不動産投資のがん団信の仕組みを解説!メリット・デメリット・注意点
2023/12/01

不動産投資のがん団信の仕組みを解説!メリット・デメリット・注意点

不動産投資のがん団信の仕組み団信の保険料の支払い方法と保険料の目安不動産投資のがん団信の加入条件不動産投資ローンをこれから借りる人健康状態など所定の条件を満たしている不動産投資ローンの融資条件に団信加入が含まれている場合がある不動産投資で加入できる団信特約の種類団体信用生命保険がん団信(がん診断特約付団体信用生命保険)三大疾病特約付き団体信用生命保険八大疾病特約付き団体信用生命保険ワイド団信不動産投資のがん団信に加入するメリットとデメリット不動産投資のがん団信に加入するメリット不動産投資のがん団信に加入するデメリット不動産投資のがん団信に加入する際の注意点途中からの加入や途中解約・プラン変更はできない告知は正直におこなうローンを完済すると保障がなくなるがん団信で保障されない事態にも備えておくまとめ

これから不動産投資をはじめようとしている人のなかには、ローンを組む際に「がん団信(がん診断特約付団体信用生命保険)」へ加入しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。

所定のがんと診断確定されるとローンの残債がゼロになるがん団信ですが、住宅ローンとは違い、不動産投資ローンは家賃収入でローンを返済するため、がん団信は必要ないと考えている人も少なくないようです。


そこで今回は不動産投資の「がん団信」について、加入条件や保障の仕組み、メリット、注意点を解説します。また団信の種類も紹介します。

がん団信を検討する際の参考にしてください。


不動産投資のがん団信の仕組み

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団信とは、「団体信用生命保険」の略称で生命保険の一種です。

団信加入者が亡くなる、もしくは高度障害などで働くことができなくなるなど、万が一のことがあった場合、保険金からローンの残債すべてが返済される仕組みとなっています。


がん団信とは、団信にがんの特約を付加したものを指します。死亡・高度障害状態のほか、

所定の「がん」と診断確定されるなど、保険金支払いの条件を満たした場合にローンが完済されます。


不動産投資の場合、団信に加入者にもしものことがあれば、遺族は無借金で残された収益物件を相続できます。物件に入居者がいる場合は被相続人に代わって家賃収入を得ることができますし、売却してまとまった現金を得ることも可能です。

このことから「不動産投資は生命保険代わりになる」と言われています。


不動産投資の保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!


一般的な生命保険との違いは、団信はローンの債務者が被保険者となり保険料を支払い、金融機関が生命保険会社と契約を締結する点にあります。

なお団信に保険料の支払い方法は金融機関でことなりますが、ローンの金利を上乗せする形で徴収しています。


団信の保険料の支払い方法と保険料の目安

前述したように、がん団信などの保険料はローン金利に上乗せされるのが一般的です。そのため、月々のローン返済金のほかに別途で団信の保険料を支払う必要はありません。


上乗せされる金利は、団信の保障内容や加入者によって異なりますが、年0.1%〜0.3%程度金利に上乗せされるケースが多いようです。補償内容が充実している団信ほど上乗せ分の額がさらに上がることもあります。


不動産投資のがん団信の加入条件

がん団信はだれでも加入できるわけではありません。一般的に団信に加入できるのは以下の条件を満たす人です。


不動産投資ローンをこれから借りる人

一般的に団信への加入は、新規で不動産投資ローンの借入れをする人、またはローンの借り換えをする人にかぎられます。ローン返済途中から団信に入ることはできません。また、加入後に団信のプランなどを変更することはできません。


不動産投資ローンの返済は数十年間にわたっておこないます。そのため団信に加入する際は、ローン返済中の不安を軽減できる保障内容を選びましょう。

団信には、がん団信のほかにもさまざま種類があります。不動産投資ローンを契約する前に複数の団信の保障内容を慎重に比較・検討することをおすすめします。


健康状態など所定の条件を満たしている

前述したように、生命保険の一種です。通常の生命保険と同様、加入申し込み時には現在の健康状態の告知をする必要があります。


不動産投資ローン契約者は、現在の健康状態や持病の有無、既往歴などを嘘偽りなく告知しなくてはならず、条件を満たしていない場合は団信に加入できません。


なお持病や既往歴によって団信に加入できない場合は、通常の団信より加入条件が緩和されているタイプの団信に加入することも可能です。


不動産投資ローンの融資条件に団信加入が含まれている場合がある

不動産投資ローンを利用する際、団信に加入できるか選べる金融機関もありますが、なかには融資条件に団信加入を必須としている金融機関もあります。なぜなら、ローン契約者だけでなく金融機関側もリスクを軽減することができるからです。


ローン契約者が団信に加入していない場合、万が一のことがあれば収益物件は遺族に相続されます。しかしこのとき遺族側が相続を放棄してしまうと、ローン残債があったとしても、その返済義務は遺族側には残りません。


ようするに金融機関は貸付資金の回収ができなくなるのです。しかしローン契約者が団信に加入していれば、保険で貸付資金を回収できます。

ローン契約者も、無借金となった収益物件を遺族に遺せます。


このように金融機関側とローン契約者側、両方にとってリスクを軽減できる団信加入はメリットがあるのです。


不動産投資で加入できる団信特約の種類

三択 候補 選ぶ人

不動産投資ローンを利用する際に加入できる団信は特約をつけることで、がんや特定の疾病になったときなどに保障されます。ここでは、おもな団信に負荷できる特約の種類を紹介します。


団体信用生命保険

団信は、加入者が死亡したり、高度障害になったりした場合に保険金によって不動産投資ローンの残債が完済されます。団信のみの場合は金利の上乗せがないケースもあります。


なお、高度障害状態とは、病気や怪我などにより身体機能が著しく低下している状態であり、日常生活に大きく支障をきたしてしまう場合などをいいます。高度障害状態の具体的な定義は生命保険会社ごとに定められています。


がん団信(がん診断特約付団体信用生命保険)

通常の団信の保障内容のほかに、ローン契約者ががん(悪性新生物)になった場合に不動産投資ローンの残債がゼロになる保障がついています。


ただし、がん団信に加入したからといって、すべてのがんに対応しているわけではありません。がんの種類によっては、保障の対象外となるがん(たとえば上皮内癌以外など)もあるため注意が必要です。


がん団信でローン残債がなくなる条件は、「所定のがんであると医師による診断確定がおこなわれること」です。各保険会社が提供している団信の内容によって適用されるがんの種類は異なるので、加入時によく確認しておくとよいでしょう。


なお、がん特約を付けた場合の金利の上乗せは金融機関によって異なりますが、0.1%~0.2%程度が一般的です。


三大疾病特約付き団体信用生命保険

通常の団信の保障内容に加え、三大疾病「がん・心疾患(心筋こうそく、狭心症)・脳卒中(脳出血、脳梗塞など)」によって所定の状態になった場合に保険の対象となります。

ただし、保険金が支払われる条件は保険会社が定める「所定の状態」に該当している必要があります。該当する疾病に罹患しただけでは支払われない場合もあるため注意しましょう。


金利の上乗せは、0.2%〜0.25%程度で提供されることが多いです。


八大疾病特約付き団体信用生命保険

前述した三大疾病に「糖尿病・高血圧症・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎」の5つを加え、八大疾病いずれかを発症し、所定の就業不能状態になった上で、一定期間以上ローン返済ができない状態がつづいた場合に保障されます。


金利の上乗せは、0.3%程度の場合が多いです。


ワイド団信

特約ではありませんが、持病や既往症があったり、または治療中だったり、健康上の理由から通常の団信に加入できなかった人が利用できる引受条件が緩和された団信です。

金利の上乗せは、0.3%程度が目安です。


不動産投資のがん団信に加入するメリットとデメリット

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不動産投資のがん団信に加入するメリット

不動産投資でがん団信に加入するメリットはなんといっても、加入者が所定の「がん」と診断確定されることでローンが完済され、返済義務がなくなることです。


もし、がんで働けなくなり無収入のときに収益物件が空室になってしまうと収入が途絶えるだけでなく、ローン返済などを自己資金から持ち出さなくてはなりません。


しかしがん団信に加入していれば、ローンが完済され無借金になった収益物件はそのまま手元に残ります。新たな入居者を獲得できれば家賃収入を得ることができ、治療費や家族の生活費に充てることも可能です。また売却してまとまった現金を作ることもできるでしょう。


このようにがん団信に加入することで、本人にとっても家族にとっても経済的・精神的な負担が軽減されるのがメリットです。


不動産投資のがん団信に加入するデメリット

がん団信は特約なので、通常の団信よりも金利の上乗せが高くなり、ローン金利が上がります。そのため金利が上昇した場合はローン支払いの負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です。

団信のがん特約の金利上乗せは金融機関によって異なります。不動産投資ローンを利用する際は、がん団信の加入によりどの程度金利が上昇するか確認しておくとよいでしょう。


また不動産投資や住宅ローンの団信は、基本的に中途解約やプランの変更ができません。ローンを完済するまで同じプランの団信に加入しつづける必要があるため注意しましょう。


なお、がん保険付き団体信用生命保険の加入には年齢制限はあります。金融機関によって多少異なりますが、50歳を超えると加入できないことが一般的です。加入時の年齢が50歳を超えている場合は、がん特約が付いていない通常の団体信用生命保険への加入となります。


不動産投資のがん団信に加入する際の注意点

注意点 青 グレー

手厚い保証が魅力のがん団信ですが、加入する際は確認しておきたいポイントがいくつかあります。知らずに加入してしまうと損をする可能性もあるため注意しましょう。

ここでは不動産投資でがん団信に加入する際の注意点について解説します。


途中からの加入や途中解約・プラン変更はできない

前述しましたが、団信に加入できるのは新規で不動産投資ローンを利用するかローンの借り換えをおこなうタイミングになります。あとから団信に加入したり、がん特約をつけたりすることはできません。

また一般的な生命保険とは異なり、途中解約やプランの変更もできません。

また保険料の金利上乗せ額も金融機関によって異なります。


そのため、がん団信に加入する際は不動産投資ローンを組む前に、保障内容や保険適用条件などをしっかり把握したうえで、がん団信に加入するかどうかを決めることが重要です。


適用される条件を確認しておく

がん団信の種類によって、適用される条件は異なります。実際に保険金が支払われてローンが完済するのは、「所定のがんであると医師による診断確定」が必要です。がんであっても、保険会社の所定のがんでなかった場合は補償されないため注意しましょう。


告知は正直におこなう

がん団人に加入する際は、現在の健康状態や持病の有無、既往歴などを正しく告知する必要があります。

その際、審査に落ちないようにと嘘の告知をしてしまうと、万一「免責事項」に該当してしまうと保険金が支払われないことがあるため注意しましょう。


病気などが理由で団信に加入できなかった場合は、ワイド団信や一般の生命保険に加入することをおすすめします。


ローンを完済すると保障がなくなる

がん団信を含め、団体信用生命保険は不動産投資ローン返済中のリスクを軽減することが目的です。そのためローンを完済するとその時点で団信の保障はなくなります。

たとえば、繰り上げ返済で予定よりも早くローンを完済した場合、完済後にがんになったとしても、保障を受けることはできません。


もし不動産投資ローンを組む時点で繰り上げ返済など、早期返済の可能性を考えている場合は、それも含めて団信への加入の有無を検討することをおすすめします。


がん団信で保障されない事態にも備えておく

人生の途中では、がんだけでなく、さまざまな疾病やケガなどで仕事ができなくなるケースもあります。

そのためがん団信とは別に、必要に応じて生命保険に加入したり、加入中の生命保険を見直したり、万が一の事態に備えておくことが大事です。


まとめ

不動産投資のがん団信は、加入者が所定の「がん」と診断確定されることでローンが完済されます。それによって本人や家族の経済的な負担が軽減されるのが最大のメリットです。


一方で、がん団信の保険料としてローン金利が上乗せされ、返済額が上がるなどのデメリットが存在します。

またがん団信へ加入できるのは、新たに不動産投資ローンを組む人かローン借り換えをおこなう人のみです。途中からの加入や中途解約はできないため、ローン契約前にしっかり確認しておきましょう。


がん団信の加入を検討する際は、がんに罹ったときのリスクや保険料など、メリット・デメリットを比較検討したうえで判断することをおすすめします。


なお、がん団信の加入条件や補償内容は金融機関・保険会社によって異なるため注意しましょう。

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