不動産投資は何から始める?スタートするための準備手順を詳しく解説
年金受給開始年齢の引き上げや老後2000万問題、昨今の物価上昇など、老後に不安を感じている人のなかには、資産運用に不動産投資を検討している人も多いでしょう。
しかし、「不動産投資をしたいけど何から始めるの?」という人は少なくありません。
そこで今回は、不動産投資初心者の人に向けて「不動産投資を始めるために必要な手順」を詳しく解説します。不動産投資を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資は何から始めるべき?準備の手順一覧
不動産投資を始めるといっても、いきなり収益物件を購入しても健全な賃貸経営ができるとはかぎりません。むしろ、なんの準備もせずに不動産投資を始めてしまうと失敗する確率のほうが高くなってしまいます。
まずは不動産投資をおこなう目的や目標を定めたうえで、必要な知識を身につけたり、情報収集したり、物件購入に必要な自己資金を貯めるなど、さまざまな準備が必要です。
不動産投資をスタートするにあたって具体的な準備手順は、以下のようになります。
◇準備1:不動産投資を始めるために必要な知識や情報を得る
・不動産投資の目的と目標を明らかにする
・資金計画を立て、自己資金を貯める
・不動産投資の知識を勉強する
・投資物件の情報収集を始める
◇準備2:不動産会社を探す
・インターネットで探す
・自宅や勤務先の近くで探す
・口コミや紹介で探す
・書籍で探す
それぞれについて詳しく解説します。
準備1:不動産投資を始めるために必要な知識や情報を得る
不動産投資を始める前に、まずは不動産投資に必要な準備をおこないましょう。準備段階でおこなうのは以下の4点です。1の「不動産投資の目的と予算を決める」を最初におこなえば、2~4は同時進行でもかまいません。
1:不動産投資の目的と目標を明らかにする
2:資金計画を立てる(自己資金を貯める)
3:不動産投資の知識を勉強する
4:投資物件の情報収集を始める
各項目について解説します。
1:不動産投資の目的や目標を明らかにする
まず不動産投資をおこなう目的や目標を決めましょう。たとえば「子供教育資金として毎月〇〇円の収入を得たい」や「定年退職までにローンを完済して、毎月△△円の家賃収入を年金代わりにしたい」など、「なんにために・いつまでに・いくら必要なのか」といったように、できるだけ明確にすることが重要です。
目的や目標に応じて収益物件の選定や投資方法が変わってきますし、必要になる自己資金額も変わります。
目的や目標を定めずに不動産を購入したものの不動産は高額なため流動性が低く、売りたいときに売れないケースもあります。後々、「もっと大きな(小さな)物件に投資すればよかった」と思っても希望する額で売れない場合もあるため、しっかりと目的や目標を決めたうえで物件を選ぶことが肝心です。
2:資金計画を立て、自己資金を貯める
不動産投資をおこなう目的や目標によって選ぶべき収益物件が決まったら、購入に必要な自己資金を貯めていきましょう。
不動産投資では、収益物件や土地を購入するにあたって、ほとんどの人が金融機関の不動産投資ローンを利用します。その際、物件購入代金の一部を「頭金」として支払うのが一般的です。頭金の額に決まりはありませんが物件価格の10%~30%程度が目安です。
また物件・土地の購入費用のほか、不動産売買やローンなどの手続きにかかる費用、専門家への報酬、各種税金、保険料などの「諸費用」がかかります。諸費用は、個人の属性、物件の築年数や収益性・資産価値などによって異なりますが、おおよその目安として物件価格の5%~10%程度みておくとよいでしょう。
不動産投資に必要な自己資金について詳しくはこちら!>>不動産投資をはじめるための軍資金はいくら必要?狙える物件の種類も
自己資金の貯め方
不動産投資に必要な自己資金を貯めるための第一歩は、現在の家計状況を把握することです。収入に対して支出がいくらなのか、現況で毎月いくらまで貯金できるのか確認しましょう。
同時に支出を見直し、無駄な支出を徹底的にカットして貯金に回すことで効率よく自己資金を貯めることにつながります。
また固定費は生活するうえで避けることのできない支出ですが、見直してみると意外と削減できる部分が見つかる可能性もあります。
たとえば使用していないクレジットカードを解約することで年会費を削減できます。、ATMの引き出し手数料を節約するために手数料の発生しない時間帯を利用するのもおすすめです。
自己資金の形成スピードが遅い場合は、「つみたてNISA」などで資産運用をおこない、自己資金を増やすのもよいでしょう。
NISAは一定金額内であれば運用益が非課税になる優遇制度です。、
年間40万円までが非課税枠となるため、通常の投資信託よりも効率的に自己資金を増やせます。
3:不動産投資の知識を勉強する
不動産投資で成功している人の多くは、ある程度の不動産投資の知識を身につけています。なぜなら、不動産投資では日常では使用しない専門用語や利回りの計算といった知識が必要になるからです。
といっても、宅建士のような国家試験合格レベルの知識は必要ありません。
これから不動産投資を始めるにあたって、これだけは知っておいてた方がよい知識には、以下のようなものがあります。
・不動産投資の特徴や仕組み
・物件の種類や選定方法
・不動産投資のメリット・デメリット
・不動産投資に必要な費用
・融資審査について
・不動産投資のリスクと対策方法
・利回りの計算方法やキャッシュフローについて
・確定申告や節税に関する知識
・ターゲット選定方法
・競合との差別化
こういった不動産投資の基礎知識を知っているだけでも、収益物件の良し悪しを自分自身で判断したり、不動産会社のセールストークを鵜呑みにすることなくわからない点を質問したりできるため、大きく損したり騙されたりする確率が下がります。
不動産投資の知識を勉強する方法は以下のような手段があります。
インターネットを活用する
インターネットで「不動産投資」を検索すると、不動産投資のさまざまな情報サイトや不動産投資家のブログが検索結果として表示されます。また、検索キーワードによって必要な知識をピンポイントで勉強することも可能です。
不動産投資を始める人のなかにはサラリーマンなど本業を持っている人も多く、スマートフォンさえあれば空いた時間に不動産投資の勉強をおこなえ、また無料で学べるのがメリットです。
ただしインターネット上には、間違っているものや古い情報も紛れいています。間違った情報や古い情報を鵜呑みにしないよう、複数のサイトの内容を比較したり、最新の書籍などを併用したり、正しい不動産投資の知識を得られるよう工夫をしましょう。
書籍を読む
自分のペースで不動産投資の投資の勉強をしたい人には、不動産投資関連の書籍を読むのもおすすめです。ただし書籍の内容によっては、初心者にはむずかしかったり、わかりづらかったりすることもあります。せっかく購入したのに欲しい内容ではないケースもあるでしょう。
不動産投資の勉強を書籍でおこなう場合は、購入前に書店で軽く内容を確認したり、通販サイトのレビューなどを確認してから購入することをおすすめします。
不動産投資セミナーに参加する
不動産投資セミナーに参加するメリットは、現役の不動産投資家の体験を生で聞くことができ、また疑問点や質問があればその場で答えてもらえる点です。
不動産投資初心者の場合、独学での学習では解決できない疑問が出てくることもあります。
そういった疑問を解消するためにも、セミナーは有効な勉強方法といえるでしょう。
ただしセミナーは、初心者向けの内容だったり、上級者向けの内容だったりさまざまです。また収益物件の販売目的のセミナーもあります。参加する前に口コミや評判、講師の実績、自分のレベルにあった内容かどうかをよく確認したうえで申し込みましょう。
なお近隣で不動産投資セミナーの開催がない場合は、オンラインセミナーなどを利用してもよいでしょう。
4:エリアや収益物件、融資のための情報収集を始める
まず、目星をつけているエリアの情報(賃貸需要の大きさを知るための人口推移や最寄り駅の乗降者数、再開発の有無、そのエリアの入居ターゲットの属性など)、物件情報(利回りや築年数、間取り、家賃相場、競合物件、周辺環境、主要施設へのアクセスなど)を収集しましょう。
また融資を受けられる金融機関や自信が利用できる融資枠などに関する情報を集めておきましょう。
準備2:不動産会社を探す
ある程度不動産投資の知識が身に着いたら、物件を購入する不動産会社を探しましょう。
不動産投資は数十年単位という長期でおこなう投資方法です。不動産投資の成功の可否は、物件選びにかかっているといっても過言ではありません。
しかし、不動産投資初心者ではどのような収益物件を選べばよいか判断するのはむずかしいです。そのような場合、不動産会社のアドバイスがとても頼りになります。
そのため、不動産会社を選ぶ際はオーナーの希望をよく聞いたうえで収益物件を提供してくれるかどうかがポイントになります。
不動産業者の探し方には以下のような方法があります。
・インターネットで探す
・自宅や勤務先の近くで探す
・知り合いの紹介で探す
より良い収益物件を探すためには、多くの物件を見て比較することが必要です。そのため上記の4つの方法すべてを利用して、できるだけ広範囲で物件情報を得るとよいでしょう。
インターネットで探す
インターネットで検索し、不動産業者の情報を集めます。最近では多くの不動産業者が自社ホームページを使って集客をおこなっています。「不動産投資 会社」や「区分マンション投資 販売会社」などをキーワードにして検索するだけでも多くの不動産会社がヒットします。
またYouTubeやX(旧Twitter)、インスタグラムなどのSNSで情報発信をおこなう不動産会社も増えています。収益物件専門のポータルサイト(「楽待」や「健美家」など)を利用するのもよいでしょう。
気になる不動産会社をいくつかピックアップし、会社概要や販売実績などを確認し、信頼できるか検討しましょう。
自宅や勤務先の近くで探す
自宅や勤務先の最寄り駅周辺の不動産会社にあたってみるのもよいでしょう。時間のあるときに自宅や会社周辺の不動産会社の店頭に掲載されている物件情報や不動産会社の雰囲気を確認してみるとよいでしょう。
近隣であれば頻繁に様子を見ることができ、信頼でそうかどうか判断もしやすいですし、実際に物件を紹介してもらうことになれば近場で行きやすいというメリットもあります。
知り合いの紹介で探す
知り合いから不動産会社を紹介してもらうのもひとつの方法です。また、「大家の会」などの不動産投資に関するコミュニティを通じて紹介してもらうことも可能です。
なお不動産会社を紹介してもらう場合は、できるだけ不動産投資経験者から紹介してもらうことが望ましいです。不動産投資をおこなったことのない人は、不動産業者の良し悪しがわからないため「たまたま知っている会社だから」という理由で紹介しているケースもあります。
信頼できる知り合いからの紹介であっても、その不動産会社が信頼できるかどうかしっかり吟味しましょう。
不動産会社の選ぶ際のチェックポイント
前述したように不動産投資の成功の可否は物件選びにかかっています。不動産投資の知識がない人にとって、オーナーの意向を汲んだ収益物件を提案してくれる不動産会社は大きな助けとなる存在です。
もしオーナーの希望に合わない収益物件ばかりを紹介する不動産会社を選んでしまうと、不動産投資に失敗につながるケースもあります。
それだけ不動産会社選びは、不動産投資の成功に欠かせない存在なのです。
では信頼できる不動産会社はどのように選べばよいのでしょうか。ここでは不動産投資を選ぶ際にチェックしたいポイントを紹介します。
会社の規模や実績がどれくらいあるのか
不動産投資は長期にわたっておこなう投資方法です。そのため、パートナーである不動産投資会社が倒産してしまうと適切なサポートが受けられなくなる可能性があります。
不動産会社の事業規模は、倒産リスクの有無を判断する基準のひとつです。
また、従業員が多ければ、それだけ取引件数の数も多くなるため、事業規模の大きさをはかる指標となるでしょう。
取引実績も不動産会社を選ぶ際のチェックポイントです。取引実績が豊富な不動産会社は、不動産売買や物件管理に関するノウハウを持っているケースが多いです。。
これら会社の規模(資本金や従業員数など)や過去の取引実績は、自社ホームページなどから簡単に確認できます。
オーナーの目線で対応をしてくれるかどうか
不動産投資初心者のオーナーに対して、さまざまな場面でオーナーの立場になって対応してくれるかどうかも不動産会社を選ぶ際のチェックポイントです。
オーナーが希望する物件や予算などを詳しくヒアリングしたうえで、オーナー目線で納得できる投資方法を提案してくれる、手厚いサポート体制が整っている会社を選びましょう。
リスクやデメリットについてきちんとした説明があるかどうか
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と呼ばれる投資方法です。FX投資などに比べるとリスクは低いですが、投資である以上リスクやデメリットは存在します。
不動産投資初心者のなかにはリスクやデメリットを忌避する傾向があるため、リスクについて詳細な説明をせず、メリットだけをアピールする会社もあるようです。
メリットだけでなく、きちんとリスクの説明と対策方法の提案などを説明してくれる会社かどうかチェックしましょう。
まとめ
不動産投資で何から始めるべきかわからないという人に向けて、不動産投資を始める前におこなうべき準備手順を紹介しました。
不動産投資を成功させるためには事前準備が欠かせません。何の予備知識も持たずに不動産投資を始めてしまうと間違った不動産会社や収益物件を選んでしまい、思わぬ失敗につながりかねません。
少なくとも不動産投資の基礎知識を身につけ、不動産投資をおこなう目標や目的を決めることで、どういった指針で不動産投資をおこなうべきか判断できるようになります。
この後の物件選びや賃貸経営をスムーズにすすめるためにも、準備をしっかりとおこないましょう。