無借金で不動産投資をおこなうメリット・デメリット!注意点も解説
2022/09/23

無借金で不動産投資をおこなうメリット・デメリット!注意点も解説

不動産投資を無借金でおこなうことは可能?無借金で不動産投資をおこなうメリットローン返済がないのでキャッシュフローが残りやすいローン利息の支払いが不要物件購入時にかかる諸費用が節約できる融資審査がないので確実に購入できる値引き交渉に応じてもらえる可能性が高い築古の高利回り物件が購入できる属性にかかわらず不動産投資ができる無借金で不動産投資をするデメリットレバレッジ効果がないので資産が増えるまで時間がかかる購入資金を貯めるまで時間がかかる手持ち資金が減ってしまう無借金で不動産投資をおこなうのに向いている人無借金で不動産投資をおこなう際の注意点持ち出しに注意する忘れずに火災保険に加入する税務調査が入る可能性があるまとめ

不動産投資をはじめたくても、「多額の借金が心配」という人は少なくないでしょう。その場合、「無借金」で不動産投資をおこなうことも視野に入れてはいかがでしょうか。

今回は無借金でおこなう不動産投資について、メリット・デメリットや注意点を解説します。

また、無借金の不動産投資にはどのような人が向いているのでしょうか?

これから不動産投資をはじめる人は、ぜひ当記事を参考にしてください。


不動産投資を無借金でおこなうことは可能?

不動産投資をおこなうには、かならずしも金融機関の不動産投資ローンを利用する必要はありません。資金さえあれば、借入をしない「無借金」で不動産投資をはじめることは十分可能です。


そもそも不動産投資でローンを利用する理由は、借金なしでは土地や物件などの投資用不動産が購入できないからです。

ただ、自己資金額にもよりますが、一棟アパート物件などよりも安く購入できる中古戸建て物件や区分マンションなどを無借金で購入し、できるだけリフォーム費用をかけずに物件を賃貸するケースが多いようです。


なお、不動産投資ローンの利用にはメリットもたくさんあります。無借金の場合、それらの恩恵を受けることができませんが、欲しい物件が自己資金で購入できるのであれば、あえてローンで借金を負わなくても問題ないといえるでしょう。


不動産投資ローンと現金一括購入の詳しい比較はこちら!>>不動産投資で現金一括購入のメリットとデメリット!ローンと徹底比較


無借金で不動産投資をおこなうメリット

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不動産投資を無借金でおこなうことで、以下のようなメリットが得られます。


ローン返済がないのでキャッシュフローが残りやすい

無借金で不動産投資をおこなえば毎月のローン返済が不要なため、キャッシュフローがそれだけ多く手元に残ります。


ローン返済額は毎月の支出のなかでも大きな割合を占めるため、空室や突発的な出費が原因で収入が減ってしまうと、ローン返済が困難になることも少なくありません。

ローン返済の滞納がつづけば、金融機関に物件を差し押さえられてしまい、最悪の場合は借金だけが残ったり、自己破産したりといった恐れもあるのです。


しかし、無借金ならローン返済の必要がないため、月々の支出はランニングコストのみとなります。そのため、万一空室がつづいた場合でもキャッシュフローが悪化しにくいというメリットがあります。


ローン利息の支払いが不要

金融機関から借入をした場合は、毎月決まった額のローン元本に加えて利息の支払いが必要です。しかし、無借金であればローンを組む必要がないので、ローン利息の支払いが不要です。


金融機関によって異なりますが、不動産投資用ローンにはおよそ2%前後の金利がかかります。微々たる数字に見えるかもしれませんが、高額不動産の場合は利息も高額です。


たとえば不動産投資ローンで借入期間30年・金利2%(固定金利)・3,000万円を借入れた場合、月々のローン返済額は110,886円、返済総額は約3,992万円となります。

これが無借金であれば、利息分の992万円は支払わずにすむのです。


金利上昇リスクの心配がない

無借金経営の場合、不動産投資のリスクのひとつである「金利上昇リスク」を心配する必要がありません。

金利上昇リスクはその名称通り、ローン元本にかかる金利が上昇することで利息が増え、毎月のローン返済額が増えてしまうリスクです。


上記で述べたように、金利自体は小さくても価格が高額な不動産物件は利息も高額です。

たとえば、上記の例で金利が2%から3%に上昇した場合、月々のローン返済額は126,481円、返済総額は約4,553万円となります。金利2%のときと比べて利息分が561万円も増えてしまいます。


金利がたった1%上がっただけでもローン返済が大きな負担となりますが、さらに金利が上昇すれば、ローン返済が収益を圧迫することになるのです。


このように金利上昇によるリスクは非常に大きなものですが、ローンを利用せず、無借金で不動産を購入すれば金利上昇リスクはまったく怖くありません。


なお、金利上昇リスクが影響するのは「変動金利」の場合のみとなります。「固定金利」を選択した場合、契約満期までは金利が変わる心配はありません。


物件購入時にかかる諸費用が節約できる

不動産投資ローンを契約する際は、「融資事務手数料」「融資保証料」「登記費用(抵当権設定)」などの費用がかかりますが、無借金であればこれらの費用は不要です。

そのため、物件購入時に用意すべき初期費用(諸費用)が少なくてすみます。


不動産購入時の初期費用について詳しくはこちら!>>不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?


融資審査がないので確実に購入できる

不動産投資ローンで借入れをおこなうには融資審査に通過する必要があります。融資審査は、個人属性と物件の収益力・担保性などによって可否や融資条件が決まります。

そのため低属性の人や物件の資産価値が低い場合は、希望する融資を受けられず、欲しい物件が購入できないケースもあります。


しかし、無借金であれば融資審査を受ける必要がないので、資金さえあれば欲しい物件を確実に購入できるでしょう。


また融資審査は、結果が出るまで2~3週間程度の時間がかかりますが、無借金なら売買契約締結後、物件代金さえ支払えば、すぐに物件の引き渡しがおこなわれます。


引き渡しが早ければ、それだけリフォーム工事なども早く開始できるので時間の節約にもつながります。


値引き交渉に応じてもらえる可能性が高い

無借金で不動産を購入する場合、値引き交渉に応じてくれる可能性が高くなります。

売主によっては「少しでも早く不動産を売却して現金にしたい」という人も少なくありません。

そこで全額現金で代金を支払うことを条件に値引きをお願いしてみましょう。

交渉がうまくいけば相場よりも安く物件を購入することも可能です。


築古の高利回り物件が購入できる

法定耐用年数を過ぎた築古物件や再建築不可物件などは、物件価格が安く、そのため高利回りの場合も少なくありません。しかし、こういった物件は金融機関の融資がつきにくいため購入しにくいという特徴がありますが、無借金であれば問題なく購入できます。

ローンでは購入できない高利回り物件を狙えるのも、無借金経営の大きなメリットです。


利回りの種類について詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較


平均利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の平均利回りは何%?リスクの高い物件の具体例を解説


属性にかかわらず不動産投資ができる

収入が不安定な非正規社員や自由業者は、属性が低いため不動産投資ローンの融資審査に通りにくい傾向があります。しかし、無借金であれば、属性に関係なく不動産を購入し、不動産投資をおこなえるのです。


融資審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


無借金で不動産投資をするデメリット

無借金でおこなう不動産投資では多くのメリットがありますが、デメリットになる部分もあります。


レバレッジ効果がないので資産が増えるまで時間がかかる

不動産投資ローンを使わずに無借金で物件を購入してしまうと、「レバレッジ」をかけることができません。不動産投資におけるレバレッジとは、「少ない自己資金でより大きな利益を得る」ことを指します。


たとえば、利回り8%、600万円の物件を無借金で購入し運用した場合、得られる年間家賃収入は48万円になります。


次に自己資金600万円を頭金にして金融機関から2,400万円を借入れ、利回り8%、3,000万円の物件を購入した場合をみてみると、得られる年間家賃収入は240万円となります。金利が2%だとして、利息を差し引いても無借金で購入したときと比較して年間家賃収入は4倍になります。


このように同じ自己資金額・同じ利回りであっても、ローンを利用し「レバレッジを効かせた」ことで、無借金で購入した物件よりも大きな収益を得られるのです。


得られる収益が大きいということは、それだけ早く資産も増えていきます。無借金でおこなう不動産投資は、資産形成に時間がかかることを覚えておきましょう。


レバレッジについて詳しくはこちら!>>不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


購入資金を貯めるまで時間がかかる

不動産投資ローンを利用する場合、自己資金は少額ですみますが、無借金で物件を購入するためには、ある程度まとまった資金を貯める必要があります。

そのため、物件を購入できるまでお金を貯めなくてはならず、結果として不動産投資をはじめるのが遅くなってしまいます。


不動産投資のスタートが遅れることで不動産投資の目標や目的が達成できない可能性もあるため、ローンを利用すべきか、お金を貯めて無借金ではじめるか、よく検討するとよいでしょう。


手持ち資金が減ってしまう

不動産投資では、修繕費用など突発的な出費に備えて、ある程度の資金を手元に残しておく必要があります。

しかし、無借金で不動産物件を購入したことで手持ちの資金が減ってしまうと、急に現金が必要になったとき十分な対応ができない可能性もあるため注意しましょう。


無借金で不動産投資をおこなうのに向いている人

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無借金でおこなう不動産投資には多くのメリットがありますが、デメリットもあるため、万人向けとはいえません。不動産投資を無借金でおこなうのに向いているのは以下のような人だと考えられます。


・潤沢な資金を持っている人

もともと潤沢な資金があり、一度に多額の購入費用を支払っても問題ない人は無借金経営に向いています。


ある程度の資産を築けている資産家や、家族から援助を受けられる人は、あえてレバレッジ効果を狙って多額の借金を背負う必要はありません。

またお金を貯める時間も不要なので、欲しい物件が見つかったらすぐに不動産投資をはじめることができるでしょう。


・DIYの知識や時間のある人

無借金で不動産投資をおこなう人は全員が潤沢な資金を持っているわけではありません。数百万円程度の少ない資金で購入した物件を、費用をかけずにリフォームして賃貸することで高利回りを実現しているケースも多くみられます。


ただ、購入した物件によっては大掛かりなリフォームなどが必要な場合もあります。

しかし、高利回り物件にするためには、費用をできるだけおさえなくてはなりません。そのため、自力でリフォームができる程度のDIYの知識があり、修繕などに費やす時間のある人に向いていると考えられます。


いわゆる「ボロ物件」などを上手に運用できる人であれば、無借金経営で成功できる可能性が高いでしょう。


ボロ物件の再生について詳しくはこちら!>>ボロ物件で不動産投資を成功させる!メリットとリスク対策方法も


無借金で不動産投資をおこなう際の注意点

不動産投資物件を無借金で購入する場合は、いくつか注意すべきポイントがあります。


持ち出しに注意する

先にも述べましたが、不動産物件を無借金で購入した場合、一気に自己資金が減ってしまいます。

そのため、空室の長期化などでキャッシュフローが悪化した場合、持ち出しが増えて手元資金が不足してしまう恐れがあります。


ローンの支払いがないため物件が差し押さえられる心配はありませんが、やはり手元に資金がないと心配です。持ち出しがつづくようであれば、原因を把握した上で、早急に対策をおこないましょう。


忘れずに火災保険に加入する

不動産投資ローンを利用して不動産を購入する場合、ほとんどの金融機関では火災保険への加入を融資条件としています。しかし、無借金で不動産を購入した場合は、任意で火災保険に加入する必要があります。


火災保険に加入していなければ、火災などで物件が被害を受けても補償が受けられないため、基本的に自己負担で修理費用や買い換え費用をまかなわなくてはなりません。また火災保険に加入しなければ地震保険にも加入できません。

無借金で不動産を購入した場合は、火災保険や地震保険への加入を忘れずに検討しましょう。


不動産投資の保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の保険を解説!生命保険代わりになる?火災保険や特約も!


税務調査が入る可能性がある

不動産物件を無借金で購入した場合、税務署からお尋ねが来たのちに「税務調査」が入る可能性が高くなります。


税務署から来るお尋ねについて詳しくはこちら!>>不動産投資で税務署から「お尋ね」が来る理由と対処方法を解説!


一般的に不動産の購入には不動産投資ローンが利用されます。そのため、不動産を無借金(現金一括)で購入した場合、お金の出所を確認するために税務調査がおこなわれるのです。


税務調査といっても、お金の出所に問題ないことを証明するだけなので、とくに怖がる必要はありません。預金通帳など、お金の出入りがわかるものをしっかり保管しておきましょう。


まとめ

無借金でおこなう不動産投資の最大のメリットは、やはりローンの返済が不要なことです。

一方、レバレッジを効かせた投資ができないため、ローン利用時よりも資産が増えるまで時間がかかるのなどデメリットもあります。

また、高額物件を無借金で購入するためには、長期にわたって貯蓄する必要もあります。


ローンを利用する場合でも、無借金でも、それぞれの利点があるため、両者のメリットとデメリットを比較したうえで最善の方法で不動産投資をおこないましょう。

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