アパート経営で発生する仲介手数料の上限は?いつ誰が支払うのか解説
2025/01/10

アパート経営で発生する仲介手数料の上限は?いつ誰が支払うのか解説

アパート経営における仲介手数料とは不動産売買時に発生する仲介手数料について賃貸借契約時に発生する仲介手数料についてアパート経営で発生する管理委託手数料とは?アパート経営に関わる主な管理業務の種類アパート経営で管理会社を選ぶ際のポイント実績が豊富な管理会社を選ぶ経営が安定している管理会社を選ぶ管理委託手数料が適切な会社を選ぶトラブル発生時の対応体制が整った会社を選ぶ積極的に空室対策の提案をしてくれる会社を選ぶ信頼できる担当者のいる会社を選ぶまとめ

アパート経営で発生する仲介手数料の上限は?いつ誰が支払うのか解説

アパート経営ではさまざまな費用が発生しますが、中でも不動産の売買契約や賃貸借契約時に発生する仲介手数料は額が大きく、初期費用の大部分を占めるため無視することができません。

またアパートの入居者が決まった際にも仲介手数料は発生します。


不動産の売買契約時と賃貸借契約時、それぞれに発生する仲介手数料は、「いつ」「誰が」「いくら」支払えばよいのでしょうか。


今回はアパート経営時に発生する仲介手数料について、上限額や支払うタイミングなどについて解説します。

またアパート経営に欠かすことのできない、不動産管理会社の選び方も紹介します。

どちらもアパート経営とは切っても切り離せないコストです。しっかりと把握しておきましょう。


アパート経営における仲介手数料とは

模型の家 仲介手数料 クエスチョンマーク


アパート経営における仲介手数料は、不動産売買契約や賃貸借契約の締結時に売主・買主、または貸主・借主が不動産会社に支払う成功報酬です。

また仲介手数料は法律で上限額が定められており、不動産会社は上限額以上の仲介手数料を受け取ることはできません。


ここではそれぞれの仲介手数料について、上限額や注意点について詳しく解説します。


不動産売買時に発生する仲介手数料について

不動産売買時に発生する仲介手数料は、宅地建物取引業法(第46条)によって上限額が定められています。上限額は以下の計算式で算出します。


◦売買代金が200万円以下の場合

売却価格×5%+消費税


◦不動産の売買額が200万円超から400万円以下の場合

売却価格×4%+2万円+消費税


◦不動産の売買額が400万円を超えた場合

売却価格×3%+6万円+消費税


ただし、売買価格が800万円以下の物件の仲介手数料については、「低廉な空家等の媒介特例」が適用され、一律30万円+消費税が上限となります。


なお仲介手数料の下限は定められていませんが、ほとんどの不動産会社は仲介手数料として上限額を請求するのが一般的です。不動産会社を介して不動産の売買をおこなった際に必要となる仲介手数料の相場は、この上限額を準備しておけば間違いありません。


売買契約における仲介手数料を支払うのは誰?

不動産売買契約で発生する仲介手数料は、仲介を依頼した売主側と買主側の双方に支払い義務が生じます。

たとえば、売主が仲介会社A社に売却の依頼をした物件を、買主が仲介会社B社を通じて購入したとします。この場合、A社に仲介手数料を支払うのは売却を依頼した売主で、B社に仲介手数料を支払うのは物件を購入した買主になります。


もし売主と買主が同じ不動産仲介会社C社に仲介を依頼した場合は、売主と買主のそれぞれがC社へ仲介手数料を支払うこととなります。


売買契約における仲介手数料を支払うのはいつ

不動産売買契約で仲介手数料を支払うタイミングは「売買契約成立時」と「物件引き渡し時」の2回で、それぞれ半額ずつ支払うのが一般的です。ただ、支払い方法は法律などで定められてはいないため、不動産会社によっては支払いのタイミングが異なることもあります。


不動産の売買額は高額なため仲介手数料も大きくなります。また仲介手数料は現金で支払うのが一般的ですが、振込みで支払うことも可能です。

ただし振込みには、振込み手数料が必要になります。また金額によっては金融機関の窓口での手続きが必要になるため、窓口が営業している時間内に手続きをおこなう必要があります。


いずれにしても、あらかじめ支払うタイミングを担当者に確認しておき、支払日に備えて必要な金額を用意しておきましょう。


仲介手数料が不要なケースもある

不動産会社が売主の場合は、不動産売買契約が成立しても仲介手数料は発生しません。

たとえば不動産投資会社が自社物件を個人に売却する場合や、不動産会社が個人から買い取った不動産をリノベーション後に販売するなど、「仲介」がおこなわれないケースでは仲介手数料は不要です。


また売主から不動産を直接購入する場合も、不動産会社は仲介していないため、仲介手数料は発生しません。


賃貸借契約時に発生する仲介手数料について

不動産会社(仲介業者)が賃貸借契約時に受け取れる仲介手数料の上限は、貸主と借主から合計で家賃1ヶ月分+消費税です。


なおアパートやマンションなど居住用物件は、貸主、借主から受け取れる仲介手数料は家賃の0.5ヶ月分が限度とされていますが、双方が了承すれば片方から0.5カ月を超える金額を受け取ってもよいとされています。

そのため現在では「借主が仲介手数料として1ヶ月分を負担する」のが一般的です。


一棟アパートの場合、複数の部屋を賃貸しますが、部屋ごとに賃貸借契約が成立するたびに仲介手数料が発生します。

借主が仲介手数料の全額を負担することで、貸主であるオーナーの負担は大幅に軽減されているのです。


賃貸借契約における仲介手数料は、賃貸借契約締結時に敷金や礼金などと同時に支払うのが一般的です。その際は現金で支払うほか、クレジットカードで支払いが可能な場合もあります。

クレジットカードで支払う場合は分割払いも選択できるため、一括で支払うには金融機関の口座の残高が少ない場合でも無理なく支払えるのがメリットになります。


広告料(AD)とは

広告料(AD)とは、長く空室の部屋や繁忙期に埋まらなかった空室をできるだけ早く埋めたいなど、入居者を優先的に確保してもらうための成功報酬のひとつです。広告料(AD)賃貸借契約締結時に貸主が仲介業者に支払います。


広告料(AD)は成約することでもらえる報酬なので、仲介業者も積極的に部屋を斡旋してくれます。そのため広告料(AD)がついている物件は、ついていない物件と比較すると、部屋探しをしている人に紹介してもらいやすくなるため入居が決まる可能性が高くなります。


相場は家賃1ヶ月分~3ヶ月分ですが、早急に入居者を決めたい場合ほど広告料(AD)が多くなります。なお、広告料(AD)は仲介手数料とは異なり上限はありません。


アパート経営で発生する管理委託手数料とは?

物件情報 間取図 ノート


管理委託手数料(管理手数料)とは、不動産管理会社がオーナーに代わってアパート経営などの管理業務を不動産管理会社がオーナーに代わっておこなう際に発生する報酬です。


アパート経営の管理業務をオーナー自身でおこなう「自主管理」するケースもありますが、アパートの管理業務は多岐にわたるため、サラリーマン大家さんのように本業を持つ人には時間や体力的に大きな負担がかかります。


しかし管理業務を不動産管理会社に業務委託することで、大家さんの負担を大幅に軽減できるため、多くの賃貸オーナーが不動産管理会社を利用しているのです。


なお管理委託手数料は不動産管理会社や業務内容や範囲によって異なりますが、相場は家賃収入の5%~8%程度が目安になります。

中には管理委託手数料が家賃収入の3%という管理会社や、月額定額制の会社も増えています。


ただし管理委託手数料の安さだけで選んでしまうと、必要な管理業務が別料金だったり、業務の質が悪かったりするケースもあるため注意が必要です。


優秀な不動産管理会社の選び方については後述する『アパート経営で管理会社を選ぶ際のポイント』をご覧ください。


アパート経営に関わる主な管理業務の種類

アパート経営における管理業務は、「賃貸に関する管理(入居者管理)」と「建物に関する管理」の2種類に分けられます。

どちらも入居者や内見者に好印象を与えることができれば、入居者の満足度が上がり退去防止につながったり、新規入居者を獲得できたり、大きなメリットにつながります。


それぞれの管理業務内容を紹介します


賃貸に関する管理(入居者管理)の業務内容

賃貸管理には、主に以下のような管理業務があります。


◇入居者募集に関する業務

◦物件情報を賃貸ポータルサイトや自社ホームページに掲載する

◦物件の問い合わせ対応、内見案内

◦賃貸借契約に関する手続き

◦解約手続き など


◇家賃などお金の管理業務

◦入居者からの家賃の入金確認

◦家賃滞納者への督促(家賃保証会社に加入していない場合)

◦大家さんへの家賃の振込み

◦預かり敷金の管理 など


◇入居者への対応

◦入居者らのクレーム対応(備品などの故障や不具合、騒音、水漏れなど)

◦入居者への連絡事項の通達 など


◇退去に関する業務

◦退去時の立会い

◦室内クリーニングや修繕の手配

◦敷金の精算 など


◇その他

◦空室対策の提案 など


建物に関する管理

建物管理には、主に以下のような管理業務があります。


◇建物や設備の維持管理業務

◦日常的な建物・設備のメンテナンス、修繕、交換などの手配

◦大規模修繕工事の計画立案、手配

◦法定点検(消防設備や水道設備など)の手配

◦巡回 など


◇共用部の清掃業務

◦共有部(エントランス・廊下・階段、ゴミ置き場など)も清掃

◦植栽や花壇などの管理や手配 など


アパート経営で管理会社を選ぶ際のポイント

家の模型 空室対策 文房具


新築でアパート経営を始める際は、まず不動産管理会社を探すことから始まります。

不動産管理会社の質は、入居者の満足度や入居付けなど、アパート経営の成功に大きく影響するため、できるだけ実績が豊富な優秀な不動産管理会社と契約しましょう。

ここでは優秀な不動産管理会社を選ぶためのポイントを解説します。


なおオーナチェンジ物件など中古アパートを購入する際は、すでに不動産管理会社と契約しているケースもあります。問題がなければそのまま契約を継続するとよいですが、管理状況によっては変更も視野に入れましょう。


実績が豊富な管理会社を選ぶ

不動産管理会社のなかには、「仲介がメイン」や「管理業務がメイン」など、得意分野が偏っているケースがあります。

賃貸管理と建物管理を別々の管理会社に業務委託することもできますが、その場合、1社に業務委託するよりも管理委託手数料が多くなる場合もあるため、できるだけ管理と仲介どちらにも力を入れている1社を選びましょう。


その会社の管理実績を知るためには、ホームページやパンフレットなどから管理戸数や入居率、退去率、リピート率などを確認するとよいでしょう。また口コミサイトなどを参考にするのもおすすめです。


地元密着型の小規模な管理会社などは管理実績を公開していないことも多いです。その場合は担当者にヒアリングをして必要な情報を確認しましょう。


経営が安定している管理会社を選ぶ

契約した不動産管理会社が倒産してしまうと、預けていた資金や振込み前の家賃などを回収できなくなるおそれがあるため注意が必要です。


通常の家賃管理の流れは、不動産管理会社が指定する金融機関の口座に入居者が家賃を振り込みます。管理会社は各入居者から家賃が振り込まれたかどうかを確認したのち、大家さんの口座に家賃を振り込みます。

また新規入居者が入居時に支払った敷金も不動産管理会社が管理していることも多いです。


不動産管理会社の決算報告書などを確認し、経営状態が健全であるか確認しておくと安心です。


管理委託手数料が適切な会社を選ぶ

前述したように、アパートの管理業務を管理会社に委託する際の手数料の目安は、家賃収入の5%~8%程度です。一月の家賃収入が50万円であれば、管理委託手数料は2万5千円~4万円、年間では30万円~48万円のコストが発生する計算です。


決して少なくないコストに見合ったサービスを受けることができるかどうかが、管理会社を選ぶ際の大事なポイントになるでしょう。

特に相場よりも安い管理委託手数料を提示している管理会社には注意が必要です。あまりにも手数料が安い場合、必要な管理業務が別料金として設定されていたり、清掃などの回数が少なかったり、期待したサービスよりも質が悪かったりするケースも考えられます。


管理会社を選ぶ際は、かならず複数の管理会社に見積もりを取り、それぞれの会社の手数料や管理業務内容を比較したうえでベストの1社を選びましょう。


トラブル発生時の対応体制が整った会社を選ぶ

設備の故障や不具合などが発生した場合、どれだけ迅速に解決できるのかによって、入居者の満足度が変わります。

満足度が高くなれば長期の入居が期待できます。逆に不満が多ければ、契約満期を待たずに退去されるおそれもあるため注意が必要です。


夜中や休日など24時間365日受付可能なコールセンター完備など、対応体制が整った会社を選びましょう。また過去のトラブル対応の実績などがわかる場合は、かならず参考にしましょう。


積極的に空室対策の提案をしてくれる会社を選ぶ

空室リスクは、アパート経営の最大のリスクのひとつです。

アパート経営の主な収入源は家賃です。そのため空室が増えたり、空室期間が長引いたりすると家賃収入が減少し、キャッシュフローの悪化が懸念されます。


空室を埋めるためには、適切な空室対策をおこなう必要があるため、空室対策のノウハウが豊富で、積極的に提案をしてくれる管理会社を選びたいものです。

安易に「賃料を下げる」といった提案ではなく、空室の原因を見抜いたうえで適切な空室対策方法を提案してくれる会社であれば、アパートの管理全般を信頼して任せることができるでしょう。


信頼できる担当者のいる会社を選ぶ

管理会社に業務を委託した場合、物件を担当してくれる担当者が付くのが一般的です。

アパート経営におけるノウハウが豊富で、積極的に空室対策の提案をしてくれたり、質問に対するレスポンスが早かったり、信頼できる担当者かどうか確認しましょう。


なお、アパート経営は長期にわたっておこなう事業のため、途中で担当者が変わることも考えられます。そのため、ひとりの担当者だけでなく、会社として信頼できる会社を選びましょう。


まとめ

アパート経営における仲介手数料の仕組みについて解説しました。

仲介手数料は、不動産の売買契約時と賃貸借契約時にそれぞれ発生しますが、支払う人やタイミングはそれぞれ異なります。

そのため、支払い日や支払い方法をあらかじめ確認しておくと安心です。


なお、仲介手数料は法律で上限が定められています。仲介をおこなった不動産会社は上限額を超えての請求はできません。提示された仲介手数料が適切であるかどうか、しっかりと確認をおこないましょう。

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