不動産投資で駐車場経営を成功させるポイント!種類や形態を解説
不動産投資のひとつである「駐車場経営」は、賃貸住宅経営に比べて初期費用がかからず、また賃貸住宅の建築がむずかしい土地の活用方法としても人気です。
しかし、土地の有無にかかわらず、立地や需要を見誤ってしまうと、思わぬ失敗を招く結果になってしまう可能性もあります。
そこで今回は、不動産投資で駐車場経営を成功させるポイントやメリット・デメリットについて解説します。
また、駐車場の種類や形態についても説明するので、自分にあった駐車場の種類を見つける参考にしてください。
不動産投資で駐車場経営!種類や形態・経営方法を解説
駐車場経営をおこなうには、まず、駐車場の種類や形態、経営方法を決める必要があります。
ここでは、それぞれの内容を解説します。
駐車場の種類
駐車場の種類は、「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があります。
ここではそれぞれの特徴を解説します。
月極駐車場
月極駐車場は、1ヶ月単位で借主と賃貸契約を結び、駐車スペースを賃貸することで賃料を受け取る仕組みです。
長期間安定した収入を得られる可能性が高く、初期費用も比較的安価で済み、またランニングコストも少額なのが特徴です。
ただし、駐車場の借り手が付かないと賃料が入ってこないため、空きがでないよう対策をおこなう必要があります。
コインパーキング
コインパーキングは、駐車スペースを時間単位で貸し出すし、利用時間によって料金を得る方法です。
利用状況によって収入が変動しますが、立地がよければゼロ円という日は少ないため、稼働率によっては月極駐車場よりも収入が多くなる可能性もあります。
なおコインパーキングは無人営業が基本なため、コインパーキング専用機械の設置など初期費用やランニングコストがかかります。
ただし、後述の運営会社と一括借り上げ契約をおこなえば、初期費用やランニングコストは運営会社が負担してくれます。
駐車場の形態
駐車場の形態は、「平面駐車場」と「立体駐車場」の2種類があります。
ここではそれぞれの特徴を解説します。
平面駐車場
整地済み、または舗装済みの土地に車を駐車する、いわゆる「普通」の駐車場です。
立体駐車場のような建物の建造や昇降機の設置が不要なので、初期費用や維持費はほとんどかかりません。
また、立体駐車場のように建物がないので土地を転用しやすいのも特徴です。
駐車可能台数は、土地の広さや形状によって変わります。
なお平面の月極駐車場の場合、敷地内に入ることは容易なため、無断駐車や駐車場敷地内への不法投棄、騒音問題などには注意が必要です。
立体駐車場
立体駐車場は「機械式」と「自走式」の2種類があります。
機械式駐車場は、機械(昇降機)を使って自動車を移動・収容する仕組みになっています。
一方、自走式駐車場はスロープを自走して目的の駐車スペースまで移動するタイプの駐車場で2階建て以上の商業施設などでよく見られます。
立体駐車場のメリットは、平面駐車場と同じ面積でも、より多くの駐車スペースを確保することができるため収益性が高くなることです。
しかし、建物の建造や設備を設置する必要があるため、高額な初期費用やランニングコストがかかります。
駐車場の経営方法
駐車場の経営方法は、「自営」と「一括借り上げ」の2種類があります。
ここではそれぞれの特徴を解説します。
自営でおこなう
自営で駐車場経営をおこなう場合は、設備の設置や借主との賃貸契約、トラブル対応など、業務のすべてをオーナーが自主管理するか、業務の一部を管理会社に委託します。
自主管理した場合は運用コストを減らせるため、稼働率によっては大きな収益につながります。
ただし全業務をオーナー個人でおこなうには手間や時間がかかり、利用者がいなければ収入が大幅に少なくなる可能性もあるため注意しましょう。
一方、管理会社に業務委託をした場合は、集客や契約、集金、トラブル対応など一部の業務を任せることになります。
業務委託する場合は管理費用が発生しますが、運営や管理にかかる手間を減らすことができます。
なお、管理会社に業務委託する場合の管理費は、賃料収入の5%〜10%程度が一般的です。
運営会社と一括借り上げ契約を結ぶ
一括借り上げは、運営会社(サブリース会社)に土地をまるごと貸し付け、毎月一定の賃料を受け取る方法で「サブリース」とも呼ばれます。
一括借り上げのメリットは、駐車場の稼働率に関係なく、運営会社から一定の賃料を受け取れることです。
また、駐車場経営に必要な設備・機械などの購入費用やランニングコストなども運営会社が負担してくれるのもメリットになります。
デメリットは、自主管理時の管理委託料よりも一括借り上げの委託費用が高くなることです。
不動産投資で駐車場経営をおこなうメリット
ここでは不動産投資で駐車場経営をおこなうメリットについて説明します。
低コストではじめられる
駐車場経営最大のメリットは、低コストではじめられることです。
所有する土地で月極通射場(平面)を経営する場合は、駐車できるよう整地をおこなうだけなので初期費用はほとんどかかりません。
コインパーキングの場合は、自営するなら機械の導入費用が必要ですが、一括借り上げであれば運営会社が初期費用を負担してくれるため、オーナーの負担は少なくて済みます。
ただし、駐車場経営をおこなうにあたって新たに土地を購入する場合は、別途土地購入費用が必要です。
費用はかかりますが、駐車場に適した土地を入手するチャンスでもあります。
しっかりと収支シミュレーションをおこなったうえで収益の出る土地を選びましょう。
初期費用の相場額は?
駐車場経営をはじめるにあたって必要な初期費用の目安額をまとめました。
なお土地を所有していない場合は、別途土地購入費用が必要です。
また運用会社と一括借り上げ契約を結ぶ場合は、以下の費用は運営会社が負担します。
・整地費用:未舗装タイプ1,000~4,000円/㎡
・舗装費用(整地込み):アスファルト舗装4,000~5,000円/㎡、コンクリート舗装7,000~8,000円/㎡
・コインパーキング設置費用(ロック式):フラット板約10万円/台、精算機40~50万円、照明・看板60~70万円、車止め約4,000円/台
・立体駐車場建設費用(収容台数1台あたり):自走式100万円~350万円、機械式100~250万円
狭小地や変形地でも問題ない
住居用建築に向かない狭小地や変形地でも、車両1台分のスペースがあれば駐車場経営は開始できます。
そのため、当面は使う予定がない遊休地などの土地活用方法として、駐車場経営はおすすめです。
準備期間が比較的短い
駐車場経営は、開始するまでの準備期間が短くて済むのもメリットのひとつです。
月極駐車場(平面・未舗装)であれば整地をおこない、区画用のロープを張るだけで駐車場として貸し出しが可能です。
舗装する場合でも、工事開始から完了まで1週間程度で貸し出せます。
コインパ―キングは舗装、機械の設置、電気工事などの作業が必要ですが、それでも着工からオープンまで2~3週間程度みておけば十分です。
土地の転用がしやすい
平面の駐車場経営のメリットのひとつが、土地転用のしやすさです。
特に平面の月極駐車場であれば、更地に戻すのは時間も費用もそれほどかかりません。
立体駐車場の場合は、建物解体のための時間が必要です。
また立体駐車場の場合、賃貸住宅と同じように「土地や建物の賃貸借契約」により借地借家法の適用対象となる場合があるため、オーナーの都合で契約を解除する際は注意しましょう。
不動産投資で駐車場経営をおこなうデメリット
メリットの多い駐車場経営ですが、デメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
税金の優遇措置がほぼ受けられない
不動産投資として駐車場経営をおこなう場合のデメリットのひとつが、税制上の優遇措置がほぼ受けられないことです。
不動産投資でアパートやマンションの賃貸経営をおこなう場合の土地は「住宅用地」という扱いになり、固定資産税・都市計画税の優遇措置が受けられます。
また相続税についても、土地の場合は評価額が現金などに比べて低くなるため、結果として相続税額をおさえられます。
しかし、駐車場経営をおこなう場合の土地の評価は「更地」になるため、固定資産税や相続税の優遇措置には適用されません。
「不動産投資は節税対策になる」場合も多いですが、残念ながら駐車場経営では節税効果はほとんど期待できません。
収益性が低い
建物のない平面駐車場は、土地面積分の活用しかできません。
そのため、賃貸アパート・マンション経営など、ほかの不動産投資方法と比較すると土地の利用効率が悪く、どうしても収益性は低くなります。
特に土地を購入して駐車場経営をはじめる場合は、月々のローン返済があるため、さらに利益を上げるのはむずかしいです。
土地の利用効率を考慮するなら立体駐車場という選択肢もありますが、初期費用が高いことから利回りによっては採算があわないことも考えられます。
また、立地によっては建築制限で立体駐車場を建築できない土地もあるため注意が必要です。
不動産投資で駐車場経営を成功させるポイント
ここでは、駐車場経営を成功させるために注意すべき重要なポイントについて解説します。
土地を選ぶ際は周辺の駐車場需要を見極める
駐車場経営を含め不動産投資で成功するには、例外なく立地選びが非常に重要です。
一般的に駐車場に向いているのは、交通量の多い道路からアクセスしやすく、道幅が広い場所です。
また駐車場経営の場合、月極かコインパーキングかによって、向いている立地が異なります。
月極駐車場は、ほぼ毎日利用することが前提で賃貸されるため、借主の多くは、近隣住民や法人が対象となりやすいです。
戸数に対し駐車場の収容台数が少ない大規模マンションや、駐車スペースが1台分だけの戸建てが多いエリアは、月極駐車場の需要が高くなります。
また、従業員の通勤車両や営業車両のために駐車場を確保したい企業も少なくありません。
一方、コインパーキングに向くのは、一時駐車の需要が高いエリアです。
特に駅前の商業施設の近く、観光地、病院の周辺はコインパーキングの需要が多いでしょう。
周辺の駐車場の数や料金相場をチェックする
駐車場経営に向く土地を見つけても、すでに周辺に競合となる駐車場が多い場合は稼働率が低くなる可能性があります。
また、周辺の料金相場が想定していたよりも安い場合は、集客のために料金設定を見直す必要があるかもしれません。
購入予定の土地が駐車場経営に向いているかどうか確認するためには、実際に物件周辺の現地調査をおこなうことが大事です。
現地調査では以下のポイントをチェックしましょう。
・使いやすさ(道路幅や主要道路へのアクセス)
・周辺の駐車場の数や稼働状況
・競合となる駐車場の利用料金
上記の確認を怠って駐車場経営をはじめてしまうと、思ったように稼働率が上がらず、ローン返済費用や税金の捻出がむずかしくなることも考えられえます。
現地調査で得た情報をもとに、料金設定や稼働率を検討したうえで収支シミュレーションをおこない、駐車場経営が成り立つかどうか慎重に判断しましょう。
実質利回りをチェックする
利回りは、駐車場経営でどのくらいの収益が見込めるかを判断するための大事な指標です。
なお利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回りは、単純に1年間の駐車場収入を初期費用(土地購入価格含む)で割ったもので、以下のように計算します。
表面利回り(%)=年間駐車場収入÷(土地購入価格+初期費用)×100
表面利回りには、ランニングコストが反映されていないため、「かならずこのくらいの利益が得られる」ことを示す数字ではありません。
具体的な収益を知るには、実質利回りのチェックが必要です。
実質利回り(%)=(年間駐車場収入-ランニングコスト)÷(土地購入価格+初期費用)×100
実質利回りは、各種ランニングコストを組み込んだ計算になるため、より現実的な数字となります。
なお、稼働率ごとの収益が知りたい場合は、年間駐車場収入に稼働率(%)を掛けることで簡単に計算できます。
常に稼働率100%で駐車場経営ができるとはかぎらないため、稼働率ごとの収益もチェックしたうえで駐車場経営が成り立つかどうか慎重な判断が必要です。
まとめ
不動産投資のひとつであり、土地活用方法としても人気の駐車場経営ですが、成功するためには立地はもちろん周辺の競合の有無や料金相場をかならず確認することが重要です。
また月極駐車場とコインパーキングに向く立地はそれぞれ異なるため注意しましょう。
なお土地を新たに購入して駐車場経営をはじめる場合は、ローン返済をおこなわなければならないため収益が低くなります。
その反面、駐車場に適した土地を見つけるチャンスでもあります。
ぜひ、当記事で解説したポイントやメリット・デメリットを理解した上で駐車場経営を成功に導いてください。