【不動産投資】学生向け賃貸物件の注意点!メリットとデメリットも
不動産投資で学生向け賃貸物件の経営は、安定した入居者需要が見込まれ、一度入居すれば卒業するまで継続して住んでもらえる可能性が高いなど、オーナーにとって多くのメリットがあります。
しかし、ひとつの学校の学生だけを入居ターゲットにするのは非常に危険です。
なぜなら、学校が移転や縮小した場合、入居者需要が一気に減少してしまうおそれがあるからです。
また上記以外にも、学生向け賃貸で不動産投資をおこなう際には気をつけたいポイントがいくつかあります。
そこで今回は、不動産投資における学生向け賃貸のメリットやデメリットを紹介しながら、経営をおこなううえで注意すべきポイントやリスクの対策方法をまとめました。
学生向け賃貸を成功させたい人は、ぜひ当記事を参考にしてください。
学生向け賃貸で不動産投資をおこなうメリット
学生向け賃貸経営は、入居者需要が安定している、家賃滞納リスクが低いなどの理由から、不動産投資家にも人気の運用方法のひとつです。
ここでは、学生向け賃貸物件にはどのようなメリットがあるのかまとめました。
入居と退去のサイクルが安定している
学生をターゲットとした賃貸物件の入居・退去は、入学シーズンの4月と卒業シーズンの3月に集中するため、通常の賃貸物件に比べると稼働状況の予測を立てやすいです。
また学生向け賃貸は、毎年新しい入居者(=新入生)が期待できます。
新入生のアパート探しがはじまる頃には、卒業生が退去することもわかっているため、新規の入居希望者の受け入れがスムーズにおこなえます。
さらに、入学と同時に入居し、そのまま卒業まで引越すことなく住みつづけてくれる学生が多いため、入居者が大学生なら4年間は空室になる心配がありません。
このように、3月の卒業で退去者が出ても4月には新入生の入居が期待できますし、入退去の予測もできるため、学生向け賃貸物件は比較的安定した家賃収入が見込めます。
家賃滞納リスクが低い
学生向け賃貸物件に住むのは学生本人ですが、賃貸借契約を結ぶのは保護者というケースがほとんどです。
その場合、保護者が家賃を支払うため、家賃滞納のリスクが低くなります。
家賃や生活費を自費で賄っている学生の場合は、通常の賃貸と同様、保証会社との契約を入居条件にするなどの対策をおこなうとよいでしょう。
収益性の高い間取りにできる
単身者である学生向けの間取り(ワンルームや1K)は、収益性が高く投資効率がよいというメリットがあります。
20㎡のワンルーム物件と60㎡のファミリー向け物件では、ワンルームに比べてファミリー向け物件のほうが3倍の広さがありますが、では家賃も3倍かというとそうではありません。
エリアや賃貸需要、設備のグレードなどによって違いはありますが、最大でも2.5倍程度の家賃になると思われます。
そのため、同じ敷地面積で不動産投資をおこなうのであれば、部屋数が多くなるワンルームや1Kのアパート・マンション物件のほうが、収益性が高くなるのです。
学生向け賃貸で不動産投資をおこなうデメリット
ここでは学生向け賃貸物件のデメリットについてまとめています。
賃貸需要の低下や家賃下落の原因となるデメリットもありますが、しっかり対策をとることで不動産投資を成功に導くことができます。
学校移転や縮小されるリスクがある
学生向け賃貸経営をする上で、最大のデメリットとして考えられるのが、学校の移転や縮小のリスクです。
近年、少子化の影響から大学などへの入学者も減少傾向にあります。
そのため、不便な郊外キャンパスのある学部は受験生に不人気なため、学部の縮小や都心部にキャンパスごと移転をすることが増えています。
その結果、郊外の大学キャンパスに通う学生をおもなターゲットにしていた賃貸物件の多くは入居付けに苦労することになりました。
このように、学生向け賃貸物件は、学生にターゲットを絞ることで効率的な不動産投資をおこなうことができる反面、そのターゲットがいなくなることで空室期間が長くなり家賃収入が大幅に減少してしまうことが考えられるのです。
このことから、ひとつの学校の学生に依存したした不動産投資は控えたほうが無難ということがわかります。
原状回復のサイクルが早い
学生向け賃貸物件は、入居・退去のサイクルが安定しているメリットがありますが、退去者が同時期に集中することで、原状回復などのリフォームや清掃なども一斉におこなわれることになるため、その費用がかかります。
また、学生をターゲットしているため大学生であれば4年間は住んでもらえる可能性が高いですが、裏を返せば「4年間しか住んでもらえない」との見かたもできます。
学生以外のターゲットの場合、もっと長く住んでもらえることもあるため、4年ごとに原状回復の修繕やクリーニングをおこなわなければならないのはデメリットになるでしょう。
外国人留学生増加によるトラブルが発生することもある
外国人留学生を積極的に受け入れている大学が増えるなか、外国人留学生の入居者がトラブルを起こすこともあります。
とくに多いのが、入居者の部屋に人が大勢集まって騒ぐなどの騒音トラブルやゴミ出しの際のトラブルです。
注意したくても言葉の壁によって意思疎通がなかなかできずに困ってしまう大家さんもいるようです。
こういった、外国人の賃貸トラブルの助けとして、国土交通省で発行している『外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン』が役立ちます。
これは、賃貸物件オーナーや仲介業者・管理会社に向けた、賃貸物件に入居する外国人の対応マニュアルです。
入居申込書や重要事項説明書などの契約関連書類をはじめ、入居後のルールやマナーなどの説明が英語や中国語のほか、ベトナム語やタイ語など14カ国語で翻訳されています。
今後、外国人を受け入れる予定があれば、一読しておくことをおすすめします。
競合物件が多い
上記のような学校移転などがなければ、学生向け賃貸は安定した入居者需要が期待できる良物件です。
そのため、学校の近くには学生をターゲットにした競合物件が増えるのは、ある意味しかたのないことですが、競合物件が増えることで空室が増えることが懸念されます。
とくに、学生をターゲットにした賃貸物件は、入学シーズン前の繁忙期以外の入居希望者が少ないため、3月までに入居者が決まらない場合は、その後の1年間が空室のままということも……。
どうしても空室が埋まらない場合は家賃を下げて入居者を募集することになりますが、そうすると収益が下がってしまいキャッシュフローが悪化するというデメリットにつながります。
このように競合の多いエリアで入居付けをおこなうための対策方法を、下記の『学生向け賃貸で失敗しないポイント』の項に記載しています。
ぜひ参考にしていください。
学生向け賃貸で失敗しないポイント
学生向け賃貸物件は、安定した入居者需要があり収益性も高い反面、上記のようなデメリットもあることがわかりました。
ここでは、リスクをおさえるための対策方法についてまとめました。
学生需要だけに偏らない
上にも書いたように、ひとつだけの学校の学生をターゲットした賃貸経営は、学校が移転してしまうと入居者ターゲットがいなくなってしまうため、入居付けがむずかしくなってしまいます。
こういった学校の移転リスクの対策としては、複数の学校が集まったエリアに賃貸物件を持ち、入居者ターゲットを学生以外(社会人や高齢者など)に広げることが一番です。
加えて、不動産投資を成功させるために必要な物件の立地(駅近などの交通の便がよい、環境がよいなど)で、ひとり暮らしの需要がなくならない物件を選ぶようにしましょう。
競合物件との差別化をはかる
学生向け賃貸物件にかぎらず、競合物件との差別化は、不動産投資において必要不可欠です。
そのためにはまず、競合物件の情報を収集することからはじめましょう。
周辺の競合物件の家賃、築年数、間取りや面積、どんな設備が導入されているかなどできるだけ詳しく調べ、自分の物件が、競合物件と比較して選んでもらえる状況にあるかを確認しましょう。
こういった賃貸物件情報は、『ライフルホームズ 不動産アーカイブ』などで調べることが可能ですし、記載がないようなら、懇意にしている不動産会社で聞き込みをおこなってもよいでしょう。
あとは、差別化できるポイントを強化することで、競合物件との差別をはかることが可能になります。
賃貸物件のスペックがほぼ同じなら、なにかひとつ付加価値をつけることで、入居者に選ばれやすくなることも少なくありません。
また、一定期間の家賃を無料にするフリーレントなどを利用することで、入居付けが簡単になる場合もあります。
やみくもに大きな設備投資をおこなうよりも、競合物件に勝てるポイントを追加するだけでも効果がみられる場合もあります。
家賃を一度引き下げてしまうと元に戻すことはむずかしいため、家賃引き下げは最終手段として、まずはできる空室対策を試してみることをおすすめします。
まとめ
学生向け賃貸でおこなう不動産投資は、入居者需要の安定、家賃滞納リスクが低い、収益性が高いなど多くのメリットがあります。
しかし、学校の移転などでターゲットの学生がいなくなってしまうと、入居付けがむずかしくなるというデメリットがあります。
賃貸需要をひとつだけの学校に依存しない、また学生以外の入居者(社会人や高齢者など)をターゲットにすることで、より安定した収益を得ることが可能になるのです。