不動産投資で民泊経営を成功させるポイントや事業タイプを解説!
不動産投資には、アパートやマンションの賃貸経営のほかにも、さまざまな方法があります。
なかでも民泊経営は、2018年に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されたことで、営業の届け出が急増しました。
そして現在(2021年12月)、新型コロナウィルスの影響がつづくなかでも民泊の届け出数は継続しておこなわれています。
このことから今後、インバウンド需要の回復とともに民泊需要の増加が期待されます。
そこで今回は、不動産投資で民泊経営を成功させるポイントについて解説します。
民泊の事業タイプやメリット・デメリット、注意点なども合わせて紹介するので、これから民泊経営を考えている人は参考にしてください。
不動産投資の種類について詳しくはこちら!>>不動産投資の種類の特徴やメリット・デメリットを解説!
民泊とは?
民泊とは、宿泊用に提供された個人宅の一部やアパート・マンションの空室などに宿泊することを指し、海外ではすでに旅行者の宿泊形態のひとつとして普及しています。
日本では、外国人観光客の増加による宿泊施設不足の解消や空き家の再利用と地方創生を背景に、ここ最近で急速に注目された不動産投資方法です。
2013年12月に「国家戦略特別区域法」が成立、2018年6月15日に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によって、民泊営業を届け出のみでおこなえるようになったこともあり、全国で民泊経営件数が増加しました。
2020年10月7日時点の民泊営業届け出件数は2万7484件となり、法施行日の約13.7倍にまでになっています。
下記のグラフから、コロナ禍においても民泊営業の届け出が増加していることがわかります。
その一方で、民泊の廃止件数は増加しています。
その理由は、下記のグラフからコロナ禍によって宿泊客が激減し収益が見込めなくなったことがわかります。
今後も新型コロナウィルスの影響を軽視することはできません。
しかし、民泊営業の届け出数が増えていることから、新型コロナウィルスの終息によってインバウンド客が戻ることを期待している不動産投資家は少なくなりことが予想できます。
民泊を合法的に営業するための事業タイプ
民泊経営をおこなうには、下記の3つのうちいずれかの手続きが必要となります。
手続きせずに民泊経営をおこなった場合は「違法民泊」として罰則の対象となるため注意しましょう。
・「旅館業法」にもとづく許可
旅館業法は、旅館やホテルなどの宿泊施設を営業するために必要な基準などを定めています。
このなかで民泊は「簡易宿所営業」というカテゴリーに該当します。
旅館業法で民宿経営をおこなうにあたって、民宿としての営業日数など制限はありませんが、用途地域が「住宅専用地域」では営業許可がおりないため注意が必要です。
・「特区民泊(国家戦略特区法)」にもとづく認定
国家戦略特区として認められた一部の自治体内にて、「特区民泊」として認定されれば民泊経営が可能です。
なあ、現在(2021年12月)特区の指定を受けているのは東京都大田区や千葉市、大阪市などです。
特区民泊は上記のように特区指定を受けている地域での営業に加えて、最低宿泊日数が2泊3日以上となるため注意が必要です。
・「住宅宿泊事業法(民泊新法)」にもとづく届け出
住宅宿泊事業法(民泊新法)は、国の法律として2018年に制定されました。
条件を満たしていれば、届け出のみで民泊をはじめることができるのが最大のメリットです。
民泊営業できる地域などは決められていませんが、1年のうち民泊として使用できるのはひひとつの物件で180日までと定められています。
また原則として、住宅宿泊事業者は住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する、という義務が定められています。
ただし民泊施設にオーナーが居住し管理できる場合は、その範囲ではありません。
不動産投資で民泊経営をおこなうメリット
民泊経営には下記のような、一般的な賃貸経営とはまた違ったメリットがあります。
収益性が期待できる
民泊経営は、一般的な賃貸経営に比べて利回りが高いのが特徴です。
宿泊料を「1人1泊〇〇円」と設定することができるため、同じ条件の部屋を通常の賃貸した場合よりも多くの利益を得ることが可能です。
設定する宿泊料金・稼働率によって異なりますが、通常の家賃収入の2倍程度の収益が期待できます。
原状回復の頻度が少ない
民泊を利用するのは、基本的に短期滞在の宿泊客です。
普通の賃貸物件のように長期間居住するわけではないので内装や設備の劣化が少なく、原状回復の頻度が少なくて済み、また修繕費用をおさえられます。
築年数が古い物件の再活用につながる
アパートやマンションの賃貸経営の場合、築年数が古い物件は入居付けがむずかしく、賃料下落の原因にもなります。
しかし、民泊の宿泊ニーズの第1位は「立地のよさ」であるため、宿泊客にとって築年数は大きな懸念材料になることは少ないため、築古物件の再生事業としても効果があります。
ただし見た目や内装がボロボロだったり汚れていたりすると、口コミサイトで低評価になってしまい、その後の利用数に影響するため注意が必要です。
不動産投資で民泊経営をおこなうデメリット
民泊経営には、下記のようにいくつかのデメリットも存在します。
準備や手続きに時間がかかる
民泊を営業するには設備や内装を整えるほか、自動火災報知機や誘導灯などの消防設備の設置が必要な場合があります。
また、各自治体窓口への届出や消防署での確認などが必要になりますが、これら申請の準備や手続きに時間がかかるのがデメリットです。
なお、所有する区分マンションで民泊経営をする場合は、マンション管理組合の規定によって民泊が禁止されていることもあるため、かならず確認しましょう。
近隣住民とのトラブルが懸念される
所有物件の空室部分や、空室の区分マンションを民泊物件として貸し出す際は、ほかの入居者に迷惑がかからないよう配慮が必要です。
特に騒音やゴミ出しについて、ほかの入居者からクレームを受ける場合があるため注意しましょう。
空室対策として民泊経営をしたのに宿泊客のマナーが原因で、既存の入居者が退去してしまっては本末転倒です。
民泊をはじめるまえに宿泊ルールを決めておき、注意事項説明書を室内に置くなどの対策をおこなうとよいでしょう。
インバウンド向けの外国語対応が必須
民泊のおもな宿泊客は、海外からの旅行者です。
その場合、日本語はほぼ通じないので、あらかじめ室内に設置する案内書は各国語対応にしておく必要があります。
準備する言語は英語をはじめ、中国語、韓国語、スペイン語などの需要が高いです。
また、ピクトグラムを併記して、なにについて書かれているのか一目でわかるような工夫するとよいでしょう。
不動産投資で民泊経営を成功させるポイント
ここでは不動産投資で民泊経営を成功させるためのポイントをまとめました。
トラブル対策を考えておく
民泊でトラブルになりやすいポイントをあらかじめ調べておき、それぞれの対策をたてておくと安心です。
トラブル対策例は以下の通りです。
・事前に近隣住民に説明し理解を得ておく
・宿泊客に利用時のルールを知らせておく
・苦情には迅速に対応する
口コミを意識する
民泊の利用者のほとんどは、インターネットで民泊物件を探します。
その際、利用者が民泊を選ぶ際に重視するのが「口コミ」です。
実際の利用者の感想は、利用者候補に絶大な影響を与えます。
口コミのおもな評価ポイントは以下の項目になります。
・室内の清潔感
・サイトに掲載した写真と実物がかけ離れていないか
・設備やサービスが記載通りだったか
・トラブル発生時の対応について
上記の点について、ユーザーから評価されることになります。
評価次第では、収益にも影響してくるため特に気をつける必要があります。
民泊経営の管理スタイル「家主不在型」と「家主在宅型」
民泊経営をおこなうには、「家主不在型」と「家主在宅型」があります。
それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
管理業者に委託する「家主不在型」
民泊物件に家主が居住していない状態のことを「家主不在型」と呼びます。
この場合は、住宅宿泊事業法第11条により、「家主不在型の場合は民泊施設の管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならない」と定められています。
管理業者に委託することで、以下の業務を代行してくれます。
・清掃や寝具の交換、備品補充など
・非常用照明器具の設置や避難経路の表示、災害時の対応など
・外国人ゲスト向けの言語対応など
・宿泊者名簿の備付けなど
・宿泊にともなう注意事項の説明など
・クレーム対応など
管理業者に委託することで民泊業務をお任せできるため、オーナーの手間がかからない点は大きなメリットです。
なお、管理業者によって取り扱っている代行プラン異なります。
たとえば、問い合わせや宿泊予約管理なども委託したい場合は、「サイト運営代行」をおこなっている管理会社を選ぶなど、必要にあわせるとよいでしょう。
デメリットとしては、管理会社に管理費用を支払う必要があることです。
管理費用目安は、売り上げの20%~程度になります。
サブリース契約を結ぶ
「家主不在型」運営方法のひとつとして、所有する不動産物件を民泊用物件として、民泊代行業者にサブリース契約で借り上げてもらう運用方法もあります。
サブリースすることで民泊の管理業務はもちろん、民泊の稼働率に関係なく毎月一定額が支払われるためメリットにつながります。
ただし、稼働率がよくても契約上の一定額しか受け取れないため注意しましょう。
自らがオーナーとして運営する「家主在宅型」
民泊物件にオーナーが居住している場合は、「家主在宅型」として、オーナー自身が物件の管理をおこなうことができます。
管理委託料が発生しないので、収入すべてを得ることができるのが大きなメリットです。
ただし、管理会社の業務全般をオーナーがおこなうには非常に労力がかかります。
民泊の規模によっては、副業でおこなうのはむずかしい場合もあるため注意しましょう。
なお、管理業務の一部だけを管理会社に委託できる場合もあるので、管理がむずかしい部分だけ外注にしてもよいでしょう。
民泊をおこなう前の注意点
民泊の届け出数こそ減ってはいませんが、廃業した民泊の件数から民泊経営が受けたコロナ禍の影響がうかがえます。
また今後いつ、コロナウィルスが終息するかについても、はっきりしないのが実情です。
では、これから民泊経営を考えるにあたってはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
インバウンド需要が戻るまでの運用方法を考える
国内の旅行客数の数は徐々に戻りつつありますが、インバウンド需要が戻るまでにはまだ時間がかかることが予想されます。
そこで問題となるのが観光客の回復までのあいだ、物件をどのように運用するかです。
例としてはスペース貸しやテレワーク施設などへ転用できる可能性があります。
現況では民泊の利用客だけをターゲットにしていては多くの収益を見込めないこともあり、立地や広さ、設備などを総合的にみて、できるだけさまざまな運用方法を検討することが大事です。
ほかの収入源や自己資金を確保しておく
不動産は所有してだけで毎月さまざまな支出があるため、収入がなければ赤字だけがふくらんでしまいます。
それらの支出を補えるよう、給与収入やほかの賃貸収入など収入源を確保しておくとよいでしょう。
また、あらかじめ自己資産をプールしておくことも重要です。
まとめ
民泊は不動産投資方法のひとつとして、通常の賃貸経営よりも高い収益性が期待できます。
一方で民泊の事業タイプによっては、営業できる地域や日数の制限があるため注意が必要です。
新型コロナウィルスの影響下の現在、民泊経営は苦戦を強いられています。
しかし今後インバウンド需要が回復したときこそ、民泊経営のチャンスとも言えるでしょう。
不動産投資のひとつとして民泊経営を検討する際は、ぜひ当記事を参考にしてください。