パート主婦の不動産投資をおこなう際の注意点!どこで融資を受ける?
パート主婦でも不動産投資をおこなうことは可能です。
ただし、会社員などに比べると融資が付きにくいなどのデメリットがあることはたしかです。
ではパート主婦が不動産投資をはじめる場合、どのような方法があるのでしょうか?
今回はパート主婦が不動産投資をおこなうにあたって、融資を受けやすい金融機関や注意点を紹介します。
「パート主婦で収入が少ないから」と不動産投資を諦める前に、ぜひ当記事を参考にしてください。
パート主婦でも不動産投資はできる?
安定した収入が必要といわれる不動産投資ですが、パート主婦でもはじめることは可能です。
ただし、会社勤めの正社員や公務員と比べると、パート主婦が金融機関から融資を受けるのはむずかしいといえるでしょう。
そこでパート主婦で不動産投資をはじめたい人におすすめなのが、「日本政策金融公庫」の事業融資です。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は、民間金融機関の取組みを補完し、中小企業や個人事業主の支援および国民生活の向上を目的とした政府系の非営利金融機関です。
日本政策金融公庫は、「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」の3つ事業内容に対して融資などをおこなっています。
とくに民間金融機関から融資を受けにくい中小企業や個人事業者、女性・若者・高齢者などへの積極的な支援融資をおこなっています。
属性が低いパート主婦は「女性、若者/シニア起業家支援資金」がおすすめ
民間の金融機関で不動産投資ローンを利用する場合、パート主婦は属性が低いとみなされ、融資審査に通らない可能性が高いです。
個人属性とは、申込者の年齢、年収、職業・勤務状況(勤務先・雇用形態・勤続年数など)、借入れ状況などで、融資審査の判断材料として使用されます。
民間の金融機関にとって、もっとも重要なのは「貸したお金をしっかり回収できるかどうか」です。そこで個人属性から返済能力の有無が判断されます。
融資審査の内容は金融機関によって異なりますが、なかでも職業・勤務状況や収入は、ローンの返済に大きく関係するため細かくチェックされます。
一般的に融資審査に通りやすいのは、毎月安定した収入を持つ会社員や公務員、医師などの高収入のある人など、いわゆる「属性が高い」といわれる人です。
反対に安定した収入のない、パート主婦やアルバイト、派遣社員、自由業の人は「属性が低い」とみなされ、融資審査に通りにくいケースが多いです。
関連記事:【初心者向け】不動産投資で銀行開拓の手順や必要書類を解説!
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しかし日本政策金融公庫であれば、民間金融機関から融資を断られた人でも事業内容によっては融資を受けられる可能性があります
上記のように、日本政策金融公庫は女性への支援や融資を積極的におこなっています。そのため収入が安定しないパート主婦であっても、融資制度のひとつである「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用が可能です。
「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、新しく事業をはじめる人または事業開始後おおむね7年以内の人で、女性、35歳未満の人や55歳以上の人を対象とした融資制度です。
融資上限額は7,200万円(うち運転資金4,800万円) 、全期間固定金利で金利は1%前半~2%前半と低い金利で利用でき、保証人も不要です。民間の金融機関に比べて非常に有利な条件で融資を受けられるのがメリットです。
ただし、融資期間は最長15年となっており、民間の金融機関の不動産投資ローンと比較して短いのがデメリットです。
また日本政策金融公庫では「不動産投資」に対する融資はおこなっていません。そのため融資を申し込む際はかならず「不動産賃貸事業」として申し込みましょう。「不動産賃貸事業」なので、転売目的で不動産を購入する場合は融資の対象外となるため注意が必要です。
そのほかにも、事業計画書の提出や購入物件などの担保物件があること、公共料金や税金に未払いがないことなどが融資を受ける際の条件になります。
一般的な金融機関の融資審査に落ちてしまった場合、融資審査がゆるめのノンバンクを利用する方法もあります。しかしノンバンクは金利が高く、収支状況によってはキャッシュフローの悪化が懸念されます。
購入を検討している物件がしっかり収益を得られるのであれば、パート主婦でも低金利で利用できる日本政策金融公庫が有利です。
これから不動産投資をはじめようと考えているパート主婦の人は、ぜひ検討してみましょう。
パート主婦が不動産投資をおこなうメリット
不動産投資は、ほかの投資と比較して手間や時間がかからないのがメリットです。
株式やFXなどで収益を出すためには、日々の値動きや経済動向、世界情勢などをつねにチェックする必要があります。
しかし不動産投資は、賃貸物件の管理を不動産管理会社などに業務委託することが可能なので、オーナー自身が管理をする必要がありません。
たとえば、もう少し収入を増やしたいが子供の保育園や幼稚園、学童などの関係でパート時間を増やせない人でも、不動産投資であれば時間を取られることなく家賃という収入を得ることが可能なのです。
不動産投資で得た家賃収入は、家計費に充てたり、将来の子供の教育資金として貯蓄したり、また新しい収益物件の購入資金にすることもできます。
無理なく日常生活を送りながら収入を得られるのが、忙しいパート主婦が不動産投資をおこなう最大のメリットといえるでしょう。
パート主婦が不動産投資をおこなう際のリスクや注意点
パート主婦が不動産投資をおこなう場合、以下のような注意したい点がいくつかあります。
夫の扶養から外れる可能性が高くなる
パート主婦が不動産投資をおこなうことで収入が増えると、夫の扶養から外れる可能性が高くなります。
パート主婦の多くは、夫の扶養範囲内の収入に留めていることがほとんどです。しかしパート主婦が不動産投資をおこなった場合、パートの給与に不動産収入(不動産所得)が加わります。
そのため不動産投資で得た所得額によっては、以前よりも支出が増えることもあるため注意が必要です。
まず、年収が100万円を超えると住民税が発生します。(地方公共団体により異なります)
103万円を超えると配偶者控除がなくなり、所得税が発生します。また扶養者が家族手当を支給されないことが増えるケースもあるでしょう。
さらに106万円または130万円を超えると社会保険の扶養から外れるため、雇用保険、健康保険、厚生年金保険など、社会保険料の負担が発生してしまい、結果として手取り収入が減ってしまいます。
なお、2023年10月よりこの「130万円の壁」が緩和され、2年間なら年収130万円を超えても扶養に入ったままで働くことができる「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」の措置が導入されました。
しかし、この措置は「一時的な収入の変動」であることを「(雇用先の)事業主の証明」を提出することで適用されます。
そのためパート主婦がおこなう不動産投資のように特定の事業主と雇用関係がないケースは対象外です。
不動産収入とパートの給与収入の両方がある人については、パートの収入が一時的な事情で増加したことによって年収の壁を越えた場合は対象となります。
また年収の壁については、パート先企業の規模などによって壁を超える年収が違います。
「106万円の壁」の対象は、従業員101人以上の企業などに週20時間以上勤務している場合(令和6年(2024年)10月以降は、51人以上の企業に変更)であり、厚生年金保険・健康保険の負担が発生します。
「130万円の壁」は、対象となるのが従業員100人以下の企業などに勤務している場合で、国民年金・国民健康保険を自己負担することになります。
参考:厚生労働省『年収の壁・支援強化パッケージ』
パート主婦が不動産投資をおこなう場合、パートの給与額と家賃収入額によって「年収の壁」が変わるため、詳しくは専門家または、厚生労働省の「年収の壁突破・総合相談窓口」に問い合わせるとよいでしょう。
【年収の壁突破・総合相談窓口(厚生労働省)】
0120-030-045(フリーダイヤル・無料)
受け付け時間:平日8:30~18:15
(土日・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)は利用できません)
関連記事:妻名義の不動産投資で節税につながる理由を解説!メリットと注意点も
確定申告が必要になる場合がある
パート主婦が不動産投資をおこない、一定額以上の不動産収入があった場合は確定申告が必要になるケースがあります。
パート主婦で年間の不動産所得が20万円を超えた場合は、その分の確定申告をしなくてはなりません。
申告すべき不動産所得があるにもかかわらず確定申告をおこなわなかった場合は延滞税などが課されるため、かならず確定申告をおこないましょう。
パート先の給与については、毎月の給与から源泉徴収されている場合はパート先で年末調整(1年間に支払った税金の過不足を清算する)がおこなわれるため確定申告は不要です。
関連記事:妻名義の不動産投資で節税につながる理由を解説!メリットと注意点も
手元に資金を残しておく
不動産投資をはじめるにあたって、万が一に備えて、ある程度の資金を手元に残しておくことをおすすめします。
不動産投資の返済原資は基本的に家賃収入です。毎月一定の家賃収入を得て、想定内の支出であれば収支は黒字になります。
しかし、空室期間が長引いたり、予定外の支出が発生したり、その月の家賃だけでは賄なえず赤字になるケースがありますが、それでもローンの返済などはおこなわなければなりません。
その場合は手元の資金を持ち出すことになるため、ある程度の資金を手元に残しておく必要があるのです。
もし手元に資金がない場合は、ローンの支払いが滞ってしまうことも考えられます。ローン返済が滞ると延滞金の発生や、最悪の場合は物件を差し押さえられてしまうおそれもあるため注意が必要です。
不動産投資に必要な初期費用(頭金と諸費用)の目安
不動産投資用物件を購入する際は、金融機関から融資を受けるケースがほとんどですが、その場合は物件価格の1割~3割程度を「頭金」として自己資金から支払うのが一般的です。
加えて、物件購入費用のほかにローン手数料や保証料、仲介手数料、登記費用などの「諸費用」が物件価格の8%~10%程度必要です。
たとえば、1,000万円の区分マンションを購入する場合、頭金と諸費用で180万円~400万円が必要になる計算です。
頭金を入れずにローンを組む「フルローン」や、頭金不要・諸費用もローンに組み込む「オーバーローン」もありますが、借入額が高額になり、月々のローン返済額も高くなります。
その場合、空室の長期化による収入の減少やランニングコストなど支出の増加によってキャッシュフローが悪化しやすいというリスクをともなうため、利用する際は十分注意しましょう。
参考記事:不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
高すぎる利回り物件には注意する
不動産投資では、投資額に対してどれくらいの利益があるのかを数値化したものを「利回り」といい、収益物件を選ぶうえで重要な指標となります。
一般的に利回りが高い物件ほど収益が大きく短期間で投資額を回収できます。
そのため、できるだけ高利回りの収益物件を選びたいものですが、なかには「なんらかの原因によって利回りが高くなっている物件」もあります。
とくに次のような物件は、利回りの数字だけで選ぶと思わぬ失敗につながるため注意しましょう。
管理状態が悪い築古物件
築古物件の多くは物件価格が安いため高利回りになりやすいです。しかしそういった物件は、長期間放置されていて管理状態が悪く傷みがひどかったり、設備が古く故障が多かったり、そのままでは賃貸できず購入してから高額のリフォーム費用が発生するケースも多いです。
その場合、購入時は高利回りでも、発生した修繕費用額によっては利回りが一気に下がってしまうこともあるため注意が必要です。
再建築不可物件
接道義務などを満たしていない「再建築不可物件」は、周辺相場よりも安い価格設定になっているため、高利回りの場合も少なくありません。
再建築不可物件は、改築建築確認申請が不要な範囲でリフォームなどは可能ですが、建て替えや増築、改築はおこなえません。
そのため売買ともに融資が付きにくく、売りたくてもなかなか買手が見つからないというリスクがあるため注意が必要です。
まとめ
不動産投資は、賃貸物件の管理を業務委託できるため、オーナーは少ない負担で収入を得ることが可能です。そのため家事や子育てに忙しいパート主婦におすすめの投資方法のひとつです。
ただし、パート主婦が不動産投資で収入を得た場合、夫の扶養から外れてしまい、税金や社会保険料の負担が増えてしまうリスクもあるため注意しましょう。
また年収が少なく、収入が安定しないパート主婦が不動産投資をおこなう場合、民間の金融機関では融資を断られることも少なくありません。
その場合は日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用を検討しましょう。固定金利かつ金利が低いため、融資を受けることができれば大きな助けになるはずです。
パート主婦ならではのメリットやリスクを比較して、納得したうえで不動産投資をおこないましょう。