不動産投資のマイナス収支をプラスにする対策方法!運用の前後で解説
2023/01/25

不動産投資のマイナス収支をプラスにする対策方法!運用の前後で解説

不動産投資におけるマイナス収支とは?不動産投資における収入の内訳不動産投資における支出の内訳不動産投資のマイナス収支をプラス収支にする対策方法マイナス収支を防ぐ方法【収益物件の購入前】マイナス収支を防ぐ方法【収益物件の運用開始後】マイナス収支を回復できないときは損切を検討する残債がある物件は自由に売却できない物件を売却した金額でローンを完済できるか買い手がつかない場合もあるまとめ

不動産投資では、毎月の家賃収入よりも月々のローン返済金や維持費用などの支出が上回った状態を「マイナス収支(=赤字)」と言います。

収支がマイナスになった場合、ローン返済金などは自己資金から持ち出ししなくてはなりません。ずっとその状態がつづくと、やがて資金が尽きて物件を差し押さえられるおそれもあります。


そのため、なんらかの方法でマイナス収支をプラス収支(=黒字)に変える必要があるのです。

そこで今回は、マイナス収支をプラスにする対策方法を、収益物件の運用開始前と開始後それぞれで解説します。


不動産投資におけるマイナス収支とは?

コルクボード ダウン 下向き矢印

不動産投資において、マイナス収支とは「支出の合計額が収入の合計額を上回っている状態」を指します。いわゆる「赤字」です。

それでは不動産投資における収入と支出には、どのようなものがあるのでしょうか。


不動産投資における収入の内訳

不動産投資で得られるおもな収入は家賃ですが、それ以外にも次のようなものが不動産投資の収入になります。


【不動産投資で得られる収入】

  • 家賃:入居者から毎月支払われる賃料
  • 共益費(管理費):家賃とともに入居者から毎月徴収する
  • 礼金:新規入居者が賃貸借契約時に初期費用として支払う謝礼金
  • 契約更新料:賃貸借契約を更新する際に入居者から支払われる
  • そのほかの収入:駐車場代、自動販売機の売り上げ、太陽光発電の売電代金など

「敷金」は、退去時に原状回復費用を引いてから返金するので「預け金」の扱いとなり、収入には含まれません。


不動産投資における支出の内訳

不動産投資における支出のなかで、もっとも大きな割合を占めるのが「ローンの返済金」です。また不動産投資をはじめる際に購入した収益物件にかかった、仲介手数料や不動産取得税も支出になります。

おもな支出には以下のようなものがあります。


【不動産投資にかかるおもな支出】

  • ローン返済金:融資に対する返済金
  • 管理費:区分マンションの場合管理組合(管理会社)に支払う
  • 修繕積立金:区分マンションの場合管理組合(管理会社)に支払う
  • 賃貸管理委託料:物件管理を外部の不動産管理会社に委託している場合
  • 固定資産税、都市計画税:不動産を所有することで生じる税金
  • 損害保険料:火災保険や地震保険料

なお、リフォームや修繕にかかった費用や税金も支出に含まれます。


不動産投資のマイナス収支をプラス収支にする対策方法

ここでは不動産投資のマイナス収支をプラスに変えるための対策方法を、不動産の運用開始前と開始後、それぞれについて解説します。


マイナス収支を防ぐ方法【収益物件の購入前】

まず、不動産投資をはじめる前の段階でおこなえるマイナス収支対策を紹介します。


綿密な収支のシミュレーションをおこなう

不動産投資の成否は物件選びに大きく左右されます。賃貸需要が高い人気のエリアの駅から近い物件などの「好立地物件」を選びましょう。


物件を選ぶ際は、実際の収支をシミュレーションしたうえで資金計画を立てることが重要です。なお、シミュレーションに使用する項目が多ければおおいほど、よりリアルな収支に近づくことが可能です。シミュレーション時には以下の項目を取り入れてみましょう。


  • 実質利回り
  • 固定資産税などの税金
  • 金利の変動
  • 空室率
  • 家賃の変動

物件を選ぶ際は物件価格だけでなく、きちんと収益を出せる物件か判断する必要があります。そのためには実質利回りを計算してみるとよいでしょう。

実質利回りは、運用時の維持費用(ランニングコスト)を反映しているため、実際の収益により近い数値を算出できます。


【実質利回りの計算方法】

実質利回り(%)= (年間家賃収入 - 維持費用)÷( 物件価格 + 諸費用 )× 100


購入前には、収支のバランスが取れる物件かどうかしっかりチェックしてください。

実質利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較


なお、シミュレーション結果の正確性を知りたい場合は、自身での判断に不安があれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみてもよいでしょう。収支計画に無理はないか、数字に不自然な部分はないかなど、セカンドピニオン的観点からアドバイスをしてもらえます。


自己資本利回りを良くする

「自己資金利回り」は、自己資金における利益の割合を知るための数字です。この計算方法によって、自己資金を使ってどれだけのキャッシュフローを得られたのか、効率性を知ることができます。


【自己資金利回りの計算式】

自己資金利回り% = 年間キャッシュフロー ÷ 自己資金 × 100


自己資金の負担を減らし、利回りが高いほど多くの利益が得られていると判断できます。


たとえば、年間キャッシュフローが12万円の物件を、自己資金250万円で購入した場合の自己資金利回りは4.8%です。


自己資金を少なくすれば自己資金利回りは高くなりますが、その代わり不動産投資ローンの借入額が増えるため、月々のローン返済が大きくなり、キャッシュフローを圧迫するおそれがあるため注意が必要です。

借入額と自己資金額のバランスを上手に見きわめましょう。


金利の低い金融機関から融資を受ける

毎月の支出のうち、一番大きな割合を占めるのがローン返済金です。支出をおさえるためにもできるだけ金利の低い金融機関で融資を受けましょう。

不動産投資ローンの金利は金融機関によって異なりますが、平均2.5%程度です。収益物件は高額なので、金利が0.1%違うだけでも、ローンの総支払額に大きく影響します。。


また、頭金を入れずに全額ローンで購入する「フルローン」は、月々のローン返済額が高くなりやすいです。特に区分ワンルームマンション投資のように家賃収入が少額の場合は、ローン返済額とのバランスを考慮したうえで頭金の額を決めましょう。


マイナス収支を防ぐ方法【収益物件の運用開始後】

ここからは、収益物件の運用開始後におこなうマイナス収支の防ぎ方について解説します。


複数の不動産投資セミナーに参加する

マイナス収支についての考え方や対処方法は会社や個人によって異なります。そのため、できるだけ多くの人の考え方や意見を参考にするとよいでしょう。

幅広く意見を聞きたい場合は、不動産投資セミナーへの参加や、専門家への相談がおすすめです。


多くの不動産投資会社は見込み顧客の獲得を目的としてセミナーを開催しています。自社で投資をした場合の収支計画例など参考になる情報も多いです。複数社のセミナーに参加して、どのような点に違いがあるか比較してもよいでしょう。


またセミナー後には、専門家との個別相談が設けられる場合も多いです。他社の収支計画例についても個別相談でアドバイスをしてもらえる可能性もあるので、ぜひ相談してみましょう。

ただし、会場では収益物件のセールスもおこなわれているので、安易に契約しないよう注意が必要です。


家賃の低下・空室などのリスク対策をおこなう

築年数の経過にともなって家賃下落や空室の増加によって収入が減少しますが、建物の老朽化や物件の価値を維持するための修繕工事が増えるため修繕費用が増加し、その結果、赤字になりやすいです。


しかし、修繕せずにそのままにしていると建物の老朽化がすすみ、ますます入居付けがむずかしくなります。まずは、空室対策としてリフォームやリノベーション、最新設備の導入など、物件の価値を上げましょう。

いずれも費用がかかりますが、物件の価値が上がれば、家賃を値上げすることも可能です。費用対効果を見きわめながら最適な方法を模索しましょう。


ローンの借り換えを検討する

マイナス収支がつづいている場合、金利の高いローンを安い金利のローンに借り換えることで月々のローン返済額が減少し、収支がプラスになりやすいです。


ただし、借り換えには手数料が発生する場合が多く、またローンの借り換えをおこなうことで、先の金融機関との信頼関係が損なわれる可能性があります。

ローンの借り換えをおこなう際は、メリットとデメリットをよく比較検討したうえで決断することをおすすめします。


維持費用(ランニングコスト)を見直して費用を削減する

毎月の維持費用を見直して、「費用削減」を目指しましょう。

たとえば、損害保険料を同程度の保証が受けられて掛け金が安い保険に変更したり、委託料が安い管理委託会社に変えたりといった方法があります。


一棟物件の場合は共用部の水道光熱費や消防設備点検費用なども見直すことで、コストカットできる可能性があります。


ただし、費用を惜しんで経営の質を低下させないことが重要なポイントです。経費削減を意識するあまり、管理がずさんになったり、必要な清掃や修繕がおこなわれなかったりしないよう注意しましょう。


たしかに費用を大幅に削減することで収支はよくなるかもしれません。しかし、経営の質が下がることで、入居者の満足度も低下してしまいます。入居者の不満は退去へと向かい、結果的に家賃収入の減少につながりかねません。


賃貸経営は入居者がいてこそ成り立ちます。経営の質を落とし退去率を高めないよう注意しましょう。


マイナス収支を回復できないときは損切を検討する

売り物件 看板 家

「いろいろ手段を試したがマイナス収支を改善できなかった……」

そのような状況になった場合は、損切覚悟で不動産を売却するのもひとつの方法です。

いつかプラス収支に代わることを信じてマイナス収支の物件をいつまでも抱えていては、自己資金からの持ち出しばかりが増加してしまい賃貸経営がますます苦しくなってしまいます。


まだ自己資金がつづくうちはよいですが、自己資金が尽きてしまえばローンの返済が滞り、最悪の場合は物件を差し押さえられるおそれもあります。

そうなってしまわないうちに売却を検討しましょう。なお、売却を検討する際は、以下の点に注意しましょう。


残債がある物件は自由に売却できない

抵当権が設定されている=残債がある不動産は、ローンを融資している金融機関の担保となっているため、自由に売却することができません。かならず金融機関に相談しましょう。


物件を売却した金額でローンを完済できるか

物件の売却額でローンを完済できない場合は、売買代金に不足している金額を自己資金などで一括返済する必要があります。抵当権を抹消する必要があるので、不足金の分割返済はできないため注意が必要です。

不足金が用意できない場合は売却のタイミングを見直して、ローン残債と売却価格が同じになるタイミングを待ちましょう。


買い手がつかない場合もある

不動産は買い手がいなければ売ることはできません。しかし、大きく損失の出ている物件は買い手を見つけるのは困難です。

なお、買い手が見つかるのを持っているあいだもローンの返済や管理費の支払い、固定資産税などは支払わなければなりません。保有している期間が長ければ長いほど損失が大きくなってしまいます。


こういった場合は買取業者に相談することも検討しましょう。買取業者は直接物件を買い取るため、買い手が現れるのを待つ必要はありません。早ければ数日以内に物件を買い取ってもらうことも可能です。。


ただし買取業者の売却した場合、仲介に比べて売却価格が安くなるため注意が必要です。

買取の相場は仲介で売却する金額の7割~8割程度と言われています。不動産の買取をおこなう買取業者は、買い取った不動産の内装は新築同様にして、再度販売します。


そのため少しでも安く仕入れたほうが、リフォーム後に売りやすく、利益も出るため、どうしても買取価格は仲介に比べて低くなりがちです。このことを理解したうえで、マイナス収支の物件を売却するかどうか検討しましょう。


不動産の売却について詳しくはこちら!>>不動産投資物件の売却に最適なタイミングと有利にする方法!

まとめ

不動産投資でマイナス収支がつづくと持ち出しばかりが増えてしまい、自己資金が尽きると、物件差し押さえられるおそれもあります。そのため、できるだけ早くマイナスをプラスに転じる必要があるのです。


不動産投資で失敗しないためにも、物件選びや収支シミュレーションは長期的な目線でおこなう必要があります。また運用後はリフォームや設備の導入を必要に応じておこない、安定した家賃収入が得られるよう各種対策をおこないましょう。

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