不動産投資の成功率はどのくらい?成功させる7つのポイントを解説
「不動産投資の成功率ってどのくらいなのだろう」
そんな疑問を持つ人は多いですが、残念ながら不動産投資の成功率は投資家の目的によってさまざまなため、数字で表すことはむずかしいです。
しかし不動産投資だけで生活できるだけの収入を得ることを目標とした場合の成功率は10%未満であるといわれています。なお不動産投資で目的とする収益は大きければ大きいほど、成功率は下がるようです。
しかし、せっかく不動産投資をおこなうからには、できるだけ成功率を上げて、利益を得たいものです。そこで今回は、不動産投資の成功率を上げる7つのポイントを紹介します。
不動産投資での成功率はどのくらい
不動産投資にかぎらず一般的に投資の成功とは、「利益を出す」ことだと考えられていますが、不動産投資の成功率に関する具体的なデータは存在しません。なぜなら、投資の結果について報告するルールがないためです。
また不動産投資をおこなう目標は投資家によって異なるため、成功したのか、失敗したのかを第三者が判断するのは非常にむずかしいです。
不動産投資で同じ成果が出ても、人によって捉えかたが異なるため、不動産投資における成功を定義することはできません。「不動産投資だけで生活できる収入を得る」ことを目的とした人と、「給与とは別に自由に使えるお金が数万円欲しい」という人では、「成功した」と判断する基準は大きく異なるでしょう。
ただ、不動産投資だけで生活できるだけの収入を得ることを目標とした場合の成功率は10%未満であるといわれています。
相続税の節税対策を目的とした不動産投資や、副業で月々いくばくかの安定した収入を得ることを目標にしているケースの成功率はもう少し高くなるでしょう。
さらに、現況では毎月のキャッシュフローは少々赤字でも、生命保険代わりにしたり、節税を目的としていたり、賃料収入を老後の年金代わりにすることを目的としているのであれば成功率はさらに上がります。
一概に決めつけることはできませんが、不動産投資で求める目標が高ければ高いほど、成功する確率は低くなり、逆に目標がゆるいのであれば成功する確率は上がります。
しかし投資である以上、どのような目的であれ、失敗する確率はゼロではないことを覚えておきましょう。
不動産投資の利益は2種類
不動産投資の利益は、家賃収入を得る「インカムゲイン」と不動産物件を売却することで得る「キャピタルゲイン」の2種類があります。
不動産投資におけるインカムゲインとは
インカムゲインとは、保有したなんらかの資産を運用することで得られる収益を指します。株式であれば、所有した株数に応じた配当金がインカムゲインにあたります。
不動産投資のインカムゲインは、不動産を第三者に賃貸することで毎月得られる家賃収入(礼金や共益費など含む)を指します。この家賃収入から必要経費(ローン返済額や修繕費、固定資産税など)を差し引いた残りが「キャッシュフロー」と呼ばれる利益になります。
不動産投資の成功には、このキャッシュフローをプラスで維持し、コツコツと利益を積み上げていくことが重要です。
なおローン返済期間は最長で35年程度ですが、ローン完済後は家賃収入のほとんどをインカムゲインにできます。
不動産投資におけるキャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、保有したなんらかの資産を売却して得た利益(売却益)のことです。株式であれば、保有していた株式を購入したときの価格より高値になったタイミングで売却して得た利益がキャピタルゲインにあたります。
不動産投資物件におけるキャピタルゲインとは、所有する不動産を売却することで得た利益を指します。その場合、売却代金から諸費用(登記費用や仲介手数料など)を差し引いた額がプラスの状態を指します。
ただし、不動産のキャピタルゲインを狙うには物件を購入する前の段階で、出口戦略を視野に入れ、将来的に価値が上がる物件を選ぶ必要があります。これは不動産投資のプロでも非常にむずかしいです。
その代わり、物件を売却するまでの間に得たインカムゲインが赤字であっても物件が高額で売却できれば赤字分を補填でき、最終的な収支が黒字になる可能性があります。
その一方で、不動産の価格は高額であるため、多額の売却損(キャピタルロス)が出てしまうと、今まで生み出したインカムゲインがプラスであってもトータルの収支ではマイナスになってしまうこともあるため注意が必要です。
不動産投資の失敗とは
不動産投資の失敗は、成功とは異なり明確な判断が可能です。不動産投資における失敗の定義は「トータルで赤字になること」です。
特にローン返済が滞ってしまった場合、最悪、物件を差し押さえられえてしまうおそれもあるため注意が必要です。
ローン返済が困難だとわかった時点であれば、金融機関に返済期間の延長や金利の引き下げなど、ローンの返済負担をけいげんしてもらう交渉の余地があります。
ただし金融機関との交渉がうまくいかずローン返済の目処が立たない場合は、金融機関がサービサー(債権回収業者)に債権を売却します。債権を購入したサービサーは、不動産の任意売却や競売をおこない債権の回収をおこないます。
物件を任意売却や競売で物件を処分しても残債を返しきれない場合であっても、自己破産しない限り返済をつづける必要があります。
物件を失った上に借金だけが残る状態は、明らかに失敗したといえるでしょう。
自己破産しない方法について詳しくはこちら!>>不動産投資で自己破産に陥る理由を解説!破産を避ける5つの方法
不動産投資の失敗を防ぐ方法についてはこちら!>>不動産投資で8つの失敗原因から学ぶ対策方法!手遅れ前にできること
不動産投資で成功率を上げるためにできる7つのこと
前述したように不動産投資における成功は人それぞれですが、不動産投資の成功率を上げる方法は目的にかかわらず有効な手段です。ここでは不動産投資の成功率を上げる7つの方法を紹介します。
不動産投資で成功率を上げるポイントについては詳しくはこちら!>>不動産投資で成功率を上げる4つのポイント!成功する人の特徴も
①不動産投資の知識を身につける
不動産投資で失敗している人の多くは、不動産投資の知識不足が原因であることがうかがえます。知識がないため、相場よりも高い物件や、高利回りという言葉を鵜呑みして賃貸需要の低い物件を購入してしまったりするのです。
最悪の場合、悪徳業者に騙されてしまうおそれも考えられます。
たとえば、物件価格の相場の調べ方や利回りの計算方法を知っていれば、業者の提示する価格が相場よりも高いか低いか、一般的な利回りとかけ離れた数字ではないかなど、買ってはいけない物件かどうかを自分で判断することができます。
また不動産投資のランニングコストの種類やおおよその金額を覚えていれば、収支シミュレーション結果のキャッシュフローや資金繰りが現実的かどうか見きわめることも可能でしょう。
さらに不動産投資で節税したいなら不動産投資に関する知識だけではなく、税制や経理の知識も必要です。
こういった不動産投資の知識があればあるほど、より慎重に物件を選ぶことができるため、不動産投資で成功する確率が高まるのです。
不動産投資の知識を身に着けるには、書籍を読んだり、セミナーに参加したり、さまざまな方法があります。最近では、気軽に参加できるオンライン不動産投資セミナーもおこなわれています。機会をつくって一度参加してみるとよいでしょう。
②不動産投資初心者は売却益を優先しすぎない
前述したように物件を売却することで、インカムゲインの赤字を黒字に転換できるほどのキャピタルゲインを得ることも可能です。
しかし、購入したときよりも高く売ろうと考えるのであれば、将来的に値上がりすると思われる地域や物件を選定する必要があります。また景気や不動産市場の動向を監視したうえで「売りどき」を見逃さないようにしなくてはいけません。
加えて建物は経年とともに資産価値が下がっていくため、売却益を得るには資産価値をなるべく維持できる物件を購入し、こまめなメンテナンスや修繕もおこなう必要があります。
またどんなに優良物件でもあっても、売却のタイミングや価格によっては売りたくても売れないという事態に陥る危険性もないとはいえません。
こういった売却益を優先させる不動産投資手法は、初心者にはハードルが高くおすすめできません。
③借入れは無理のない範囲でおこなう
不動産投資の成功率を上げるためには、不動産投資ローンの選びかたも非常に重要です。
不動産投資で一般的なサラリーマンが受けられる融資上限額は年収の7倍~10倍程度といわれています。
融資条件はローン申込者の個人属性や収益物件の収益性や資産価値によって変わってきますが、はじめて不動産投資をおこなう人にとっては自分がどの程度まで借入れできるのか、金利はどの程度が相場なのかなど、わからないことが多いはずです。
そういった知識がないままローンを組んでしまうと、ローン返済額が高額でキャッシュフローを圧迫し、たびたび自己資金の持ち出しが必要になるケースもあるため注意が必要です。
不動産物件を購入する前には、しっかりと収支シミュレーションをおこない、無理なくローンの返済ができるかどうか確かめる必要があります。
その際は、経年による空室率や家賃下落率、金利上昇、修繕積立金などをはじめとする諸費用額など、さまざまなパターンを想定したうえで綿密なシミュレーションをおこないましょう。
その結果、ローン返済が無理なくおこなえてキャッシュフローに余裕がある物件を選ぶことが重要です。
④物件を選ぶ際は直接現地で確認する
不動産投資の成功の可否は、物件選びにかかっているといっても過言ではありません。買う物件を間違ったとしても、高額な不動産を買いかえるのはむずかしいため、購入してから後悔しないためにも、購入前にしっかり物件のチェックをおこないましょう。
最近ではオンラインで物件の内覧ができたり、不動産会社の担当者にリモートで質問ができたり、便利になりましたが、やはり物件を選ぶ際は現地に行ったうえで物件や周辺を直接見て歩いて調査することをおすすめします。
現地調査をおこなう前に、周辺のマンションやアパートの家賃相場や入居率を調べておくと競合物件と比較しやすいです。また中古物件の場合は売りに出された理由を確認しておきましょう。
現地調査をおこなう際は以下の点に注意しましょう。
〇物件について
- 物件の状態を確認する(修繕やメンテナンスの履歴、共用部の清掃など)
- 旧耐震基準か新耐震基準か
- 再建築・リフォーム可能か
- 違法改造や増築がされていないか
- 駅から徒歩何分かかるか
〇周辺環境について
- 近くに工場などの騒音や悪臭が出やすい嫌悪施設などはないか
- 銀行や郵便局、病院、ショッピングモール等住む人にとって便利な施設はあるか
- 周辺地域の治安はよいか
- 近隣に幼稚園・保育園や小学校はあるか、子育てに向くエリアか(ファミリー向け物件の場合)
⑤利回りだけで物件を選ばない
物件選びの際、利回りは重要な判断材料ですが、利回りの高さだけで物件を選ぶと失敗する可能性があります。なぜなら利回りの数字だけ見て、コストやリスクを見落としてしまうおそれがあるためです。
高い利回りの物件を買ったとしても、建物や設備が古く修繕費がかかり、結果的に利回りが下がります。場合によっては利益が出ず、赤字になるリスクもあるため注意が必要です。
物件を選ぶ際は利回りだけでなく、賃貸需要はあるか、修繕リスクはないかなど、さまざまな観点で物件を評価することが大切です。
⑥不動産会社の提案を鵜呑みにしない
不動産会社の提案を鵜呑みにしないことも大切です。不動産会社の提案は、かならずしも自分の目的に合わないケースもあります。
たとえば、毎月数万円の副収入を得たいのに、アパートやマンションの一棟投資をすすめられたとします。「より多くの収入が見込める」と提案されたとしても、その投資内容が自分の目的に合っていない場合は断る勇気も必要です。
特に悪質な不動産会社は明らかに利益が見込めない物件をすすめてくるケースもあります。不動産投資の成功率を上げるには、他人からの提案を鵜呑みにせず、かならず自分の頭で判断することが重要です。
⑦信頼できる不動産管理会社を見つける
優秀な不動産管理会社に賃貸物件の管理を依頼すれば、入居付けや物件の価値向上にとって大きなプラスにつながります。そのためにはサポート力の高い不動産会社を選ぶことがとても重要です。
管理会社を選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 管理実績があり、ノウハウが豊富である
- 経営が良好である
- 空室対策のアイデアなどを積極的に提案してくれる
- 入居付けに定評がある
- 担当者が信頼できる
なお管理会社を選ぶ際は複数の不動産会社を比較し、実績やサポート内容、担当者との相性などをしっかり見きわめたうえで慎重に選びましょう。
管理会社の選び方について詳しくはこちら!>>不動産投資を成功させる不動産管理会社の選び方!管理業務内容を解説
まとめ
不動産投資においては、投資家ごとに不動産投資の目標が異なるため、明確な成功率に関する数値は存在しません。ただし専業の不動産投資家として生活する場合の成功率は10%程度といわれています。
目的や目標が違っても、不動産投資の成功率を上げる方法は共通です。これから不動産投資を始めようとしているのであれば、まずは不動産投資の知識を身につけることをおすすめします。
不動産投資の物件の選び方や利回りの意味を知るだけでも、物件選びで失敗する可能性が減少します。
ぜひ正しい知識を身につけて、不動産投資の成功率を上げてください。