20代ではじめる不動産投資で失敗しないポイントとメリット・デメリット
不動産投資は若いうちにはじめることで、さまざまなメリットを享受できます。
最近では終身雇用制の崩壊、年金制度の不安、経済の停滞など将来への不安から、若いうちから資産形成や副業に取り組む人が急増中です。
なかでも不動産投資は、賃貸管理を外部に委託できるため、本業を持つサラリーマンにもはじめやすい投資として20代で開始する人も増えています。
20代ではじめる不動産投資の最大のメリットは「時間」にあります。
早くから不動産投資をはじめることで、リターンが長く得られますし、定年の前後にはローンを完済した不動産を複数所有することも可能です。
今回は、「20代ではじめる不動産投資」にスポットを当て、メリットやデメリット、注意点を解説します。
20代で不動産投資を検討中の人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
20代で不動産投資をはじめるメリット
不動産投資は年代に関係なく開始できますが、20代の不動産投資には多くのメリットがあります。
・リターンを得られる期間が長い
・定年までにローンを完済できる可能性が高い
・若いうちに不動産投資の実績をつくれる
・失敗してもやり直せる時間がある
・自由になる資金が多い
ここでは上記、5つのメリットについて解説します。
リターンを得られる期間が長い
20代で不動産投資をはじめるメリットのひとつに、リターン(利益)を得られる期間が長いことがあげられます。一般的にリターンを得られる期間が長ければ長いほど、資産を増やせます。
不動産投資のおもな収入源は、不動産を賃貸して得る家賃収入です。
家賃10万円の区分マンションをオーナーが75歳になるまで運用した場合を例にあげると、25歳で運用をはじめた場合、75歳までに得られる総家賃額は6,000万円になります。
35歳からであれば総家賃額は4,800円となり、1,200万円もの差が出ます。
不動産の運用期間が長ければ、より多くの利益が得られるのは大きなメリットです。
(実際には、家賃額から費用を差し引くため手取り額は10万円より少なくなります。また年数の経過によって家賃額は下落するため総家賃額は減少します)
定年までにローンを完済できる可能性が高い
金融機関から融資を受ける場合は、ローン完済できる年齢が早くなるのもメリットです。
たとえば25歳で35年の不動産投資ローンを組んだ場合、定年退職(65歳)する数年前にローンを完済できる計算になります。
途中で繰り上げ返済をおこなえば、もっと早くローンを完済できる可能性もあるでしょう。
ローンを完済してしまえば、自由に使用できるお金が増えます。
次の不動産投資物件の購入資金にしたり、突発的な修繕や税金の支払いに備えて貯蓄したり使いかたはさまざまです。
65歳以降は公的年金も受給もできるため、余裕のある老後を過ごすために役立ちます。
繰り上げ返済について詳しくはこちら!>>不動産投資の繰り上げ返済の種類やメリット・デメリットを解説
若いうちに不動産投資の実績をつくれる
20代から不動産投資をはじめることで、若いうちに不動産投資の実績につながり、次の不動産を購入する際は融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。
また、複利効果も期待できます。
複利効果とは、銀行の利子を預けたままにしておくことで、利子に利子が付く状態を指します。
不動産投資でいう複利効果は、最初の1件目の投資で得た利益を元手に、2件目の不動産投資おこない、さらに3件目と物件に投資するという考えかたです。
最初の物件のローンを完済してから2件目の物件を購入するよりも投資効率が高まるため、資産形成のスピードが速まり、また複数の不動産を所有することでリスクの分散にもつながります。
不動産投資で複利効果を期待する場合、あらたに不動産投資ローンを組むうえで関係してくるのが年齢です。
多くの金融機関では、「融資対象年齢」とともに「最終返済時の年齢」が設定されています。
オリックス銀行を例にあげると、融資対象年齢は「満20歳以上60歳未満」、最終返済時年齢を「80歳未満」としています。
ようするに「不動産投資ローンを申し込める年齢=79歳までにローンを完済できる年齢」でなくてはいけません。
たとえば、40際で不動産投資をはじめた人が2件目の不動産を35年ローンで取得する場合は、45歳までに融資を受けて不動産投資をはじめなければ、2件目の不動産投資ができない可能性も考えられます。
その点、20代で不動産投資をはじめていれば、2件目、3件目の不動産を取得する時間は十分あります。
このように、2件目以降に投資規模を拡大していくときの融資申し込み年齢を考慮するなら、20代で不動産投資をはじめることは大きなメリットにつながるのです。
なお資金面で余裕のある人は、40歳以降であっても、頭金を多く入れるなどしてローン返済期間を短く設定することで、2件目以降の不動産を取得することは可能になります。
自由になる資金や時間が多い
20代は自分で使えるお金が多く、不動産投資をはじめるための自己資金を確保しやすくなります。
また、自由できる時間が多いのも20代の特徴です。
30代、40代になるとマイホームローンや教育費に収入の多くが割かれることになりますし、また職場でも責任のある立場になりつつあり、家庭でも家族に時間をかけることが増えるでしょう。
不動産投資にあてる時間や資金を捻出できるのは、20代ならではのメリットです。
失敗してもやり直せる時間がある
不動産投資は、株式投資やFX投資に比べるとリスクが低い投資方法と言われますが、それでもリスクはゼロではありません。
そのため不動産投資で成功するためには、さまざまなリスクを最小限におさえるための対策が不可欠です。
しかし、事前にリスク対策をおこなっても、地震や風水害など予期せぬ災害リスクに遭遇し、不動産投資が失敗に終わることもあるでしょう。
予期せずに失敗してしまっても、20代のうちであれば、やり直せる時間は十分にあります。
失敗した原因をもとに再度不動産投資に挑んでもよいですし、不動産投資からは手を引いて本業に専念したり別の投資をしたり、20代とい若さがあればやり直すことも可能なのです。
20代で不動産投資をはじめるデメリット
20代の不動産投資には、以下のようなデメリットもあります。
・ローン審査が通りにくい
・借入比率が高くなりやすい
下記で詳しく解説します。
融資審査が通りにくい
20代は社会人であっても、個人属性や自己資金額によっては融資審査で不利になることも考えられます。
個人属性が低い
不動産投資をおこなう場合、一般的に金融機関の不動産投資ローンで融資を受けて不動産を購入しますが、その際は融資審査で承認される必要があります。
審査の基準は、購入する不動産投資物件の価格や収益性によっても異なりますが、融資の承認の可否に大きく関わるのが「個人属性」です。
個人属性とは、融資を申し込む人の経済状況や社会的信用を指し、金融機関は個人的属性をもとに融資の可否や融資限度額などの判断をおこないます。
個人属性の項目は以下のようなものがあります。
・勤務先について(勤務先、勤続年数、雇用形態、年収など)
・家族構成や住環境(同居している家族構成、持ち家か賃貸か、居住年数など)
・金融資産(預貯金、株、債券など)
・借入の有無と残債(借入れ理由など)
安定した企業に正社員として長年勤務している年収が高い人は、「属性が高い」とされ融資がつきやすくなります。
逆に自由業などで安定した収入が得られない場合は「属性が低い」とされるため、融資を受けられなかったり、金利や融資期間で不利になったりすることもあるのです。
20代は、会社員であっても勤務年数がまだ短かったり、年収が低かったりする場合も多く、融資審査で不利になることも少なくないのです。
ただし、不動産投資ローンの審査基準は金融機関によって異なります。
ひとつの金融機関で融資が受けられなくても、ほかでは融資可能な場合もあるので、複数の金融機関に融資申し込みすることをおすすめします。
自己資金を用意すると融資審査に有利
個人属性が低い場合でも、頭金を多く入れることで融資審査に通過しやすくなる可能性があります。
頭金とは、不動産価格の先払い分にあたり、頭金が多ければ多いほど借入額が少なくなるため融資される可能性が高くなるのです。
なお、頭金に決まった額はありませんが、物件価格の1~3割程度が目安となります。
一般的に不動産投資ローンの借入最大額は年収の10倍程度と言われています。
年収が300万円なら3,000万円までの不動産に対して融資を受けられる可能性がありますが、前述のように個人属性が低めの20代は融資条件が不利になることも多く、必要とする融資額に満たないケースもあるでしょう。
そういったケースを想定し、足りない金額を頭金として自己資金で賄うことで、融資に足りない分の補填に役立ちます。
そのためにも自己資金を貯めておくことが肝心です。
とはいえ、3,000万円の物件に必要な頭金額は少なくとも300万円になるため、すぐに自己資金を貯めることはむずかしいでしょう。
不動産投資を意識しはじめたら、すぐに自己資金の準備に取り掛かることをおすすめします。
ただし、頭金を入れても希望する融資額に届かない場合は、現在の属性やほかの不動産物件に切り替える必要があります。
なお、不利な条件で融資を受けた場合、「返済比率」が高くなるデメリットがあるため注意しましょう。
返済比率については、次項で解説します。
返済比率が高くなりやすい
金融機関から融資を受ける際、頭金が少なかったり、頭金不要の「フルローン」や初期費用が不要の「オーバーローン」で融資を受けたりすると返済比率が高くなる危険性があります。
返済比率とは、不動産投資によって得られる収入額のうち、どれくらいの割合を金融機関へ返済しているかを示す値で、安全な不動産投資がおこなわれているかどうかを測る指標のひとつです。
なお、返済比率は以下の計算式で求められます。
返済比率(%)= 年間のローン返済額の合計 ÷ 年間家賃収入 × 100
一般的には50%が安全な返済比率のラインと言われ、それ以上高くなると収入に対してローン返済額が高すぎると判断されます。
20代が不動産投資ローンの融資審査に通りにくいのは前述のとおりですが、融資審査に通過できても、金利が高かったり、返済期間が短かったりなど融資条件が不利なことも少なくありません。
そういった条件では、毎月のローン返済額が高くなるため返済比率が上がってしまいます。
毎月のローン返済額が高くなるとの家賃収入の支出が圧迫されるため、設備の修繕などで突発的な出費や空室などで家賃収入が減った場合、キャッシュフローの悪化が懸念されます。
キャッシュフローが悪化しても、手元に資金がある場合は持ち出しで対応できますが、自己資金がなくなってしまえばローン返済が滞り最悪、物件が差し押さえられてしまう可能性もあるのです。
そのため、不動産投資ローンを利用する際は、家賃収入額とローン返済額を含めた費用額をしっかりと把握し、かならず返済比率を考慮したうえで、無理のない収支を心がける必要があります。
返済比率について詳しくはこちら!>>不動産投資ローンの返済比率を下げる方法を解説!目安の比率は何%?
20代の不動産投資で失敗しない4つのポイント
20代で不動産投資をはじめるにあたって注意するポイントを4つまとめました。
失敗しないために内容をしっかりと把握するとよいでしょう。
不動産投資の知識を勉強する
不動産投資をおこなうにあたって、基本的な知識を身に着けておくことで、自分に不利な状況を回避することが可能です。
知識がまったくない状態で不動産投資をしようとすると、さまざまなリスクを回避できず、不動産投資が失敗に終わる恐れがあります。
不動産についてなにも知らなければ、営業マンのセールストークを鵜呑みにし、収益性の低い不動産を購入してしまうかもしれません。
しかし、不動産投資の知識があれば、話のおかしな点に気づくことができるでしょう。
自衛のためにも、まずは書籍やインターネット、セミナーなどで、ある程度の不動産投資の知識を身につけましょう。
セミナーについて詳しくはこちら!>>【初心者向け】優良不動産投資セミナーの選び方!注意ポイントも紹介
土地勘のあるエリアを選ぶ
20代で、特に不動産投資が未経験であれば、周辺環境や家賃の相場を把握しやすい地元の不動産物件を選びましょう。
不動産投資が成功するかどうかは、物件選びにかかっていると言っても過言ではありません。
物件を選ぶ際は、賃貸需要のある人気のエリアかどうか、資産価値は落ちにくいか、利便性はどうか、近隣の競合物件の有無、家賃相場、周辺環境など多岐に渡って物件をチェックする必要があります。
よって、まったく馴染みのない土地よりは、自分に馴染みのあるエリアのほうが物件の良し悪しを判断しやすくなるのです。
資金に応じた不動産投資を選ぶ
前述の「返済比率が高くなりやすい」でも記載したように、無理な借り入れで不動産投資をおこなっても失敗する可能性が高くなるだけです。
安全に不動産投資をおこなうには、自分の収入額や自己資金額に見合った不動産を選ぶことが重要です。
メリットばかりの勧誘には要注意
不動産投資用の物件を探すためには、いろいろな物件を見て比較することが欠かせません。
その際、多くの不動産会社の営業マンから不動産をすすめられる機会も多いでしょう。
しかし、それら商品のなかには、相場よりも割り増しされた価格だったり、入居付けがむずかしい物件だったり、まったくの詐欺物件という可能性もゼロではありません。
特に気を付けたいのが「メリットばかり強調した勧誘」です。
不動産投資は、株式投資などに比べるとリスクが低い投資方法ではありますが、投資である以上リスクはあります。
しかし、それらリスクを把握して対策できるのが不動産投資の強みでもあります。
むしろリスクを知らないまま賃貸経営をしてしまうほうが、いざというときリスクに対処できず失敗する可能性が高まってしまうのです。
そういったリスクのあることを説明せずに「高利回りで儲かる」「高く売れる」「特別価格です」などのメリットばかりを強調した不動産物件は、安易に購入してはいけません。
メリットの根拠となる、具体的な金額や物件情報をきちんと把握し、自分で判断することが重要です。
不動産詐欺について詳しくはこちら!>>不動産投資の詐欺手口と対策方法!要注意なセールストークとは
まとめ
20代で不動産投資をはじめれば、より長期に渡ってリターンが得られたり、ローン完済を早く終えられたりといったメリットがたくさんあります。
一方で、資金不足や属性が低いため、融資審査に通りにくいというデメリットもあります。
メリットを活かしデメリットを軽減するためには、不動産投資を思い立ったらできるだけ早く自己資金を貯めたり、不動産投資について勉強して知識を身に着けることをおすすめします。
20代ではじめる不動産投資を成功させるためには、素早い準備こそが必要になるでしょう。