不動産投資の融資で年収の最低ラインを解説!500万円以下でも可能?
2023/10/02

不動産投資の融資で年収の最低ラインを解説!500万円以下でも可能?

不動産投資で融資を受けるための最低年収額は?不動産投資の融資審査で重視される個人属性とは年収別|融資可能な金融機関を紹介年収500万円以下で利用できる金融機関年収500万円~700万円で利用できる金融機関年収700万円~1,000万円以上で利用できる金融機関不動産投資で融資の上限額目安は年収の何倍?不動産投資で融資を利用するメリット少ない自己資金で不動産投資をはじめられるレバレッジ効果を最大化できる不動産投資で融資を受ける際の流れ1:事前審査を受ける2:重要事項説明を受け、売買契約を締結する3:本審査を受ける4:金銭消費賃借契約を結び、決済と物件の引き渡しをおこなうまとめ

金融機関から融資を受けてはじめるのが一般的な不動産投資ですが、融資を受けるために年収はいくら必要なのでしょうか。一般的には融資年収の最低ラインは500万円といわれていますが、それ以下で不動産投資はできないのでしょうか?

じつは融資年収の最低ラインに達していなくても不動産投資は可能です。では、融資を受けるにあたって年収はどのように関係するのでしょうか?


そこで今回は、不動産投資をはじめるにあたって必要な融資年収について詳しく解説します。また年収別に利用可能な金融機関も紹介します。


不動産投資で融資を受けるための最低年収額は?

融資 銀行 ミニチュア
不動産投資で融資を受けるためには一定額以上の年収が必要になり、目安となる年収は500万円以上といわれています。ただし、融資可能となる最低年収のラインは金融機関によって異なります。

なかには融資対象の年収が1,000万円以上と定めている金融機関もありますし、年収200万円から融資を受け付けている金融機関もあり、一概に「不動産投資をはじめるには最低年収〇〇万円必要」とは言い切れません。


また金融機関の融資の可否は、個人属性(年収や勤務先の安定性、資産や借入金の有無など)や融資対象物件の築年数・構造・エリア・立地条件・利回りなど収益性や資産価値も考慮されたうえで決定されます。さらに融資審査の基準は各金融機関によっても異なります。

そのためA銀行では融資が下りなくてもB銀行では融資可能となるケースも十分考えられるのです。


このように不動産投資の融資の可否は、個人の年収だけで決まるわけではないということを覚えておきましょう。


不動産投資の融資審査で重視される個人属性とは

不動産投資の融資審査において金融機関が重視するのは、「貸したお金がきちんと返済されるかどうか」です。融資申込者の返済能力の有無が厳しく審査されますが、その際、審査の判断基準になるのが「個人属性」です。


個人属性とは、年収をはじめ、勤務先や収入の安定性、ほかの借入れ金の有無、資産状況など、融資申込者の持っている特徴や性質のことを指します。

金融機関によって融資審査のポイントは異なりますが、一般的に重視される属性は以下のようになります。


融資審査通過のポイントについて詳しくはこちら!>>不動産投資の融資が厳しい理由を紹介!融資を引くポイントも解説


年収

前述したように、不動産投資で融資を受けるための年収の目安は500万円以上です。500万円以下でも融資は可能ですが、年収が高ければ高いほど「高属性」とみなされ、融資を受けられる金融機関の幅が広がり、よりよい条件で融資を受けられる可能性が高まります。


なお年収が低い場合でも自己資金を頭金として多めに入れることで借入額が減少し、融資審査に通過しやすくなります。年収が少なく、融資審査が心配なときは自己資金を多めに用意することをおすすめします。


金融機関は貸し倒れリスクを警戒するので、万一の際に補てんできる自己資金が豊富にあれば問題ないと判断されることが多いからです。



そういった判断は金融機関によって異なるため、融資申し込みの際に相談してみるとよいでしょう。


勤務先・勤続年数

勤務先や勤続年数から、安定した定期収入があるか、またその収入は継続可能かどうかが判断されます。


一般的に上場企業や地元の優良企業、公務員、医師や弁護士などの専門職に就いている人は「高属性」とみなされ、融資審査に有利にはたらきます。

勤続年数は3年以上勤務していることが望ましく、勤続3年未満の場合は「安定した収入がない」とみなされやすく、また頻繁に転職するとマイナス要因となるため注意が必要です。


所有資産

現金や株式など、所有する金融資産も評価対象となります。ここでのポイントは、所有する資産の総額だけでなく、本人の財務管理能力の高さに焦点が当てられる場合もあります。

そのため「収入に対する預貯金額」も判断材料とされるケースがあることを覚えておきましょう。


家族構成

独身か既婚か、既婚の場合は家族の氏名や融資申込者との続柄、各人の生年月日、同居か別居かなど、扶養人数や今後子供にかかる教育費によって生活費が大きく異なります。そのため継続してローン返済が可能かどうかの判断基準のひとつとされます。


個人信用情報

過去の借入履歴や残債状況、支払の遅延の有無など、個人信用情報も審査されます。万一、頻繁な支払遅延などが確認された場合、融資を受けることが大変むずかしくなるでしょう。


年収別|融資可能な金融機関を紹介

銀行の看板 複数 赤青

前述したように不動産投資で融資可能な最低年収は金融機関によって異なります。年収にあった金融機関に融資申し込みをおこなうことで、融資審査に通過しやすくなるでしょう。

ここでは年収別に利用が可能な金融機関について、それぞれの特徴と金利目安を紹介します。


ただし、融資の可否や融資条件などは各金融機関の審査によって決定するため、確実に融資を受けられるわけではないので注意しましょう。  


不動産投資の変動金利の今後について詳しくはこちら!>>【2023年8月】変動金利の今後はどうなる?金利上昇リスクの対策方法!


融資審査通過のポイントについて詳しくはこちら!>>不動産投資の融資が厳しい理由を紹介!融資を引くポイントも解説


年収500万円以下で利用できる金融機関

日本政策金融公庫(日本公庫)やノンバンク系金融機関が視野に入ります。


日本政策金融公庫

日本公庫は、日本政府が100%出資した金融機関であり、金利が低く、年収の少ない人でも融資を比較的受けやすいのが特徴です。また金利が1%台と低いのもメリットです。

ただし、民間の金融機関に比べると融資金額は上限4,800万円(無担保枠2,000万円)と少なく、また融資期間も20年までと短いため、アパートなどの一棟物件といった高額な物件よりも区分マンションなどに向いているといえるでしょう。


日本政策金融公庫について詳しはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


ノンバンク系金融機関

ノンバンク系金融機関とは、預金の受け入れをせず業務内容が貸付のみの金融機関をいいます。

「アイフル」や「プロミス」、「セゾンファンデックス」、「アサックス」など、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などが該当します。


ノンバンク系金融機関の特徴は、融資審査が比較的緩いことがあげられます。そのため、ほかの金融機関から融資を断られても、ノンバンク系なら融資を受けられる可能性も十分あるのです。

また通常は融資審査には2週間から4週間かかるのが一般的ですが、ノンバンク系では最短3日で審査結果が出る会社もあるので、早急に融資を受けたい人にも向いています。


その一方でほかの金融機関に比べて金利が高いのがデメリットです。会社によって異なりますが、金利3%台から5%台というケースも少なくありません。金利が高いと月々のローン返済も高額になるため、返済シミュレーションをしっかりおこなったうえで利用することをおすすめします。


年収500万円~700万円で利用できる金融機関

年収500万円から700万円の場合、地方銀行や信用金庫・信用組合が視野に入ります。


地方銀行

地方銀行は、本店のある都道府県内での営業をおもにおこなう金融機関を指します。「千葉銀行」や「横浜銀行」、「静岡銀行」など、行名に地域の名前が付くことが多いです。


地方銀行は地方創生に貢献が期待されているため、地元の不動産投資への融資に積極的なところが多く、不動産投資ローンでも柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。ただし、地方銀行は取引対象を地元の中小企業や個人をメインとしているため、融資対象物件が営業エリア内にあることが融資の条件になるため注意が必要です。


なお金利の目安は、年1.5%から4%台と金融機関によって幅があるため、融資の相談時によく確認しておきましょう。


信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合は、地方銀行よりもさらに狭いエリア内の顧客のみを対象とする金融機関です。そのため、より地域に密接した営業をおこなっており、地方銀行よりも融資のハードルは低めだといわれています。金利は年2%~3%程度が目安となります。


年収700万円~1,000万円以上で利用できる金融機関

年収700万円~1,000万円以上の人は、いわゆる「メガバンク」と呼ばれる都市銀行から融資を受けられる可能性が高くなります。現在は「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」が3大メガバンクと呼ばれています。


メガバンクで不動産投資の融資を受ける最大のメリットは、なんといっても金利が低いことです。金利は各メガバンクに別途問い合わせる必要がありますが、目安は1%から2%台程度と、ほかの金融機関に比べて圧倒的に低いです。

また地方銀行や信用金庫と違い、国内全域を営業エリアとしているため、物件所在地に左右されず利用できます。


その一方でメガバンクの融資審査のハードルは非常に高いとされています。年収だけでなく個人属性によっては融資を断られる可能性も高いため注意しましょう。


不動産投資で融資の上限額目安は年収の何倍?

不動産投資をはじめるにあたって、自分の年収で受けられる融資可能額が気になる人は多いでしょう。不動産投資で金融機関から融資を受ける際の一般的な目安額は、年収の7倍から10倍程度といわれています。


たとえば年収1,000万円の場合、借入可能額は7,000万円〜1億円が目安です。


ただしこちらも融資の最低年収と同様、個人属性や物件の収益性などによって融資の上限額は増減します。個人属性が高い場合や物件の収益性や資産価値が認められれば年収の10倍以上の融資を受けられる可能性もあるでしょう。

逆に個人属性が低かったり、物件の価値が低かったりすると年収7倍以下の融資額となるケースも考えられます。


また繰り返しになりますが、金融機関によって融資審査の基準は異なります。希望する額の融資が受けられなくても、別の金融機関では満額の融資を受けられる可能性があることを覚えておきましょう。


融資審査通過のポイントについて詳しくはこちら!>>不動産投資の融資が厳しい理由を紹介!融資を引くポイントも解説


不動産投資で融資を利用するメリット

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不動産投資で融資を利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは融資を受けることで得られるメリットを解説します。

少ない自己資金で不動産投資をはじめられる

投資用不動産の価格は高額です。そのためまた物件の購入にあたっては手数料や税金などの諸費用も必要です。それら費用すべてを自己資金のみでまかなおうとした場合、長期間にわたって資金を貯めねばならず、大きな不動産への投資はむずかしいでしょう。


しかし融資を受けた場合に必要な自己資金は、頭金として物件価格の1割から3割程度、諸費用として物件価格の5%から8%程度で済みます。

金融機関から融資を受けることで、物件価格よりもずっと少ない自己資金で不動産投資をはじめられるのは、大きなメリットといえるでしょう。


レバレッジ効果を最大化できる

レバレッジ効果とは「てこの原理」のように、小さな力で大きな効果を得ることをいいます。不動産投資におけるレバレッジ効果とは、少ない資金で規模の大きな不動産に投資して、高い収益を得ることを指します。


投資用不動産は高額なため、自己資金のみでは購入できる物件がかぎられてしまいます。

しかし、融資を利用することで購入できる物件の価格帯が広がるため、より多くの家賃収入を見込める高額物件を購入できる可能性が高まるのです。


たとえば自己資金500万円で利回り10%の500万円の物件を購入した場合、レバレッジは効かないため年間家賃収入は50万円になります。


しかし、自己資金500万円を頭金にして利回り10%の5,000万円の物件を購入すれば、年間家賃収入は500万円と、レバレッジを効かせないときの10倍の家賃が得られます。仮に金利(3%)135万円を支払っても、その差額は365万円です。


このように同額の自己資金であっても、レバレッジを効かせることでより大きな収益を見込めるのが、不動産投資で融資を利用する際の大きなメリットとなるのです。


不動産投資で融資を受ける際の流れ

流れ ステップ ビジネスマン

ここでは不動産投資で融資を利用する際の流れと必要書類について解説します。おおまかな流れは以下のようになります。


1:事前審査(仮審査)を受ける

2:重要事項説明を受け、売買契約を締結する

3:本審査を受ける

4:金銭消費賃借契約を結び、決済と物件の引き渡しをおこなう


融資審査通過のポイントについて詳しくはこちら!>>不動産投資の融資が厳しい理由を紹介!融資を引くポイントも解説


1:事前審査を受ける

まず不動産投資で融資を受けられそうかどうか、事前審査を受けましょう。事前審査に通過しなければ物件購入の手続きをすすめられないため、購入したい物件を見つけたら速やかに審査を申し込むことをおすすめします。


その際、購入したい物件を扱う不動産会社に提携している金融機関があれば、紹介してもらうのが一般的です。もちろん、自身で金融機関を開拓することもできますが、伝手などがなく、最初から探すには時間や労力がかかるため注意は必要です。


なお金融機関によっては、申し込みや審査結果の閲覧をオンラインでおこなうことができるので、時間を短縮したい場合は活用しましょう。


事前審査(仮審査)に必要な書類

事前審査を受けるためには以下の書類の提出が必要になります。なお金融機関によっては必要書類が異なることもあるので、かならず事前に確認しておきましょう。


  • 身分証明書(免許証やマイナンバーカード、保険証など)
  • 源泉徴収票または確定申告書(3期分)の両方
  • 返済予定表(ほかの借入れがある場合)
  • 物件の概要書
  • 物件のレントロールや事業計画
  • 融資申込書

2:重要事項説明を受け、売買契約を締結する

事前審査に通過したら、重要説明事項を受け、問題がなければ手付金を支払い、売買契約を締結します。


なお、このあとに融資の本審査を申し込みますが、事前審査に通過しても本審査で落ちてしまうケースがあります。

そのため融資の本審査が通らなかった場合、白紙解除と手付金の返還を定める「ローン特約」が契約書に盛り込まれているか、かならず確認しておきましょう。


3:本審査を受ける

融資の本審査を申し込みます。

前述したように、事前審査に通過していても本審査に通過するとはかぎらないため注意が必要です。

なお本審査では事前審査の書面に加えて以下の書面が必要になることが一般的です。


本審査に必要な書類

本審査を受けるためには、事前審査で提出した書類に加え、以下の書類の提出が必要になります。なお金融機関によっては必要書類が異なることもあるので、かならず事前に確認しておきましょう。


  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 団体信用生命保険の申込書
  • 住民票
  • 納税証明書または課税証明書
  • その他詳細物件資料

4:金銭消費賃借契約を結び、決済と物件の引き渡しをおこなう

本審査に通過すれば、金融機関と金銭消費貸借契約を結び、物件の決済、不動産投資ローンの融資実行、引渡しがおこなわれ完了となります。団体信用生命保険に加入する場合は同時に契約を結びます。

また所有権移転登記とともに、物件に金融機関の抵当権設定登記も忘れずにおこないましょう。


まとめ

不動産投資をはじめるにあたって、融資を受けるために必要な年収の目安は500万円と言われています。また年収が高ければ高いほど利用できる金融機関の幅が広がるため、融資には有利になるでしょう。


しかし、利用する金融機関によっては融資を受けるためには年収が700万円以上必要な場合もありますし、反対に年収300万円から融資の受付をしている金融機関もあります。

また年収だけでなく、勤続年数や所有資産なども考慮されたうえで融資の可否が決定します。


不動産投資の融資を受けるためには、金融機関の融資年収に見合った金融機関を選び、頭金を多めに入れることで審査に通過しやすくなることを覚えておきましょう。

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