不動産投資で1LDKの間取りを選ぶメリットとデメリットを解説!
不動産投資で単身向け物件といえばワンルームや1Kの間取りが思い浮かびますが、最近では1LDK物件の人気が上昇しています。
1LDKは、ゆったりとした1人暮らしはもちろん、カップルやDINKSなど2人暮らしの人、小さな子供のいる子連れ世帯にも向く、入居ターゲットが幅広い物件です。
今回は不動産投資で1LDK物件を選ぶメリットとデメリット、成功させるためのポイントについて解説します。
これから不動産投資をはじめる人は、1LDK物件を間取り候補として検討する際の参考にしてください。
これからの不動産投資は単身向け物件のニーズが増える
少子高齢化のすすむ日本では未婚率も上昇しており、「夫婦と子」の世帯が減少するとともに単独世帯が増加しています。
引用:総務省『世帯数の推移』
上記のグラフでは、2010年に単独世帯数が夫婦と子の世帯数を超え、その後も夫婦と子の世帯数は減少しつづけると予測されています。
そのため今後は、3LDKなどのファミリー向け賃貸物件よりもワンルームや1K、1LDKといった単身向け間取りのニーズが増加すると考えられます。
特に1LDK物件は、コロナウイルスの感染拡大防止の影響により外出自粛として自宅にいる時間が長くなったことから住環境を重視する傾向が高まり、住居費に余裕のある単身者を中心にすでに人気が上昇しています。
ワンルーム・1K・1LDKの特徴
単身者が賃貸物件を選ぶ際、「ワンルーム」「1K」「1LDK」の間取りがおもな候補としてあがります。それぞれの間取りの特徴は以下のようになります。
不動産投資物件の間取りの種類について詳しくはこちら!>>不動産投資物件の間取りの種類を紹介!入居者に選ばれる部屋づくりを
ワンルーム
マンションやアパートのなかでもっともコンパクトな間取りです。その名前のとおりワンルーム=部屋数は1つで、そのなかにキッチンが含まれているのが特徴です。たとえば、「6畳ワンルーム」の場合は6畳の部屋のなかにキッチンも含まれています。
トイレと浴室と洗面台が一緒になっている「3点ユニットバス」の物件も多くみられます。
専有面積は狭いですが、その分家賃が安く、少しでも家賃をおさえたい学生や若いサラリーマンなどの単身者が入居者ターゲットになります。
1K(ワンキッチン)
部屋とキッチンがわかれている間取りです。部屋数は1つですが、キッチンが別なのでワンルームよりもゆとりがあります。キッチン部分の広さは4.5畳未満が基準となり、冷蔵庫を置けるスペースが設けられているケースもみられます。
ワンルームよりも広い部屋に住みたい人や自炊をしたい単身者向きの間取りです。
1LDK
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)+1部屋の間取りです。LDKに関しては、最低限必要な広さの基準が不動産公正取引協議会連合会によって設けられており、これらの基準は部屋数によって異なります。
上記のようにLDKに必要な広さの目安は8畳~10畳とされており、1LDKの場合はLDKの広さは8畳以上が基準となります。
居間と寝室をわけて使用できるため、生活にメリハリをつけたい人におすすめです。
またワンルームや1Kのほとんどは2人入居不可ですが、1LDKの場合は2人入居可能物件も多いため、同棲カップルやDINKS(Double Income(共働き)No Kids(子どもを持たない)夫婦)にも向いています。
不動産投資で1LDKを選ぶメリット
1LDK物件は、ワンルームや1K物件とはまた違ったメリットがあります。
入居者ターゲットの幅が広がる
ワンルームや1Kの間取りは、おもに学生や若年層サラリーマンなど単身者の入居希望者がターゲットになりますが、1LDKの物件は、単身者だけでなく同棲カップルやDINKSにも人気があるため入居者ターゲットの幅を広げられます。
1LDKの間取りは手狭に感じるかもしれませんが、これから結婚、妊娠・出産、マイホーム購入を前提に貯蓄に力を入れたい若い世代のカップルにとって、家賃をおさえられる1LDK物件は十分なニーズがあるのです。
また、子供が小さなうちは目が届きやすい1LDKが却って安心して生活できると考える子育て世帯も少なくありません。
単身者から子持ち世帯まで幅広く入居者ターゲットを狙えるのが、1LDK物件のメリットといえます。
空室リスクや家賃滞納リスクの心配が少ない
前述したように入居者ターゲットの幅が広いため、空室ができても次の入居者を探しやすく、結果として空室率を下げやすくなります。
また1LDKはワンルームや1Kと比較すると専有面積が広い分家賃が高く、入居者は資金に余裕のある単身者か共働き世帯など高所得者が多いです。そのため家賃滞納のリスクも低くなるため、安心して賃貸することが可能です。
供給数が少ないので客付けしやすい
単身者から子育て世帯まで入居者ターゲットが幅広い1LDKですが、供給数はそれほど多くはありません。
1戸当たりの坪単価で考えるとワンルームや1Kがもっとも高くなるため、単身用賃貸物件の多くはワンルームや1K物件を建築されますが、逆に坪単価が低くなる1LDK物件は少ないです。
そのため競合となる1LDKの物件が少ないエリアでは客付けしやすいといったメリットもあります。
売却しやすい
ワンルームや1Kの物件の売買は不動産投資を目的におこなわれるのがほとんどです。しかし1LDKであれば不動産投資目的で購入する人だけでなく、居住目的で購入を検討する人もいるため、買主のターゲットを広げることができます。
また投資目的で不動産を購入する際は不動産投資ローンを利用しなければなりません。しかし、自身の居住目的で不動産を購入する場合は金利の安い住宅ローンを利用できます。
居住用として1LDK物件を購入する場合、投資目的で購入するよりもローンの返済がしやすいため売却できる確率も上がるでしょう。
不動産投資で1LDKを選ぶデメリット
メリットの多い1LDK物件ですが、一方で以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。
原状回復やリフォームにかかる費用が高い
1LDKの物件は、ワンルームや1K物件に比べると専有面積が広くなります。そのため壁紙の貼り替えや床の張り替えの面積も広くなり、その分原状回復費用や経年劣化時のリフォーム費用が高くなります。
特に1棟アパートや1棟マンションなどで複数の1LDK物件を所有する際は、退去が重なり原状回復が必要になったときにすぐに対応ができるよう、修繕費として多めの現金を用意しておくことをおすすめします。
1LDK物件の供給数が少ない
前述したように1LDK物件は供給数が少ないため、入居付けしやすいのがメリットですが、逆に1LDK物件を購入したくても数が少なく買えないというデメリットにもなります。
単身者向けの物件としてワンルームや1K物件の数は多く、供給過剰なエリアもあるほどです。しかし供給数が少ない1LDKは不動産投資家同士で争奪戦が起きやすく、特に条件のよい物件はすぐに売れてしまいます。
買い逃さないためにも日頃から希望エリアでの情報収集をおこなったうえで、売りに出された際はできるだけ早い決断が求められるでしょう。
1LDK物件で不動産投資を成功させるポイント
ここでは1LDK物件で不動産投資を成功させるためのポイントを解説します。
専有面積に注意する
1LDK物件といっても物件の専有面積はそれぞれです。LDKに必要な広さの目安は8畳~10畳ですが、居室やそのほかの部分の広さに基準はありません。
そのため専有面積によっては収納スペースが少なかったり、洗面所が狭かったりといった「使いにくい」部分があることも少なくありません。
こういった使いにくさは住んでみないとわからないことも多いため、入居者の早期退去が多いと思ったら部屋の使いにくさが短期入居の要因だったケースもみられます。
こういった1LDKは売却価格が下がったり、売却自体が困難になってしまうため、出口戦略をしっかり見据えたうえで物件を選ぶ必要があります。
1LDK物件を購入する際は「1LDK」という表記だけでなく、専有面積をチェックしたうえで物件の現地調査をおこなう必要があります。
オーナーチェンジ物件の場合は室内を内覧できない場合が多いです。その際は室内の間取り図をしっかりと確認しましょう。
エリアの賃貸ニーズを間違えない
不動産投資の成否は、物件選びにかかっているといっても過言ではありません。不動産投資用物件は、立地や周辺の賃貸ニーズにあった間取りを選ぶことが重要です。
いくら利回りが高い物件でも、周辺の賃貸ニーズに間取りがあっていない場合や立地が悪いと入居付けに苦労する可能性が高くなります。
特に1LDK物件は入居者ターゲットが幅広い間取りのため、エリア選びに迷ってしまうかもしれませんが、基本は単身者向けのワンルームや1Kと同様です。
一般的な単身者向け物件の好立地条件は以下のようなものがあります。
- 駅から近距離
- ターミナル駅にアクセスしやすい
- 周辺にコンビニやスーパーがある
- 娯楽施設や飲食店が多い
上記の条件を満たす立地にある1DK物件が、入居者に選ばれやすくなります。
2DKなどの間取りを1LDKにリノベーションする
一昔前は家族の人数も多かったため、2DKや3DKなど、部屋の広さよりも部屋数を優先するような間取りが多くみられました。しかし最近は、リビングを広く確保するような間取りが人気です。
そのため現在のトレンドに合わせたリノベーションを適宜取り入れていくのも空室対策のひとつとなっています。
なかでも築古で空室が増えてきた2DKの間取りを1LDKにリノベーションをおこなうのがおすすめです。2DKは6畳以上のDK+2部屋で40㎡~50㎡台の物件が多く、広めの2DKであれば1LDKの間取りにリノベーションすることで新たな賃貸需要が生まれ、空室解消につながる可能性があります。
ただしリノベーションには、費用や時間といったコストがかかるのがデメリットです。リノベーションを考える際には、費用対効果を算出し、どの程度利回りや収益のアップが見込めるかを慎重に検証する必要があります。
利便性が悪い、人口流出が激しいなど、エリア自体の入居ニーズが低い場合、リノベーションしても空室対策につながりにくいことも考えられます。
また築古物件の場合、賃貸経営を継続する期間によってはリノベーションが無駄になってしまうケースもあるでしょう。
このように費用対効果が低く、リノベーションをしても収益改善が見込みにくい場合は、「リノベーションをしない」という決断も必要になるかもしれません。
物件を売却する際は所有期間に注意する
1LDKにかぎらず、不動産を売却して売却益があった場合、譲渡所得に所得税と住民税が課せられます。(2037年までは復興特別所得税2.15%も課せられます)
不動産売却の譲渡所得税の税率は、所有期間が譲渡した年の1月1日現在で5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は以下のようになります。
【譲渡所得税率】
短期譲渡所得の場合、長期譲渡所得に比べて所得税・住民税の税率が高く設定されており、短期譲渡所得金額の約40%を税金として納める必要があります。一方、長期譲渡所得の税率は20%程度です。
たとえば、譲渡所得が1,000万円だった場合、不動産の所有から5年以下で売却するときに支払う譲渡所得税は、約400万円です。しかし、所有から5年を超えて売却すると税額は約200万円となります。
不動産を所有してから5年以下か5年超えかによって、手元に残るお金に200万円もの差がつくのです。
このことから不動産を売却する際は、所有から5年を超えてから売却をおこなうとよいでしょう。
譲渡所得税について詳しくはこちら!>>不動産投資で物件売却時に発生する税金の種類を解説!計算方法も
まとめ
少子高齢化がすすむ日本では単身世帯が増加しています。そのため今後は、3LDKなどのファミリー向け賃貸物件よりもワンルームや1K、1LDKといった単身向けの間取り物件のニーズが増加すると考えられます。
なかでも注目されているのが1LDK物件です。一般的に2人入居は不可であるワンルームや1K物件に対して1LDKは2人入居が可能なケースも多く、単身者だけでなく同棲カップルやDINKSなどの入居希望者もターゲットになります。入居者ターゲットの範囲が広がることで入居付けが容易になり、空室リスクをおさえることにつながります。
ただし1KDK物件に投資する際は、原状回復やリフォームにかかる費用が高めになるため注意が必要です。
メリットとデメリットをよく把握した上で、ぜひ1LDKの不動産物件の購入を検討してください。