不動産投資で雪だるま式に資産を増やす方法や注意ポイントを解説!
投資や資産運用で「複利効果」を利用して、年月とともに資産を増やす方法を「雪だるま式」と呼ぶことがあります。
株式投資などの複利は、利息を元本に加えて再投資をおこなうことで、より大きな利息の獲得を目指します。
しかし、不動産投資は利息を元本に加えることはできません。実は不動産投資の複利効果は、株式投資などとは異なるやり方があるのです。
今回は不動産投資で資産を雪だるまのように増やせる「複利効果」について、その仕組みや具体的な活用方法を解説します。
不動産投資で素早く資産を増やし、より多くの収益を得るためには欠かせない仕組みです。
ぜひ参考にしてください。
不動産投資で資産を雪だるま式で増やすカギは複利効果
そもそも「雪だるま式」とは、小さな雪玉を転がしていくうちにだんだん大きくなっていく様子を表します。
さまざまなシーンで使われる言葉ですが、投資などで資産を「雪だるま式」に増やすためには「複利効果」を狙った投資をおこなう必要があります。
複利とは、投資や資産運用で得た利息を当初の元本にプラスして増やし、再度投資する「再投資」のことをいいます。
複利のメリットは、利回りが変わらなくても再投資によって元本が増えるため、受け取れる利息が大きくなり、スピーディーな資産形成につながることです。
この当初の元本が、雪だるま作りの最初に作る雪玉にあたります。
最初は小さな雪玉ですが、1回、2回と連続で雪の上で転がすことで周囲に雪がくっついて雪玉はどんどん大きくなります。
雪玉(元本)にくっついていく雪が「利息」であり、転がすことでどんどん大きくなっていく雪玉は「元本+利息」であり、この状態が「複利」となるのです。
これが「雪だるま式」と呼ばれる理由です。
一方、投資や運用で得た収益(利息)は別のことで消費し、当初の元本のままで投資や運用する方法を「単利」と呼びます。単利の場合、元本の額は変わりません。そのため利回りが上がらないかぎり受け取れる収益(利息)は増えません。
単利を雪玉にたとえるなら、作った雪玉(元本)を1回転がすたびに周囲に付いた雪(利息)を取り除き、元の大きさにした雪玉をあらためて転がすイメージとなります。
元本が増える複利と元本がそのままの単利では、投資や資産運用で得られる収益の差は、投資期間が長期になればなるほど大きくなります。
不動産投資は長期間にわたっておこなう投資方法なので、複利効果を狙うには最適な投資方法と言えるでしょう。
ただし不動投資の場合、ほかの投資方法とは異なり「収益(家賃収入)を元金に組み入れる」ことはできません。
不動産投資で複利効果を狙う方法について、次の項で解説します。
不動産投資で資産を雪だるま式で増やす3つの方法
不動産投資で資産を雪だるま式で増やすため欠かせない複利効果ですが、先に述べたように不動投資では家賃収入を元金に組み入れることはできません。
不動投資で複利効果を狙う方法には以下の3つがあります。
①次に購入する物件の頭金にあてる
不動産投資用物件を購入する際の頭金にあてる方法です。
収益物件を購入する際は物件価格の一部を頭金として支払うのが一般的です。頭金の割合は決まっていませんが、頭金を多く入れることで融資審査に通りやすくなったり、融資条件が優遇されたり、借入れ時のメリットにつながります。
関連記事:不動産投資をはじめるための軍資金はいくら必要?狙える物件の種類も
②リフォームやリノベーション費用にあてる
入居者の退去時のリフォーム費用(原状回復費用)やリノベーション費用に充てることで、空室率をさげたり、物件の価値を向上させて賃料をアップしたり、より多くの収益を得るための資金とします。
③繰り上げ返済にあてる
繰り上げ返済に充てて元本を減らすことも可能です。
「期間短縮型」の繰り上げ返済であれば、月々のローン返済額はそのままで返済期間を短くすることができます。返済期間を短くすることで、短縮された期間に支払う予定だった利息が軽減されます。
またローンを完済することで融資枠に余裕が生まれます。次の投資物件を購入する際の融資審査に通過する可能性が高まります。
関連記事:不動産投資の繰り上げ返済の種類を紹介!メリット・デメリットを解説
不動産投資で効率よく資産を雪だるま式で増やすコツ
ここでは、効率よく不動産投資で雪だるま式に資産を増やす方法を解説します。
最初の投資物件を成功させる
不動産投資で複利効果を狙うためには、安定したキャッシュフローを得る必要があります。そのためには不動産投資の知識を学んだうえで、賃貸需要の高い物件を選ぶことが重要です。
とくに最初の物件選びは、不動産投資の成功の可否に大きく関わります。1軒目の収益物件を選ぶ際は、次のポイントに気をつけましょう。
賃貸需要が高い収益物件を選ぶ
安定した家賃収入を得るためには賃貸需要が高い収益物件を選ぶ必要があります。
物件を選ぶ際は、次のような方法で賃貸需要を確認しておきましょう。
◦不動産賃貸ポータルサイトなどで物件周辺の空室率を確認する
◦最寄りの駅の乗降者数を確認する
◦各自治体が発表している「人口動態統計」から人口の増減を確認する
◦再開発事業計画の有無を確認する
物件周辺の空室率が高い場合、同じような間取りの競合物件が多い可能性が高いです。最寄り駅の乗降者数が多く人口が増加しているエリアは人の流れが活発なため、賃貸需要が高いと考えられます。
またターゲットにした入居者層とマッチしたエリアの物件を選ぶことも大事です。ターゲットに適さないエリアを選んでしまうと入居付けがむずかしく、空室リスクが高くなるため注意しましょう。
返済リスクの低い物件を選ぶ
不動産投資で収益物件を購入する際は自己資金の一部を頭金として支払い、残りの額を金融機関からは借入れるのが一般的です。
融資を利用することで自己資金の何倍もの高額物件が購入でき、レバレッジを効かせた投資につながるのです。
関連記事:不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意
しかし、あまりにも借入額が大きな場合、月々のローン返済が負担になるおそれがあるため注意が必要です。
とくに「フルローン」や「オーバーローン」は、自己資金が不要な分、総借入額が大きいため返済リスクが高くなりがちです。
たとえ毎月のキャッシュフローが黒字でも、空室期間が長引いたり、設備などが故障したり、予期せぬ家賃収入の減少や修繕費など支出の増加によって、赤字になるリスクがあることを覚えておきましょう。
返済リスクを避けるためにも、月々のローン返済を無理なくおこなえる、返済リスクの低い物件を選ぶことをおすすめします。
関連記事:不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
相場よりも高い利回り物件には要注意
中古の収益物件は、新築物件に比べて価格が低い分、高利回りになりやすいです。なかには10%を超える高利回り物件も見かけますが、相場を大きく上回る利回りには注意が必要です。
利回りが高い物件のなかには、なんらかの理由で相場よりも物件価格が安く設定されているケースがあります。
たとえば、建物の状態が著しく悪く、賃貸するには多額の修繕費用が必要になったり、立地などが悪く空室率が高かったり、売主が「相場より安くてもいいから手放したい」という場合が考えられます。
こういった物件を購入してしまうと想定した家賃収入が得られず、早々に賃貸経営に行き詰ってしまうおそれもあります。
収益物件を選ぶ際は利回りの数字だけ見るのではなく、建物の状態や賃貸状況を確認することが大事です。
なお建物の状態については、下記のポイントをチェックしておきましょう。
◦これまでの大規模修繕履歴を確認する
◦屋根や外壁の傷みや塗装の状態を確認する
◦台所、風呂場、トイレなど水回りに水漏れがないか確認する
◦給湯器やエアコンなどの設備に故障などがないか確認する
とくに大規模修繕履歴は、今後必要になる大規模修繕費に大きく影響するためかならず確認しましょう。
できるだけ早く不動産投資をはじめる
複利効果で複数の収益物件の購入を検討している場合、できるだけ早いタイミングで不動産投資をはじめましょう。
不動産投資ローンの借入期間は最長で35年、最終返済年齢を80歳未満としている金融期間が多いです。
そのため不動産投資を開始する年齢によっては、2軒目、3軒目の収益物件のローンを組む際、借入期間が短くなる可能性があります。
若いうちは年収が低く融資を受けにくい場合もありますが、その際は「日本政策金融公庫(日本公庫)」を利用するのがおすすめです。
日本公庫は、民間金融機関の取組みの補完を目的とした政府系の非営利金融機関です。
中小企業や個人事業だけでなく、主女性や若年層・シニア層への融資にも積極的に支援をおこなっており、融資額や融資期間の優遇措置があります。
ただし、日本公庫の融資は「事業」を対象としています。目的が「不動産投資」では融資を受けられません。融資を申し込む際は「不動産賃貸業」など、かならず事業として申し込みましょう。
関連記事:日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?
関連記事:20代ではじめる不動産投資で失敗しないポイントとメリット・デメリット
不動産投資の知識を身につける
不動産投資で複利を活用するためにも、不動産投資の基本的な知識を身につけておきましょう。
まったく知識がない状態で不動産投資をはじめてしまうと、さまざまなリスクを回避できず、不動産投資に失敗してしまうおそれもあります。
たとえば営業マンのセールストークを鵜呑みにし、収益性の低い物件を購入してしまったり、相場よりも高い価格で物件を購入してしまったり、マイナス状態からの不動産投資のスタートになりかねません。
しかし不動産投資の基本的な仕組みや用語を覚えておくことで、営業マンの話や物件の利回りなどの数字におかしな点があれば気づくことができるでしょう。
まずは不動産投資に関連する書籍やインターネットサイト、不動産投資セミナーなどで、ある程度の知識を身につけたうえで不動産投資をはじめることをおすすめします。
不動産投資複利効果を利用する際の注意ポイント
収益面でメリットの大きな複利効果ですが注意したいポイントもあります。
手元資金とのバランスを考える
不動産投資では、収益物件の購入費用の大部分を金融機関から借入れ、月々の家賃収入からローン返済をするのが一般的です。
そのため月々のローン返済が無理なくおこなえるか、キャッシュフローに余裕はあるかといった収支シミュレーションが欠かせません。
とくに複数の物件を所有する場合は、それぞれの物件の利回りや空室や賃料下落などのリスクを把握したうえで、再投資するかしないかを検討する必要があります。
たとえばキャッシュフローに余裕がない物件の場合、空室による賃料減少や予定外の支出などによってキャッシュフローが赤字になりやすいです。
キャッシュフローが赤字でも、月々のローン返済や管理費などの支払いは待ってくれません。その場合は手元の資金から持ち出すことになります。
しかし、複利を重視するあまり収益を再投資に回してしまうと手元に資金が残らず、いざというときに困難になるおそれがあります。
複利で資産を増やすことも大事ですが、万が一に備えてある程度の資金を手元に残しておきましょう。そのためにも収益をすぐに再投資するのではなく、ある程度資産ができてから再投資を検討することをおすすめします。
将来的に事業規模とみなされる可能性がある
複利効果で複数の物件を所有した場合、投資が事業規模(10室以上の部屋もしくは5棟以上)とみなされて、事業税が課される可能性があります。
またサラリーマンなど本職を持っている人の場合、勤務先の副業ルールによっては事業規模とみなされる不動産投資はNGとされているケースもあります。
事業規模に満たない場合は問題ありませんが、将来的に事業規模を拡大したいと考えている場合は、税金のリスクや就業ルールに違反する可能性があることを覚えておきましょう。
まとめ
不動産投資で資産を雪だるま式に増やす「複利効果」について解説しました。
不動産投資で複利効果は、収益物件の運用で得た収益を不動産に再投資することで得られます。
具体的には、次の収益物件の購入資金にあてたり、リフォーム費用などにあてたり、繰り越し返済にあてるなどの方法があります。
不動産投資の複利効果を上手に活用することで、単利に比べてスピーディーな資産形成につながります。
ぜひ当記事を参考に、複利効果を活かした不動産投資を目指してください。