不動産投資を始める6ステップ!準備段階から運用開始まで詳しく解説
不動産投資に興味はあるが、物件の選び方や資金がいくら必要かわからない、という人は少なくありません。
そこで今回は、これから不動産投資を始める人に向けて、準備段階から物件の運用開始までを6ステップにわけて解説します。
不動産投資をこれから始める方はぜひ参考にしてください。
ステップ1:不動産投資を始める準備をおこなう
不動産投資はだれにでもおこなえる投資ですが、成功するためには不動産投資の知識が必要不可欠です。不動産投資の成功の可否は物件選びにかかっているといっても過言ではありません。
間違った収益物件を選んでしまうと思ったような収益を得られず、賃貸経営が破たんするおそれもあります。準備をどれだけしっかりおこなうかによって後々の賃貸経営に影響するため、できるかぎり万全の準備をしたうえで不動産投資に臨みましょう。
準備段階では、おもに以下のことを中心におこないます。
・不動産投資をおこなう目的や目標を明確にする
・自己資金を貯める
・不動産投資の知識を身につける
・投資物件の情報収集をおこなう
・不動産会社を探す
まず、不動産投資をおこなう目的や目標を明らかにしましょう。
「どのくらいの収入をいつまでに得たいのか」といった目標に応じて、選ぶべき収益物件の種類や投資に必要な自己資金額が変わります。
やみくもに不動産投資を始めようとしても、「何から始めればよいかわからない」という状況に陥りやすいです。
必要な不動産投資の基礎知識を持たずに始めてしまうと、相場よりも高い価格で収益物件を購入してしまったり、賃貸需要の少ないエリアの物件を選んだりしかねません。
詐欺まがいの物件をつかまされないためにも、物件の良し悪しを自分で判断できる程度の不動産投資の知識を勉強することをおすすめします。
なお不動産投資を始める際は、収益物件の購入費用の一部を自己資金でまかない、残りは金融機関の融資を受けるのが一般的です。
サラリーマンが不動産投資で受けられる融資の上限額は年収の7倍~10倍程度が目安ですが、最終的な融資金額は、本人の属性や融資を受ける収益物件の資産価値などを審査したうえで金融機関が決定します。
融資審査の基準は金融機関によって異なります。そのことを踏まえたうえで自身の与信枠がどの程度あるか確認し、融資してくれそうな金融機関の情報を集めておくとよいでしょう。
さらに信頼できる不動産会社を探すための情報収集も欠かせません。
不動産投資初心者にとって物件選びは簡単ではありません。そのため不動産投資に関する豊富な知識と経験を持つ不動産会社を選ぶ必要があるのです。
健全な不動産投資をおこなうためにも、自己資金を貯めながら不動産投資の知識を勉強しながら、不動産会社や金融機関に関する情報収集をおこない、来るべき物件選びに備えましょう。
不動産投資の準備手順について詳しくはこちら!>>不動産投資は何から始める?スタートするための準備手順を詳しく解説
不動産投資に必要な自己資金について詳しくはこちら!>>不動産投資をはじめるための軍資金はいくら必要?狙える物件の種類も
ステップ2:不動産物件を検討する
不動産投資の成功は物件選びに大きく左右されます。そのため、できるだけ賃貸需要の落ちない優良物件を選ぶ必要があります。
物件は自分で探すこともできますが、不動産会社に希望する物件の条件を伝えて紹介してもらうことで時間や手間が省けます。準備段階で信頼できる不動産会社を見つけることができた場合は、積極的に頼るとよいでしょう。
収益物件を検討する際は、以下のポイントに注意しましょう。
賃貸需要はあるか
不動産投資は、収益物件を第三者に賃貸して得る家賃がおもな収入です。そのため安定して入居者を確保できる「賃貸需要」があるか、しっかり判断する必要があります。
賃貸需要の有無を判断するためには次のポイントを確認しましょう。
人口推移を調べる
エリアの人口推移を調べ、人口が増加傾向にあるエリアを選びましょう。人口が増えているエリアは、交通の便がよかったり、周辺環境が整っていたり、「ここに住みたい」と思われる要因が多いことがうかがえます。
そのため賃貸需要が高い傾向にあり、安定的な収入を期待できるでしょう。
空室率を調べる
エリアの空室率を調べ、現況の賃貸需要の有無を判断します。空室率が高ければ、空いている家が多く賃貸需要が低いことを読み取ることができるのです。
人口が増加しているのに空室率が高いエリアは周辺に競合物件となる賃貸物件が多く、すでに飽和状態であると考えられます。
空室率を調べることは賃貸需要の見極めにおいて重要なポイントとなります。
再開発事業計画の有無を確認する
検討しているエリアが、再開発事業がおこなわれる予定があるのか確認しましょう。再開発が計画されているエリアはこれから街が発展する可能性があるため、人口が増加することも想定されます。それにともない賃貸需要の高まりや、地価や賃料相場の上昇などが期待できます。
物件の立地や建物の状態
安定した家賃収入を得るためには、入居者に「住みたい」と思ってもらえる物件を選ぶ必要があります。以下のポイントをチェックし、できるだけ多くの項目を満たす物件を選びましょう。
最寄り駅からの距離
最寄りえきから物件までの距離は徒歩10分以内が理想です。駅から遠くなると入居希望者が少なくなります。
最寄り駅の規模
ターミナル駅、快速の停車駅、始発駅、新幹線の停車駅に近いなど、最寄り駅の使い勝手がよいと入居者に選ばれやすくなります。
生活利便施設の充実度
徒歩圏内にスーパーやコンビニなどの買い物施設、飲食店があるか、銀行・郵便局・役所、病院、公園など公共施設が周辺にあるかどうかで賃貸需要が変わります。
周辺環境
近隣の治安がよい、周辺に嫌悪施設がないエリアが好まれます。
セキュリティの充実度
防犯カメラ、モニター付きインターフォン、オートロックなどのセキュリティが充実している物件は女性に人気です。
入居者に人気の設備が導入されているか
入居者無料インターネット、24時間ゴミ出し可能、宅配ボックスなど、設備が充実している物件は選ばれやすくなります。
建物の手入れや清掃は行き届いているか
築古であってもきちんと手入れがされていて清潔感のある物件は入居が付きやすいです。
日当たりや風通しはよいか
健康的な生活を求めるうえで重視する入居者は多いです。
近隣に学校や保育園があるか
入居ターゲット層がファミリーの場合、駅からの距離など利便性よりも、学校や幼稚園、児童館などの子供向け施設が近隣にある物件を好みます。
周辺に大学や企業の工場などがあるか
大学に通う学生や工場に勤務する従業員の入居が見込めます。ただし、賃貸需要をその一カ所だけに依存してしまうと大学の移転や企業の業務縮小が起きた場合、急激に需要が減少してしまうため注意が必要です。
なお、入居者が好む物件は、どういった入居者層をターゲットにするかによって異なります。また都心か地方都市かによっても、求められる利便性や設備は変わります。
エリアの特徴やターゲットとする入居者層を理解したうえで物件を選ぶことが大事です。
また物件を選ぶ際は、かならず現地まで行き、直接物件を確認しましょう。写真や文字の説明だけではわからないことは多数あります。遠方の物件であっても、少なくとも一度は現地確認をおこなうことをおすすめします。
物件情報を確認する
物件そのものに問題がある場合、修繕費が高額になったり、十分な家賃収入が得られなかったり、健全な不動産投資をおこなえない可能性があります。
以下のポイントをしっかり確認しましょう。
利回り
相場と比べて利回りが、低すぎたり高すぎたりしている場合はその要因を確認しましょう。利回りが低すぎる場合は物件価格が相場よりも高い、または家賃が相場よりも安い可能性があります。利回りが高すぎる場合は、物件価格が相場よりも安いか、設定された家賃が高すぎることが考えられます。
不動産投資の利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較
空室率
空室率が高い物件は入居者需要が低く、十分な家賃収入を得られない可能性もあるため注意が必要です。
新耐震構造の建物か
1981年6月1日以降に確認申請を受けた建物は「新耐震」と呼ばれます。地震の被害を軽減するためにも新耐震構造の建物を選ぶと安心です。
大規模修繕工事を最後におこなった時期
大規模修繕とは、建物の劣化を防ぎ、快適な居住環境と資産価値を維持することを目的とし、10年単位でおこなう建物外観の塗装・防水・補修工事のことです。
最後の大規模修繕がいつおこなわれたかを確認することで、物件の状態を確認できるとともに、次回の対規模修繕の時期を把握できます。
駐車場は戸数分あるか
車で移動するのが一般的な地方の物件の場合、駐車場付きであることは大前提です。駐車場がない物件はそれだけで選ばれる確率が大幅に下がってしまいます。地方の物件の場合は、かならず戸数分の駐車スペースが確保されていることを確認しましょう。
物件入居者の生活の様子におかしいところがないか
問題行動の多い入居者がいる場合、ほかの入居者の退去率が高まる可能性があるため注意が必要です。隣人トラブルが多い、クレームが異常に多い、ゴミ出しなどのマナーが悪いなどの入居者がいないか確認しましょう。
自己資金額に応じた物件を選ぶ
どんなに優良物件であっても、自己資金を大幅にオーバーする物件を購入する際は、あらためて収支シミュレーションをおこなうなど慎重な判断が必要です。
特に十分なキャッシュフローが得られない物件は、突発的な修繕費用の発生や空室の長期化でローンの返済が滞ることも考えられます。
資金面や収支面をしっかりと確認し、万が一の場合も資金面で余裕を持って経営できる収益物件を選びましょう。
不動産投資に必要な自己資金について詳しくはこちら!>>不動産投資をはじめるための軍資金はいくら必要?狙える物件の種類も
ステップ3:金融機関に融資の事前審査を申し込む
購入したいい収益物件が見つかったら、金融機関に融資の事前審査を申し込みましょう。
不動産投資用の収益物件は高額です。そのため現金で一括購入することはむずかしく、金融機関から不動産投資ローンの融資を受けるのが一般的です。
ただし金融機関から融資を受けるためには、融資審査に通過する必要があります。
融資審査の基準は金融機関ごとに異なりますが、多くの場合、個人の属性(勤務先や年収、資産状況、負債の有無など)と収益物件の地産価値や担保性を基に判断されます。
万が一、融資審査に落ちても、ほかの金融機関の審査に通過できる可能性もあるため、準備段階で調べた金融機関に融資を打診してみることをおすすめします。
また物件を購入する不動産会社に提携する金融機関があれば紹介してもらうことも可能です。
不動産投資の融資審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人
頭金と諸費用について
不動産投資で金融機関から融資を受ける場合、物件購入費用とは別にローン手続きにかかる事務手数料や登記費費用などの「諸費用」が必要になります。
また物件価格の一部を「頭金」として支払うのが一般的です。
頭金は物件価格の10%~30%程度、諸費用は物件価格の5%~10%程度が目安といわれています。
たとえば2,000万円の物件であれば、頭金200万円~600万円、諸費用が100万円~200万円、合わせて300万円~800万円程度の自己資金が必要となります。
不動産投資を始める際の準備段階で自己資金を貯める際は、頭金と諸費用の目安を念頭に必要な額を決定するとよいでしょう。
不動産投資に必要な自己資金について詳しくはこちら!>>不動産投資をはじめるための軍資金はいくら必要?狙える物件の種類も
ステップ4:売買契約を結び融資の本審査を申し込む
金融機関の予備審査に通過したら、不動産の売買契約を締結します。
売買契約を結ぶ前に宅地建物取引士から、物件に関する事項と取引条件に関する「重要事項説明」を受けます。契約締結後の解約はむずかしいため、疑問点や不明点、契約内容に問題がないかよく確認しましょう。
問題がなければ手付金を支払い、売り主と買主で正式な売買契約を結び、融資の本審査を申し込みましょう。
手付金の相場や注意点について詳しくはこちら!>>不動産投資の手付金相場は?これだけは注意したい3つのポイント
「融資特約(ローン特約)」について
実は事前審査で融資可能といわれていても、本審査で不成立になるケースもあります。
「融資特約(ローン特約)」とは、買主が不動産投資ローンなどの融資を利用する予定で物件の購入を申し込んだ際に、融資審査に落ちた場合のための特約です。審査に通らなかったときは、売買契約を白紙撤回できるという内容です。
通常、買主の都合で売買契約を解除する場合、支払った手付金を放棄しなくてはなりません。
しかし、融資特約を契約に盛り込んでおけば契約自体がなかったものとなるため、契約締結時に支払った手付金や仲介手数料なども返還されます。
融資特約は、買主のリスクを減らすための重要な取り決めです。万が一を想定し、契約書には融資特約が盛り込まれていることを確認しておきましょう。
ステップ5:決済、物件の引き渡しをおこなう
融資の本審査に通ったら、いよいよ物件の引き渡しです。引き渡しの際は現地確認をおこない、物件に問題がないか最終確認をします。また、物件の登記も手続きもおこないます。
金融機関が融資を実行して決済手続きが完了すれば、鍵を受け取り引き渡し完了です。
ステップ6:不動産の運用を開始する
引渡しの完了をもって、不動産投資をスタートできます。管理会社を決め、入居者募集を開始して賃貸経営を開始しましょう。
物件によっては運用開始前に修繕やリフォームなどが必要になる場合もあります。
運用開始後は、必要に応じて空室対策をおこないます。空室がつづくと家賃収入を得られないため、管理会社とよく相談したうえで、どのような対策方法が効果的であるか、リノベーションなどをおこなうかどうか判断するようにしましょう。
管理会社の選定
引渡しの完了をもって、賃貸経営がスタートしますが、その前に物件の管理や入居者募集をおこなってもらう管理会社を決める必要があります。
物件管理はオーナー自身で自主管理も可能です。しかし、建物の修繕やメンテナンス・清掃、入居者募集や入退去管理・入居者のクレーム対応などを必要に応じておこなわなければならず、サラリーマンのように本業を持っている人には負担が大きいです。
そのため物件管理全般を不動産管理会社に業務委託するのが一般的です。その場合、管理委託料が発生します。管理委託料の目安は、家賃の5%~10%程度ですが、業務内容や依頼先によって異なります。管理会社を選定する際は、複数社を比較するとよいでしょう。
管理会社の選び方について詳しくはこちら!>>不動産投資を成功させる不動産管理会社の選び方!管理業務内容を解説
入居者の募集
購入した収益物件が新築や中古物件で空室がある場合は、管理会社に入居者募集の手続きをお願いしましょう。
中古物件でオーナーチェンジ物件の場合はすでに入居者がいるため、あらためて入居者を募集する必要はありません。
まとめ
これから不動産投資を始める人に向けて、準備段階から物件の運用開始までの6ステップを解説しました。
いずれの手順も重要ですが、不動産投資を成功させるためには物件選びが特に重要です。収益物件を検討する際のチェックポイントは、賃貸需要、物件の立地、物件スペック、そして」自己資金で無理なく購入・運用ができるかどうかです。
また優良物件を選ぶためには、不動産投資の知識も欠かせません。準備をしっかりおこなったうえで優良物件を購入し、不動産投資を成功させましょう。