アパート経営で融資を受ける流れや融資審査の重視ポイントを解説!
アパート経営などの不動産投資をおこなうにあたって、金融機関から融資(アパートローン)を利用するのが一般的です。
しかし、日常でアパートローンを利用したことのない人が大部分なため、ローンの申し込みの流れがわからない、融資審査に受かるか心配という人も多いのではないでしょうか。
またアパートローンよりも身近なローンの種類に「住宅ローン」があります。どちらも不動産を購入する際に利用しますが、両者は似ているようで利用目的や返済原資、金利など異なる部分が多いのです。
今回は不動産投資で融資を受ける際の融資の審査基準と融資申し込みから融資を受けるまでの流れを詳しく解説します。また住宅ローンとの違いについても説明します。


アパートローンの特徴と住宅ローンの違い

アパート経営とは、所有するアパートを第三者に賃貸して家賃収入を受け取る、不動産を対象とした投資手法です。
アパート経営を始めるためにはアパートを購入・建築しなくてはなりません。しかしアパート物件を取得するには高額な費用がかかるため、その全額を自己資金のみでまかなうのは非常にむずかしいと言えます。
そのためアパート物件の購入資金として金融機関から融資(アパートローン・不動産投資ローン)を受けるのが一般的です。
融資を受けることでレバレッジを効かせた投資ができるため、自己資金のみで投資をおこなう場合に比べて何倍もの家賃収入を得ることが可能になります。
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アパートローンと住宅ローンの違い
アパートローンも住宅ローンも金融機関から融資を受けた場合、月々のローン返済をおこなう必要があります。
しかし、アパートローンの場合、基本的に家賃収入からローンの返済をおこないます。想定した家賃収入を得られる限り、貯蓄や給与収入から持ち出す必要はありません。
毎月の家賃収入からローンの返済をおこない、管理委託手数料などのランニングコストや税金を差し引き、手元に残ったお金は自由に使えます。給与収入にプラスして家計に回してもよいですし、2件目のアパートの購入資金にすることもできます。
なお、アパートローンの金利は金融機関によって異なりますが年利1%台~5%程度となり、住宅ローンの金利と比較すると高額です。
またアパートローンの融資限度額は年収の7倍~10倍程度が目安ですが、融資申込者の年収などによっては、より多額の融資を受けられる可能性があります。
アパートローンの融資審査は、属性(年収や勤務先、資産状況など)に加えて融資対象物件の資産価値や収益性などから総合的に判断されるのが一般的です。
一方、住宅ローンは融資申込者本人やその家族が住むための住居を購入する際に利用されます。あくまで自宅の購入資金であるため、例外はありますが、原則として住宅ローン返済中の自宅を第三者に賃貸して家賃を受け取ることはできません。
住宅ローンの融資審査は年収や健康状態など個人の属性を中心に返済能力の有無が判断されます。住宅ローンの融資限度額は年収の6倍または7倍程度ですが、金利は年利0.5%~2.0%とアパートローンに比べると低金利で借りることが可能です。
ローンの返済原資もアパートローンとは異なり、基本的に毎月の給与収入からおこないます。
このようにアパートローンと住宅ローンは似ているようで、借入の目的や返済原資、金利などにおいてまったく別のローンであることがわかります。
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アパートローンの融資審査で重視されるポイントは?
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前述したようにアパートローンの融資審査は、個人の属性に加えて融資対象となる収益物件の資産価値や収益性などから総合的に判断されるのが一般的です。
ただし、アパート融資の審査基準や評価方法は金融機関によって異なります。
ここではアパートローンの融資審査について、一般的な基準を基に紹介します。
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融資対象物件の収益性
アパートローンの融資審査では、融資対象となる物件の収益性が判断の対象となります。
アパートローンの返済原資は、アパート経営で得た賃料です。そのため毎月安定した賃料収入が得られるかどうか、要するに融資対象物件にきちんと返済できる収益性があるかどうかが判断されるのです。
審査は提出した事業計画書やアパートの建築計画書など、アパート経営に関わる書類を基に空室リスクの程度や利回りなどが検討されます。
加えて、物件の立地や築年数、間取り、価格、設備などもあわせて判断されますが、特に重視されるのが立地です。
駅から近く利便性が良いなど、好立地の場合は賃貸需要が高いとみなされやすく、収益性に優れていると判断されやすい傾向があります。
この時点で「収益性が見込めない」と判断されてしまうと、個人属性が高くても融資を受けることがむずかしくなる可能性があるため注意が必要です。
融資対象物件の資産価値
物件の収益性と同時に資産価値も審査・判断されます。
アパートローンの返済が滞った場合、融資対象物件を売却して貸し付けたお金を回収するための「担保」としての価値を計るのです。
物件の担保評価が高ければ、金融機関にとって貸し倒れのリスクが低くなるため、融資の審査に通りやすくなるでしょう。
ただし、資産価値が低いと判断された場合、たとえ物件の収益性が高くても、希望する額の融資を受けられないなど融資条件がきびしくなる可能性があることを覚えておきましょう。
資産価値が高いと判断されやすいのは、新築や築浅で利便性が高く立地条件の良い物件です。また入居者ニーズが高く人気の設備が導入されていたり、建物のデザイン性が優れていたりといった物件も資産価値が高いとみなされやすいです。
融資申込者の属性
アパートローンの融資審査では、融資対象物件の収益性と資産価値に加えて、融資申込者の属性も判断の対象となります。
個人属性とは、年収や勤務先、勤続年数、保有資産、借入の有無などで評価されます。
融資対象物件の収益性が不十分な場合、アパート経営以外の収入からローン返済の不足分を補填しなければなりません。
そのため高収入のサラリーマンや金融資産や不動産などの資産を多く所有している、借入がすくないなど、「高属性」の人は返済能力があるとみなされやすく、アパートローンの融資審査に通過できる可能性が高くなります。
また健康状態や融資を受ける金融機関と取引実績がある場合は、融資に審査に有利にはたらく傾向があります。
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サラリーマンは融資を受けやすい
安定した給与収入があるサラリーマンは、ローンの返済能力が高い「高属性」とみなされ、アパートローンの融資審査で有利になりやすい傾向があります。
加えて上場企業や有名企業に長年勤務している場合は年収も高く、さらに高属性とみなされやすくなるため、より有利な融資条件でローンを組める可能性もあります。
ただし、サラリーマンであっても、勤続年数が3年未満だったり、給与が歩合給だったり、勤務先企業の経営が安定していない場合などは、融資審査の際に不利になるケースもあるため注意しましょう。
アパート経営を検討するなら、ぜひサラリーマンという属性を最大限に活かことをおすすめします。
自己資金(頭金)の割合を
アパートの購入資金を金融機関から借入れる際、物件価格の1割以上の頭金を求められるのが一般的です。
頭金の割合を多くすれば借入額が減るため融資審査に通過しやすくなります。また月々のローン返済額も減少するため、無理なく返済できるメリットもあります。
融資対象物件の収益性や資産価値、個人属性が多少低い場合は、頭金を物件価格の3割程度用意できれば融資審査を通過できる可能性が高まるでしょう。
アパートローンの融資申し込みから実行までの流れ

ここでは、アパートローンを金融機関に申し込む際の一般的な流れを紹介します。
①融資の事前相談をおこなう
購入した物件が決まったら、融資を受けたい金融機関で融資相談をおこないます。相談の申し込みは、電話やインターネットでおこなえます。
その際、相談時に持参する書類を確認しておき、相談当日までに準備しておきましょう。
金融機関によって求められる書類の内容は異なりますが、事業計画書や返済計画書、物件の概要が記載された資料などのほか、融資申込者自身の身分証明書、収入・保有資産・借入状況などがわかる書類が必要になります。
持参した資料や種類を基に、融資を受けられる可能性の有無を確認しましょう。
②融資申し込み・事前審査
相談の結果、融資を受けられる可能性がある場合は必要な種類を用意したうえで、正式に融資の申し込みをおこないます。
必要な資料や書類の種類は金融機関によって異なります。事前相談の際に必要な資料や書類の内容を確認し、申し込みに間に合うよう用意しておきましょう。
申し込み後、金融機関の査定部門などによって物件の調査・査定がおこなわれます。物件情報と融資申込者の属性などから融資可能額などの融資条件が決まります。
なお、事前審査(仮審査)にかかる期間は、通常の金融機関の場合は1週間程度です。ネットバンクであれば、即日~3日程度で結果がわかります。
③不動産売買契約の締結・本審査の申し込み
事前審査に通過したら、物件の売買契約を締結します。
契約締結の前には「重要事項説明」がおこなわれるので、問題がないかしっかり確認しましょう。
売買契約締結時には手付金の支払いが必要です。手付金の額に決まりはないため、売主と買主で金額を決めるとよいでしょう。手付金の相場は物件価格の5%~10%程度です。
売買契約を結んだら、融資の本審査の申し込みをおこないます。
なお事前審査に通過していても、かならずしも本審査に通るとはかぎりません。本審査を通過しなければ融資を受けられないため、契約書に「融資特約」を盛り込んでおくと安心です。
融資特約は、本審査に落ちてしまった場合に先に支払った手付金や仲介手数料も無条件で返還され、売買契約を白紙撤回される特約です。
融資特約を盛り込んでいない状態で本審査に落ちてしまうと、手付金や前払い金が返還されない可能性があるので注意しましょう。
なお、本審査には2週間~3週間程度かかるのが一般的です。ネットバンクの場合は1週間~2週間程度で結果がわかります。
⑤金銭消費貸借契約(金消契約)を締結する
融資の本審査に通過すると金融機関と「金銭消費貸借契約(金消契約)」を締結します。
あらかじめ取り決められていた金利設定や返済などの条件に間違いはないか、慎重に確認しましょう。
金消契約締結後、融資の実行日が確定されます。
⑥融資の実行
融資の実行にあわせて、代金の決済や融資対象物件に対しての抵当権設定登記などの手続きをおこないます。その後、物件の引き渡しをもって不動産の取引は完了となります。
まとめ
不動産投資で金融機関から融資を受ける際の流れと融資審査のポイントについて解説しました。
アパートローンの融資審査では、貸し倒れのリスクを避けるため、融資対象物件の収益性や資産価値が重視されます。また融資申込者の属性も含めて総合的に判断され、最終的に融資の可否や条件が決められます。
そのため、アパートローンの融資審査に通過するためには収益性や資産価値が高い物件を選ぶことが大事です。
また、頭金を多く入れることで、融資額が減少するため融資審査に通過しやすくなります。
アパート経営をおこなううえで金融機関に融資を受けるメリットは非常に大きいです。優良物件を選び、できるだけ有利な条件で融資を受け、安定したアパート経営をおこないましょう。