサブリース会社。
またオーナーは、家賃保証と管理業務委託費としてサブリース会社に賃料の10%~20%(契約内容による)を支払わなくてはなりません。
賃料についてもサブリース会社側が家賃を決めているため、オーナーが個人で賃貸経営をする場合よりも低い賃料が設定されている可能性も考えられます。
そのため、本来の収益に比べてサブリースでオーナーが得られる収益は少なめとなります。
デメリット3:免責期間の設定
家賃保証を受ける際、新築物件や退去後の入居付けにかかる数カ月間を「免責期間」として、その間は家賃保証の対象外の場合があります。
免責期間はサブリース会社によって異なり、退去後の免責期間がない会社もあれば、免責期間を半年と長期に設定している会社もあります。
免責期間中、オーナーは保証された家賃が受け取れないため、キャッシュフローの悪化や不動産投資ローンの返済に影響を受けることも考えられます。
契約時は、免責期間をよく確認してください。
デメリット4:不動産会社(サブリース会社)が倒産するリスクも……
サブリース契約を結んだ不動産会社(サブリース会社)の業績が悪化した場合、保証賃料の支払いが遅れたり、最悪倒産した場合は保証賃料が未払いとなってしまうことも考えられます。
想定した賃料が入ってこないことで、ローンの返済計画が狂ってしまうことも。
サブリース契約を結ぶ際は、家賃保証の内容だけでなく、不動産会社(サブリース会社)の業績や契約実績、評判などもあわせてチェックしましょう。
サブリースについて詳しくはこちら!>>不動産投資のサブリース契約にメリットはある!契約前にリスクを把握
家賃保証で気をつけたいポイントは?
サブリースで家賃保証を受けるためには、上記のようなメリットやリスク把握したうえで、以下のポイントに注意しましょう。
「重要事項説明」で契約書に記載された内容を確認
「サブリース新法」の一部として、令和2年12月15日に「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が施行されたことによって、サブリース契約前に「重要事項説明書」を交付し説明することが義務づけられました。
家賃保証のデメリットとしてあげた項目の多くは、重要事項説明で説明される内容です。
オーナーは、それぞれの項目について「設定された数字は常識の範囲内の内容か」、「オーナーにとって不利な内容になっていないか」などを確認しましょう。
契約満了後の賃貸経営の計画を立てておく
サブリース契約で家賃保証される期間は、会社や条件によって異なりますが、10年間、30年間など長期に渡る場合が多いです。
しかし、どんなに長期間であっても、いつかはサブリース契約満了をむかえます。
その後の不動産賃貸物件をどう運用するのか計画を立てておくことも必要です。
サブリース契約満了後、賃貸物件の活用方法として以下のことが考えられます。
1.家賃保証のあるサブリース契約を新たに結ぶ
2.自主管理(または管理委託)して、直接入居者と賃貸借契約を結び賃貸経営をおこなう
3.建物が古くなった場合は取り壊して新たな不動産投資物件を建てる
4.不動産物件を売却する
1は、不動産物件が築古だった場合、新たにサブリース契約を結べるか、その条件について確認が必要です。
2はサブリース契約が切れたことで、空室や家賃滞納があれば収益に直接影響します。
空室対策や家賃滞納対策、その他リスク対策を含め、不動産賃貸経営についての知識などを蓄えておくことをおすすめします。
3は、新築の賃貸物件であれば、再度サブリース契約を結ぶことも、入居者と直接契約を結び賃貸経営することも可能です。
4の場合は、建物の状態や土地価格によっては売却益を狙えることも期待できます。
なお所有者が老齢な場合は、後継者に引き継ぐ、賃貸経営を廃業するなどの選択肢もあるでしょう。
いずれにしても、サブリース契約満了時に慌てないためにも、きちんと計画を立てておきましょう。
不動産投資の知識を身につける
家賃保証を受ける、受けないに関係なく、不動産投資についての知識を得ることで不動産投資を有利にすすめることが可能になります。
不動産投資の勉強方法としては、セミナーや大家の会など、不動産投資家の集まりに参加することで、最新の不動産情報や知識が得られます。
現在は、オンライン不動産セミナーなども活発におこなわれているため、お試しに参加するのもおすすめです。
不動産投資で成功すするためにも、正しい不動産知識を身につけましょう。
家賃保証が必要かどうかよく検討
家賃保証を目的にサブリース契約を検討する場合、それが本当に賃貸経営にとって利益となるか確認することが大事です。
空室リスクや家賃滞納リスクを負うことがなく、管理業務全般を不動産会社(サブリース会社)に委託できるのは、サブリースの大きなメリットと言えます。
「楽に賃貸経営したいからサブリースを選択する」という人がいる一方で、「管理は自分でしたいからサブリースは不要」というオーナーもいると思います。
どちらにしても、サブリース契約のメリットとデメリット、リスクを把握したうえで、「自分(オーナー)の不動産投資に必要か」どうか、しっかり検討し判断することをおすすめします。
まとめ
家賃保証は、「サブリース契約」や「一括借り上げ契約」することで、空室の有無に関係なくオーナーに一定額の家賃が支払われるシステムです。
空室リスクや家賃滞納リスクを考慮しなくてよい反面、家賃の見直しや免責期間の設定などデメリットも。
「家賃保証」のメリットとデメリットを十分考慮・検討したうえで、収益面で得があるか判断するとよいでしょう。