家賃収入は副業にあたらない?会社員の不動産投資で注意するポイント
将来的な不安から、副業で副収入を得たいと考えているサラリーマンが増えています。
なかでも「不動産投資」はサラリーマンの副業として人気ですが、「副業禁止」の会社の場合はあきらめるしかないのでしょうか?
じつは、ほとんどの企業で「不動産投資は副業にあたらない」とされているため、副業が禁止されている場合でも不動産投資をおこなうことは可能なのです。
ただし、不動産投資の規模や家賃収入額によっては、副業とみなされることもあるため注意が必要です。
今回は、家賃収入が会社員の副業にならない理由とともに、副業とみなされる規模や注意点について詳しく解説します。
また、家賃収入があることを会社に知られたくない場合の対象方法も紹介します。
サラリーマン大家さんを目指している人は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資の家賃収入は会社員の副業にあたる?
副業が禁止されている会社であっても、「不動産投資は副業にあたらない」とする場合が多いようです。
それはなぜなのでしょうか?
ここでは不動産投資の家賃収入が副業にあたらない理由について解説します。
相続などで不動産投資物件を所有する可能性がある
副業を禁止している企業であっても、家賃収入を得られる不動産投資が副業あつかいにならない大きな理由のひとつに「禁止するのがむずかしい」ことがあげられます。
なぜなら、従業員が「親や親族の所有する賃貸アパートなどを相続した(譲渡された)」など、やむを得ないケースが考えられるためです。
また、転勤にともなって一時的に自宅を賃貸する場合もあるでしょう。
こういった、やむを得ない事情で従業員が家賃収入を得ることが想定できる以上、不動産投資を副業と決めつけて禁止するのは非常に困難です。
このような事情から「不動産投資は副業あつかいにしていない」という企業が多いと考えられます。
情報漏洩リスクが低い
企業が従業員の副業を禁止する理由のひとつに「情報漏洩リスクの防止」があげられます。
しかし、不動産投資では本業の情報を漏らすリスクが低いため、副業が禁止されている企業でも不動産投資は容認されるケースが多く見られます。
本業に支障が出にくい
「本業への支障が出ることへの懸念」も、企業が副業禁止にしている理由のひとつです。
一般的な副業は、本業の終業後や休日にほかの仕事をおこなうことになります。
本来であれば休養を取るべき時間を副業の労働に充てるため、疲労やストレスが貯まり、本業に支障が出る可能性も考えられます。
しかし、管理などを外部に委託できる不動産投資ならば、自分で賃貸物件の管理などをおこなう必要がほとんどなく、労力や時間を割かずに済むため本業への支障はほとんどありません。
このような理由から「不動産投資は副業にあたらない」とする企業が多いのです。
家賃収入が副業とみなされる条件は?
副業にあたらないとされる家賃収入ですが、以下のような場合は副業としてあつかわれる可能性があるため注意が必要です。
不動産投資が事業的規模の場合
運用する不動産投資物件の件数によっては「事業的規模」とみなされ、不動産投資であっても副業としてあつかわれる可能性があります。
なお、事業的規模とみなされる目安は、税務上の「事業的規模」であるか否かの判定基準である「5棟10室」となります。
5棟10室とは、戸建てなどの独立した家屋がおおむね5棟以上またはマンションやアパートの戸数がおおむね10室以上であることを指します。
多くの不動産投資物件を所有すれば家賃収入も増えますが、事業的規模の不動産投資をおこなう場合は勤務先に許可を得なければならないこともあるため、勤務先の就業規則を確認しておく必要があります。
駐車台数10台以上の駐車場や建物内の駐車場経営
アパートやマンションなどの家賃収入だけでなく、駐車場経営も不動産投資にあたります。
下記の規模の駐車場経営は、副業に含まれる場合があるため注意が必要です。
・10台以上の駐車が可能な場合
・建物内にある駐車場や機械設備がある駐車場
旅館・ホテルや娯楽施設の経営
旅館やホテル、娯楽施設などの不動産を所有・運用している場合は副業に該当します。
会社員の場合、該当者は少ないかもしれませんが留意しておくとよいでしょう。
家賃収入が年間500万円以上の場合
賃貸アパートやマンションなどの家賃収入が高額になった場合、副業とみなされる可能性があります。
副業とみなされる家賃収入額は各会社の就業規則によって異なりますが、おおむね500万円以上が目安となります。
前述の5棟10室同様、就業規則を確認しておきましょう。
会社員が不動産投資で家賃収入を得る際の注意点
前述のように、不動産投資で家賃収入を得ることは副業とみなされない場合がほとんどです。
しかし、本業とは別に不動産投資をおこなう際には気を付けないといけない点がいくつかあります。
事前に会社に相談しておく
一般的には「家賃収入は副業に含まれない」との認識ではありますが、最終的な判断は勤務先によって異なります。
そのため勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合は、不動産投資をはじめても問題ないか、どの程度の規模であれば副業あつかいにならないかなど事前に確認しておくとよいでしょう。
また不動産投資が事業的規模になったり、年間家賃収入が500万円を超えたり、一定の基準を超えた場合も、勤務先に速やかに相談し許可を取ることをおすすめします。
なお、公務員や銀行員は、一般企業に比べて副業や投資の規定が細かく定められている場合が多いです。
公務員の場合は基本的に副業が禁止されていますが、不動産投資に関しては一般の企業同様、副業にあたらないとされています。
ただし、前述のように「事業的規模(5棟10室)でないこと」「家賃収入が年間500万円以下であること」に加えて、「物件の管理業務を自分でおこなわないこと」が条件になります。
公務員の副業に関するルールは国家公務員か地方公務員かによっても異なるため、不動産投資を計画する際は、かならず担当者に確認することをおすすめします。
公務員の不動産投資について詳しくはこちら!>>公務員が不動産投資で副収入を得る方法!メリットや注意点を解説
金融・証券会社の場合は、「インサイダー情報(未公表の会社情報)」に触れる機会が多いため、株式投資やFX投資など投資全般が禁止されている場合も少なくありません。
禁止されていない場合でも、投資をおこなう際には事前届け出が必要などの規定があるところがほとんどです。
こちらも勤務先企業によってルールは異なるため、不動産投資を検討する場合は、会社の担当部署に確認するとよいでしょう。
本業に支障が出ないよう心掛ける
本業に支障が出ないようにするためにも、アパートやマンションなど賃貸物件の管理は管理会社に業務委託することをおすすめします。
管理業務には以下のようなものがあります。
・建物の管理(清掃や修繕など)
・入居者管理(賃貸借契約の締結や解除、更新手続き、クレーム処理など)
・家賃管理(賃料の集金など)
これらすべてを大家さんが自主管理することもでますが、かなりの労力が必要なため、本業に支障が出ることは十分予想できます。
賃貸物件の管理は、可能な限り管理会社に委託し、本業への影響が最小限で済むようにしましょう。
確定申告はかならずおこなう
本業以外で得た所得が20万円を超える場合は、確定申告をおこなう必要があります。
家賃収入も本業以外で得た所得(不動産所得)に該当するため、確定申告の対象となります。
(不動産所得とは、「家賃などの不動産収入から必要経費を差し引いた額」です。家賃収入額そのままではないので注意しましょう)
なお確定申告をしないと無申告課税や延滞税などのペナルティが課されます。
また脱税が刑事事件に発展する可能性もあるため、確定申告は忘れずにおこないましょう。
家賃収入の確定申告について詳しくはこちら!>>家賃収入の確定申告はするべき!やり方や経費にできるものを解説
不動産投資の経費について詳しくはこちら!>>不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!
家賃収入を会社に知られたくない場合の対策方法
勤務先で副業が禁止されていなくても、「会社に家賃収入があることを知られたくない」と考える人も多いようです。
会社の上司や同僚に不動産投資をおこなっていることを秘密にしておくためには、以下の点に気を付けましょう。
確定申告をおこない住民税を「普通徴収」で納税する
家賃収入が会社にバレる大きな要因のひとつが、会社の給与から天引きされる「住民税」の存在です。
収入が給与所得のみであれば問題ありませんが、不動産投資で家賃収入がある場合は確定申告によって住民税が決定します。
家賃収入額が大きければ住民税の納税額も多くなるため、天引きされる住民税額から副収入があることが会社にバレる可能性が高くなるのです。
しかし、この場合の対策方法は非常に簡単です。
確定申告では、住民税の徴収方法を会社経由でおこなうか、自分で納税するか選択することができるため、自分で納税する「普通徴収」を選択しましょう。
普通徴収を選ぶことで、給与に関する住民税はこれまで通り給与から天引きされ、家賃収入に対する住民税は自分で支払うため、会社に副収入があることを知られずに済みます。
なお「確定申告しなければ住民税額が変わらないし、会社にバレないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、前述のように確定申告の対象にもかかわらず申告をしない場合は、無申告課税や延滞税などのペナルティを課されたり、脱税として刑事事件に発展する可能性も考えられます。
また延滞税を滞納することで会社に連絡が来ることも考えられるため、副収入を得ていることが会社にバレやすくなる恐れもあるため、確定申告はしっかりとおこない、きちんと納税することを心がけましょう。
他人に話さない、SNSなどに投稿しない
副収入があることが周囲にバレてしまう原因のひとつに、自分自身の不用意な発言やSNSへの投稿などが考えられます。
お酒の席で不動産投資についてうっかり漏らした一言が噂になったり、匿名のSNSに投稿したら身元がバレてしまったり、ほんのちょっとの油断から不動産投資がバレてしまうこともあるのです。
家賃収入の存在を秘密にしておきたいなら、家族や信用できる人以外には話さない、SNSには投稿しないことが一番です。
マイナンバーから家賃収入があることはバレる?
「マイナンバーによって不動産投資をしていることがバレるのでは?」と心配する声も聞こえますが、会社がマイナンバーを利用して情報を取得できる範囲は法律でしっかりと定められています。
そのため、会社がマイナンバーから従業員の所得を知ることや調べることはできないので、不動産投資がバレる心配はありません。
まとめ
ほとんどの企業では、「従業員が不動産投資で家賃収入を得ることは副業にあたらない」とされているため、副業禁止であって不動産投資をおこなえる可能性はあります。
ただし、不動産投資が事業的規模であったり、家賃収入が年間500万円を超えたりする場合は副業とみなされる可能性が高くなり、会社の許可が必要になることもあるため注意しましょう。
いずれにしろ、サラリーマンの不動産投資が副業禁止にあたらないか、また問題にならない規模などをあらかじめ会社に確認しておくことをおすすめします。
賃貸管理を外部委託できる不動産投資は、本業を持つ会社員にとって、少ない負担で副収入を得られるチャンスです。
なんらかの手段で副収入を得ようと考えている人は、ぜひ不動産投資を検討してはいかがでしょうか。