不動産投資がインフレ対策になる理由を解説!物件を選ぶポイントは?
不動産投資は「インフレに強い投資」と言われていますが、それは不動産が現物資産であることが大きいです。
なぜ、現物資産である不動産がインフレに強いのでしょうか?
今回は不動産投資がインフレ対策に強いといわれる理由や、インフレ対策として選ぶべき不動産のポイントを詳しく解説します。
またインフレ対策につながる不動産以外の投資方法を紹介します。


インフレとは?

インフレとは、「インフレーション(Inflation)」の略語で、物価が上昇する経済状況を言います。
インフレに悪いイメージを持つ人もいますが、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」の2種類があります。
良いインフレと悪いインフレ
良いインフレは、景気の上昇によって消費活動が活発になり、需要に対して供給が追い付かず、品不足から物価が上昇していくケースです。この場合、値段を上げても買い手がつくため企業は儲かります。
企業が儲かると従業員の給与が上がり、消費活動はさらに活発になり好景気が続きます。このように良い消費サイクルが生まれることで経済も成長していくのです。
これが理想的な良いインフレです。
一方、悪いインフレとは、需要がないにもかかわらず、原材料などコストの高騰によって物価が上がってしまい、企業の収益が悪化している状態です。企業の業績は、けして良いわけではないため従業員の賃金は上がりません。
賃金は上がらないのに日常的に消費するモノの価格は上昇するため生活は圧迫されます。そのため買い控えが増えることで景気はさらに後退する……という悪循環に陥るのが悪いインフレの例であり、現在のインフレはまさにこのケースに徐々に近づきつつあると言えるでしょう。
インフレが起きる主な要因
インフレが起きる要因はさまざまですが主な要因は、モノやサービスの需要が供給を上まわったり、原材料コストが上昇したりするほか、賃金の上昇や貨幣供給量の増加などがあげられます。
多く場合、ひとつの要因だけでなく複数の要因が絡み合うことでインフレへと発展するのです。
物価が過度に上昇し続けると「ハイパーインフレ」となり、お金の価値が極めて低くなるおそれもあります。
インフレの対策
国はインフレ対策として、金利を引き上げる金融政策を実施したり、消費や投資を抑制したり、インフレを抑えようとしています。
政策以外で、個人でインフレ対策をおこなうことは可能なのでしょうか。
個人でインフレを抑えるのは非常に無理があるため、個人でインフレに備えることが大事なポイントになります。
身近でできることは、まずインフレでも価値が落ちにくい資産を保有することです。インフレに強い資産の例として、金や不動産などの現物資産があげられます。
インフレでも価値が落ちにくい投資商品

先に述べたように、「現物資産」はインフレに強いです。ここではインフレでも価値が落ちにくい投資商品を紹介します。
株式投資や投資信託
一般的に、株式投資や投資信託はインフレに強いと言われていますが、すべてがインフレに強いわけではありません。ただ、投資先によってはインフレに強く、収益を残すことが期待できます。
インフレが優位にはたらき、株価の上昇が見込める銘柄を選定する必要があるでしょう。そのため投資初心者にはハードルが高いと考えられます。
金(ゴールド)投資
現物資産である金は、インフレに対して強い資産と言えるでしょう。金は世界中で取引されており、いかなる時代や背景でも価値が保たれると見られます。
また金は紙幣と異なり、そのものに価値があります。そのため価値がゼロにはならないと考えられています。
また金投資には、少額でおこなえる「純金積み立て」が投資初心者にも始めやすく、おすすめの投資方法と言えるでしょう。
REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)とは、日本語では「不動産投資信託」とも呼ばれ、投資家から集めた資金を不動産に投資し、収益を投資家に分配する金融商品です。
なお、日本のREITは海外のREITと区別するために、頭にJAPANの「J」をつけて「 J-REIT(ジェイリート) 」と呼ばれています。
インフレ時には賃料が上昇傾向にあるため、不動産からの賃料収入が主な収益であるJ-REITもインフレに強い投資と言われています。
J-REITは証券市場に上場している金融商品なので、証券口座を通じて東京証券取引市場が開いている時間内であれば、いつでも売買がおこなえます。
またJ-REITの最小投資額は、一口あたり数万円~数十万円程度なので、自己資金が少ない人にもはじめやすいです。
不動産投資に興味はあるが、金融機関の融資を受けにくい属性の人や高額の借入れをしたくない人でも簡単に始めることができます。
関連記事:不動産投資とリート(J-REIT)を比較!それぞれに向いてるのはどんな人?
外貨建て資産
日本がインフレになった場合、日本円の価値が下がる「円安」になるため、外貨建て資産を保有するとインフレ対策につながります。
外貨建て資産の種類には外貨預金や外貨建ての保険商品などがありますが、ほとんどの外貨は日本円に比べて高金利です。そのためインフレ対策だけでなく、資産運用としてもおすすめです。
ただし、外貨建て資産は為替相場の変動に影響を受けるため、購入時よりも円高になると「為替差損」が生じる点に注意が必要です。反対に円安になると「為替差益」を得られます。
利益が出る可能性がある反面、大きな損失になる可能性があることを理解しておきましょう。
不動産投資はインフレ対策になると言われる理由
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ここでは不動産投資がインフレ対策になると言われる理由を解説します。
インフレでも資産価値が下がりにくい
インフレになると、モノやサービスの価格が上がり、相対的にお金の価値が下がります。そのためインフレ時には、同じ金額で購入できるモノやサービスの量が減少するなどの影響を強く受けてしまうのです。
一方で現物資産である不動産は、インフレ時であっても資産価値が下がりにくいと言われています。しかし、まったく資産価値が下がらないかと言うとそうではありません。
アパートのような収益物件の建物は経年によって徐々に劣化し、インフレとは関係なく資産価値も下がっていくのが一般的です。
ただ、経年劣化の影響は非常に緩やかに進行するため、通常はその価値が急落することはほぼありません。
こういった点から不動産投資はインフレ時に強い投資方法と言われるのです。
インフレの進行によって家賃が上昇する
インフレが進むと物価が上昇するため、家賃も上昇する可能性があります。インフレによって不動産の価値も上がるため家賃の引き上げも検討できるでしょう。
ただし、インフレによる物価の上昇は投資物件のランニングコストにも影響します。
たとえば保険料や専門家への報酬、管理委託費用などが値上がりする可能性は十分考えられます。家賃収入額は変わらず、ランニングコストだけが増加すれば収支のバランスが崩れてしまいます。
したがって家賃の引き上げは、今後の収支のバランスを取るためにも非常に重要な措置だと言えるでしょう。
インフレによって借入金額が目減りする
インフレによってお金の価値は下がりますが、借入金も実質的に目減りします。
不動産投資を始めるにあたって高額の収益物件を購入する際は、金融機関から融資を受けるのが一般的です。インフレでお金の価値が下がったことで金融機関から借りた額よりも少ない額を返済するため、返済側にとっては有利な状況であると言えるでしょう。
また、前述したように物価が上昇することで家賃額も上昇する可能性があります。家賃が上がれば収入の増加につながるため、今後はローン返済の負担が軽減します。
ただし、インフレ時に有利となるのは固定金利を選んだ場合です。
変動金利を選んだ場合、金利の上昇によって返済額が増える可能性があるため注意が必要です。
インフレで物価が上昇すると、金利も上昇する傾向にあります。そのため変動金利で借入をしている場合、借入金の残高が目減りした場合でも、この金利の上昇によって返済の負担自体は軽くなるどころか、かえって返済額が増えてしまう可能性があるため注意が必要です。
インフレに強い不動産投資物件を選ぶポイント

インフレに強い不動産投資ですが、すべての不動産がインフレに強いわけではありません。インフレ時でも安定した収入を得られる収益物件を見極めることが重要なポイントになります。
ここではインフレに強い不動産を選ぶ際に注意すべきポイントについて解説します。
空室リスクの低い物件
不動産投資の主な収入源は入居者が支払う家賃です。そのため入居者がいない「空室」が長引くと家賃収入が減少してしまいます。
不動産投資の成否は、収益物件選びに大きく左右されます。これはインフレに関係なく、安定した不動産投資をおこなううえで非常に重要です。
空室リスクの低い物件は、賃貸需要が安定しているエリアや再開発などが計画されているエリアなどが該当します。そのほかにも、駅から徒歩10分以内で周辺にコンビニやスーパーなどの買い物施設がある、銀行や郵便局などの便利施設があるなど、入居ターゲットのニーズに見合った好立地の条件を満たす物件を選びましょう。
修繕費を考慮する
安定した不動産投資をおこなうためには日頃から建物や設備などを維持するためのメンテナンスや修繕は欠かせません。しかし、インフレになるとモノの価値が上がるため、建物の修繕に必要な物資や人件費も高くなる可能性があります。
一般的に築年数が経過した建物は修繕費が増加する傾向です。築古物件は価格が安く高利回りが期待できますが、一方で修繕費などが嵩むことも考えられます。
また相場よりも安い価格が設定されている物件の中には建物や設備の状態が悪く、購入してから高額の修繕費が必要になるケースもめずらしくありません。
このようにインフレ時に収益物件を選ぶ際は利回りの高さだけでなく、将来的な修繕費を含めて、収益性を維持できるかどうかしっかりと見極めることが大事です。
売却のしやすさ
不動産投資を始めるにあたって収益物件を選ぶ際は、将来的な「出口」も視野に入れて、売却しやすい物件を選ぶ必要があります。
売却しやすい物件はやはり、賃貸需要や利便性の高い立地の物件です。また複数の用途で利用できる物件は購入希望者が付きやすくなります
そもそも不動産は株式などに比べて流動性が低く、売却までに時間がかかるのが一般的です。そのため、売りたいと思ったタイミングで売却できない場合や希望した価格で売れないこともめずらしくありません。
インフレ対策として収益物件を選ぶ際は、運用のしやすさと同時に売却しやすい物件を選びましょう。
まとめ
不動産投資がインフレに強いと言われる理由について解説しました。
インフレとは物価が上昇し、相対的にお金の価値が下がってしまうことです。現物資産である不動産はモノであるため、インフレでも価値が下がりにくいという特徴があります。
ただし不動産であれば、かならずインフレに強いわけではありません。
不動産投資の成否は集計物件選びにかかっていると言っても過言ではありません。それはインフレ対策として不動産を選ぶ場合も同様です。
インフレ対策として収益物件を選ぶ際は、空室リスクが低く、売却がしやすい物件が望まれます。また運用中に発生する費用なども考慮したうえで、最良の物件を選ぶことができれば、インフレ時でも安定した不動産投資をおこなうことにつながるでしょう。