【2023年10月】不動産投資ローンの金利推移と相場|金利上昇の対策方法
2023/11/24

【2023年10月】不動産投資ローンの金利推移と相場|金利上昇の対策方法

【2023年10月】不動産投資ローンの金利推移と今後の動き金融機関の種類別に不動産投資ローン金利相場を紹介メガバンク(都市銀行)地方銀行信用金庫・信用組合ノンバンク日本政策金融金庫(日本公庫)不動産投資ローンの固定金利と変動金利の違い固定金利のメリットとデメリット変動金利のメリットとデメリット不動産投資ローンの金利上昇リスクの対策方法ローン契約時に頭金を多く入れて元金を減らしておく繰り上げ返済をして元金を減らすローンを借り換えるまとめ

メガバンクが住宅ローンの固定金利の引き上げを発表したことで、不動産投資ローンの金利上昇を心配している人も多いでしょう。

そこで今回は、2023年10月時点の不動産投資ローンの金利推移を紹介します。

また金融機関別の金利相場を融資の難易度とあわせて紹介します。

さらに金利上昇の対策方法についても解説しているので、これから不動産投資をおこなおうと考えている人は、ぜひ参考にしてください。


【2023年10月】不動産投資ローンの金利推移と今後の動き

金利 矢印 電卓

2023年8月31日に、3大メガバンク(みずほ銀行、三菱UFJ銀区、三井住友銀行)など大手銀行は9月から適用する固定型の住宅ローン金利の引き上げを発表しました。


10年固定型の基準金利について、三菱UFJ銀行は8月より0.10%高い3.66%(最優遇金利は0.88%)、三井住友銀行は0.20%高い3.74%(同1.09%)、みずほ銀行は0.15%高い3.45%(同1.35%)となり、りそな銀行と三井住友信託銀行についても引き上げがおこなわれました。


上記のように各行は住宅ローンの固定金利の引き上げをおこないましたが、それでもまだまだ日本では低金利がつづいているのが実情です。

なお住宅ローンの変動金利については3大メガバンク、大手銀行ともに前月とほぼ変わらず、0.3%~0.6%を維持しています。


では不動産投資ローンの金利についてはどうでしょうか。2023年10月時点では、不動産投資ローンの金利引き上げについては、変動金利、固定金利ともに発表されていません。

しかし住宅ローンの固定金利が引き上げられたことで、不動産投資ローンの金利についても今後上昇すると考えられています。


住宅ローンの金利引き上げが、不動産投資ローンの金利にどう影響するのか、引き続き注視する必要があるでしょう。


金融機関の種類別に不動産投資ローン金利相場を紹介

銀行 看板

ここでは不動産投資ローンの変動金利の相場を金融機関の種類別に紹介します。

金融機関の種類は次の5つに分類され、それぞれ金利相場や特徴が異なります。


・メガバンク(都市銀行)

・地方銀行

・信用金庫、信用組合

・ノンバンク

・日本政策金融金庫


メガバンク(都市銀行)

一般的に三菱UFJ、みずほ、三井住友を3大メガバンクといいます。

日本国内に支店を持ち広域で営業しているため、物件所在地を限定することなく不動産投資ローンの利用が可能です。


メガバンクの不動産投資ローンを組むメリットは、なんといっても「1%台の超低金利」な点があげられます。


その一方で、不動産投資ローンの融資審査は非常に厳しいです。

個人属性(年収、雇用形態、勤務先の事業規模、勤務年数など)は平均水準以上が必要とされるでしょう。また投資対象物件についても、築年数の新しい物件や都心の物件など、価値や担保性が高いものに限定される傾向にあります。


融資審査のハードルは、金融機関の種類のなかでもっとも高いですが、超低金利で物件購入資金を借りられるため、収益性が高まることでキャッシュフローに余裕がうまれ、2棟目、3棟目の収益物件を購入できる可能性も出てくることでしょう。


地方銀行

横浜銀行や千葉銀行、東京スター銀行など、営業エリアの地域名が使われていることも多いです。


なかには全国に支店を展開している地方銀行も存在しますが、基本的に地域密着型の金融機関です。そのため投資対象物件の所在地や融資申込者の居住地・勤務先が営業エリア外の場合は融資を受けられないケースもあるため注意が必要です。


一方で普段から取り引きがあれば、融資審査や金利の優遇など、有利にはたらく可能性に期待できます。


金利はメガバンクに比べると高く、相場は1.5%~4.5%程度と幅がありますが、融資審査はメガバンクほど厳しくありません。地域の平均水準に近い安定収入があれば融資審査に通る可能性は十分あるので、メガバンクの審査が通らないときには地方銀行を検討するとよいでしょう。


信用金庫・信用組合

地方銀行と同じように、地域名が名称に使われていることが多いです。

なお信用金庫や信用組合は、会員や組合員となった地域の人々から集めた出資金を元手にして「互助」を目的とした非営利の金融機関です。

また営業できるエリアが法律によって厳密に定められているのも特徴のひとつとなります。


そのため不動産投資ローンを活用するには、その地域に居住しているか、その地域に対象不動産がないと融資を受けることができません。

ただ、地方銀行よりもさらに地域密着型なため、条件さえ合致すれば、有利な条件で融資を受けられる可能性もあります。


信用金庫・信用組合の不動産投資ローンの金利相場は2%~3%程度なので、地方銀行よりも少し高めです。


融資審査の難易度は地方銀行よりも低いと考えられます。なにより、信用金庫・信用組合は営利目的ではなく、地域社会の利益を見て判断するため、個人属性に関係なく融資を検討してくれます。

そのため属性の低い人や、融資審査に通りにくい個人事業主や個人投資家でも融資を受けられる可能性は十分あります。


ノンバンク

ノンバングとは、預金業務はおこなわず、顧客への貸付業務のみをおこなう消費者金融や信販会社を指します。

「オリックス銀行」や「クレディセゾングループ」などがノンバンクとしてあげられます。


ノンバンクの不動産投資ローンの融資審査は比較的緩いのが特徴です。属性が低く、ほかの銀行の融資審査に落ちてもノンバンクであれば融資審査に通る可能性があります。


ただし、ノンバンクの不動産投資ローンの金利は高くなります。金利相場は3%~4%程度ですが、それ以上の金利の場合もあります。

金利がたかいため、月々のローン返済がキャッシュフローを圧迫することも十分考えられます。


ノンバンクの不動産投資ローンを利用する際は、収支シミュレーションや返済比率を参考にして、無理のない範囲で借入れをおこなうことをおすすめします。


日本政策金融金庫(日本公庫)

日本政策金融公庫(日本公庫)は政府系金融機関です。民間金融機関では融資できない小規模事業への投資支援を積極的におこなっているのが特徴です。


また、性別や年齢によって優遇措置が設けられており、女性や若年層、シニア層などは、一般の融資よりも低い金利で利用できるケースがあります。


金利相場は1%~2%程度とメガバンク並みに低金利ですが、「事業」としての融資が対象となるため「事業計画書」の提出が必須となります。

融資審査では、個人属性よりも事業性がより求められるため、物件の事業性が認められさえすれば、属性に関係なく融資を受けるチャンスは十分期待できるでしょう。


日本政策金融公庫について詳しくはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


不動産投資ローンの固定金利と変動金利の違い

変動金利 家 電卓

住宅ローンと同様に、不動産投資ローンにかかる金利も固定金利と変動金利があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。


固定金利のメリットとデメリット

借入れ時の金利が変わらないのが「固定金利」です。固定金利には「当初固定金利」と「全期間固定金利」の2種類があります。


当初固定金利

当初固定金利は、借入れの申し込みをしたタイミングで固定金利の期間を選択します。選択できる期間は金融機関によって異なりますが、1年~10年のあいだが一般的です。

選択した期間が経過すると金利の見直しがされ、その時点の金利状況で金利が再設定される仕組みです。


当初固定金利のメリットは、選択した期間内は金利が上がらないため、ライフプランにあわせて固定金利の期間を設定することが可能な点です。


デメリットは、選択した期間が経過した時点の金利が高い場合、再設定された金利が高く、返済額が大きくなるケースがあることです。

また選択期間終了のタイミングで、ライフプラン上で大きな出費がないか確認しておく必要があります。予定していた出費と金利見直しのタイミングが重なってしまうと、ローン返済が大きな負担になる可能性もあるため注意しましょう。


全期間固定金利

全期間固定期間とは文字通り、ローン返済期間で金利が固定されます。借入れをおこなった時点で総返済額と毎月の返済額が決まるため、返済計画を立てやすいのがメリットです。

また借り入れをしている間に金利が上昇しても金利変動リスクの影響を受けずに済みます。


一方デメリットとは、固定金利は変動金利よりも高く設定されているため総返済額が高くなる点です。

金利が上昇している場合は金利変動リスクがない分、金利変動リスクの心配がないため有利になりますが、逆に低金利がつづいている場合は低金利の恩恵を受けることができません。


変動金利のメリットとデメリット

変動金利は基準金利(短期プライムレート)の動きによって金利が決まります。一般的には5年単位で利率が変動します。

変動金利のメリットは、固定金利と比較して金利が安いため、返済総額をおさえられる点です。


一方で、金利上昇によって返済額が変動するリスクがあります。借入れした当初は低金利だったとしても、将来的に金利が上昇してしまうと、月々のローン返済額が増加し、返済総額も大きくなってしまう点がデメリットです。


ただし金利が上昇した場合でも、返済額は5年間変わらず、返済額の上げ幅は1.25倍までというルールがあります。

借入れ時に変動金利を選んだ場合、金利上昇リスクに備えて自己資金を残しておくなどの対策を考えておくとよいでしょう。


不動産投資ローンの金利上昇リスクの対策方法

リスク グラフ ビジネスマン

不動産投資ローンで変動金利を選んだ場合、金利上昇リスクを想定したうえで対策方法を考えておくと安心です。ここでは金利上昇リスクの対策方法を解説します。


ローン契約時に頭金を多く入れて元金を減らしておく

ローン返済中に金利が上がると、5年間は返済額が変わりませんが、金利が上昇したぶん元金は減りにくくなります。


対策方法としては、ローン契約時に頭金を多く入れ、借入れ元金を少なくしておくとよいでしょう。頭金の金額だけ借入れ額が減るため、月々のローン返済額を少なくできます。


なお頭金の額に決まりはありませんが、物件価格の1割~3割程度が頭金の目安とわれています。


繰り上げ返済をして元金を減らす

繰り上げ返済には、月々の返済額はそのままで残りの返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで月々の返済額を減らす「返済額軽減型」があり、どちらも元金を減らす効果が得られます。


月々のキャッシュフローに余裕が欲しい場合は、月々のローン返済額を減らせる「返済額軽減型」がおすすめです。逆に毎月のキャッシュフローに余裕があるのなら利息の軽減効果が大きい「期間短縮型」を選ぶなど、その時点の賃貸経営の状況にあわせて選択するとよいでしょう。


ただし、融資期間によっては、繰り上げ返済する際に手数料が発生する可能性があります。手数料額は金融機関によって異なり、繰り上げ返済1度につき数千円だったり、返済金額の数%だったり、手数料設定はさまざまです。


ほとんどの場合は、繰り上げ返済するごとに手数料がかかるため、こまめに繰り上げ返済をおこなうと余計な費用がかかってしまうため注意が必要です。


金融機関によっては手数料が発生しない融資プランもあります。ローンを組む際に、繰り上げ返済時の手数料が発生するかどうか確認しておくとよいでしょう。


ローンの繰り上げ返済について詳しくはこちら!>>不動産投資の繰り上げ返済の種類を紹介!メリット・デメリットを解説

ローンを借り換える

ほかの不動産投資ローンに借り換えをおこなうことで別の金利タイプの見直しがおこなえます。金利が上昇した場合は、低金利のローンに借り換えることで月々のローン返済額や返済総額を減らせます。


変動金利ローンから固定金利に借り換えれば、金利が固定されるため、その後に金利が上昇しても影響を受ける心配はなくなります。


ただし、ローンの借り換えは再度融資審査がおこなわれるため、かならず借り換えができる保証はありません。

また借り換えをおこなうことで、今までのローンの解約手数料や、新しいローンの保証料など、さまざまな費用が発生します。


加えて、すでに付き合いのあった金融機関からの信用を損なう可能性もあるため注意しましょう。一度悪い印象を与えてしまうと今後も付き合いをつづけるのはむずかしくなる可能性があります。

もし長期的な視点で関係の継続を重視したい場合は、安易に借り換えをおこなわないほうが無難といえるでしょう。


このように費用を支払ったりこれまでの付き合いを断ったり、金銭的・精神的なダメージを受けるだけの効果があるのか、ローンの借り換えを検討する際はしっかりシミュレーションをおこなうことをおすすめします。

ローンの借り換えについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット


まとめ

2023年10月時点での不動産投資ローン金利について、現況では上昇傾向にはありません。しかし3大メガバンクがいずれも住宅ローンの固定金利引き上げを発表したことから、今後は不動産投資ローンの金利も上昇すると考えられます。


金利が上がってもすぐにはローン返済の負担は大きくなりませんが、収支計画は大きく狂ってしまいかねません。

今後、金利推移が大きく変化しても慌てないよう、金利上昇に備えて対策方法を考えておくとよいでしょう。

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