資産運用における不動産投資のポートフォリオの作り方を解説!
資産運用の「ポートフォリオ」とは、金融資産の組み合わせや、運用資産全体の構成を指し、分散投資をおこなううえで非常に重要な要素のひとつです。
不動産投資の場合は、地域の分散や物件種別・築年数でリスク分散を図ったポートフォリオが作成されます。
今回は、資産運用における一般的なポートフォリオの基礎知識や、不動産投資におけるポートフォリオのつくりかたを解説します。ぜひ不動産投資をする際の参考にしてください。
資産運用におけるポートフォリオとは
資産運用における「ポートフォリオ」とは、複数の金融資産の組み合わせや、運用資産全体の構成(比率)のことを指します。
資産運用の投資対象となる資産には、株式・投資信託・国債・FX(外国為替証拠金取引)・外貨預金・不動産投資など、さまざまな種類があり、それぞれリスクとリターンが異なります。
そのため、資産運用する際はリスクの分散を考慮して、資産を単一商品のみで運用するのではなく複数の資産を組み合わせた「分散投資」をおこなうのが基本です。
なお、分散投資には以下の4つの方法があります。
【地域分散】
日本国内だけでなく、複数国の外国株式や国債、為替、不動産などに投資する
【資産分散】
株式、国債、FX、不動産など、種類の異なる複数の資産に投資する
【通貨分散】
日本円だけの投資ではなく、ドルやユーロなどの外国通貨建てで投資する
【時間分散】
資産を一度に全部購入するのではなく、資産の購入時期を分散する(積立形式で投資するなど)
不動産投資のほかに国内株式や海外株式、外貨預金を所有していた場合を例に挙げてみましょう。
例)不動産50%・国内株式20%・海外株式10%外・外貨預金10%
この場合、「時間分散」以外の分散投資になり、多くのリスク対策につながります。
このように、どの投資商品にどのくらいの資産を配分するかを決めたものが「ポートフォリオ」と呼ばれるのです。
株式投資について詳しくはこちら!>>不動産投資と株式投資のメリット・デメリット!どんな人が向いてる?
資産運用のポートフォリオの作り方の流れ
ここでは、資産運用におけるポートフォリオの作り方の基本を3つのステップにわけて解説します。
ステップ1:目的と目標額、予算を決める
ポートフォリオを作成する際は、まず目的と目標額を決めたうえで、資産運用にあてる予算を設定しましょう。すでになんらかの資産を所有している場合は、それも含めて目標を考えましょう。
目標金額と運用期間は、資産運用の目的によって異なります。そのため、具体的な目的と目標額を決めましょう。たとえば、老後資金として〇年後までに△△円貯めたいなど、数字をしっかり決めることが大事です。
なお、手持ちの資金全額を運用にあててしまうと損失が出た場合の補填ができないことも考えられます。運用資金は、予備資金や使い道が決まっている資金を除き、日常生活の支障が出ない範囲で用意しましょう。
ステップ2:資産配分を決める
ステップ1で決めた目的や目標額、予算にあわせて、資産配分の割合を決めます。
基本的に運用利回り(リターン)を大きくするほど運用期間は短縮できますが、その代わりリスクは高まります。
安全に運用したい場合は、ローリスクな資産を多めに配分します。例としては、ローリスクの国内債券などをメインに投資信託や株式などを加えるとよいでしょう。
多少のリスクがあってもリターンを狙いたい場合は、海外株式などの割合を増やすとよいでしょう。
また資産配分をおこなう際は、資産の分散だけでなく、地域分散や通貨分散、時間分散も考慮したうえで決めると、よりリスクの分散につながります。
ステップ3:投資先を決める
ポートフォリオに組み込む資産が決まったら投資先を検討します。
国内株式を入れるなら、どの会社の株式にするのか。不動産を入れるなら、どこのエリアか、不動産の種類はなににするか。具体的な投資先を選びましょう。
なお、複数の国内不動産をポートフォリオに組み込んだ場合、同エリアに不動産が集中していないか注意が必要です。もし同じエリア内に物件が集中した場合、地震などの災害で大きな被害を受ける恐れがあります。
国内と海外の地域分散だけでなく、国内でも地域分散を意識して投資先を選ぶことがリスクの分散につながります。また株式や債券なども、同じ地域のものばかりに集中していないかチェックしましょう。
不動産投資のポートフォリオの作成には2通りの種類がある
不動産投資を含めたポートフォリオの作成には、2通りの種類が考えられます。
ひとつは「ポートフォリオに不動産投資を含める」ケースです。
これは、不動産投資を複数の投資商品のうちのひとつとして全体のポートフォリオのなかに組み入れます。
例)不動産投資50%・株式30%・外貨預金10%・預金10%
もうひとつは、「不動産投資物件のみでポートフォリオをつくる」ケースです。
例)A物件40%・B物件30%・C物件30%
このように不動産投資をポートフォリオに組み込む場合は、不動産投資のみのポートフォリオも別途考える必要があることを覚えておきましょう。
不動産投資でポートフォリオをつくる方法
ここでは、不動産投資のみでポートフォリオをつくる方法について解説します。
ただ、不動産投資のみでポートフォリオを組むためには、複数の不動産を所有する必要があります。最初から複数の物件を所有することはむずかしいと考えられますが、いずれ複数の不動産の所有を目標としている場合の参考にしてください。
物件の種類による分散
不動産投資の対象となる物件には、おもに以下のような種類があります。
・一棟アパート、一棟マンション
・区分マンション
・賃貸用戸建住宅
・オフィスビル(事務所・店舗)
・駐車場
・トランクルーム
・コインランドリー
物件の種類は、大きくわけると「アパートやマンションなどの居住用物件」と「事務所・店舗などの事業用物件」にわかれます。そのほかにも駐車場やコインランドリーなども投資対象です。
収益の安定性で考える場合、事業用物件の賃料や入居率は景気に左右されやすく、特別なノウハウが必要です。そのため事業用物件への投資はリスクが高いといえます。
一方、居住用物件の収益は比較的安定しています。物件による分散を検討するなら、居住用物件をメインにするとよいでしょう。
「居住用の区分マンション」と「一棟アパート」を組み合わせることで空室リスクなどの分散につながります。
それ以外の物件をポートフォリオに組み込むのであれば、最近注目されている「進化型コインランドリー」などを検討するとよいでしょう。トレンドでありながら廃れない投資物件を選ぶことが失敗しないコツです。
エリアによる分散
所有する不動産のエリアを分散することで、空室リスクや災害リスク対策として効果があります。
たとえば、東京都心部に1件、東京23区外に1件、地方都市に1件……などのように、異なるエリアに物件を所有しましょう。いずれかの物件が地震などの災害で家賃収入が減少しても、そのほかのエリアにある物件は地震の影響を受けていないため通常の家賃収入が得られます。
なお、エリアの分散でリスクの軽減ができても、災害の被害を最小限におさえる対策も怠ってはいけません。
物件を選ぶ際は、その地域のハザードマップなどを参照し、できるだけ被害の少ない地域の物件を選びましょう。また、火災保険と地震保険にも忘れずに加入しましょう。
不動産投資に必要な保険についてはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!
物件の築年数による分散
築年数の異なる不動産を所有することで修繕費リスクの分散につながります。
不動産物件の建物は経年によって老朽化していきますが、物件の価値を維持するためには定期的な修繕が必要になり、そのたびに修繕費用が発生します。
そのため、築年数が近い物件ばかり複数所有すると修繕のタイミングが重なってしまい、修繕費用で資金がパンクしてしまう恐れがあるのです。
とくに築古物件は、修繕頻度が増える傾向があるため修繕費用も増加します。
対策方法としては、たとえば築浅の物件と築20年の物件を組み合わせることで、修繕のタイミングをずらせます。
リスクをおさえ、バランスよく不動産の運用をおこなうためにも物件を購入する際は、築年数の分散を意識するとよいでしょう。
物件の構造による分散
不動産物件の構造には、木造やコンクリート造、鉄筋コンクリート造などがあり、それぞれの構造によって税法上の法定耐用年数が異なります。
不動産の減価償却期間と減価償却費は耐用年数によって決まるため、構造の違う物件を組み合わせることで節税につながり、より多くの利益を得られます。
たとえば、短期間で減価償却費が大きくとれる築古の木造物件と、長期間にわたって少しづつ減価償却できる新築のコンクリート造の物件を組み合わせることで、バランスよく所得税の節税効果が望めるでしょう。
まとめ
ポートフォリオは、金融資産の組み合わせや運用資産全体の構成を指します。
不動産投資をポートフォリオに組み込む場合は、すべての金融資産のポートフォリオだけでなく、不動産投資のみのポートフォリオも別途考える必要があります。
適切な分散投資でバランスよく資産運用をおこなうためにはポートフォリオの作成が欠かせません。自分が決めた投資目的と目標額に向けて、安定した収益を上げられるようポートフォリオを作成し、資産運用に取り組んでください。