不動産投資物件購入の流れを解説!売買契約時のチェックポイントは?
「不動産投資をはじめたいけど、どうやって不動産物件を探したらいいの?」
「どのタイミングでなにをすればいいの?」
はじめての不動産投資には、たくさんの疑問や不安があるのは当然です。
今回は、そんな不動産投資にまつわる不安や疑問を晴らすべく、不動産投資用物件の探しかたから売買契約、引き渡しについて流れに沿って解説します。
また、不動産売買契約時に説明される「重要事項説明」でチェックすべき項目についてもまとめました。
不動産投資をはじめるにあたって欠かせない流れなので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資用物件購入の流れ
不動産投資をはじめるには、まずは「不動産投資用物件探し」からはじまり「不動産売買契約の締結・引き渡し」がおこなわれ、そしてようやく「不動産賃貸経営」が開始できます。
ここでは、その一連の流れをまとめました。
1.購入可能な不動産投資用物件を探す
不動産投資をはじめるには、まずは「不動産投資用物件」を購入する必要があります。
まず、どんな種類の不動産物件を入手するのかといった計画を立てることが肝心です。
不動産投資用物件にはいろいろな種類がありますが、おもな賃貸用物件は以下のようになります。
- 区分マンション
- 一棟アパート、一棟マンション
- 戸建て住宅
- オフィスビル等
- 駐車場等、その他
不動産投資を開始するにあたって年間どのくらいの収益を得たいのか、用意できる自己資金はいくらかといった不動産投資の目的や現状の資産状況によって、どんな不動産投資用物件が購入できるかおのずと絞られてきます。
また、居住地の近隣で不動産投資をおこなうのか、それとも遠隔地でおこなうのか?
どのような間取り(単身者向けかファミリー向けかなど)の物件にするのか? といった物件詳細の選定も必要です。
こういった目標や計画をしっかりと定めておくことで、このあとの物件探しでもターゲットを定めやすくなり時間の節約にもつながります。
2.物件情報の問い合わせや資料収集
ターゲットとする不動産投資用物件の種類が決まったら、さっそく情報収集をおこないましょう。
できるだけたくさんの投資用物件情報を集めて、さまざまな角度から比較してください。
物件情報は、インターネットの不動産投資物件専門のポータルサイトや不動産投資会社、不
動産仲介会社などから得ることができます。
不動産投資用物件専門のポータルサイトは手軽に利用でき、掲載されている物件数も豊富です。
エリア、物件の種類、価格、間取り、利回りなど諸条件を入力すれば瞬時に欲しい不動産投資用物件の情報を得られます。
ただし、掲載されている情報が最新でない場合や、おとり物件の場合もあるため注意が必要です。
不動産投資会社は、独自の物件を持ち、最新の不動産投資用物件を紹介してくれるなどのメリットがあります。
また、融資相談で提携する金融機関の紹介や各種手続きのサポートなどもおこなってくれるので、不動産投資に慣れていない人にとっては心強い存在です。
ただし、販売しているのは自社物件の場合が多いため、他社物件の情報を得たり比較することはむずかしいかもしれません。
できれば複数の不動産投資会社を訪問し、似た物件同士を比較検討してください。
不動産仲介会社は、いわゆる街中にある不動産会社。
なかには賃貸物件の仲介をメインにしている不動産会社もあるので注意が必要です。
地元密着型の会社が多いため、エリアの情報に詳しいのが最大の特徴。
物件を探しているエリアが決まっているなら、近隣の不動産仲介会社を訪問してみるとよいでしょう。
逆にいえば、広範囲の不動産投資用物件の情報を得るのはむずかしいのがデメリットです。
また、あくまでも「不動産物件の仲介」がメインとなるので、購入後の各種手続きやサポートなどは別途でお願いすることになります。
3.現地調査や内覧をおこなう
「これぞ!」と思う物件があれば内覧の申し込みをして、現地にて物件を確認しましょう。
外観はもちろん、現況空き室があれば室内もしっかりとチェックすることをおすすめします。
また、物件所在地や最寄り駅周辺の現地調査もおこないましょう。
駅から徒歩で何分かかるか、近隣周辺の雰囲気やどんな施設(買い物施設やレジャー施設、病院や学校等)があるかなど、歩くだけでもわかることがたくさんあります。
もし周辺に不動産会社があれば、直接訪問して周辺の情報を聞いてみるのもよい手段です。
不動産会社では、近隣の賃貸需要や家賃相場、ターゲット層などのほか、入居者募集にあたって不利な情報(周辺の治安や事件の有無等)がないか確認しましょう。
4.買付申込書の提出・融資の事前審査を受ける
欲しい物件がみつかったら購入を希望する「買付申込書(購入申込書)」に必要事項を記入し、不動産会社に提出します。
買付申込書は物件購入の意思表示になりますが、購入できるかどうかは売主が決定するため、場合によっては購入できない場合も考えられます。
また、不動産投資ローンを利用する場合は、買付申込書の提出と同時にローン融資の事前審査を申し込みましょう。
物件の販売会社に提携金融機関がある場合は紹介してもらうことが可能です。
提携金融機関の場合は、融資が通りやすかったり金利面で優遇されたりといった特典がある場合もあるので、ぜひ検討してください。
提携していない場合は、自分で融資先の金融機関を探すことになるため、あらかじめ金融機関に融資相談のアポイントメントを取りつけておきましょう。
その際、融資審査に必要な種類などを確認し、相談時に持参すると融資申込がスムーズにおこなえます。
融資の事前審査は、ひとつの金融機関で融資を断られても別の金融機関では受け付けてもらえることもあるので、複数の金融機関に事前審査の申し込みをおこない、融資の確立をあげておくことをおすすめします。
なお、事前審査はあくまで事前審査です。
このあとの不動産売買契約締結後、あらためて「不動産投資ローン本審査の申込」をし、承認される必要があります。
5.不動産売買契約を締結する
融資の事前審査を通過したら、正式に不動産物件の売買契約にすすみます。
契約前には、かならず宅地建物取引士(宅建士)から書面にて「重要事項説明」を受け、理解・納得ができたら売買契約書に署名・捺印をおこない、手付金を支払うことによって契約の締結となります。
手付金の額は法的に定められていないため、売主と買主でいくらにするか決定しましょう。
なお、手付金の一般的な目安は売買価格の5~10%程度です。
重要事項説明は、不動産投資用物件の権利や法令に関する重要な事項が記載されています。
一度、売買契約を締結してしまえば内容を変更することは非常に難しいため、不明な点があれば、その場でかならず確認しましょう。
重要事項説明で特にチェックしたい点を次項にまとめたので参考にしてください。
6.融資の本審査を申し込む
売買契約締結をしたら、正式に融資の申し込み(本審査)を金融機関におこないます。
金融機関から融資審査で承認されたらローン契約(金銭消費貸借契約)を結び、決済にすすみます。
7.決済・引き渡しをおこなう
決済後、物件の引き渡しがおこなわれますが、その前に買主、売主、不動産会社立ち合いのうえで不動産投資用物件に不備などがないか最終確認をおこないます。
また、登記に必要な書類なども確認し、問題がなければ残金の支払いや登記変更手続きなど売買契約の決済がおこなわれ、カギを受け取ることで引き渡しは完了となります。
なお引き渡時には、購入代金の残金のほかに保険料や登記費用なども必要となるので事前に確認し用意しておきましょう。
8.不動産賃貸経営を開始する
ここからは、いよいよ不動産賃貸経営がスタートします!
管理会社の選定
まず、新築物件や中古物件で空室がある場合は入居者募集をしなくてはなりません。
こういった入退去管理や家賃管理、メンテナンス・清掃、入居者管理といった業務は不動産管理会社に委託することも可能です。
できれば管理会社の選定などは、売買契約締結から決済までのあいだに決めておくと、物件引き渡し後スムーズに賃貸経営をはじめることができます。
中古物件を購入した場合は売主が管理委託している場合もあるので、そのまま引き継ぐこともできますし、別の管理会社に新たに委託することもできます。
また新築物件は、不動産会社が管理会社を紹介してくれる場合もあるので相談するとよいでしょう。
賃貸経営をおこなうにあたって、よい管理会社の存在は欠かせません。
そのため、管理会社を選ぶ際には仲介・管理ともに信頼できる会社を選ぶことが重要です。
税務署への届出をおこなう
不動産賃貸経営で家賃収入を得る場合、税務署への届出と申告が必要になります。
不動産投資用物件の引き渡しから1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業届出書」の提出をおこないましょう。
また確定申告もおこなう必要があります。
その際、青色申告の適用を受ける場合は「青色申告承認申請書」を提出します。
適用を受けたい年の3月15日までに所轄の税務署に提出してください。
不動産投資用物件の売買契約締結前に!重要事項説明のポイントをチェック
重要事項説明とは、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律によって不動産売買時にかならずおこなうようさだめられた手続きです。
これは、不動産売買について知識が少ない買主に対して不利益が生じないよう、買主の権利を保護することを目的としています。
また、重要事項説明はかならず書面(重要事項説明書)にて交付され、売買契約を結ぶ前に宅建士によって説明が義務づけられているため、説明を受ける際には、説明者が宅建士であることを確認してください。
なお、重要事項説明時にスムーズに確認できるよう、事前に不動産会社から重要事項説明書を入手し内容を読み込んで不明点をピックアップしておくとよいでしょう。
重要事項説明のチェックポイント
ここでは、重要事項説明時に確認したいポイントをまとめました。
物件に関する内容
物件の所在地や間取り、築年数、構造、専有面積など、物件情報についてパンフレットや事前情報と相違がないかチェックしましょう。
また、抵当権の有無についてもかならず確認し、もし抵当権が付いている場合は物件の引き渡しまでに抹消されることが明記されているか確認してください。
法令上の制限の有無
用途地域や建ぺい率・容積率・高さ制限などの記載内容、建て替えや増改築が可能かどうかについてチェックします。
契約解除の条件
特約などによって契約を解除できるのはどのような場合なのか、また解除できる期限について、解除時に違約金が発生するのか、手付金の返還なども確認しましょう。
特に不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合は、金融機関から融資が受けられなかった場合に契約が解除できる「融資特約」が付いているかしっかりと確認してください。
不動産売買契約締結後、通常は買主の都合で契約を解除した場合、手付金は返還されません。
しかし、融資特約があれば、万が一融資の承認がおりなかった場合は契約解除となり、手付金が戻ってきます。
金融機関の事前審査では融資可能とされていても本審査で落とされてしまうケースもあるため、融資特約をつけておくことをおすすめします。
不動産投資のリスクを下げるには?
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われ、株やFXに比べるとリスクは少ないですが、投資である以上リスクが皆無ではありません。
しかし不動産投資のリスク対策は、物件探しの時点でおこなえることも多いため、投資開始前にできるだけリスクを避けることも可能です。
ここではリスクを下げるためのヒントをまとめました。
空室増加による家賃下落のリスク対策
不動産賃貸経営の基本は空室をつくらず、常に満額のキャッシュフローを得ることです。
そのため、不動産投資用物件の立地はもちろん、周辺の賃貸市況も重要です。
物件選びの際は、周辺の競合物件の空室状況、大規模マンションの建築やターゲット層が利用する学校や職場の移転などの可能性を考慮しましょう。
また、老朽化にともなう空室の増加・家賃下落は、築年数にあわせて人気設備の導入や間取り変更といったリフォームなどの対応をすることで、家賃下落を最小限におさえることが可能です。
こういった空室や老朽化にともなう家賃下落を想定したうえで収支シミュレーションをおこない、きちんとキャッシュフローを得られる物件を選ぶことが大事です。
災害などのリスク対策
突然やってくる地震や台風による水害といった自然災害を避けることむずかしいかもしれませんが、これらも物件選びの段階でハザードマップ等を確認することでリスクを下げることができます。
また、受けた被害を最小におさえるためには、各災害リスクに対応した保険に加入することも非常に重要です。
大規模修繕にともなうリスク対策
不動産投資用物件は築年数とともに修繕箇所が増えていくため、その費用も年々増加することになります。
また、一棟アパートや一棟マンションの場合、屋根や外壁塗装、給排水管の配管替えといった大規模修繕には多額の費用が必要です。
そのため、来るべき大規模修繕に向けて月々の家賃収入から修繕費用の積み立てはしっかりとおこないましょう。
また、大規模修繕費用を少しでもおさえるためには、日頃から小規模修繕をこまめにおこなうことも重要です。
小さな不備を放置しておくと大きな不具合につながり、結果的に多額の修繕費がかかる場合も少なくありません。
定期的なメンテナンスや小規模な修繕をおこなうことで、将来発生するであろう修繕費用を下げることにつながるのです。
まとめ
不動産投資の流れについて解説しました。
不動産投資を開始するには多くの手続きが必要になりますが、安定した賃貸経営をおこなうためには、どれも欠かすことのできない大事なステップです。
特に不動産投資用物件の選定は、その後の賃貸経営のリスク対策を考慮し、しっかりとした物件を選びましょう。
今回紹介した流れとリスク対策を参考に、ぜひ不動産投資を成功させてください。