不動産投資は青色申告で賢く節税!計上できる経費や提出の流れを解説
2022/01/26

不動産投資は青色申告で賢く節税!計上できる経費や提出の流れを解説

確定申告の青色申告とは?青色申告の条件サラリーマンの確定申告は必要?確定申告しないときのペナルティ不動産投資で青色申告をする3つのメリット1:最大65万円の青色申告特別控除を受けられる2:青色事業専従者給与を経費にできる3:赤字の繰り越しが3年間可能になる不動産投資で青色申告をする2つのデメリット1:事前の申請が必要2:複式簿記での記帳が必要不動産投資で青色申告する際の経費ついて損害保険料減価償却費修繕費/修繕積立金税金等借入金利息管理費税理士・司法書士への報酬青色事業専従者給与交通費・通信費・新聞図書費・接待交際費不動産投資で確定申告書を提出する流れ1. 必要書類を整える2. 確定申告書を作成する3. 税務署に申告書を提出する4. 決定した税金を納付する・還付を受けるまとめ

不動産投資で確定申告をおこなう際は「青色申告」を選びましょう。

青色申告には、最大65万円の控除が受けられたり、3年にわたる赤字繰り越しが可能だったり、白色申告に比べて節税できるポイントが多くあります。

では、青色申告をするにはどうしたらよいのでしょうか?


そこで今回は、不動産投資で青色申告の条件をはじめ、メリット・デメリットについて解説します。

また、確定申告の流れや計上できる経費の種類についても紹介します。


確定申告の青色申告とは?

確定申告とは、収支、経費、控除をもとに1年間の所得金額をまとめて所得税額を計算し、税務署に報告する手続きのことです。

原則としての1月1日から12月31日までの所得について、その翌年の2月15日から3月15日までに必要書類を整えて税務署に提出し、申告します。


なお確定申告が必要な人は、年間の所得金額から所得控除を差し引いた金額がプラスになる人です。

確定申告が必要なのにもかかわらず期限内に申告しなかった場合は、ペナルティを受けるため、所得がある人は速やかに確定申告をおこないましょう。


青色申告の条件

不動産所得がある場合は「青色申告」を選べます。

青色申告は白色申告に比べて税金の面でさまざまなメリットがあるため、節税したい場合は青色申告を選ぶとよいでしょう。


青色申告をおこなう場合は、前もって「開業届」と「青色申告承認申請書」の届け出が必要です。(届け出を出さない場合は自動的に白色申告となります)

また、事業規模(室数10室以上または5棟)の不動産貸付がおこなわれていて、複式簿記で帳簿をつける必要があります。


不動産所得とは?

不動産所得とは、不動産投資で得た収入から経費を差し引いた額を指します。


不動産所得 = 収入 ― 経費


給与所得などほかの所得がある場合は、所得の合計額で所得税や住民税が課税されます。

なお、所得と収入(おもに給与や各種事業で得た売上金額)は異なるため注意しましょう。


サラリーマンの確定申告は必要?

会社務めのサラリーマンとして給与だけを受け取っている場合、確定申告は不要です。

ただし、年収が2,000万円を超えるときや副業等の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。


確定申告しないときのペナルティ

確定申告が必要なのにもかかわらず期限内に申告しなかった場合は、下記のようなペナルティを受けるため注意しましょう。


・無申告加算税がかかる(納める税金に対して最高税率20%)

・延滞税がかかる(納める税金に最高税率14.6%)

・青色申告特別控除の枠が減額される(最大65万円から最大10万円に減額)

・2年連続で提出が遅れると青色申告の承認が取り消しになる


不動産投資で青色申告をする3つのメリット


青色申告 書類 ペン

確定申告で青色申告を選ぶことで、以下のようなメリットを受けることができます。


1:最大65万円の青色申告特別控除を受けられる

青色申告で1番のメリットは、最大で65万円の青色申告特別控除を受けられることです。


複式簿記で記帳し、確定申告の際に損益計算書・貸借対照表を添付し期限内に申告すると55万円が控除されます。

65万円の控除を受ける場合は、電子帳簿で保存、またはe-Taxによる電子申告をおこなう必要があるため注意しましょう。


なお青色申告でも、簡易簿記で記帳をおこない申請した場合の控除額は10万円です。


2:青色事業専従者給与を経費にできる

青色申告で配偶者や親族に給与を支払っている場合は、「青色事業専従者給与」として経費にできます。


青色事業専従者給与を経費にする場合は、あらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しておきましょう。

ただし、青色事業専従者給与として認められるためには以下のような条件があります。


・「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出していること

・届出書に記載した方法および金額の範囲内で支払うこと

・6ヶ月以上もしくは事業に従事可能な期間の1/2以上の期間働いていること

・専従者の年齢が15歳以上であること

・不動産経営が事業的規模(室数10室以上または5棟)であること

・給与額が事業規模に見合った額であること(高額過ぎないこと)


3:赤字の繰り越しが3年間可能になる

不動産所得が赤字だった場合、ほかの所得(給与所得など)と合算して損益通算できますが、それでもなお控除しきれない損失は翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年分の所得金額から控除できます。


不動産投資で青色申告をする2つのデメリット

白色申告に比べてメリットの多い青色申告には大きなデメリット的要素は多くありませんが、事前申請や帳簿面で多少の手間がかかります。


1:事前の申請が必要

青色申告をおこなうには、あらかじめ「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務所に届け出る必要があります。


なお、青色申告承認申請をするには開業届を提出していることが前提なため、開業届を出していない場合は青色申告承認申請書を受け付けてもらえません。

開業届の届け出がまだな場合は、青色申告をおこなう前に必ず届け出ておきましょう。

また青色申告承認申請書は、青色申告を適用する年の3月15日までに提出しましょう。


「青色事業専従者給与に関する届出書」についても、経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に税務署への提出が必要です。


2:複式簿記での記帳が必要

青色申告で65万円または55万円の特別控除を受けるためには、「複式簿記」で帳簿をつける必要があります。

「単式簿記」で帳簿を作成した場合の特別控除は10万円となります。


複式簿記は会計の知識や記帳の手間が必要なため、慣れていない人や本業を持つサラリーマンにとっては負担となってしまいます。

負担を軽減するためには、会計用ソフトを利用したり、税理士に依頼したりするとよいでしょう。


なお、青色申告書には賃借対照表、損益計算書も添付する必要があります。

これらに関連する帳簿類は最低7年間の保存義務があるため注意しましょう。


不動産投資で青色申告する際の経費ついて


書類 経費 減価償却

ここでは、不動産投資に関する必要経費について紹介します。

かかった経費をきちんと計上して所得額から差し引くことで所得額が減り、結果として節税につながります。

そのためにも、どのような支出が経費として認められるのかしっかり把握しておきましょう。


なお経費として認められるのは「不動産投資に関連した費用」になります。

不動産投資に関係のない支出(プライベートな物品の購入費など)は経費として認められないため注意しましょう。


不動産投資の経費について詳しくはこちら!>>不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!


損害保険料

所有する賃貸物件が加入している火災保険や地震保険などの保険料です。

数年分の保険料を一括で支払った場合は、申告する年度にかかる分の金額のみが、その年の経費として計上できます。


減価償却費

経年によって価値が減っていく資産(建物や設備)を国が定める「法定耐用年数」で割り、分割して額を毎年経費として計上します。


修繕費/修繕積立金

物件の維持に必要なメンテナンス費用や原状回復のクリーリング費用は修繕費として経費計上できます。

ただし物件の価値をあげる効果のある修繕等は「資本的支出」になり、資産として計上が必要です。

なお、区分所有マンションの修繕積立金は経費にできる場合があります。


税金等

毎年納税する固定資産税のほか、不動産取得時に課税させる不動産取得税や事業税、印紙税などが該当します。


借入金利息

不動産投資ローンの返済金の利息分は経費にできます。

ただし、元金分は経費計上できないため注意しましょう。


管理費

アパートの管理業務を管理会社に委託した場合に支払った管理費は経費にできます。


税理士・司法書士への報酬

購入した不動産の登記を司法書士に依頼したときや、帳簿の作成や確定申告などの税務を税理士に依頼した際に支払った報酬は経費計上できます。


青色事業専従者給与

あらかじめ届け出た「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された金額の範囲内で、青色事業専従者の諸条件を満たしている場合は経費に計上可能です。


交通費・通信費・新聞図書費・接待交際費

不動産投資に関わる、移動にかかった電車賃やガソリン代などの交通費、電話代やインターネット通信関連の通信費は経費計上できます。


不動産投資の情報収集や勉強のために購入した新聞図書費、アパート経営関係者を対象とした飲食代や贈答品代金も経費計上が可能です。


不動産投資で確定申告書を提出する流れ

確定申告は、原則としての1月1日から12月31日までの所得について、その翌年の2月15日から3月15日までに必要書類を整えて税務署に提出し、申告します。

提出までのおもな流れは以下になります


1. 必要書類を整える

確定申告時(青色申告の場合)に提出する書類は以下の通りです。

必要に応じて用意する書類もあるので、漏れなくしっかりチェックしましょう。


・確定申告書

・青色申告決算書(会計帳簿や領収書等も必要)

・マイナンバーカードまたはマイナンバーが確認できるもの

・賃貸借契約書

・家賃明細(管理会社発行のものなど)

・土地と建物の固定資産税納税通知書の写し

・経費の支払い額が分かる資料(管理費や保険料、修繕費など)

・ローンの返済表

・各控除(保険料控除や医療費控除などを受ける場合の明細書や支払い証明書など)

・源泉徴収票など(給与所得がある場合)

・金融機関の口座情報(還付を受ける際に必要)


2. 確定申告書を作成する

確定申告書の作成は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)または紙媒体で提出します。手書きで申請する場合は、国税庁のホームページから確定申告書式をダウンロードして記載するとよいでしょう。

確定申告書作成手順は以下のようになります。


1.1年間の取引を記録した帳簿をもとに青色申告決算書(青色申告の場合)を作成し、所得を算出する

2.各種所得控除の証明書をもとに確定申告書に記入し、納税額(または還付額)を計算する


3. 税務署に申告書を提出する

作成した確定申告書と必要書類を最寄りの税務署に提出します。

なお提出方法は以下のいずれかになります。


・最寄りの税務署に郵送または手渡しする、収受箱への投函(税務署の時間外のみ)する

・確定申告会場で提出する

・e-Tax(オンライン電子申告システム)で提出する


4. 決定した税金を納付する・還付を受ける

確定申告書等の提出後は、税金を納付すれば確定申告手続きは完了です。

なお所得税を払い過ぎていた場合は、後日(1~2ヶ月後)に指定した金融機関口座に還付金が振り込まれます。


まとめ

不動産投資で青色申告を選べば最大65万円の控除が受けられ、また3年にわたる赤字繰り越しや専従者給与の経費算入ができるなど、節税につながるメリットがたくさんあります。

特に65万円の青色申告特別控除の存在は非常に大きいです。


ただし、65万円の控除を受ける場合は、電子帳簿で保存するか、またはe-Taxによる電子申告をおこなう必要があるため注意しましょう。

確定申告は青色申告を選び、経費をきちんと計上して節税に努めましょう。

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