日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法
「日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受けるにはどうしたらいいの?」
「そもそも、個人で日本政策金融公庫は利用できるの?」
結論から言うと、日本政策金融公庫は個人利用可能です。
また融資については、単なる「不動産投資」ではなく、「不動産賃貸事業」として認められれば融資の対象となります。
では、どのようにして「不動産投資ではなく、不動産賃貸事業である」と証明したらよいのでしょうか?
そこで今回は、日本政策金融公庫のメリットとデメリットを説明しながら、融資条件について紹介します!
日本政策金融公庫とは?特徴やほかの金融機関との違いについて
「日本政策金融公庫」の名称は知っていても、その特徴やそれ以外の金融機関との違いについて詳しく知っている人は少ないようです。
ここでは、日本政策金融公庫の特徴と民間金融機関との違いを紹介します。
日本政策金融公庫の特徴
日本政策金融公庫は、日本政府が100%出資した金融機関で、略して「日本公庫」と呼ばれることもあります。
日本公庫の基本理念は、「国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する。」ことです。
基本理念に従って日本公庫では、「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」に係わる個人や法人の「事業」を対象に融資をおこなっています。
また、若者や女性、高齢者の生活支援、民間金融機関から融資を受けにくい中小企業・個人事業者へ積極的な支援融資をおこなっていることが日本公庫の大きな特徴となります。
ほかの金融機関とはどう違うの?
民間金融機関と日本政策金融公庫の大きな違いは、日本公庫は「利益」を追求していないことにあります。
民間金融機関の融資は、金利収入を目的としたものであり、利益を出すことを前提に融資条件が決定します。
そのため、不動産投資をおこなう人の返済能力が高ければ(属性がよい、資産を多く持っている等)、比較的容易に融資審査を通過することが可能です。
しかし、日本公庫は利益目的の融資はおこなっていないため、資産家であろうと返済能力が高かろうと、一般的な「不動産投資」は融資の対象外となります。
では、不動産投資の融資は受けられないか? というと、そんなことはありません。
不動産購入の理由が「不動産賃貸事業」であると認められれば、個人・法人関係なく融資の対象になります。
日本公庫の融資は金利が低く、貸付期間中は固定金利になりますし保証人も不要です。
また、若者や女性、高齢者は、融資額上限の引き上げなどの優遇措置があります。
民間金融機関では融資を断られる低属性の人や新法人でも、事業性さえされ認められれば融資を受けられるのです。
以上のように日本公庫の融資は、民間金融機関とは異なる魅力がたくさんあります。
不動産投資で日本政策金融公庫から融資を受けるための条件は?
上にも書いたように、日本政策金融公庫では一般的な不動産投資の融資はおこなっていません。
不動産物件購入の融資を受けるためには「事業目的」であることを示すことになり、以下の条件をクリアすることが必要です。
条件その1:不動産賃貸事業として認めてもらう
まずは、不動産物件の購入が不動産賃貸事業目的であると示したうえで認めてもらう必要があります。
そのためには、融資相談の際には「不動産投資」という言葉は使わず、「不動産賃貸事業」の融資を希望している旨を伝えましょう。
また、売却益を目的とした不動産購入は不動産投資目的と解釈されるため注意しましょう。
条件その2:担保物件があること
日本公庫では、無担保の融資上限額は2,000万円になるため、それ以上の融資を受けたい場合は担保物件が必要です。
基本的に購入する物件を担保にするか、ほかの担保物件を設定することになります。
条件その3:税金や公共料金をきちんと納めていること
日本公庫は政府系金融機関なため、税金や公共料金の未払いがあると審査に落ちてしまう可能性があります。
これらが未納でないことを確認しましょう。
その他の条件
上記の条件以外にも、以下の条件等を複数クリアすることで融資を受ける確率があがります。
- 10年の返済期間内で収支がプラスになるか
- 自己資金の用意があるか
- 不動産賃貸物件の保有
- その他
日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは?
日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは以下のようになります。
- 金利が低い
民間金融機関の金利に比べると低金利で借入ができます。
担保の有無にもよりますが、条件がよければ1%以下の金利も期待できます。
- 固定金利
日本公庫では、融資期間内すべて固定金利なため金利上昇リスクの心配がありません。
- 繰り上げ返済は手数料無料
民間金融機関でローンの繰り上げ返済をおこなう際は手数料が必要な場合も多いですが、日本公庫では何回おこなっても手数料は無料です。
- 若者や女性・高齢者は優遇措置あり
日本公庫では、若者や女性・高齢者を積極的に支援しています。
通常の融資限度額は4,800万円ですが、若者や女性・高齢者の場合は7,200万円まで借りることができる優遇措置があります。
女性による不動産投資について詳しくはこちら!>>女性には不動産投資がおすすめ!その理由と失敗しないポイントを解説
- 低属性の人や新法人でも借入可能
日本公庫は「民間金融機関の補完」を目的にしているため、民間金融機関の融資審査には通りにくい人でも、不動産物件に事業性があれば融資を受けることが可能です。
- 各地に支店がある
日本公庫の支店は沖縄を除く各都道府県にひとつ以上の支店があるため、融資相談の際は県をまたぐ必要がありません。
そのほかにも、保証人が不要、任意で団体信用保険(団信)に加入できるなど、日本公庫のメリットは非常に豊富です。
日本政策金融公庫で融資を受けるデメリットは?
メリットの多い日本政策金融公庫の融資ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 借入期間が短い
日本公庫の借入期間は10年または15年と、民間金融機関に比べて短いため、金利が低く固定金利であっても月々の返済額が負担になる可能性があります。
あらかじめ頭金を多めに入れて返済額をコントロールする、資金を多めに手元に残しておくなど対策が必要かもしれません。
- 融資限度額が少ない
日本公庫の融資限度額は7,200万円です。
そのため、1億円超の高額物件などの融資を受けることができません。
- 提出書類が多い
民間金融機関の融資申し込みに比べて、日本公庫の融資申し込みで提出する書類は種類が多いです。用意するのに時間がかかったり、手間がかかったりするものもあるので、もれなく用意しましょう。
日本政策金融公庫で審査を通過しやすくするためのポイント
日本政策金融公庫で融資審査を通りやすくなるポイントをまとめました。
築年数よりも利回り重視の物件を選ぶ
日本公庫では、物件の築年数よりも利回りを重視する傾向が強いです。
その理由は、日本公庫は事業の継続性も目的として融資をしているため、月々のキャッシュフローを重要視しているからです。
そのため、築浅で利回りが低い物件よりも、築古でも高利回り物件のほうが高く評価されます。
融資限度額にあわせた物件を選ぶ
日本公庫の融資限度額は7,200万円ですが、通常は4,800万円までです。
そのため、高額な不動産物件への融資は無理なため、融資限度額にあった不動産物件を選ぶ必要があります。
また融資期間も短いため、月々のローン返済額をシミュレートし、無理のない範囲で購入できる物件を選ぶとよいでしょう。
創業計画書をしっかりと作成する
日本公庫の融資を受ける際には「創業計画書」の作成・提出が必要です。
創業計画書には、「創業の動機」「事業内容」「事業の見通し」などを記載します。
かなり細かい内容を記入しなくてはなりませんが、創業計画書は日本公庫の融資担当者と相談しながら書くことが可能です。
経験豊富な担当者と相談することで、審査に必要なポイントを把握しながら記入することができます。
また、創業計画書の記載事項を補足するための添付資料も必要です。
特に収支シミュレーションなどで月々いくらのキャッシュフローを得られるかなど、数字を示すことができる書類は必須となります。
日本政策金融公庫を利用する際の注意点
ここでは、日本政策金融公庫を利用するにあたって、気をつけておきたいポイントをまとめました。
- 営業時間内に出向く必要がある
日本公庫の営業時間は平日9時~17時までになります。融資相談なども基本的に営業時間内の対応となるため、支店に出向く際は注意が必要です。
- 支店や担当者によって、若干ルールが異なる場合がある
基本方針は変わりませんが、支店や担当者によっては融通が効いたり効かなかったりする場合もあります。
まとめ
日本政策金融公庫で融資を受けられるのは「不動産投資」ではなく、「不動産賃貸事業」であることが前提になります。
不動産事業だと認められたうえで融資審査が通れば、低金利かつ固定金利で資金の借入が可能です。
また、民間金融機関の融資審査に通りにくい人への支援や優遇措置も大きなメリットになります。
反面、日本公庫の融資は借入期間が短く融資限度額も低いため、無理のない範囲の不動産物件を選んだり、しっかりとした返済計画を立てる必要があります。
日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとデメリットをよく比較して、「不動産賃貸事業」を成功させてください。